比較生理生化学
Online ISSN : 1881-9346
Print ISSN : 0916-3786
ISSN-L : 0916-3786
30 巻 , 1 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
総説
  • 小倉 淳
    2013 年 30 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
     頭足類は発達した眼と非常に高度な脳神経をもち,無脊椎動物の中で最も進化した生物の一つである。古くから発生学・進化学・神経生理学など様々な分野にわたるアプローチがなされており,脊椎動物と形態類似性を持つカメラ眼や神経内分泌系,閉鎖血管系は,頭足類の研究のみならず,脊椎動物の進化プロセスを研究する上で非常に重要な生物種である。しかしこれまで,頭足類ゲノムは解読されていない。この理由としては,頭足類ゲノムは全般的に2-5Gbとヒトを超えるゲノムサイズを持つことが珍しくなく,ゲノムを決定することが難しかったことがあげられる。こうした状況の中,2012年5月に様々な国における頭足類研究者およびゲノム研究者が集まり,頭足類ゲノム決定を推進するコンソーシアム(Cephalopod Sequencing Consortium:CephSeq)を立ち上げた。本稿では,比較ゲノム研究・比較トランスクリプトーム研究の最近の動向をふまえながら,頭足類ゲノムプラットフォームの今後の展開を紹介する。
  • 菅原 道夫
    2013 年 30 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
     キンリョウヘン(Cymbidium floribundum)の花に,ニホンミツバチ(Apis cerana japonica)の働きバチだけでなく,オバチも女王バチもさらには分蜂群や逃亡群までもが誘引されることが知られている。この誘引物質が,3-hydroxyoctanoic acid(3-HOAA)と10-hydroxy-(E)-2-decenoic acid(10-HDA)の混合物であることを明らかにすることができた。ニホンミツバチは,大顎腺に3-HOAAと10-HDAを持っていると報告されている。まだ確証はないが,この混合物は集合フェロモンとして機能していると思われる。これらは混合物としてはじめて機能し,単独では誘引力がない。キンリョウヘンは,ハチの大顎腺から分泌されるフェロモンを擬態しニホンミツバチを誘引していると考えている。
     これまで,日本では,ニホンミツバチを使った伝統的な養蜂において,分蜂群を捕獲するためにキンリョウヘンが利用されてきた。この誘引物質の発見は,キンリョウヘンの代わりになる分蜂群を捕獲するルアーの作成に道を開く。さらに,これらの成分に ニホンミツバチと同様に誘引される22)トウヨウミツバチ(A. carina)の他の亜種を使った東南アジアにおける伝統的な養蜂の技術革新に貢献できると思われる。加えて,ジャワからのトウヨウミツバチの侵入がセイヨウミツバチ(A. mellifera)による養蜂の脅威となっているオーストラリアにおいて,トウヨウミツバチの効果的な捕獲法の開発を可能にするであろう。
feedback
Top