比較生理生化学
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30 巻 , 2 号
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総説
  • 並木 重宏, 神崎 亮平
    2013 年 30 巻 2 号 p. 45-58
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2013/06/21
    ジャーナル フリー
     多くの鱗翅目昆虫は情報化学物質であるフェロモンによって種を認識し,配偶行動を実現している。ここでは受信者であるオスによるフェロモンの情報処理と,これを担う神経機構について解説する。まず感覚系神経回路の構造と機能について述べ,続いてフェロモンの認識に重要な役割を持つ多成分のフェロモン情報処理について述べる。最後に処理された情報が行動司令情報へと変換される過程を扱う。鱗翅目昆虫で分かっている知見を紹介し,知見が不足している場合は,他の実験動物の研究を参照し,神経機構に関わるいくつかの仮説を提案する。
  • 浅岡 洋一
    2013 年 30 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2013/06/21
    ジャーナル フリー
    c-Jun N-terminal kinase(JNK)シグナル伝達経路は,細胞外からの様々なストレス刺激や発生プログラムなどの内因性シグナルを細胞核へ的確に伝達するための主要なシステムの1つである。JNKはMAPキナーゼファミリーに属するタンパク質リン酸化酵素であり,線虫から哺乳類に至る動物門で幅広く保存されている。JNKは上流の2種類の活性化因子であるMAPキナーゼキナーゼ(MKK)4とMKK7によってリン酸化を受けて活性化し,遺伝子発現を調節することにより多彩な細胞応答を誘導する。近年,MKK4とMKK7のそれぞれのノックアウトマウスを用いた解析から,これらが発生期の肝臓形成や脳形成に重要な役割を果たすことが明らかとなった。一方,JNKシグナルは器官形成期より早い時期の形態形成運動にも関与することが最近になって示され,初期胚のボディプラン形成におけるJNKの役割が注目を集めている。本稿では,MKK4とMKK7の生化学的特性について概説するとともに,各動物種の初期胚形成期における両キナーゼの生理機能を比較し,最後にJNKシグナルが形態形成運動を統御する分子機構の一端についてゼブラフィッシュの知見を中心に紹介する。
  • 菅原 道夫
    2013 年 30 巻 2 号 p. 68-75
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    ニホンミツバチが,捕食者であるスズメバチを蜂球に閉じ込め殺す仕組みを明らかにした。スズメバチが蜂球に捕捉されると,蜂球内では温度だけでなく湿度も急速に上昇する。5分後には温度は46℃に,湿度は90%以上になる。この時,蜂球内の炭酸ガス濃度は4%に達する。多くのスズメバチは,蜂球内では10分で死ぬ。スズメバチの死をもたらす要因を,蜂球内の湿度とCO2濃度を変え致死温度を測定することで考察した。実験に使用した4種のスズメバチのいずれにおいても,CO2濃度3.7%(ヒトの呼気環境)では,2℃以上も致死温度が低下した。相対湿度が90%以上になると,さらに致死温度が低下した。ヒトの呼気環境中では,大気中に比べCO2は増加し酸素は減少するが,酸素を補っても致死温度は変わらなかった。ニホンミツバチは,蜂球中のスズメバチを酸素欠乏によって窒息死させるのでなく,高温,高湿,高濃度のCO2,の環境中でスズメバチの致死温度を下げることで殺していると考えられた。
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