比較生理生化学
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31 巻 , 1 号
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総説
  • 長山 俊樹
    2014 年 31 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2014/03/14
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    ザリガニ腹部最終神経節は尾扇肢感覚情報処理・運動出力制御の中枢であり,上行性・局在性スパイキング及びノンスパイキング介在ニューロンからなる局所回路が形成されている。この回路の抑制経路を電気生理学的・薬理学的・免疫組織化学的手法を用い明らかにした。前運動性要素のノンスパイキング介在ニューロンにはPL,ALという2グループが存在し,PLニューロンの抑制性伝達物質はGABA,ALニューロンはグルタミン酸で,相反的な並列経路を形成,回避行動発現時の尾扇肢運動を制御している。また,尾扇肢への機械感覚刺激に対し多くの上行性介在ニューロンは側抑制を示し,素早く短いfast IPSP,もしくはゆっくりとした持続時間の長いslow IPSP応答が起こる。fast IPSPはグルタミン酸作動性の両側性スパイキング局在ニューロン,一方,slow IPSPはGABA作動性の両側性ノンスパイキングニューロンLDSによって引き起こされる。ClチャネルブロッカーPTX存在下でfast IPSPは阻害されるが,slow IPSPは影響を受けず,またslow IPSPに比べfast IPSPの逆転電位が極めて浅いことから,グルタミン酸の抑制作用がCl-の流入,GABAがK+の流出を介していることが分かった。
  • 濱田 俊
    2014 年 31 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2014/03/14
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    チアミン(ビタミンB1)はエネルギー代謝に不可欠の補酵素であり,その欠乏は神経系に特有の障害を引き起こす。ヒトでは2種類のチアミン欠乏症,脚気とWernicke-Korsakoff症候群(WKS)がみられるが,脚気では主に末梢神経系が障害される一方,WKSでは中枢神経系が障害される。なぜ単一のビタミンが異なる2種類の病態を引き起こすのかよくわかっていない。WKSの神経組織障害は,多くの神経変性疾患同様に脳の特定領域にみられ,その発症機構に興味が持たれてきた。WKSに類似した病態を示す疾患モデル動物の研究により,WKSの発症には興奮性神経毒性や酸化ストレスなどの要因が関与することが明らかになりつつあるが,領域特異的な障害がどのようにして起こるのかほとんどわかっていない。著者らはWKSモデルマウスの脳における細胞死の分布を検討したところ,嗅球で大量の細胞死が生じていることを見いだした。嗅球における細胞死の分布から,シナプス入力の違いがチアミン欠乏に対する感受性に影響を与えていることが示唆された。
  • 八木 光晴, 及川 信
    2014 年 31 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2014/03/14
    公開日: 2014/03/28
    ジャーナル フリー
    個体レベルで生物の体の大きさとエネルギー代謝速度の関係(代謝スケーリング)を探る比較生理研究の歴史は古く,生理,薬理,農,水産そして生態学など様々な学問分野で基礎をなしてきた。近年,個体レベルの代謝則(クレイバー則)を個体群,群集,そして生態系レベルまで当てはめて横断的に展開する代謝生態論が注目されつつある。本稿では,代謝生態論の基礎である個体レベルの代謝スケーリングについてその理論的枠組みと,実証研究から明らかとなった生態学的意義を述べる。最後に,個体から生態系へとスケールアップする新しい代謝スケーリング研究の動向と展望について紹介する。
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