比較生理生化学
Online ISSN : 1881-9346
Print ISSN : 0916-3786
ISSN-L : 0916-3786
31 巻 , 3 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
総説
  • 奥山 輝大, 竹内 秀明
    2014 年 31 巻 3 号 p. 106-112
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル フリー
    社会を形成する動物は,協調や世話,攻撃や拒絶など他メンバーに対する行動を柔軟に選択する。高度な社会性行動を営む動物は,他メンバーを記憶・識別し,相手との社会関係を理解し,社会的文脈に沿って意思決定する高次脳機能を持つ。これまで高度な社会行動に関わる脳機能の研究は主にヒトを対象にして進んできたが,分子・神経細胞レベルで解析するためには,適切なモデル生物が必要になる。著者らはこの問題にアプローチする目的で,分子遺伝学のモデル生物であるメダカに着目してきた。著者らはメダカの社会行動(群れ行動,社会学習,メスの配偶者選択,オスの配偶者防衛行動)の行動実験系を確立する過程で,メダカは個体認知に基づく高度な社会行動を示すことを発見した。メダカのメスは「見知らぬオス」を拒絶し,そばにいた「見知ったオス」を視覚認知して配偶相手として選択する傾向がある。さらに著者らは2014年に分子遺伝学及び電気生理学的手法を組み合わせて,終神経 GnRH3ニューロンがオスを配偶相手として受け入れるか否かのスイッチとして機能することを示した。一方で著者らは2013年にメダカ胚において赤外線レーザー誘起遺伝子発現操作を用いて,予定脳の微小領域に熱刺激依存に Cre/LoxP 組換えを誘導する技術を確立し,特定の脳領域において外来遺伝子の発現を誘導する遺伝子操作法を確立した。また最新の遺伝子改変技術(TALEN法,CRISPR/Casシステム)を用いることで,わずか5日の実験行程で目的遺伝子に変異を入れることが可能になった。今後,メダカは魚類「社会脳」の分子神経基盤を解析する優れたモデルになると期待される。
技術ノート
  • 牧口 祐也, 青木 良徳, 北川 貴士
    2014 年 31 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル フリー
    バイオロギングとは,動物に計測機器(データロガーや発信機)を装着し,人間が直接観察することができない行動・生理情報を環境情報と同時に記録する手法のことである。近年のマイクロエレクトロニクスの発達に伴い,機器の小型化が進み,本手法の魚類への適用が可能になってきた。また,センサの多様化に伴いさまざまな計測項目の測定,例えば,体温,筋電位,心電図,脳波など生理情報を取得することが実現されつつある。これにより,野外での魚類の生理的情報の収集が可能になり,彼らの行動を,周囲の環境といった外的要因に対する内的反応を介した応答として理解することが可能になった。そこで本稿では,バイオロギングを用いた魚類の行動学・生理学的研究に焦点を当て,研究事例(クロマグロの行動的体温調節,筋電位発信機を用いたサケの遡上行動,心電ロガーを用いたサケの産卵行動解析)について紹介し,今後の応用について述べる。
feedback
Top