比較生理生化学
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32 巻 , 1 号
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総説
  • 山下(川野) 絵美
    2015 年 32 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2015/03/16
    公開日: 2015/04/03
    ジャーナル フリー
    動物は,光を物の形や色を認識する「視覚」で利用するのに加え,生体リズムの制御などの様々な「視覚以外(非視覚)」の生理機能の調節に用いている。哺乳類を除く多くの脊椎動物において,非視覚の光受容には,松果体や脳深部などの,眼以外の光受容器官の関与が広く知られている。下等脊椎動物の松果体やその関連器官は、環境光の明暗だけでなく、波長成分(色)を検出できる(波長識別応答)。著者らは、ヤツメウナギ松果体において,波長識別応答に関わるUV光受容タンパク質としてパラピノプシンを同定した。これまでに行ってきた生化学的、分光学的、組織化学的、電気生理学的解析から、パラピノプシンは,松果体波長識別の分子基盤の解明のためだけでなく,その特徴的な分子特性から,脊椎動物の視覚オプシンの分子進化を考える上でもカギとなる分子であることが分かってきた。ここでは,松果体UV光受容タンパク質パラピノプシンに関する著者らの研究成果を中心に,松果体やその関連器官における波長識別とオプシンの分子進化に関する知見を紹介する。
  • 市川 敏夫
    2015 年 32 巻 1 号 p. 10-23
    発行日: 2015/03/16
    公開日: 2015/04/03
    ジャーナル フリー
    多くの昆虫は前跗節に1対の爪を持ち,種によってさらに爪に付属した爪間盤や褥盤などをもつ。これらの接着装置(器官)の基質や対象物への接着/脱着などの動作の監視および調節は歩行など様々な行動の遂行に重要である。前跗節の形態は生息環境などに適応して様々であるが,動かす仕組みは多くの昆虫に共通である。爪の基部がその背側部分で跗節先端にある担爪突起と関節を形成し,腹側部は爪牽引盤に接続している。歩行時,腿節や脛節にある爪牽引筋が収縮するとその長い腱を介して,爪牽引盤が跗節最終節先端のソケット構造に引き込まれ,爪などは腹側−側方に屈曲してソケット構造の縁に接触すると共に基質に噛み込む。この前跗節の動作のモニターに関与する機械感覚器の配置パターンを数十種の昆虫類で調べた。全ての昆虫に共通して,爪牽引盤や爪基部が接触するソケットの部分(内側面,外側面あるいはエッジ部)に毛状感覚子(触覚センサー)と鐘状感覚子(ひずみセンサー)がセットになって配置されており,このセンサーシステムが前跗節の動作の監視のための基本設計であることが示唆された。また,昆虫類によっては,爪の中あるいは担爪突起の中あるいは双方に様々なパターンで鐘状感覚子が追加配置され,それらが爪にかかる負荷を受容することによってシステムの高度化を担っていることが示唆された。爪間盤は基質との接着面積の大きい接着器官であるが,器官の正中面に対して左右対称な位置に鐘状感覚子,毛状感覚子または両感覚子が配置されており,接着面との傾きの検知システムが基本設計であることが示唆された。
  • 筒井 圭, 今井 啓雄
    2015 年 32 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2015/03/16
    公開日: 2015/04/03
    ジャーナル フリー
    苦味感覚は主に舌の味蕾に発現するG蛋白質共役型受容体(GPCR)である苦味受容体(TAS2R)によって担われている。ヒトゲノムには26種類のTAS2R遺伝子が存在し,それぞれが多種類かつ異なるセットのリガンドを受容することで多くの苦味物質の認識が実現されている。近年,TAS2Rのレパートリーやリガンド感受性について種間および種内で多様性が存在することが明らかとなってきた。また,舌以外の様々な組織・器官においてもTAS2Rが発現していることが次々と報告されており,TAS2Rが味覚以外の様々な生理機能に関与することが示唆されている。本総説ではそのようなTAS2Rの種間・種内・組織間における遺伝的・機能的多様性について,霊長類に注目して概観する。
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