比較生理生化学
Online ISSN : 1881-9346
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36 巻 , 2 号
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総説
  • 藤岡 慧明, 飛龍 志津子
    2019 年 36 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 2019/08/06
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    コウモリは,自身が放射した超音波の反響音を聴取・分析することによって周囲環境を把握する。これをエコーロケーション(反響定位)と言う。コウモリは,高度なエコーロケーションを実現する聴覚神経機構を研究するためのモデル動物として,盛んに人工環境下における実験が行われてきた。一方で,コウモリは野外において微小な飛翔昆虫を次々と捕食するという高度なパフォーマンスを実現しているにも関わらず,自然環境下における超音波利用については,計測が難しいことから検討があまり進められてこなかった。2000年代に入った頃からは,計測技術の向上により,獲物探索および定位のための指向性制御などのソナー運用に関する報告が多く成されるようになってきた。 さらには,複数の獲物を次々と連続的に捕らえる際のコウモリの合理的な戦略についても近年明らかとなった。本稿では,まずコウモリのエコーロケーションについて概観した上で,野外研究を中心にコウモリの採餌飛行時におけるエコーロケーションの運用方法について概説する。そして,採餌飛行を,獲物探索時・捕食飛行時・複数標的捕食時の三つに分けて,彼らの採餌のためのエコーロケーション戦略について考察する。

  • 田渕 理史, 並木 重宏
    2019 年 36 巻 2 号 p. 100-111
    発行日: 2019/08/06
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    脳は内発的に情報を生み出すことで自身の構造を創り上げることが出来るだけでなく,情報表現のために機能状態を自身で創り換えることも出来るシステムである。 最近の研究から,“神経細胞の自発活動パターン”が,この過程において重要な役割を担っている可能性が示唆されている。 しかしながら,自発神経活動パターンがどのような分子機構によって形成され,どのような情報を伝達しているのか,さらに神経回路の設計指針としてどのように使われているのかなど,まだよく分かっていないことが多い。本総説では,発達期神経系において観察される自発神経活動パターンの時間構造と,それらの形成を担っている分子機構に関して,筆者ら自身の研究も含めた最近の動向を紹介する。 さらに,神経系の発生ないし生後発達の過程において脳の神経回路の基本構造を創り上げる時だけでなく,成熟した脳がより最適化された情報表現を行うために神経回路の機能状態を創り換える時においても,特異的な時間構造パターンを有する自発神経活動が神経機能の再構築のために使われている可能性を議論したい。また,自発神経活動の時間構造の機能的意義の理解に向けた将来発展的な方法論の開発の必要性についても考察したい。

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