比較生理生化学
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発表要旨
総説
  • 永田 晋治, 清家 瞳
    原稿種別: 総説
    2021 年 38 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

    昆虫の摂食行動も,他の生物と同様に内分泌系により支配されている。ペプチド性因子はその中心的役割を担い,エネルギー恒常性を維持している。栄養分依存的なメカニズムとしては,他の生物と同様,インスリン様ペプチド (ILP)と脂質動員ホルモンAKH(グルカゴンの昆虫におけ る機能的アナログ)により血糖値や体液中の脂質レベルを調節する。その上流や下流では,他のペプチド性因子が機能し,ホルモンリレーを作り,様々な栄養条件に対応できるようになっている。また,摂食行動に重要とされている各組織には,内分泌細胞が存在し,ペプチド性因子と摂食行動との強い関わり合いが予想できる。これらのペプチド性因子は,腸管の蠕動運動を調節することが知られているので,腸管の蠕動運動や口の動きなど摂食行動にかかわる運動はペプチド性因子が直接制御していると考えられる。 つまり,ホルモンによる統合的な調節メカニズムが摂食行動を制御しているのであろう。

  • 篠原 従道, 富岡 憲治
    原稿種別: 総説
    2021 年 38 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

    昆虫の多くは休眠状態で越冬する。ある種の昆虫は幼虫で休眠し越冬するが,その分子機構はほとんど未解明である。われわれは,本州から九州にかけて広く生息し,幼虫越冬する2化性 のタンボコオロギ(Modicogryllus siamensis)を用いて幼虫休眠の機構を解析し,日長と温度が協調して幼虫休眠を制御することを明らかにした。すなわち,日長はJuvenile hormone(JH) 合成系を制御することで羽化までの脱皮回数を決定するが,成長速度は温度によりインスリン/TORシグナル伝達系を介して制御される。この両者の協調作用により,秋から冬にかけての短日と低温が成長速度を低下させて幼虫期を延長し,厳しい冬を乗り越えさせていると考えられる。最近,この日長による発育経過の決定機構にエピジェネティックな制御が関係する可能性が示唆されている。今後,次世代シーケンサーや遺伝子編集技術などを利用することで,このメカニズムの解明が進むと期待される。

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