弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
55 巻 , 2 号
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総説
  • 一関 一行, 高谷 俊一, 福田 幾夫
    2004 年 55 巻 2 号 p. 35-42
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/10/26
    ジャーナル フリー
     肺塞栓症は欧米では3大血管疾患のひとつとされる.その9割以上が下肢の深部静脈血栓症に起因するとされ,積極的な予防が行われているのに対し,本邦では従来比較的稀な疾患とされ,周術期の深部静脈血栓症予防も積極的に行われて来なかった.近年いくつかの報告により,本邦においても肺塞栓症は稀な疾患ではないことが明らかとなり,積極的な予防が必要と考えられる.術前に各症例のリスクファクターから危険度をグレード分けすることにより,術後の発症頻度をある程度予測することができる.深部静脈血栓症の予防に効果のある手段として,ヘパリン,アスピリン,ワーファリン,間欠的空気圧迫法,弾性ストッキングなどが挙げられるが,危険度に応じて効果があるとされる予防手段を組み合わせることにより,深部静脈血栓症および肺塞栓症の発症を低減させることができる.深部静脈血栓症に対する医療としては,まず予防を行うことが最も重要と考えられる.
原著
  • 石田 邦夫, 八木澤 誠, 稲葉 孝志, 神谷 晴夫
    2004 年 55 巻 2 号 p. 43-48
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/10/26
    ジャーナル フリー
     10%ホルマリンまたはカルノア液で固定された旋毛虫感染マウス筋肉のパラフィン切片が,旋毛虫症の免疫診断抗原として利用可能かどうかを検討した.その結果,これらの両固定液で固定された標本のパラフィン切片は,間接蛍光抗体法 (IFA),間接ペルオキシダーゼ酵素抗体法 (IIP),ビオチン化抗体ペルオキシダーゼ標識ビオチンーアビジン反応 (P-BA),ならびに幼虫内沈降反応の抗原として使用可能なことが明らかとなった.
     P-BA法ではカルノア液固定切片を用いた方が,やや良好な成績が得られる傾向を示したが,IFA と IIP では両固定液間に有意な差異は認めなかった.
     今後,この様なパラフィン切片は旋毛虫症の診断ばかりでなく,抗原の局在性の検討や,組織切片上に現れる線虫の虫種同定法としても利用可能であると考えられる.
  • 佐藤 元哉, 大黒 浩, 大黒 幾代, 高野 淑子, 山崎 仁志, 目時 友美, 宮川 靖博, 石川 太, 間宮 和久, 中澤 満
    2004 年 55 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/10/26
    ジャーナル フリー
     カルシウム拮抗剤であるニルバジピンが RCSラットの網膜変性を遅延させるメカニズムを解明するため,ニルバジピン投与後の遺伝子発現の変化を mRNAプロファイリング,免疫組織化学およびウェスタンブロット法を用いて検討した.ニルバジピン投与および非投与の RCSラットの網膜を DNAマイクロアレイ法によるスクリーニングにて解析したところ,1101個の遺伝子中,21個の遺伝子が有意に発現変化しており,この中にはアポトーシスに関連する遺伝子が含まれていた.また,有意に発現増加した遺伝子の中には,神経細胞のアポトーシスへの抑制的作用がある fibroblast growth factor 2 (FGF2) と activity-regulated cytoskeleton-associated protein (Arc) が含まれていた.そこで,FGF2 と Arc の二者に注目し,ニルバジピン投与による両者のタンパクレベルでの発現を確認するため免疫組織染色法およびウェスタンブロット法にて解析したところ,両者の発現が網膜にて増加していることが確認された.本研究の結果から,ニルバジピン投与により内因性の FGF2 および Arc の発現を増加させることが判明し,これらがニルバジピンの視細胞保護効果に関与している可能性が示唆された.
  • 三上 素子, 須藤 俊之, 坂本 十一, 棟方 昭博
    2004 年 55 巻 2 号 p. 57-67
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/10/26
    ジャーナル フリー
     肝細胞癌(HCC)46例 75結節を対象に経静脈性超音波造影剤(Levovist)を用いた Contrast Harmonic Imaging法(CHI)の有用性につき検討した.HCC の内部血流は,Levovist を用いた造影 color doppler法(CD),power doppler法(PD)に比し CHI で高率に描出され,artifact・blooming の出現は CHI で低率であった.CHI の描出率を低下させる因子として結節の存在部位(体表から7cm以上の深部)が重要であった.CHI と造影CT との比較では血流描出能は各々 95%,92% でほぼ同等であったが,CT で造影されなかった6結節中5結節が CHI で血流の観察が可能であった.CHI は無侵襲でベッドサイドで施行可能な検査法であり,肝腫瘍の診断,治療法の決定においては,腫瘍内血流の判定は極めて重要であるため,今後は頻用すべき検査であると考えられた.
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