弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
57 巻 , 2-4 号
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原著
  • 成田 穂積, 武田 祐介, 原田 征行, 高垣 啓一, 遠藤 正彦
    2006 年 57 巻 2-4 号 p. 49-58
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/21
    ジャーナル フリー
     ヒト黄色靭帯の細胞外マトリックスを構成するプロテオグリカン (PG-I, II, III) を CsCl 等密度勾配超遠心の後,DEAE-Sepharose, Sepharose CL-4B および 2B,Octyl-Sepharose CL-4B の各クロマトで分離した.PG-I は分子量350,000 以上の高分子プロテオグリカンで,aggrecan タイプのプロテオグリカンと推定された.そのグリコサミノグリカン糖鎖はコンドロイチン6-硫酸であった.PG-II および PG-III は分子量がそれぞれ 190,000 および 105,000 の低分子プロテオグリカンで,コア蛋白の分子量は 44,000 であった.抗ヒトデコリン抗体に PG-III は反応し,PG-II は反応しなかっ た.PG-II のグリコサミノグリカン糖鎖はデルマタン硫酸とコンドロイチン6-硫酸で,PG-III のグリコサミノグリカン糖鎖はデルマタン硫酸であった.PG-II および PG-III はそれぞれバイグリカンおよびデコリンタイプのプロテオグリカンであった.ヒ卜黄色靭帯の細胞外マトリックスの主たるプロテオグリカンは PG-III であった.
  • 大黒 幾代, 大黒 浩, 大黒 博, 中澤 満
    2006 年 57 巻 2-4 号 p. 59-64
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/21
    ジャーナル フリー
    目的: 緑内障病態における血中エンドセリン-1 (ET-1) の関与の有無を検討する.
    対象と方法: 正常眼圧緑内障 (NTG) 患者 102例,原発開放隅角緑内障 (POAG) 患者 90例および緑内障のない成人 (CONT) 78例を対象に,血中ET-1濃度を enzyme-linked immunosorbent assay法により測定し比較した.また緑内障患者では,病期との関連についても検討した.
    結果: 血中ET-1濃度 (平均値 ± 標準偏差) は NTG, POAG, CONT の順にそれぞれ 3.34 ± 1.27 pg/ml, 3.80 ± 1.40 pg/ml, 4.39 ± 1.34 pg/ml で,NTG (P<0.01), POAG (P<0.05) は CONT群に比し有意に低かった.緑内障病期と血中ET-1濃度には明らかな関連はみられなかった.
    結論: 緑内障患者では血中ET-1濃度が慢性的に低く,緑内障病態に関与している可能性が示唆される.
  • 大黒 浩, 下川 良一, 大黒 幾代, 石川 太, 山崎 仁志, 中澤 満
    2006 年 57 巻 2-4 号 p. 65-70
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/21
    ジャーナル フリー
    目的: 網膜血管閉塞症における足関節上腕血圧比 (ankle-brachial index: ABI) と脈波速度 (pulse wave velocity: PWV) の臨床的意義について報告する.
    対象と方法: 網膜血管閉塞症,高血圧網膜症および糖尿病網膜症患者 106例と年齢・性別をマッチさせた健常対照者 100例を対象に,動脈硬化の指標である ABI および PWV を測定し,病態との関連につき検討した.
    結果: 網膜血管閉塞症を有する患者では加齢により ABI値の減少がみられたが,他の網膜血管疾患患者や対照者ではみられなかった.ABI 値は三眼疾患すべてを合併している患者では他の患者に比べて有意に低かった.また,ABI値が 0.9以下の異常値を示した6例中5例は網膜中心動脈閉塞症を発症または発症していた.一方,PWV値は疾患間で差はみられなかった.
    結論: 今回の結果は ABI値が網膜血管閉塞症特に網膜中心動脈閉塞症の臨床マーカーとなり得ることを最初に示した研究である.
  • 加藤 拓彦, 小山内 隆生, 和田 一丸
    2006 年 57 巻 2-4 号 p. 71-78
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/21
    ジャーナル フリー
     作業療法を行っている統合失調症患者 84例を対象とし,対象者の退院に関する意識と社会生活背景としての結婚および就労状況を明らかにすることを目的に面接調査を行った.その結果,退院を希望しない者は 29%であり,退院希望者に比べ入院生活に満足している者が有意に多く,年齢は有意に高く,入院期間および罹病期間は有意に長かった.退院への不安については,家族,経済や就労に対する不安が多かった.結婚状況では,対象者の 26%に結婚経験があったが,そのうち離婚率は 82%と高率であり,結婚継続の困難さが示された.就労については,就労希望者群では就労希望のない群に比し,退院希望者の占める割合が有意に高かった.これらの入院統合失調症患者に対し有効かつ積極的な作業療法を展開していくためには,以上に示した個々の対象者の社会精神医学的側面についての理解を深めることが重要である.
  • 鈴木 保之, 若山 文規, 近藤 慎浩, 田茂 和歌子, 谷口 哲, 大徳 和之, 皆川 正仁, 福井 康三, 福田 幾夫
    2006 年 57 巻 2-4 号 p. 79-86
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/21
    ジャーナル フリー
    背景: 人工心肺を使用した開心術後の肺障害あるいは ARDS (急性呼吸促迫症候群)は重篤な術後合併症であり,発生頻度は 1 % と低いものの ARDS を発症した場合の死亡率は非常に高いことが知られている.このような症例の急性肺障害は SIRS に伴うものとされ,その病態に好中球の動態及び好中球エラスターゼが深く関与している.
    対象と方法: SIRS に伴う肺障害に対して 2002年より好中球エラスターゼ阻害剤であるシベレスタットナトリウム (エラスポール) が導入された.我々は,人工心肺を使用した大動脈弓部置換術あるいは開心術で術後に生じる肺障害を軽減できるという仮説をたて,今回その効果について後方視的に検討した.エラスポールと投与したのは6例 (1例解離性大動脈瘤の保存的治療例を含む),コントロールとして 2002年以前の解離性大動脈瘤手術例のうち肺障害を認めた症例とした.肺障害の指標として P/F比,術後挿管期間,ICU滞在期間,その他血小板白血球数,CRP の変化を比較した.
    結果: P/F比はエラスポール投与群で術後4日目より改善したのに対してコントロール群では術後2日目に悪化した後改善傾向を認めなかった (p<0.05) (P/F比,肺障害<300, ARDS<200).血小板数はエラスポール群でコントロールに比べて高い数値を示したが統計学的には有意差を認めなかった.その他の指標 (手術成績,術後挿管期間,ICU滞在期間,白血球) は両群間に有意差は認めなかった.
    結語: 特に重症の心大血管手術例に対して術後肺障害を予防する上でエラスポールの有効性が示唆された.
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