背景: 以前我々は,単独では免疫寛容を誘導できない少量の骨髄細胞でも,脾細胞 (SPLCs) と混合移入することでキメリズムを誘導できることを明らかにしてきた.今回,非致死的照射レシピエントマウスにドナー末梢血幹細胞 (PBSCs) を静注し,キメリ ズム及びドナー特異的免疫寛容が得られるか検討した.さらに PBSCs に SPLCs を混合して移入し,脾細胞混合の有効性を検討した.
方法: ドナーBALB/c マウス 10x10⁶ PBSCs を,様々な用量のドナー G-CSF-mobilized SPLCs と混合し,非致死的照射レシピエント C57BL/6 マウスに静注した.3ヶ月後,末梢血及び脾細胞でのキメリズムを FACS で検討した.また混合リンパ球試験及び皮膚移植を施行し,ドナー特異的免疫寛容であるか確認した.
結果: 10x10⁶ PBSCs を 30 X 10⁶ G-CSF-mobilized SPLCs と混合して移入すると,高いレベルのキメリズムが得られ,それらはドナー特異的であった.
結論: 脾細胞混合末梢血幹細胞移植はドナー特異的免疫寛容誘導に有効である.脾細胞混合により,免疫寛容誘導に必要な PBSCs を減らすことができる.
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