弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
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61 巻 , 2-4 号
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原著
  • 李 相潤, 梅田 孝, 高橋 一平, 松坂 方士, 檀上 和真, 岩根 かほり, 岩崎 宏貴, 中路 重之
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 87-96
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     長期間トレーニングを行わなかった大学柔道部新入部員24名を対象として,練習前後の血液生化学データ,好中球機能すなわち活性酸素種 (ROS)産生能および貪食能,profile of mood state (POMS) における変化を測定した.練習後における血糖,総コレステロール,中性脂肪,ヘモグロビン,IgA,IgM,補体 (C3・C4) は練習前と比較して有意に減少したが,尿酸,筋逸脱酵素,好中球数は増加した.好中球機能では,練習前後で ROS産生能は変化せず,貪食能は有意に低下した.さらに,血糖の変化は抑うつ,疲労,TMD の変化と正相関を示し,クレアチンキナーゼの変化は混乱の変化と正相関を示しており,トレーニングは身体的疲労を惹起し,精神的疲労に良好な影響を与えていることが明らかとなった.さらに,本研究で観察された好中球機能の変化は,典型的な好中球機能の代償パターンとは一致せず,これは長期間のトレーニング未施行が原因であると考えられた.
  • 阿部 和弘, 樋口 毅, 水沼 英樹, 柿崎 育子, 遠藤 正彦, 須藤 晋一郎
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 97-103
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     本研究は,閉経後骨粗鬆症婦人の尿中糖鎖を分析する事を目的とした.正常婦人及び骨粗鬆症婦人15人から24時間尿を採取した.対象はすべて60~70歳代で閉経している婦人であった.骨粗鬆症群と非骨粗鬆症群の診断は日本骨粗鬆症学会の診断基準に従った.採取された尿は透析濃縮後,エタノール沈殿を行い,その沈殿物を回収し食塩飽和エタノールと10% cetylpyridinium chloride を加えて遠心分離して生じた沈殿物を回収した.これを粗複合 glycosaminoglycans (以下 GAGs と略す) とした.尿中粗複合GAGs は正常群に比較し骨粗鬆症群の方が有意に回収されていた.この粗複合GAGs をセルロースアセテート膜電気泳動及び high performance liquid chromatography (以下 HPLC と略す) で分析にした.尿中に排泄された GAG はセルロースアセテート膜電気泳動では脱硫化されたコンドロイチン硫酸であること,HPLC の分析では正常群に比較し骨粗鬆症群の尿中GAG の収量は逆に少なくなっており,骨粗鬆症群の尿中粗複合GAG は GAG の他に酸性多糖が含まれることが明らかになった.
  • 大久保 愉一, 松坂 方士, 高橋 一平, 檀上 和真, 中路 重之, 梅田 孝
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 104-113
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     労働者のメンタルヘルスと社会環境学的要因を調査し,メンタルヘルスに及ぼすこれらの影響を調査した.東北,北海道の労働者6310名に家族構成,生活習慣,健康度,職場環境,抑うつ度 (CES-D)をアンケートで聞き取り,CES-D と他の項目の関係を検討した.その結果,「仕事・職業満足度」「仕事裁量度」「仕事士気度」「上司関係満足度」「自己評価点」「健康度」「生活習慣点」「家族・友人満足度」で,低得点群に比較し高得点群でオッズ比が小さく,「悪対処数(問題となるストレス解消行動の数)」ではその逆であった.一方,「勤務時間」「時間外勤務」「仕事量質負担度」では有意な結果は得られなかった.以上より,わが国の労働者は地域社会・家庭のストレスを職場に持ち込み,さらにうつに対する感受性がうつ度に大きく影響していることが示唆された.また,仕事量質の影響は大きくなく,労働者のメンタルヘルス改善を考えた場合,社会精神文化を考慮した職場環境を構築することが重要と考えられた.
  • 川口 英夫, 青木 昌彦, 畑山 佳臣, 小野 修一
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 114-121
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
    【目的】4D-CT を用いて呼吸性移動の線量計算に対する影響を検討した.
    【対象・方法】4D-CT を撮像した14例を対象に平均画像を用いて非対向6門で治療計画を作成した.計画を各呼吸位相の CT に貼り付け MU値を計算し,呼吸位相毎に平均画像の MU値と比較した (MUdiff).また,各門毎の変動を計算した (⊿MU).呼吸性移動をビームの平面方向と垂直方向に分離し,それぞれ⊿MU との相関を検討した.線量計算は Clarkson法 (C法), superposition法 (S法)の2つを用い比較した.
    【結果】MUdiff は C法では吸気相以外で,S法では終末吸気・呼気のみで有意差を認めた.⊿MU は C法では平面上方向・垂直方向に中等度相関を認めたが,S法では垂直方向のみに弱い相関を認めた.
    【結論】C法は呼吸性移動の影響を受けやすく,S法は影響が少なかった.呼吸性移動を加味した線量計算は S法が有用と考えられた.
  • 鄭 衆喜, 三浦 富智, 野坂 大喜, 高松 輝賢, 佐藤 達資
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 122-130
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     近年,デジタルパソロジーの急速な発展に伴い,標本画像の画質に対する関心と要求も高まってきている.いままでのデジタルパソロジーは全てシングル z-Plane の画像を使っているので,画質と画像情報不足の問題が浮上してきた.本論文では,まず新しい画像フォーカス合成のアルゴリズムを提案し,続いて,細胞診標本画像結果を示し,最後に,画像処理と病理診断の観点から画像結果に対して評価を行い,本アルゴリズムの有効性を検証した
  • 沼澤 さとみ, 松坂 方士, 岩根 かほり, 井上 亮, 檀上 和真, 高橋 一平, 梅田 孝, 中路 重之
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 131-137
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     動脈硬化の危険因子の一つに肥満があげられるが,女性において動脈硬化の指標である上腕・足首脈波伝播速度 (baPWV) と各種の肥満指標を比較した報告は少ない.このため,本研究はこれらを年代毎に検討した.対象は平成18・19年度岩木健康増進プロジェクトに参加した女性655人であり,既往歴,喫煙・飲酒状況,運動習慣,腹囲,ウエストヒップ比 (WHR),BMI,体脂肪率,baPWV を調査とした.統計学的解析は,baPWV を従属変数,その他を独立変数として4つの肥満指標別に重回帰分析を行った.20-39歳では BMI,体脂肪率,腹囲,40-59歳では全部の肥満指標 (BMI,体脂肪率,腹囲,WHR) が baPWV と正の相関を示した.しかし,60歳以上では,WHR (腹囲ではなく) は PWV と正の相関を示したが,BMI が baPWV と負の相関を示し,他の2つの年代とは反対の傾向であった.これはこの群で生活習慣病や加齢によって体重が次第に減少した者の存在の影響と推測された.したがって,動脈硬化との関連においては全年代で腹部肥満が重要であることが確認されたが,BMI (全身肥満) の重要度は年代によって異なることが示唆された.また,腹囲と WHR の意義が異なることが示唆された.
  • 山居 聖典, 梅田 孝, 松坂 方士, 檀上 和真, 高橋 一平, 津谷 亮佑, 長谷部 達也, 中路 重之
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 138-149
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     本研究では運動負荷時におけるビタミンCサプリメントの好中球機能に対する影響を検討した.22人の男子柔道選手を対象として,無作為に VC群 (毎日1,500 mg のビタミンCサプリメントを摂取する群) と対照群に割付けた.一週間の強化合宿前後での2時間の練習前後における好中球機能,すなわち活性酸素種 (ROS)産生能,貪食能 (PA) および血清オプソニン化活性 (SOA) を測定した.両群において強化合宿前の血清ビタミンC濃度に差はみられなかったが,合宿後練習前での血清ビタミンC濃度は対照群と比較してVC 群が高かった.好中球機能では,両群とも合宿前後では SOA と ROS産生能の上昇や PA の低下といった一過性の運動負荷後として典型的な変化を認めたが,両群間で有意差を認めなかった.したがって,ビタミンCサプリメントの単独摂取では,好中球機能の変化には有意な影響を及ぼさないことが明らかとなった.
  • 丸山 将輝, 小田桐 弘毅, 池永 照史郎一期, 野田頭 達也, 佐藤 利行, 袴田 健一, 棟方 博文
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 150-158
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     HER2プロモーターを用いて,Cre/loxP システムを利用したアデノウィルス二重感染法による自殺遺伝子導入を計画し,治療効果を検討した.胃癌細胞株 MKN-7 で,同種株 MKN-28 よりも HER2蛋白の発現が大であった.次に,HER2 発現腫瘍細胞特異的に Cre を発現する AxHER2NCre 及び Cre 存在下に自殺遺伝子 Cytosine deaminase (CD) を発現する AxCALNCD の二つのアデノウィルスベクターを作製した.各細胞に,ベクターを二重感染させた群 (誘導群) ではAxCALNCD のみを感染させた群よりも CD mRNA 及び CD蛋白の発現量が大であった.5-fluorocytosine (5-FC) をプロドラッグとした抗腫瘍効果を検討したところ,各細胞において濃度依存的に細胞増殖抑制効果が認められ,HER2高発現株である MKN-7 では MKN-28 よりも強い抑制効果を認めた.本方法は,他の HER2発現腫瘍細胞においても適応できるものと考えられた.
症例研究
  • 川口 陽子, 橋場 英二, 北山 眞任, 廣田 和美
    2011 年 61 巻 2-4 号 p. 159-162
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/08/10
    ジャーナル フリー
     大量出血を呈した子宮破裂合併帝王切開術で回収式自己血が有用であった1例を報告する.患者は帝王切開既往の30才.妊娠29週で突然の腹痛・血圧低下・胎児仮死を認め緊急帝王切開となった.麻酔はサイオペンタール・サクシンで導入し,胎児娩出後はプロポフォール・フェンタニル・ケタミンで維持した.執刀後子宮破裂と診断され,胎盤娩出後も出血は持続しすぐに輸血血液不足に陥り追加血液を要請した.追加血到着までに 10000 ml 以上の出血を認め,回収式自己血輸血を施行した.総出血量は 20190 g で大量の輸血を必要とした.帝王切開における回収式自己血は羊水塞栓の点から懸念されていたが,安全性や有用性について多数の報告がある.稀ではあるが帝王切開では生命を脅かすような大量出血が見られることがあり,大量輸血を要するが血液が迅速に十分に手に入らないこともある.回収式自己血は帝王切開の際にも血液供給の一手段として積極的に考慮されるべきと思われる.
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