弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
63 巻 , 2-4 号
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原著
  • 伊藤 治幸, 高橋 一平, 松坂 方士, 李 相潤, 板井 一好, 福井 真司, 浜田 菜穂子, 齋藤 百合子, 梅田 孝, 中路 重之
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 85-95
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
     近年,必須微量元素の欠乏が酸化ストレスを介して生活習慣病や老化に影響を与えている可能性が指摘されている.そこで,本研究では,地域一般住民 606名 (男性225名,女性381名) を対象として,生理的な濃度における生体内必須微量元素と好中球の平常時活性酸素種産生量 (Basal ROS産生量) の関係について疫学的に調査・検討した.その結果,男女共に,Se の血中濃度が高い人ほど好中球の Basal ROS産生量が少ない傾向がみられた.一方,Cu,Zn,Fe については好中球 Basal ROS産生量と関連はみられなかった.したがって,生理的な濃度範囲内であっても Se は好中球の ROS産生に対して抑制効果を示し,好中球による酸化ストレスを抑えている可能性が示唆された.一方,Cu,Zn,Fe については,生理的な濃度範囲内であれば好中球の ROS産生量に影響を与えない可能性が示唆された.
  • 工藤 藤美, 西口 直樹, 伊藤 京子, 中野 学, 伊藤 巧一
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 96-104
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
     P2Y14 のリガンドである UDPG は炎症時に細胞内から放出され,免疫反応を制御することが知られている.本研究では,マウス免疫細胞における P2Y14発現を詳細に解析する為,モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーを行った.その結果,P2Y14 は T細胞,B細胞,単球,顆粒球,F4/80⁺ CD11bhighマクロファージに発現し,腹膜炎が収束するにつれてマクロファージ上の P2Y14発現は低下した.炎症収束期において,腹腔マクロファージは炎症促進的に働く F4/80⁺ CD11bhigh から,炎症抑制的に働く F4/80⁺ CD11blow へと変化することが知られている.腹膜炎モデルマウスへの UDPG腹腔内投与により,F4/80⁺ CD11blow マクロファージの増加が認められたことからも,UDPG がマクロファージに発現する P2Y14 を介して炎症の収束に関与することが示唆される.
  • 倉内 静香, 高橋 一平, 松坂 方士, 岩根 かほり, 檀上 和真, 挟戸尾 真梨子, 浜野 学, 古川 照美, 梅田 孝, 中路 重之
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 105-115
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori が感染した胃粘膜では,慢性炎症が引き起こされ,萎縮性胃炎 (AG) となり,最終的に胃がんに至る.一方,胃がんの発症に対して,Selenium (Se) は抑制効果がある可能性が指摘されている.そこで,一般住民を対象に,H. pylori 感染および AG と血清Se濃度の関連について調査・検討した.
     2005年岩木健康増進プロジェクト・プロジェクト健診を受診した728名 (男性252名,女性476名) を対象とした.測定項目は H. pylori 便中抗原価と血清抗体価,AG判定として血清ペプシノゲン (PG) I と PG II,血清Se濃度とした.
     血清Se濃度は,H. pylori 感染の影響は受けず,AG により低下する可能性が示唆された.また,PG I 濃度が低下すると,血清Se濃度も低下する傾向がみられた.これらの結果から,PG I 低下による Se の消化吸収能の障害が胃がん発症過程における Se 低下の機序であることが示唆された.
  • 今 昭人, 丹藤 雄介, 柳町 幸, 田中 光, 松橋 有紀, 松本 敦史, 佐藤 江里, 近澤 真司, 須田 俊宏, 中村 光男
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 116-126
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
     我々は CGMS (Continuous Glucose Monitoring System) を用いて病態の異なる糖尿病の特徴 (インスリン抵抗性を含む) について,特に膵性糖尿病を中心に検討したので報告する.当科通院中の膵性糖尿患者11名, 2型糖尿病患者37名,1型糖尿病患者11名の 59症例について CGMS から得られたデータといくつかのインスリン抵抗性評価指標を求めそれらの比較・相関の統計学的な検討を行った.CGMS から得られた Standard deviation (SDCGMS),インスリン抵抗性指標として求めた High molecular weight (HMW) adiponectin (Ad) は血糖変動,インスリン抵抗性を評価する因子として強い影響をもつ因子であった.膵性糖尿病患者の血糖変動は1型糖尿病患者と同程度に大きかった.またインスリン抵抗性も1型糖尿病と同程度であった.膵性糖尿病患者の CGMS から得られたデータは血糖変動もインスリン抵抗性も評価できるものであった.また HMW-Ad も膵性糖尿病患者のインスリン抵抗性評価指標として有用だと考えられた.
  • 近藤 潤, 佐藤 冬樹, 呉 雲燕, 清野 浩子, 諸橋 聡子, 鬼島 宏
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 127-135
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
     細胞接着因子 claudin は,タイトジャンクションを形成し,細胞同士の接着やシグナル伝達などに関連している.しかし,膵癌における claudin の機能は未だ十分に解明されていない.本研究では,ヒト膵癌細胞 PANC-1 と MIA PaCa-2 において clauidn-1 と浸潤性との関連性を解析した.Claudin-1 発現を siRNA により抑制した細胞では,細胞膜に分布する claudin が減少し,マトリゲルを浸潤する細胞数が増加した.また,claudin-1 発現を抑制した細胞では,β-catenin, E-cadherin, α-smooth muscle actin, Bcl-2, Bax の発現に変化はなかった.さらに,4型コラーゲン存在下と未処理の場合の細胞増殖能を比較したところ,両者に有意な差は得られなかった.以上より,claudin-1 の発現は細胞増殖能に変化を与えることなく,癌細胞の浸潤性増殖に重要な役割を担っていることが示唆された.
  • 鳴海 俊治, 村上 礼一, 畠山 真吾, 藤田 雄, 古家 琢也, 米山 高広, 工藤 茂将, 神村 典孝, 盛 和行, 嶋田 美智子, 中 ...
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 136-142
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
    【緒言】腎移植は慢性腎不全に対する最終的な治療である.2006年に弘前大学泌尿器科,循環器・呼吸器・腎臓内科,および消化器外科による弘前腎移植ユニットが設立され腎移植が開始された.これまでの成績と将来の展望について述べる.
    【対象と方法】2006年6月からの生体腎31例,献腎5例を対象とした.免疫抑制剤は抗CD25抗体を用いた導入による3剤併用にて行った.
    【結果】男性25人,女性11人で平均年齢は41.8歳であった. 9症例が血液型不適合移植で,献腎移植は鷹揚郷病院で行った.平均観察期間は27.6ヶ月.急性拒絶反応は8.3%で生じた.サイトメガロウイルス血症は16.7%に見られたが侵襲性病変には至らなかった.全症例が生存中で1,3,5 年グラフト生着率はそれぞれ100%,94.7%,94.7%であった.
  • 阿部 由紀子, 胡 東良, 重茂 克彦, 福田 幾夫, 中根 明夫
    2012 年 63 巻 2-4 号 p. 143-153
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/13
    ジャーナル フリー
     コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) は,臨床上重要な感染症の原因となりうる.本研究では,SCCmec およびスーパー抗原毒素遺伝子を検出するマルチプレックスPCR法を確立し,79株の臨床分離CNS について SCCmec およびスーパー抗原毒素遺伝子の型別と薬剤耐性プロフィールを検討した.そのうち,69.6% (55株) から1 種類以上のSCCmec が検出され,型別では SCCmecⅢが最も多く 36.7%であり,次に多い Ⅳa が 20.3%,Ⅱ が 19.0%,Ⅴ が 16.5%であった.SCCmec型別と薬剤耐性プロフィールとの相関性を調べた結果,SCCmecⅠまたは Ⅳa の保有株はクリンダマイシンとゲンタマイシンに対し強い抵抗性を示し,SCCmecⅡはテイコプラニン,ⅢまたはⅤはクリンダマイシンに対し強い抵抗性を示した.しかし,これらの菌株からスーパー抗原毒素遺伝子は検出されなかった.以上の結果からCNS 臨床分離株は SCCmec 保有率が高く,SCCmec型と特定の薬剤耐性との関連が示唆された.
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