弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
63 巻 , 1 号
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原著
  • 嘉山 恵子
    2012 年 63 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
    【目的】我が国の臓器獲得移植コーディネーター (Certified Procurement Transplant Coordinator:CPTC) の現状・実態と問題点を把握し,改善点について検討することを目的とした.
    【対象と方法】回答が得られた現職の CPTC として活動している者35名とかつて CPTC として活動していた者7名,47都道府県の臓器移植事業担当者を研究対象者とし,質問紙による調査をおこなった.
    【結果】現職の CPTC は「雇用体制への不安」,「臓器提供数の地域格差による経験不足」を感じ,「教育体制の充実」を求めていた.かつて CPTC として活動していた者の辞職理由も同様であった.臓器移植事業担当者は,臓器移植対策事業を「評価していない」と回答し,予算獲得のための説得材料となる評価基準はみられなかった.
    【結論】CPTC の統一した身分保障を基盤とし,地域の現状に応じた教育体制の構築が必要であると考えられた.
  • 中村 邦彦, 三國谷 恵, 高梨 信吾, 林 彰仁, 森本 武史, 當麻 影章, 傳法谷 純一, 奥村 謙
    2012 年 63 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
    【背景】気管支肺胞洗浄 (BAL) はびまん性肺疾患の診断に有用だが侵襲的である.呼気凝縮液 (EBC) は非侵襲的に採取できる.
    【目的】EBC,気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の炎症性分子を比較検討し,EBC の有用性を明らかにする.
    【方法】サルコイドーシスを疑い BAL を行った16名から EBC を採取した.EBC,BALF中の炎症性分子レベルをプロテインアレイで測定した.
    【結果】BALF中の6 種,EBC中の13種の炎症性分子が BALF中リンパ球分画 (%Lym) と有意に相関した.16種の炎症性分子が EBC,BALF間で有意に相関した.その内 M-CSF,RANTES,TNF-α,sTNF-RⅡは EBC中,BALF中と %Lym と有意に相関した.
    【結論】プロテインアレイにより EBC,BALF中の炎症性分子を高感度に測定し網羅的に解析することができた.EBC の分析は BAL と同等の有用性を有する可能性がある.
  • 西川 陽平, 松﨑 康司, 木村 一之, 北村 英夫, 中野 創, 今泉 忠淳, 佐藤 敬, 澤村 大輔
    2012 年 63 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
     Retinoic acid-inducible gene-I (RIG-I) はウイルスの二本鎖RNA を認識すると1型interferon (IFN) など多様な遺伝子の発現を誘導し,抗ウイルス作用を惹起する. 1型IFN である IFN-β はメラノーマにおける標準的な治療として有効性が確立されている.今回我々は,培養ヒトメラノーマ細胞を用いて,IFN-β 及び種々のサイトカインで刺激した際の RIG-I発現および細胞増殖へ与える影響ついて検討した.各種培養ヒトメラノーマ細胞を IFN-β で刺激すると,多くの培養細胞では RIG-I発現が増強したが,唯一 MeWo において RIG-I発現に変化がみられなかった.さらに,IFN-β 添加において RIG-I発現能をもつ 501mel では細胞増殖が抑制されたが,MeWo の細胞増殖能は不変であった.そこで,RIG-I 発現ベクターを MeWo に導入し,細胞増殖を検討した.その結果,MeWo 細胞の増殖は IFN-β により抑制され,RIG-I が IFN-β による細胞増殖抑制に重要な役割を担っていることが示唆された.このことよりヒトメラノーマ細胞には RIG-I タンパク発現能をもたない群が存在すること,並びにメラノーマ組織別の RIG-I発現レベルが,それをもつ患者のメラノーマに対してIFN-β がどのくらい効果をもつか決定する可能性が示唆された.
  • 小枝 周平, 高橋 一平, 梅田 孝, 松坂 方士, 澄川 幸志, 古川 照美, 平川 裕一, 上谷 英史, 戸塚 学, 中路 重之
    2012 年 63 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は10代前半の体格,体組成と生活習慣が骨密度に及ぼす影響について縦断的に調査・検討することである.対象は岩木健康増進プロジェクト小中学生健康調査において10歳時および13歳時の両方で調査を受けた146名 (男子73名,女子73名) である.測定項目は,骨密度と body mass index (BMI),体脂肪率,筋肉指数,生活習慣とした.本調査の結果,男子では10歳から13歳までの間に運動時間,筋肉指数,BMI が増加した者ほど骨密度が高くなる傾向がみられた.一方,女子では運動時間,筋肉指数が増加した者ほど骨密度が高くなる傾向がみられた.このことより,男女共通して運動時間と筋肉指数の増加は10代前半の骨密度増加因子と考えられた.一方,BMI に関しては男子でのみ骨密度増加因子であった.この性差は,10代前半のBMI 変化が男子では主に筋肉量,女子では主に脂肪量の変化を反映するためと考えられた.すなわち,10代前半の子どもの骨密度増加には,運動時間を増やし,筋肉量を増加させることが重要であると考えられた.
  • 澄川 幸志, 高橋 一平, 松坂 方士, 檀上 和真, 小枝 周平, 平川 裕一, 古川 照美, 上谷 英史, 梅田 孝, 中路 重之
    2012 年 63 巻 1 号 p. 38-47
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
     骨粗鬆症の予防には,骨密度の維持が重要であり,骨密度低下のリスク要因を知る必要がある.骨密度は,閉経や対象者の体格や筋肉量,さらには生活習慣の影響をうけるなど一つの因子で説明できるものでもない.そこで,本研究では一般女性を対象として,閉経後女性の骨密度の与える影響について多面的に検討した.対象は一般成人女性 756名.対象者を閉経前,閉経後15年まで,閉経後16年以上に区分した.調査項目は,生活習慣,生殖歴,骨密度,身体測定である.その結果,閉経前は,全身筋肉指数,BMI (body mass index),体脂肪率が高く,運動頻度が多く,分娩回数が少ない者ほど骨密度が高かった.閉経後15年までは,全身および下肢筋肉指数,BMI,体脂肪率が高く,閉経後年数が短い者,分娩回数が少ないものほど骨密度が高かった.閉経後16年以上は,全身および下肢筋肉指数,BMI が高い者ほど骨密度が高かった.以上のことより,閉経後女性の骨密度は閉経後年数により受けるリスクが異なることが示され,これらの因子を考慮した骨密度減少対策が求められると考えられた.
  • 飯野 勢, 下山 克, 小山 隆男, 千葉 大輔, 梅田 孝, 高橋 一平, 松坂 方士, 岩根 かほり, 福田 眞作
    2012 年 63 巻 1 号 p. 48-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori 感染高齢者の多くは萎縮性胃炎が高度となり,感染菌量が減少・消失するが,これまで H. pylori 血清抗体測定法のカットオフ値は年齢の影響が考慮されてこなかった.2005年の青森県岩木地区の健診受診者を対象とし,1950年以前の出生者 594人を高齢群,以降の出生者 400人を若年群について,便中抗原測定法を gold standard とした場合の両群での E-plate の至適カットオフ値を調べた.ROC曲線より,E-plate の至適カットオフ値は高齢群で 12.5 U/ml (感度94.2%,特異度84.0%),若年群では 14.5 U/ml (感度93.4%,特異度89.4%) となり,高齢者で低かった.高齢群では E-plate の偽陽性の頻度も高かった (P < 0.001).E-plate のカットオフ値は対象者の年齢も考慮して設定すべきである.
  • 岩間 孝暢, 檀上 和真, 松坂 方士, 高橋 一平, 岩崎 宏貴, 渡邉 清誉, 大久保 礼由, 高橋 和幸, 梅田 孝, 中路 重之
    2012 年 63 巻 1 号 p. 55-65
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー
     上腕-足首間脈波伝播速度 (baPWV) と動脈硬化関連因子との関連を弘前市岩木地区在住の一般住民において検討した.対象は平成17~21年に岩木健康増進プロジェクト・プロジェクト健診を受診した1,730名として,生活習慣,血液生化学検査,baPWV を測定した.対象者を男女および若年群,中年群,高齢群に区分し,baPWV を従属変数,動脈硬化関連因子を独立変数として重回帰分析を行った.その結果,若年男性群では baPWV と喫煙本数が有意に正の相関を示した.高齢男性群では baPWV と BMI が負の相関を示した.若年女性群では baPWV と空腹時血糖,中性脂肪が正の相関を示し,運動頻度が有意に負の相関を示した.中年および高齢女性群では,baPWV と BMI が負の相関を示した.以上より,若年群において男性では喫煙が動脈硬化の危険因子であり,女性では運動習慣が予防因子であることが明らかとなった.
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