弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
64 巻 , 1 号
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原著
  • 渋谷 剛一, 対馬 史泰, 掛端 伸也, 三浦 弘行, 小野 修一, 清野 浩子, 角田 晃久, 徳田 俊英, 豊木 嘉一, 袴田 健一, ...
    2013 年 64 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
    目的:胆道癌と大腸癌肝転移に対する大量肝切除後残存予定肝 (FLR) の肥大を目的に,微線維コラーゲン (MFC) を用いた術前門脈塞栓術 (PVE) について有用性と安全性について検討した.
    対象と方法:MFC を用い,術前門脈塞栓を施行した胆道癌と大腸直腸癌肝転移の連続35症例 (男:女=29:6,平均64歳,胆管癌:肝内胆管癌:胆嚢癌:肝転移=20:2:5:8,1例は術後黄色肉芽腫性胆嚢炎と確定,のべアプローチ同側:対側=35:1) の全肝容量 (TLV),FLR の変化,肥大率,合併症について後方視的に検討した.
    結果:全例で成功し,FLRは前後で 434cm³ から 524cm³,標準化FLR の TLV比は 37.9%から 46.1%に増加した.平均標準FLR増加率は 8.2%,肥大率は 23%であった.求心性選択塞栓group は標準FLR増加率が 9.5%,肥大率は 27%と優れていた.重大な合併症は認めなかった.
    結論:胆道癌,大腸癌肝転移症例に対するMFC による術前門脈塞栓術は安全で十分な肥大が得られ,有用である.
  • 小山内 暢, 齋藤 陽子, 大湯 和彦, 石田 純一, 佐藤 光栄, 佐々木 泰輔
    2013 年 64 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     冠状動脈CT における低電圧撮影法の画質や被曝線量を模擬動態ファントム実験で検討した.球体,チューブで心臓と冠状動脈を模し,各内腔を希釈造影剤で満たした.管電圧:120 (通常), 100, 80kV,管電流:300-400mA で撮影し, CT値,ノイズを計測してコントラスト比 (CNR) を算出した.視覚評価および被曝線量の評価も行った.管電圧低下に伴いノイズが増加したが,チューブ内腔のCT 値も上昇した.CNR は 120kV と 100kV で同等であったが 80kV では低下した.視覚評価でも同様の傾向だった.ソフトプラークの描出に関する検討も行い,120kV と 100kV で画質は同等であった.被曝線量は 120kV と比較して 100kV では約60%,80kV では約30%に減少した.管電圧 100kV の撮影では画質の低下なしに被曝低減が可能で,冠状動脈CT における低電圧撮影の有用性が示唆された.
  • 坂本 勇一, 成田 浩司, 中根 明夫
    2013 年 64 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     肥満体における脂肪組織ではinterleukin-1β (IL-1β) を含む炎症性サイトカインが関与した慢性炎症状態にある.一方,IL-1β は黄色ブドウ球菌感染に対する宿主防御に重要な役割を果たす.本研究では高脂肪食を摂取した非糖尿病性肥満マウス (HFD) を用いて黄色ブドウ球菌皮下感染に対する宿主感染防御機構をIL-1β に焦点を当て検討した.黄色ブドウ球菌皮下感染後の HFD皮膚生菌数は普通食摂取マウス (ND) と比べ増加した.ホルマリン処理黄色ブドウ球菌と ATP刺激による HFD皮下脂肪由来マクロファージの IL-1β産生,NLRP3 mRNA 発現およびカスパーゼ‐1の活性化は ND皮下脂肪由来マクロファージと比べ低下していた.これらの結果から,肥満による皮下脂肪由来マクロファージの IL-1β産生の低下は,黄色ブドウ球菌皮膚感染防御能の低下に関与することが示唆された.
  • 内山 道子, 板垣 史郎, 金澤 佐知子, 細井 一広, 照井 一史, 下山 律子, 早狩 誠
    2013 年 64 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     近年,高血圧治療標的アンジオテンシン変換酵素 (ACE) は脳AT4 受容体を介して記憶保持に関与していること,ならびに向精神病薬誘発性誤嚥性肺炎に関与している神経ペプチド,サブスタンスP (SP) の分解に関与している可能性が報告された.本研究では,栄養・機能成分の摂取経路である食事が認知症患者の QOL向上に寄与する可能性を有すること,カボチャが ACE阻害成分を豊富に含有することの2点を踏まえ,カボチャの記憶保持増強効果ならびに SP分解抑制効果について基礎的検討を行った.カボチャ40%を含む飼料を投与したラットでは,記憶保持亢進効果ならびに脳AT4受容体拮抗物質 LVV-H7発現増加が確認された.一方,ラット血漿中SP濃度はカボチャ摂取により増加せず,またラット血漿中において SP は ACE阻害剤カプトプリルの共存下でも分解を受けたことから,ラット血漿による SP の分解には ACE以外の血漿中酵素が主たる寄与をしている可能性が示唆された.
  • 板垣 史郎, 内山 道子, 金澤 佐知子, 細井 一広, 照井 一史, 下山 律子, 𡈽田 成紀, 上野 伸哉, 早狩 誠
    2013 年 64 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     本研究では,食事が多様な食品機能成分の摂取経路という一面を有し,疾病予防法を構築する上で有用な切り口であることを鑑み,アンジオテンシンI から強力な血圧上昇を有するアンジオテンシンII への変換を司るアンジオテンシン変換酵素 (ACE) を標的として,青森県特産の農産物及び水産物に含まれる ACE阻害物質の探索を行った.青森県特産食材より蒸留水で抽出した抽出液について,ACE阻害活性の評価を行った.ACE阻害活性を示した抽出液から各種カラム分画法にて ACE阻害活性物質を単離・精製し,質量分析法により,ACE阻害成分を同定した.その結果,カボチャ,ニンニク,大豆,大鰐モヤシの抽出液に特に強い ACE阻害活性を見出した.その中から,カボチャを対象として ACE阻害活性成分の特定を試み,分子量303のムギネ酸前駆物質,ニコチアナミンがその機能実体である可能性を強く示唆する結果を得た.
  • 板垣 史郎, 工藤 正純, 新岡 丈典, 内山 道子, 金澤 佐知子, 細井 一広, 照井 一史, 小島 佳也, 保嶋 実, 早狩 誠
    2013 年 64 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     小児バンコマイシン (VCM) 投与設計支援時に散見される,血中濃度予測値と実測値のずれの原因を特定し,予測系の正確度精度向上を図った.VCM投与時に TDM が実施された16歳以下の患者のうち,クレアチニンクリアランス (CLcr) 値が推定可能であった25名を解析対象とした.初回VCM血中濃度ならびに VCMクリアランスを成人母集団パラメータ (A-PPK) および小児母集団パラメータ (P-PPK) を用いて予測し,実測値との差 (残差) を基に予測系の正確度精 度を評価した.また,初回VCM血中濃度について残差と患者背景因子との相関性を評価した.初回VCM血中濃度, VCMクリアランス共に A-PPK使用系の正確度精度が良好であった.A-PPK使用系の初回VCM血中濃度は年齢,体重, 体表面積と有意に相関しており,年齢に関するカットオフ値は6歳と推定された.小児において CLcr が推定できる場合 は, 6歳以上を目安に CLcr が組み込まれている A-PPK を用いることが推奨される.
  • 滝吉 典子, 中野 創, 澤村 大輔
    2013 年 64 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     Papillon-Lefèvre症候群 (PLS) は掌蹠を含む四肢末端の潮紅と過角化,若年性歯周囲炎を特徴とする稀な常染色体劣性遺伝性疾患である.PLS はジペプジルペプチダーゼ I (DPPI) としても知られる酵素カテプシンC (CTSC) をコードするCTSC 遺伝子の変異によって発症する.CTSC はシステインプロテアーゼであり,好中球エラスターゼなどのセリンプロテアーゼを活性化し,骨髄・リンパ球系細胞の炎症・免疫反応に関与する.
     今回我々は,CTSC 遺伝子上にある比較的稀な一塩基多型 (single nucleotide polymorphism: SNP) のひとつである c.1357 A>G (p.I453V) と,PLS における CTSC機能解析を行った.遺伝子型が c.1357A/A である健常人に比し,c.1357A/G の健常人における CTSC酵素活性は50%,さらに c.1357G/G の健常人では10%と段階的に低下することが明らかになった.さらに PLS患者の CTSC酵素活性は1 %以下であり,CTSC酵素活性がほぼ0になることより PLS が発症することがわかった.
  • 田中 充洋, 梅田 孝, 高橋 一平, 笠井 里津子, 松田 基子, 岩根 かほり, 大久保 礼由, 和田 尚子, 岩渕 健輔, 中路 重之
    2013 年 64 巻 1 号 p. 71-83
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー
     大学女子長距離選手17名を対象に,練習開始直前の血糖値が安静時・運動負荷時の好中球機能に及ぼす影響を検討した.練習開始前の血糖値の中央値で低血糖群8名と高血糖群9名の2群に分けた.対象者に2時間15分のトレーニングを実施させ,その前後に,白血球数,好中球数,肝機能項目 (Alanine aminotransferase, ALTなど),好中球活性酸素種 (reactive oxygen species: ROS) 産生能及び貪食能を測定した.その結果,ALT は低血糖群のみで有意に上昇し,その練習前後の変化率は高血糖群に比べ低血糖群で有意に大きかった,また,練習前 (安静時) の ROS産生量が,高血糖群で低血糖群より有意に少なく,練習前後の変化率は有意に大きかった.以上より,低血糖群に比較し,高血糖群では酸化ストレスの影響が小さいく,かつ,運動負荷に対し好中球機能が正常に機能した可能性が示唆された.
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