弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
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64 巻 , 2-4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 松尾 泉, 西沢 義子, 松尾 健志, 鍵谷 昭文
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 103-118
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
    目的:受診行動の実態や年代による特徴,および受診行動に影響を与える要因を明らかにする.
    方法:2010年8月~2012年1月に青森県内の医療機関・健診センターで子宮頸がん検診を受診した20歳以上の女性で同意の得られた対象者に無記名式調査用紙を配布し,対象者の背景・受診実態・健康感を調査した.
    結果:回収した1,287名のうち,すべての項目に回答した1207名 (有効回答率93.4%) を分析した.年齢は20~76 (平均37.2),75%が検診制度を利用し定期的に受診していた.定期受診者の背景は,就業者が有意に多かった(p <0.05).年齢が高くなるほど定期受診者の割合が多かった.20代は初回受診者が有意に多かった (p <0.05).対象者の主観的健康感および内的健康統制感は高かった.受診行動には年代や背景これまでの受診経験が影響していた.
    考察:受診者の背景や年代に応じた支援は,初回受診を促し継続的受診を可能にすると推察された.
  • 蓮井 桂介, 櫻庭 裕丈, 石黒 陽, 平賀 寛人, 福田 眞作
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 119-126
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     関節リウマチ (RA) の治療進歩により多くの症例で臨床的寛解が得られるようになったが,一方で臨床的寛解が維持されていても関節破壊が進行する症例が存在する.そういった潜在的関節炎の制御が画像的寛解であり,関節破壊の進行抑制のための治療目標になると考えられる.
     生物学的製剤 (14例) あるいは非生物学的製剤 (10例) にて治療を行い臨床的寛解が得られ,治療の前後でMRI にて評価を行った RA患者24例に関して,その治療効果について解析を行った.臨床的寛解は DAS28-ESR < 2.6とし,MRI の評価は,SAMIS (Cyteval et al., Radiology 2010) を用い erosion, synovitis, bone edema について解析した.臨床的寛解時,生物学的製剤治療群は,SAMIS 4.6 (synovitis; 1.3, erosion; 2.9, bone edema; 0.5) であった.一方,非生物学的製剤群では,SAMIS 10.5 (synovitis; 2.7, erosion; 6.1, bone edema; 1.7) であった.
     臨床的寛解時,非生物学的製剤群に比べ生物学的製剤投与群の SAMIS, bone edema score 値は有意に低値であった.生物学的製剤治療におけるMRI 画像所見での骨髄浮腫抑制効果及び潜在的関節炎の制御効果が示唆された.
  • 松田 基子, 高橋 一平, 沢田 かほり, 大久保 礼由, 三宅 良輔, 平川 裕一, 上谷 英史, 戸塚 学, 梅田 孝, 中路 重之
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 127-135
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     近年,適度な運動が酸化ストレスを減少させることが報告されている.しかし,そのメカニズムについてはいまだ明らかにされていない.本研究では,酸化ストレスの原因となる好中球の活性酸素種 (ROS) 産生量に週1回, 6ヵ月間の健康実践教室(運動教室と栄養教室)が及ぼす影響について調査した.対象は,岩木健康増進プロジェクトの平成20年度健康実践教室に参加した29名である.この教室の前,中間,後に体組成測定,血液検査,好中球ROS産生を反映する血清オプソニン化活性を測定した.その結果,教室後に体脂肪率,血圧,総コレステロールの低下,HDLコレステロールの上昇がみられ,さらに血清オプソニン化活性も低下していた.すなわち,教室参加は肥満や生活習慣病関連項目を改善させるとともに,酸化ストレスの原因である好中球由来ROSを抑制した可能性が考えられた.
  • 竹石 洋介, 長谷部 達也, 梅田 孝, 高橋 一平, 沢田 かほり, 大久保 礼由, 戸塚 学, 米田 勝郎, 鈴川 一宏, 中路 重之
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 136-143
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     高強度・長時間のトレーニングは身体的疲労の蓄積を来たし,免疫力低下やオーバートレーニング症候群を招くことが知られている.特に持久系競技は身体的疲労の回復に時間がかかり蓄積しやすいことが報告されている.本研究は大学駅伝選手の試合一週間後のコンディションを筋逸脱酵素および血清オプソニン化活性の観点から調査した.大学駅伝選手28名のうち,調査一週間前の試合に出場した11名を試合群とし,残り17名を対照群とした.試合を含む調査前一週間の走行距離・時間は2 群間に差がなかったが,対象群に比べて試合群は筋逸脱酵素値が有意に高く(p<0.05),オプソニン化活性が高かった.結果より,試合群では試合から一週間経過しても筋損傷が完全に回復しておらず,活性酸素種産生が高まった状態であった可能性が示唆された.それゆえ,長距離選手は少なくとも試合後一週間の練習強度・頻度を軽減させ,十分な休養をとることが必要であると考えられた.
  • 野村 忠宏, 梅田 孝, 高橋 一平, 岩根 かほり, 大久保 礼由, 千葉 義信, 三宅 良輔, 小西 裕之, 徳田 糸代, 小松 美穂, ...
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 144-157
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     大学男子柔道選手35名を対象に合宿中にL-グルタミンを摂取させ,筋組織,免疫機能への影響を検討した.対象 者を,無作為にL-グルタミン 6g/日を摂取させる18名 (グルタミン摂取群) とプラセボを摂取させた17名 (対照群) に区分した.7日間の強化合宿を行い,合宿前日と終了翌日に調査した.また,両調査日に2時間の同一の柔道練習を実施し,その直前と直後に,白血球数,筋逸脱酵素等,好中球機能等の測定を行った.対照群でのみ筋逸脱酵素の練習前値は, 合宿前から合宿後にかけて上昇する傾向にあった (CK は p<0.05,その他はすべて p<0.01).一方,合宿前において,両群の好中球の活性酸素種産生能と貪食能の練習による変化率に差はみられなかったが,合宿後には,グルタミン群が対照群より小さい傾向にあった (貪食能のみ p<0.05).以上より,合宿中のグルタミン摂取は,一過性の運動により発現る筋組織の変性・損傷や免疫機能の低下を抑制させる可能性が示唆された.
  • 高杉 かおり, 諸橋 聡子, 羽賀 敏博, 鳥羽 崇仁, 清野 浩子, 呉 雲燕, 鈴木 貴弘, 花畑 憲洋, 佐々木 賀広, 福田 眞作, ...
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 158-169
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     近年,側方伸展型腫瘍 (laterally spreading tumor; LST) 型の早期大腸癌に対する内視鏡的切除術施行が増加してきた.多くの早期大腸癌症例は高分化型腺癌と診断されているが,組織学的異型度や免疫染色の染色性は同一病変の中でも均一でないことが多い.今回我々は LST型の早期大腸癌 61症例について,その組織学的・免疫組織学的特徴について検討した.早期癌の中でも高異型度成分を持つものは有意に粘膜下層浸潤を認めた (P=0.0102).また高異型度成分は粘膜下層浸潤癌の浸潤先進部に多く認められた.p53 および Ki-67 の発現は,深達度にかかわらず高異型度成分に高かった.CDX2 と CD10 の発現は深達度が深い症例ほど高く,また高異型度成分には高い傾向があった.以上の結果より,多くの LST型早期大腸癌では組織学的多様性が認められ,高異型度の成分では細胞増殖マーカーの発現が上昇し,腫瘍悪性化,粘膜下層浸潤と関連していると考えられた.
  • 寺島 真悟, 藤元 晋, 青木 昌彦, 高井 良尋, 細川 洋一郎
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 170-175
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     国立大学法人弘前大学医学部附属病院の On-Board Imager による画像誘導放射線治療を行った症例 61例を対象として,照射部位及び上肢固定具毎におけるセットアップエラーを分析し,planning target volume (PTV)-margin を算出した.セットアップエラーの平均値は 3 mm未満で,臨床的に問題はないと考えられた.TV-margin の最大値は,乳房で 5.9 mm,前立腺で 5.5 mm,骨盤腔で 6.5 mm と算出され,このことより PTV-margin は最大 7 mm に設定するのが妥当である.上肢固定具の比較において,セットアップエラーの平均値を比較すると,その差は 0.3 mm であり,固定精度はほぼ同程度であった.利便性や費用を考慮すると,シェルの使用よりも市販の固定具の導入を検討すべきである.今回,弘前大学医学部附属病院独自の PTV-margin が算出され,今後の治療計画の照射野の基準になると考える.
  • 工藤 久, 八重垣 誠, 高橋 一平, 梅田 孝, 沢田 かほり, 大久保 礼由, 山本 洋祐, 中路 重之
    2014 年 64 巻 2-4 号 p. 176-185
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル フリー
     柔道選手を対象として稽古前後の好中球機能と筋損傷の関係を調査した.
     39人の男子大学柔道選手において,普段の2時間の稽古前後に体組成と生化学指標 (好中球数,好中球機能(活性酸素産生能 (OBA),貪食能 (PA)),筋逸脱酵素 (LDH (乳酸脱水素酵素),アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT)など) を測定した.
     稽古後に筋逸脱酵素は増加し,稽古に伴う筋組織の損傷と変性によると考えられた.また,稽古後に好中球数と OBA は増加し,逆に PA は低下した.一方,OBA の変化量は LDH および AST の変化量と負の相関関係を示し(p<0.01),PA の変化量は LDH,AST の変化量と正の相関関係を示した (p<0.05).
     筋損傷に対する PA の変動 (正の相関) の要因としては,筋損傷に伴う筋肉の断裂片のような生理学的異物に対して好中球の異物反応が亢進した可能性が考えられた.また,筋損傷に対する OBA の変動 (負の相関) の要因としては,好中球の各機能間における補完機構が OBA と PA の間で生じた可能性が考えられた.
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