弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
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65 巻 , 2-4 号
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原著
  • 鈴木 晃子, 長内 智宏, 田中 真実, 遠藤 知秀, 村上 和男, 富田 泰史, 奥村 謙
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 119-127
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    背景と目的:血管内皮細胞は常に虚血関連酸性状態に暴露されるが,それらのケモカイン受容体に及ぼす影響は不明である.本研究では細胞内酸性化物質であるcoupling factor 6 (CF6) のケモカイン受容体調節における役割につい て検討した.
    方法と結果:ヒト臍帯静脈内皮細胞に10⁻⁷M CF6を添加し,24時間後にマイクロアレイ法でケモカイン受容体の遺伝子発現を検討した.CC chemokine receptor 9とCX3C chemokine receptor 1は増加し,CXC chemokine receptor 4 (CXCR4) は減少した.CXCR4 の mRNA および蛋白発現の減少を,リアルタイムPCR と Western Blot法で確認した.ヒト臍帯静脈内皮細胞に CF6 を添加すると apoptosis が惹起された.
    結論:CF6 は血管内皮細胞のケモカイン受容体発現に影響し,apoptosis を誘導する可能性が示唆された.
  • 田中 佳人, 高梨 信吾, 森本 武史, 當麻 景章, 中村 邦彦, 田中 寿志, 奥村 謙
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 128-137
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     小児喘息の多くは寛解することも多いが,成人になり再発する症例もある.弘前大学の学生484名(喘息寛解者群 119名、健常者群365名)を対象に,スパイロメトリー,呼気一酸化窒素濃度 (FeNO) 測定,オシレーション法による呼吸 インピーダンス測定(FOT)を行い,喘息既往者と健常者の肺機能に差があるかどうかを検討した.
     一秒率は喘息寛解者群でわずかであるが有意に低かった.FeNOは喘息寛解者群で有意に高く,度数分布をみると二峰性のピークを示した.FOTでは,喘息寛解者群でX5,Fres,ALXなどの呼吸リアクタンス成分が有意に高かったが, R5,R20などの呼吸抵抗成分は両群間で差を認めなかった.
     本研究によって,喘息寛解者ではスパイロメトリーによるわずかな閉塞障害,FeNOの上昇,呼吸リアクタンスの異 常を認めることが明らかになった.これらの異常が将来の喘息再燃と関係があるかどうか,フォローが必要である.
  • 谷川 涼子, 高橋 一平, 大久保 礼由, 小野 真実, 奥村 俊樹, 石橋 剛士, 竹石 洋介, 中山 真樹, 矢野 智彦, 熊坂 義裕, ...
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 138-146
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     一般住民の呼気中水素濃度と好中球産生活性酸素種量の関係をみることで,酸化ストレスにおける水素の体内で の役割を検討した.対象者は,2007年の岩木健康増進プロジェクトの参加者で,糖尿病,悪性腫瘍,免疫疾患罹患者, 抗生剤,抗がん剤,ホルモン剤など炎症,免疫に関係する薬物と便秘薬服用者,欠損値のあるものを対象から除外した 656名 (男性252名,女性404名) であった.呼気中水素濃度と異物刺激時と刺激前の好中球活性酸素種産生量を測定した.その結果,60歳未満の男性では,呼気水素濃度と異物投与時の活性酸素種産生量に正の相関関係がみられた (p<0.05) が,60歳以上男性と女性ではそのような関係は認めなかった.以上より,抗酸化物質である水素は,好中球の産生する活性酸素種産生量の増加に対して,酸化ストレスに対する防御機構として反応的に増加した可能性が推測された.
  • 成田 紀彦, 松宮 朋穂, 今 敬生, 早狩 亮, 伊藤 良平, 久保田 耕世, 榊 宏剛, 古舘 健, 吉田 秀見, 今泉 忠淳, 小林 ...
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 147-155
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     CXC ケモカインファミリーであるGRO-α は,好中球走化性因子として知られている他,腫瘍増殖能や血管新生能を有することが明らかとなっている.これまでに口腔粘膜上皮のGRO-α 産生は報告されていたが,GRO-α の口腔癌における役割は不明である.そこで本研究では口腔癌におけるGRO-α を介した血管新生作用や腫瘍増殖効果について実験的に検討した. 3 種類の口腔扁平上皮癌由来細胞にTNF-α 処理をしたところ,GRO-α の発現量は細胞間で大きく異なっており,TNF-α 依存的なGRO-α 産生は個々の腫瘍細胞の性質に依存することが示唆された.GRO-α を最も多く産生したKOSC-2 (舌癌由来細胞株) のTNF-α 処理後の培養上清は,血管内皮細胞の走化性を亢進し,GRO-α 特異的な中和抗体の添加はその亢進を部分的に抑制した.さらに,ヒト組み換え型GRO-α は KOSC-2 の増殖を促進した.これらの結果から,口腔癌においてGRO-α は腫瘍の増悪因子である可能性が示唆された.
  • 澤田 匡宏, 吉田 仁, 廣田 和美
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 156-163
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     Bispectral index (BIS) は片側前頭部の脳波を用い麻酔深度を推測するモニターである.我々は亜急性期の脳梗 塞患者の BIS値が左右差を呈した症例を経験した.今回,脳梗塞既往患者においてプロポフォールを中心とした全身 麻酔中に BISモニターに左右差を示すかどうか,BIS値および 95% spectral edge frequency (SEF) を脳梗塞既往のな い患者と比較した.患者は各群それぞれ25名.主要評価項目は脳梗塞群の手術中の BIS値の左右差とした.脳梗塞の 発症からの時間は,中央値で48ヶ月だった (四分位値,23-96).BIS および SEF は対照群 (P=0.174 および P=0.417) 脳 梗塞群 (P=0.069 および P=0.381) いずれも左右差を認めず,両群の BIS および SEF の左右差もなかった (P=0.271 および P=0.238).慢性期の脳梗塞患者では BIS の左右差はなかった.
  • 細井 一広, 照井 一史, 中川 潤一, 下山 律子, 津山 博匡, 板垣 史郎, 土田 成紀, 早狩 誠
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 164-172
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     Solt-Farber 法にて発現誘導したラット肝前がん病変での cyclophilin B (CyPB) の発現変化について CyPB に対するペプチド抗体を用いて解析した.Diethylnitrosamine (DEN) を腹腔内投与後,2-acetylamino-fluorene (FAA) を経口投 与し部分切除を行った群において,部分切除3週より特異的な腫瘍マーカーである GST-P の強力な発現誘導が認められ,前がん病変の形成を確認した.抗N末端抗体は正常ラットおよび化学発癌を施行した肝臓および精巣に分子量約20 kDaのバンドを認め,そのバンドは CyPB であることが推定された.前がん病変での CyPB の発現は肝切除後1週から上昇し, 6週まで発現量は約2倍であった.また,血清での CyPB の発現は肝での発現から遅れて4週より徐々に上昇し7週で約1.6倍であった.以上から, CyPB は肝癌の腫瘍マーカーの候補の可能性が示唆された.
  • 照井 一史, 川崎 仁司, 細井 一広, 中川 潤一, 板垣 史郎, 津山 博匡, 下山 律子, 袴田 健一, 早狩 誠
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 173-181
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     約10種の腫瘍組織 (10種) について HDRA法による抗がん剤の感受性試験を行った.その結果,5-FU はすべての腫瘍組織に対し陽性を示し,CDDP も 5-FU と同様に多くの腫瘍組織で陽性を示したが,抑制率はやや低下していた.
     術前に 5-FU が投与されていない食道癌群における感受性の抑制率は 71.9 ± 11.6% (n = 6) であり,術前に 5-FU が投与された食道癌群の抑制率に有意な差は認められず,測定した症例では耐性が生じていない可能性が示唆された.その後 S-1 投与患者において,5-FU に感受性を示した群は,陰性群に比べ生存日数の延長が認められた.
     膵癌組織での 5-FU および GEM に対する感受性結果から,5-FU または S-1 が膵癌への薬物療法で有用な薬剤である可能性が示唆された.
     膵癌組織に対する質量分析によるプロファイリングを行った結果,5-FU に対する感受性が陰性の試料に出現が増加するシグナルが,5-FU 無効例のバイオマーカーになる可能性が示唆された.
  • 福井 真司, 梅田 孝, 沢田 かほり, 高橋 一平, 浜野 学, 三宅 良輔, 小山田 和行, 椿原 徹也, 田中 充洋, 須田 芳正, ...
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 182-189
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     サッカーの試合における脱水状況が免疫機能に及ぼす影響について調査・検討した.対象は大学女子サッカー選手15名である.調査は90分間の試合前後に実施した.測定項目は身体組成,筋逸脱酵素,白血球数,好中球機能 (活性酸素種産生能,貪食能) であった.全対象で試合後の有意な体重減少がみられ,体水分の減少が認められた.これより,試合前後の総蛋白濃度変化により2 群に分類し (軽度脱水群と高度脱水群),各測定値を比較した.筋逸脱酵素値は両群ともに試合後有意に上昇していたが,変化率は両群で差がなかった.白血球数は試合後有意に上昇し,その変化率は高度脱水群の方が大きかった.好中球機能は,軽度脱水群では活性酸素種産生能が上昇し,高度脱水群では活性酸素種産生能および貪食能が低下していた.同じ強度の運動をしていても,脱水による血液中の水分喪失が大きい者ほど,好中球機能の低下が引き起こされる可能性が示唆された.
  • 中江 秀幸, 對馬 均
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 190-198
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    目的:在宅パーキンソン患者の身体機能と24時間の活動状況の特徴を健常高齢者との比較から明らかにする.
    対象と方法:在宅パーキンソン患者 (PD群) 10名と健常高齢者 (高齢者群) 10名を対象として,身体機能については関節可動域,下肢筋力,日常生活活動,歩行能力,バランス能力を測定した.一日の活動量については三軸加速度計を用いて24時間の総力積値を測定し,指標とした.同時に行動記録計を用いて24時間の姿勢動態を測定した.
    結果:日常生活活動,歩行速度,バランス能力は高齢者群の方が有意に上回っていた.関節可動域,下肢筋力,歩行率,一日の活動量と姿勢変換回数については両群間に有意差を認めなかった.しかし, 1日の姿勢で立位及び背臥位の占める割合は PD群が有意に高かった.
    結語:PD群では生活場面での動作障害により活動能力は低下するが,1日の活動量は高齢者群と同等であり,関節可動域や下肢筋力は自主トレーニングやディケアの訓練により維持できることが明らかとなった.これらのことから,立位や背臥位からの姿勢変換練習や生活場面の動作生涯の改善を目的とした介入や指導の重要性が示唆された.
  • 矢越 雄太, 工藤 大輔, 豊木 嘉一, 石戸 圭之輔, 木村 憲央, 脇屋 太一, 櫻庭 伸悟, 吉澤 忠司, 坂本 義之, 鬼島 宏, ...
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 199-208
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】脂肪肝は,脂肪肝炎を引き起こし得る主な要因であり,種々のびまん性肝疾患において観察される.今回私達は,体外式超音波を用いた新たな解析手法である,Acoustic Structure Quantification (以下ASQ)法を用いて肝内脂肪量を推定し,肝切除標本の病理組織学的所見と比較検討した.
    【対象と方法】当科において肝切除術が施行された 43症例を対象とし,術前に腹部超音波検査が全例施行され,ASQ法による解析を行った.局所不均一パラメータである Focal disturbance ratio (以下 FD比)を求めた.肝切除標本は,NAFLD活動性スコアに基づいて評価し,FD比との相関を検討した.
    【結果】Steatosisスコア 0 (n=23),1 (n=17),2 (n=3)に対し,FD比の中央値 (range)は,それぞれ 0.157 (0.039-0.410),0.085 (0.021-0.159),0.039 (0.021-0.048) であった.FD比は,Steatosis スコア 0-1間 (p = 0.001) およびgrade 0-2間 (p = 0.007) で有意差を認めた.
    【結語】ASQ法により,脂肪肝の客観的かつ定量的な評価が可能となり,肝障害の早期発見における新たな指標として有用である可能性が示唆された.
  • 松嶋 美正, 對馬 均
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 209-217
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    研究目的:本研究の目的は,手と足の3分間の持続的タッピング運動のばらつきに及ぼす加齢の影響について明らかにすることである.
    対象と方法:若年者群20人と活動的高齢者群20人において,セルフペースで示指と足部のタッピング課題を3分間行った時の,それぞれの運動速度とタッピング間隔のばらつきが比較検討された.
    結果:タッピング速度に加齢の影響は認められなかったが,タッピング間隔のばらつきには加齢による低下が認められた.両群とも,速度とばらつきの相関は認められなかった他,足部課題の速度は示指課題の速度より遅かった.示指課題と足部課題のばらつきの相関が高齢者群において認められた. 3分間の課題時間の後半で運動速度は延長するが,ばらつきの程度に変わりはなかった.
    結語:セルフペースで行なう手足の単関節タッピング運動では,内部リズム形成機構の退行性変化を反映することが示唆された.また臨床的スクリーニングという点で運動速度やばらつきの変化を見極めるためには,1.5分間あれば十分と 思われる.
  • Manabu Murakami, Takayuki Nemoto, Hidetoshi Niwa, Tetsuya Kushikata, K ...
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 218-226
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    Aims: The purpose of the current study was to evaluate the significance of the endothelin system in catecholamine release and synthesis in the adrenal gland.
    Main Methods: Primary cultures of isolated bovine adrenal medullary cells were prepared. Gene expression, intracellular calcium changes, epinephrine release, and other factors were investigated.
    Key findings: Expression of endothelin receptors in the rat adrenal gland was confirmed. Intravenous infusion of endothelin-1 (1.0 nmol) increased blood pressure (systolic and diastolic). Endothelin-1 stimulated intracellular calcium changes, resulting in increased nuclear factor of T cell (NFAT) activity and epinephrine release from cultured adrenal medullary cells. Furthermore, endothelin-1 increased catecholamine synthesis and caused hypertrophic changes in the cell size.
    Significance: Our findings indicate involvement of the endothelin system in the sympathetic regulation of the adrenal medulla.
  • 王 汝南, 金崎 里香, 土岐 力, 照井 君典, 佐々木 伸也, 工藤 耕, 神尾 卓哉, 佐藤 知彦, 池田 史圭, 荒木 亮, 落合 ...
    2014 年 65 巻 2-4 号 p. 227-237
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
     ダウン症児は巨核芽球性白血病 (DS-AMKL) のリスクが高い.DS-AMKL ではほぼ全例でGATA1 遺伝子変異があり,N末端領域を欠く GATA1s だけが発現する.非ダウン症例 (non-DS-AMKL) にはこの変異は稀である.最近我々は,19例中 1例の non-DS-AMKL にインフレーム欠失を見出した.患児は出生時より白血球増多を認め,生 後1ヶ月時に AMKL と診断された.芽球の核型は 46,XY であった.変異確認の際,第3エクソンのスプライシングを起こす別の欠失を認め,両変異は同アレルに座位していた.この変異体(#135)の転写活性化能は60%に減弱していた.完全長GATA1 発現レトロウィルスの導入でDS-AMKL 細胞株KPAM1 の増殖が著しく抑制されたが,GATA1s や #135 では緩やかな抑制だった.これらの結果は #135変異体が non-DS-AMKL 発症に関与していることを示している.
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