植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
18 巻 , 1 号
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  • 本村 浩之, 米倉 浩司, 近藤 錬三
    2010 年 18 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    イネ科植物6 亜科10 連36 属67 種1 亜種3 変種18 品種・栽培変種における泡状細胞珪酸体を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡を用い網羅的に観察した。泡状細胞珪酸体は多面体で6 つの面(上面,下面,2 つの端面および2 つの側面)で構成されていた。端面形状は,非対称形でなんら幾何学的形状を示さないものから,左右対称で,三角形,逆扇形,楕円形,長方形,正方形や円形状などの幾何学的な形状を示すものまであることに加え,端面上面部,端面下面部および端面側面部と下面部の境界付近にも形状の変化があり,端面は他の面と比べて著しい多様性を示した。端面上面部と端面下面部を,その形状の差異に基づき5 つの型(丸みを帯びる,角張る,先太になる,凹む,突起がある)と6 つの型(丸みを帯びる,尖状,平坦,凹部が1 つ,凹部が2 つ,凹部が3 つ)にそれぞれ区別した。泡状細胞珪酸体表面には模様と突起が観察された。模様は,下面表面だけに観察され,その形状の差異に基づき2 つの主要な型(網目と縞)と2 つの亜型(菱形状と格子)に区別した。突起には6 つの型(釘の頭形,台形,棍棒,二股,2 種類のいぼ)を認めた。この研究で提案した形状記載用語と既往の研究で用いられていた記載用語との対応関係を一覧表にまとめ,その異同について論議した。
  • 残存デンプン粒の形態分類をめざして
    渋谷 綾子
    2010 年 18 巻 1 号 p. 13-27
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    残存デンプン分析は,遺跡土壌や遺物の表面からデンプン粒を検出し,過去の植生や人間の植物利用を解明する研究方法である。日本では近年本格的に取り組まれており,遺跡から検出された残存デンプン粒を同定するため,現生標本の作製も進められている。本研究は,残存デンプン分析の世界的な研究動向と日本における研究の実情を把握した上で,旧石器時代から弥生時代に利用されていた植物の種類を同定する上でその基礎となる現生植物のデンプン粒標本の形態を検討し,遺跡間の比較を行うための方法論的な議論を行った。旧石器時代から弥生時代の代表的な可食植物とされる17 種におけるデンプン粒を観察し分析したところ,サトイモ,ヤマノイモ,オニグルミ,ヒエ,イネ,キビ,アワのデンプン粒は他の植物より特徴的な形態をしており,コナラやクヌギなどの堅果類は形態上類似していることが判明した。さらに,デンプン粒の外形と大きさに着目し形態を分類すると,従来の残存デンプン分析でしばしば提示されてきた遺跡内での植物資源の利用モデルに対して,植物種の同定をより厳密に議論する必要があることが判明した。本研究の形態分類法は既存の考古学研究で証明が困難であった複数種類の植物加工を検証する方法として有効であり,現生標本との形態上の比較から残存デンプン粒の植物種を絞りこむことが可能であるため,遺跡での植物性食料の利用活動を検証する手段の1 つとなり得る。
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