植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
20 巻 , 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • ササを指標とした積雪・温量環境の推定
    佐瀬 隆, 細野 衛, 三浦 英樹
    2011 年 20 巻 2 号 p. 57-70
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/06/16
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    北海道北部3 地域(羽幌,サロベツ,頓別)の累積土壌層に含まれる植物珪酸体記録の分析からササの動態を解明し,ササを指標として最終間氷期以降における温量と積雪環境の推定を試みた。羽幌ではササが最終間氷期以降継続して存在したが,サロベツ,頓別では最終氷期においてササが希薄であった。従来の北海道の植物珪酸体記録を合わせると,北海道北部,東部地域では,羽幌などの限られた地域を除き,最終氷期を通じてササが希薄であったことが一般的であると推定される。現在のササの地理的分布から考えると,ササの生育には,厳冬期における50 cm以上の積雪環境と温量指数(WI)17° C・月以上の温量環境が必要である。他の古植生記録にもとづけば,最終氷期における北海道北部,東部地域は,WI:17° C・月以上の温量環境を満たしていたと考えられることから,これらのほとんどの地域では,積雪が50 cm 以下のためにササが希薄になったと考えられた。最終氷期における北海道北部,東部のササの希薄な分布とササの移動速度の遅さから考えると,現在の北海道全域におけるササの稠密な分布を説明するためには,最終氷期中に,羽幌のようなササの避難地となりうる場所が北海道北部,東部地域に散発的に存在し,完新世になって,そのような場所から再び北海道全域にササが拡散したと考えられる。
  • 池田 重人, 志知 幸治, 岡本 透, 大丸 裕武
    2011 年 20 巻 2 号 p. 71-82
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本州北部太平洋側に位置する北上山地の中央部において,山頂尾根部にのみオオシラビソが生育する青松葉山と,亜高山帯針葉樹林が発達している早池峰山の小田越の2 箇所で,オオシラビソ林下の土壌を試料として花粉分析を行い,完新世中期以降の植生変遷を明らかにした。この地域では,完新世中期以降一貫してブナやカンバ類,ナラ類を主体とする落葉広葉樹が優勢であったと考えられた。モミ属の花粉は,両調査地点とも十和田a テフラ降下後の時代になって急増する点で共通していたが,青松葉山ではそれ以前の時代にはほとんど検出されなかったのに対して,小田越では十和田中掫テフラより上位において低率ながら連続して検出された。このことから,小田越では完新世中期にはオオシラビソが周辺に生育していたが,青松葉山では1000 年前頃に定着してから現在までに林分を形成したものと推察した。
  • 鈴木 三男, 小林 和貴
    2011 年 20 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    The material plant of a tinny basket excavated from the San’nai-maruyama site (early Jomon period) of Aomori, Aomori Prefecture, was identified as a stem of a monocotyledon in 1993. On the other hand, a further observation of the basket suggested that the studied material did not derive from the basket. Thus, a newly obtained material of the basket was reexamined anatomically and was shown to be the torn inner bark of a Cupressaceae tree. The original material formerly identified as a monocotyledonous stem was re-identified as a petiole of a fern akin to Arachniodes standishii (Dryopteridaceae). Furthermore, a rope excavated from the Sakuramachi site (middle Jomon period) of Oyabe, Toyama Prefecture, was also made of the same material. These results show that the original sample of the basket was a contamination from sedimentary deposits. This is the first report of a basket made of conifer bark and a rope made of fern petioles in the Jomon period of Japan.
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