植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
4 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 辻 誠一郎
    1996 年 4 巻 2 号 p. 51-54
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    この号は,1995年11月25.26両日,国立歴史民俗博物館において「標本の保存と公開」をテーマに開催した第10回植生史研究会シンポジウムの結果である。ここに収められた総説は,古植物学,植物考古学,動物考古学における標本資料に関するものである。
  • 国立科学博物館での例
    植村 和彦
    1996 年 4 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    国立科学博物館古植物標本は総数24,000点規模のコレクションで,約11,000点の登録標本を含み,論文に使われた多数の標本と385点の基準標本が含まれている。これら標本の整理・登録・保管の実情や情報化の現状を紹介し,今後の問題に触れた。とくに,標本保管では保管上の問題よりも整理して収納するまでに大きな問題があること,比較参照標本を充実し化石標本に準じた保管・利用の必要性,およびパソコンを利用した標本コレクションの小規模データベースの構築とその所在情報の公開が望まれることを述べた。また,植物化石データの活用例として,国際古植物学機構のデータベースPlantFossilRecordを紹介した。
  • 鈴木 三男
    1996 年 4 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    遺跡出土木材から得られる情報に,出土木材の外部形態,樹種,年輪構造,含有成分などがある。筆者は植物学的な立場からこれらのうち,樹種を中心に年輪も解析し,古植生,古植物相,木製品への樹種選択,木材伐採年代と時期などを研究している。これらの研究成果は再現性が保障される必要があり,そのために樹種の同定および年輪解析に用いた試料の保存と公開を行っている。さらに,これらのデータをコンピュータを用いたデータベースとし,研究のための共通の基盤とすることを提案した。
  • 南木 睦彦
    1996 年 4 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    大型植物遺体を試料とする研究にあたっては,再検討のために標本を保存しなくてはならない。保存した標本の蓄積により新たな研究の展開が生まれる。大型植物遺体の研究は遺体群の記載から始まることが多いので,標本番号は,まず大型植物遺体群に打たれ,分類群番号や個体番号は必要に応じて枝番として打たれる。アルコール液浸でピンに保存すると,試料そのものには番号が打てず混乱する可能性があるので,プレパラートに封入する手法もあるが,標本を取り出すことが難しく,一長一短である。充実した比較参照標本も同定のために不可欠である。証拠標本は,他の研究者が検討できるように情報を公開すると共に,適切な場所で保管する必要がある。
  • 千野 裕道
    1996 年 4 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    考古学者は遺跡から得られた植物遺体標本の保管を自然科学者に任せている。埋蔵文化財の調査機関では考古学における主たる研究材料である土器・石器だけでも許容量を越えているので,植物遺体の収蔵は大変難しい。
  • その現状と問題点
    樋泉 岳二
    1996 年 4 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    日本考古学は歴史学の一分野として発達してきた。このため,考古遺物としての動植物遺体は人工遺物より軽視される傾向にある。動物考古学者自身でさえも,標本の扱いは生物科学に比べてルーズであり,管理・公開への対応は著しく立ち後れている。現生標本は,同定根拠を示す証拠物であると同時に,正確な同定法を確立していくための比較骨学資料でもある。これらを恒久的に維持・活用していくためには,標本の登録・保管と記載法に関わる一貫した管理システムを構築することが必要だ。一方,近年の貝塚・低湿地遺跡発掘の増加・大規模化の結果,出土遺体は膨大な量に達しており,保管スペースの不足や整理・収蔵にかかる手間・経費といった問題が深刻化してきた。これらは「標本」に対する社会全体の認識とも関連する問題であり,社会的コンセンサスなくして抜本的な解決は望めない。遺体標本から描き出される人間と環境の交渉史について,社会一般にわかりやすくアピールし,標本の持つ重要性を広く理解してもらう努力が必要である。
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