HISPANICA / HISPÁNICA
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2015 巻, 59 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論文
  • 高澤 美由紀
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 1-14
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    本研究は、スペイン語の語順(SVO/VOS)と2つの焦点タイプ(広焦点/対照焦点)の音声的実現の関係を調べることを目的とした。発話において対象焦点を音声的に実現するために関与する音響パラメータとして、ターゲット語の持続時間、ターゲット語の強勢音節の持続時間、ターゲット語の F0 ピークの位置、およびそのピークの F0 値を調べた。
    その結果、SVO 語順の場合、広焦点よりも対照焦点の発話においてターゲット語の持続時間とターゲット語の強勢音節の持続時間が長くなる傾向が確認された。しかし、ピークの生起タイミングが広焦点と対照焦点の実現に重要なキューとなるかについては、さらなる検証を必要とする結果となった。また、VOS 語順の場合、持続時間よりもメロディーグループを増やすことがターゲット語を際立たせるための方策として有効ではないかと推測された。
  • 寺崎 英樹
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 15-37
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    AALE (2010) の付録に収録されている地名形容詞を資料としてイスパノアメリカ地域における地名形容詞の派生について調査した。もっともよく使用される接尾辞は -(i)ense、-eño、-(i)ano、-ino の4種類であるが、地域により好まれる接尾辞に相違がある。地名から語末母音を除いた語根と接尾辞との関係を見ると、-ano は -n で終わる語根を回避し、代わりに -iano が用いられる。接尾辞 -és、ero は鼻音で終わる語根に選ばれやすく、逆に鼻音を含む -eño、-ino は避けられる傾向があるようである。接尾辞添加が行われる際、地名の一定の語尾は削除されることがある。地名が名詞句の場合、その構成素からどのように語基が選択されるかは派生した形容詞から地名が復元可能かどうかに左右される。
  • 野村 明衣
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 39-59
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    学位論文では、文末に現れる呼びかけ語は、先行発話内容に対する話し手の態度を表すと結論づけた(野村 2014)。特に固有名詞以外の名詞や形容詞は、その意味に従って話し手が聞き手をある立場に立たせることによって先行発話に対する話し手の態度を表明しようとするものであり、発話を強めたり和らげたりすることができる。では、どちらも普通年上の話し手から年下あるいは同年齢の聞き手に用いられ、よく似た語彙的意味を持つ hijo/a と chico/a は、呼びかけ語全体の中でどのような特徴を持つのだろうか。本稿では hijo/a と chico/a が用いられるのは、話し手と聞き手がどのような関係にある場合かを考察し、これらの呼びかけ語が使用しやすい文脈と、発話与える影響を明らかにする。
  • 金子 奈美
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 61-83
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    スペイン・バスク地方の作家ベルナルド・アチャガが2003年にバスク語で発表し、2004年に彼自身によるスペイン語訳が刊行された長篇小説『アコーディオン弾きの息子』は、その複雑な構造を大きな特徴とする。本稿では、作中に二人の作者及び語り手が存在すること、すなわち小説全体が主人公ダビの回想録を彼の友人ヨシェバが書き直した本と設定されている点に着目して、作品の複雑な構造を捉え直すとともに、ヨシェバの書き直しがダビの自伝的語りに対しどのような機能を担っているかを考察する。とくに分析の対象とするのは、 ダビが回想録を執筆することで向き合おうとしたいくつかのトラウマ的出来事が、作中のどのセクションで、ダビとヨシェバのどちらによって、どのように 語られるかという点である。分析の結果、ダビの過去のトラウマをめぐる語りが作品構造の一つの軸を成していること、そしてそれぞれのトラウマ的経験の異なる語られ方とそこにおけるヨシェバの介入の効果が明らかになる。
  • 森川 香織
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 85-104
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    1975年に出版されたリカルド・ピグリア(Ricardo Piglia, 1940-)の選集『偽名』(Nombre falso)には「ロベルト・アルルトへのオマージュ」(“ Homenaje a Roberto Arlt ”)と題される中編小説が収められている。2002年の改訂版において、この題名は目次上から消え、「偽名」(“ Nombre falso ”)と改題された物語の副題としてのみ残されることになった。2002年版におけるタイトルの変更理由は明らかではないが、失われた“アルルト”の遺稿をめぐるこの物語に隠された“秘密”が、改訂後のタイトルと深く関わっているのは事実である。本稿では、ピグリア作品における“秘密”の機能を考察するとともに、本作において二重の仕掛けで隠されたそれを読み解くことにより、「偽名」というタイトル、および作品自体の意味にアプローチを試みている。結果として、“ロベルト・アルルト”の名前の裏に潜む複数の作家たちの影が浮き彫りになると同時に、本作が他者のテクストの書き換え、すなわち剽窃の伝統をもつアルゼンチン文学への省察から生まれた作品であることが明らかになるであろう。
  • —アカデミア支部創設計画をめぐって—
    遠藤 健太
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 105-126
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    1870年代以降、スペイン王立アカデミアによるアルゼンチン支部創設の是非をめぐって展開された「国語論争」は、アルゼンチンの言語の在り方、ひいては同国のナショナル・アイデンティティの在り方をめぐる論争となった。多くの場合、この論争は、既存のスペイン語を純粋な形で保存すべきと唱える「純粋主義」(親アカデミア派)と、アルゼンチン固有の言語を形成すべきと唱える「新国語形成論」(反アカデミア派)との間で展開された論争として、捉えられてきた。本稿では、この捉え方の不備を指摘し、国語論争の実態をより正確に把握するための指標として、「親スペイン」対「反スペイン」、「権威主義」対「民衆主義」、「反コスモポリタニズム」対「親コスモポリタニズム」という対立軸を提示する。
  • Comparación de un corpus de aprendices de ELE con tres corpus de referencia
    María del Pilar VALVERDE IBÁÑEZ
    2015 年 2015 巻 59 号 p. 127-154
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    Los textos escritos por aprendices de ELE se diferencian de los textos escritos por hablantes nativos no solo por el hecho de contener mayor número de errores gramaticales o léxicos, sino también, especialmente en los niveles intermedio-alto y avanzado, por la mayor o menor frecuencia de ciertas palabras y estructuras. La presente investigación trata sobre la frecuencia de uso de las palabras gramaticales (determinantes, pronombres, conjunciones y preposiciones) en un corpus de textos académicos (resúmenes de tesinas de graduación) producidos por universitarios japoneses que estudian español como lengua extranjera, en comparación con tres corpus académicos de referencia. Analizamos con detalle los contextos de aparición de las palabras más o menos frecuentes en un corpus respecto al otro y extraemos algunas conclusiones sobre las estrategias de producción de textos escritos a las que los aprendices necesitan prester más atención (principalmente la variedad léxica, el uso de oraciones subordinadas y los mecanismos de cohesión).
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