本研究では,山崎断層帯を構成する土万断層のトレンチ調査を行い,その最新活動を検討した.兵庫県宍粟市青木地区の3 地点で行ったトレンチ調査では土万断層の断層面は露出しなかったが,埋積された水路が1 地点で,地割れや撹乱された地層が他の1 地点で検出された.14C 年代測定から,水路は約1,600 年前以降に掘削され,その後埋め立てられたことが判明した.青木地区では,過去の大地震による地震断層の出現や池の生成,その後の排水路の掘削に加えて,江戸時代初期の神社移転に際して排水路が埋め立てられ,馬道が造られたという伝承が残されている.露出した水路は伝承にある排水路と一致する可能性が高く,播磨地方に大被害を与えた868 年播磨地震が伝承の大地震であると考えられる.さらに地割れや地層の撹乱も約1,600 年前以降に発生
した大地震,すなわち868 年播磨地震による可能性があることが明らかになった.
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