本研究では、肥育期の去勢ブタに植物エキス発酵液製造副産物 (FPEB) を飲水給与し、発育・産肉性、肉質、筋肉・脂肪組織における脂肪酸組成について分析した。また脂肪中の悪臭物質 (インドール, スカトール) 濃度を測定し、糞便中の腸内細菌叢の関係を調べた。肥育豚の増体成績および大部分の肉質項目でFPEB給与区と対照区間に差は見られなかった。しかし、脂肪組織の脂肪酸組成では、すべての脂肪組織においてリノール酸が対照区に比べてFPEB給与区で有意に低い値を示し(皮下脂肪: P <0.01, 筋間脂肪: P <0.01, 筋肉内脂肪: P <0.05) 、オレイン酸は筋間および筋肉内脂肪で対照区に比べて有意に高い値を示した(筋間脂肪: P <0.01, 筋肉内脂肪: P <0.01)。またFPEB区の皮下脂肪において、インドールおよびスカトール濃度は有意に低下した(インドール:P <0.05,スカトール:P <0.01)。さらにFPEB給与によりBacteroidetes門の増加およびFirmicutes門の減少する傾向がみられた。以上のことから、FPEBは養豚のエコフィードの原料として活用でき、肉質改善に有効なプレバイオティクス効果を含む資源循環物質の可能性が示唆された。
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