現代社会学研究
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14 巻
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  • 現象学的社会学の社会理論
    西原 和久
    2001 年 14 巻 p. 1-22
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    本稿の狙いは,社会理論に対する現象学的社会学の独自な貢献を示すことにある。そこで,シュッツ現象学的社会学を踏まえた発生論的相互行為論の立場からの〈社会〉研究の射程が論じられる。
    一般に現象学的社会学は「主観性」に着目する立場だとみられ,ミクロ社会学の代表のように見られてきた。しかし,現象学は「間主観性」という社会レベルの議論を活発に行ってきたし,現象学的社会学も社会学として社会関係や社会制度に着目する。本稿では,現象学的社会学が,(1)間主観性の視座から〈社会〉の発生や生成に照準し,(2)その存立の条件を示し,そしてさらに(3)社会構成の方向を社会哲学的に探ろうとする試みであることが示される。そこにおいては,自己の問題から出発しながらも他者が問われ,そして何よりも相互行為が中心的に問われ,さらに二者関係から三者関係へと視野が拡大されて,〈社会〉についての表象が語られる。つまり,社会の存立が相互行為レベルの〈社会性〉に支えられ,かつそれに基づく社会表象にも支えられること,この点が発生論的に示される。
    なお,本稿の叙述は,こうした現象学的社会学の視点を,フッサール,メルロ=ポンティ,レヴィナスらの現象学の知見に立ち戻りつつ示していこうと試みている。そして最後に,そうした現象学的社会学の視座からする今後の社会構成の方向性として,〈共同性〉や〈公共性〉とは水準を異にする〈社会性〉探究の方向性が示される。
  • 東北地方の二つの町を事例として
    田中 重好, 辻村 大生, 黒岡 晃子
    2001 年 14 巻 p. 23-47
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    本稿では,東北地方の二つの町(山形県金山町,岩手県藤沢町)のまちづくりの展開過程を整理し,「行政主導型の住民参加型まちづくり」が「協働型のまちづくり」に転換したプロセスを明らかにし,それをとおして,協働型まちづくりの成立条件を探求する。
    協働型まちづくりが成立するには,次の4つの条件が必要であった。第一の条件は,行政が,自治・参加・協働の理念をもち,行政組織の改革や職員の意識改革を進めることである。第二に,住民の意識改革,自治組織づくり,まちづくり活動の活性化をはかることである。第三は,地域計画づくりの過程で,行政と住民の間,さらに,住民間で地域ビジョンを共有化することである。第四には,地域における協働のシステムを創り上げることである。
    まちづくりは協働のシステムを育ててきたと同時に,協働のシステムはまちづくりを一層進める手段を提供している。こうした条件のなかで,「共のまちづくり」が成熟してゆくのである。
  • 日英比較研究
    布施 晶子
    2001 年 14 巻 p. 49-72
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    本稿の主題は,共働き家族の子どものケアに関する日英の比較研究である。問題意識の基盤には,福祉国家体制のジェンダー・パースペクティブに基づく再検討という理論的課題の追究が据えられている。本稿の論点をクリアにするための予備的作業として,第一に,日英両国における既婚女性の就労状況の推移,第二に,共働き家族における子どものケアの状況,保育施設等の拡充状況の推移について,データに基づく比較分析を行った。次いで,第三に,本稿のメインの展開として,以上の作業を通じて浮かび上がった五つの論点―既婚の女性労働力への経済的要請の相違,J.ボウルビィの影響の相違,家族と国家の関係をめぐる認識の相違,「チルドレン・イン・ニード(要援護児童)」についての認識の相違,市民運動の展開にみる相違―についての検証作業を試みた。
  • 原 俊彦
    2001 年 14 巻 p. 73-93
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ドイツの家族政策努力にEUの中でもフランスに次いで高い水準にあるが,その出生力は極めて低く,政策努力が弱い割りに出生力水準が高いイギリス,アメリカなどとの相違が注目されている。また内容においても児童手当や税控除など「家族負担の調整」に重点を置き,有子家庭の経済支援をめざしている点で,保育機会が充実する北欧諸国との違いが指摘されている。
    本稿ではドイツの家族政策の特徴を分析するとともに,1991―92年に実施されたPPA(Population Policy Acceptance)とFFS(Family and Fertility Survey)の意識調査の結果を踏まえ,人々の政策に対する期待や評価,その問題点を考察した。
    主な知見は次のとおりである。
    (1)ドイツの家族政策の特徴は,手厚い経済支援と,長く保障された育児休暇制度・パートタイム雇用を中心とした「家族と職業の両立」,ヨーロッパの中でも比較的遅れた保育制度にある。
    (2)意識調査結果から,これらの特徴と人々の意識の間には高い整合性があることが確認できた。その一方,「子育てにともなう,すべての(相対的)不利益」をなくすという政策理念とその実現可能性のギャップから,人々の政策効果に対する評価は厳しく,仮に家族政策に出生促進的意図があったとしても,その効果は殆ど期待しえないことが判明した。
  • フルタイム継続女性と専業主婦の比較を中心に
    杉野 勇
    2001 年 14 巻 p. 95-114
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1995年の「社会階層と社会移動全国調査」(SSM)データを用いて,女性の就労経歴の類型構成を行う。無職化・主婦化や再就職の分岐点を基軸としつつ,経歴類型ごとの階層差や意識の差について分析する。
    多くの女性たちが初職フルイタムの形で労働市場に参入するが,その後かなりの者が結婚退職や出産退職で無職化する。無職化・主婦転換のし易さと再就業の比率を合わせて見てみると,高卒女性がフルタイム→主婦→パート再就職のイメージを体現しており,四大卒女性は主婦転換しにくいが同時に再就職率も低く,逆に初等学歴女性は離職・再就職の両局面で「労働市場から離れにくい」事が分かる。この傾向は,職業で言えば専門職,大企業ホワイトカラー,中小企業ブルーカラーの傾向とほぼ重なる。また,夫の学歴が上がるほど離職し易く再就職しにくい傾向も確認された。
    典型的経歴と考えられるパタンを類型として構成し比較してみると,高学歴女性が二極化している様子がよく分かる。そして,特に性別役割分業意識については,存在と意識の整合性が如実に表れていると言える。
    尚,フルタイム継続女性は親との同居率が際だって高いという結果が得られたが,同時に家庭犠牲感が最も強く,子育てとの関係で自分の職業キャリアをどう位置付けるかが彼女達の主観的問題である事が伺われた。
  • 小内 透
    2001 年 14 巻 p. 115-134
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    わが国の階級・階層構造の再生産のあり方は,二元的再生産様式,一元的再生産様式,多元的再生産様式という形で段階的に変化してきた。
    第二次大戦前には,二元的な再生産様式のもとで労働者・農民と資本家・地主という身分的な性格をともなう階級・階層構造が複線型の教育体系を通して再生産されていた。
    戦後,教育体系が単線化されることにより,ヒエラルヒー的な一元的再生産様式の基礎が作られた。しかし,一元的な機構的システムが完成するのは,六大企業集団を中心とする一元的機構的システムが構築され,生活水準が向上した高度経済成長期に入ってからであった。その後,オイルショックを契機に低成長期へ移行したが,一元的再生産様式は解体されず,むしろ成熟した形をとり,階級・階層の世代的再生産の傾向が強まった。
    しかし,バブル経済とソ連型社会主義の崩壊を契機に,一元的でヒエラルヒー的な経済機構が解体傾向を見せ,高校・高等教育機関や大学入試の多様化によって,再生産機構としての教育機構も多様化し,多元的再生産様式が新たに構築され始めた。
    ただし,今のところ,諸個人の労働―生活世界は新たな変化に対応したものになっていない。そのため,今後,機構的システムと労働―生活世界のいずれに合わせた形で両者が対応したものになるのかが,当面の焦点になっている。
  • 北大生涯学習計画研究部での実践的研究を介して
    小林 甫
    2001 年 14 巻 p. 135-152
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    《ライフロング・ラーニング》は,日本において,不幸な生い立ちを背負ってきた。第一に,ユネスコの考えは早くも1960年代半ばに導入されたが,当時の主導的な教育学者たちによって貶められたことである。第二に,1970年代のCECD「リカレント教育」についての受容もまた,ユネスコの考え以上に問題視され,葬り去られた。他方,第三に,1980年代後半以降の臨時教育審議会が,画一主義の教育を立て直す中心柱に「生涯学習」を据えたこと。第四は,これを受けた文部省の動向(機構改革:社会教育局の廃止と筆頭部局としての「生涯学習局」設置〈1988〉と,いわゆる「生涯学習振興法」制定〈1990〉)であり,実務サイドの混乱を助長してきた。しかし,《ライフロング・ラーニング》は,例えば成人教育ハンブルク会議に見るごとく,〈市民社会〉の構造変動との関係において,何よりもまず,社会学的に捉えるべき課題である。「《ライフロング・ラーニング》の社会学」は,NPOやNGOを重なり合いつつ,社会変動論の一核を構成するものである。
  • 井上 芳保
    2001 年 14 巻 p. 153-159
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 山岸 俊男
    2001 年 14 巻 p. 160-162
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
  • 大国 充彦
    2001 年 14 巻 p. 163-167
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 盛山 和夫
    2001 年 14 巻 p. 168-171
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 中田 知生
    2001 年 14 巻 p. 172-176
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 三重野 卓
    2001 年 14 巻 p. 177-180
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 信彦
    2001 年 14 巻 p. 181
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
  • 飯田 哲也
    2001 年 14 巻 p. 182-186
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
  • 古村 えり子
    2001 年 14 巻 p. 187-189
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 中井 美樹
    2001 年 14 巻 p. 190-192
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • Manfred Ringhofer
    2001 年 14 巻 p. 193-202
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • Lynne Nakano
    2001 年 14 巻 p. 203-206
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
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