現代社会学研究
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15 巻
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 富永 健一
    2002 年 15 巻 p. 1-26
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    二〇世紀後半の社会学は,「産業」に指向する段階,「福祉」に指向する段階,「環境」に指向する段階,の三つをつぎつぎに経過してきたと見ることができるのではないか。
    第一の産業に指向する段階は,アメリカで一九三〇年代に始まり,戦後に日本に輸入され,一九六〇年代にほぼその最盛期を終えた産業社会学であった。しかし一九七〇年代に入るとともに,そのようなインダストリアリズムへの関心は,ベックの意味での「反省的インダストリアリズム」へと急速に変わっていった。
    第二の福祉に指向する段階は,イギリスにおいて,貧困の撲滅をテーマとするベヴァリッジの福祉国家政策として始まった。一九七〇年代以後の日本の社会学に福祉派が増えたのは,インダストリアリズムへの反省の意識を内包することによってであった,ということが重要である。この意味で,これを「反省的インダストリアリズム」として位置づけたい。
    第三の環境に指向する段階は,一九六〇年代後半いらいの「環境問題」の登場とともに始まった。社会学者たちはながいあいだ,自分たちは自然現象について素人にすぎないから,自然環境について考察することは社会学の職能ではないと考え,社会-文化的システムを自然システムから切離しつづけてきた。しかしそうではなく,もっと積極的に,社会システムと自然システムをつないだところに,環境社会学の理論的視座を設定できないだろうか。
  • 第2次世界大戦後の変化を中心に
    布施 晶子
    2002 年 15 巻 p. 27-61
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    小論では,第2次世界大戦後における北海道の家族の特徴を,地域社会の変容,とくに地域経済の変化にともなう道民の就業構造の変容と家族の態様に焦点をあてて分析した。北海道の家族の形態的特徴としては,つとに,核家族化の進行,三世代世帯の割合の減少,単独世帯の増加,家族規模の縮小等が指摘されてきた。小論においては,第一に「国勢調査」を中心とする分析を通して,形態的特徴のフォローを行い,ついで,これらの特徴のよって立つところを,北海道地域社会の展開に焦点をあてて探る作業を行った。その結果,北海道の家族が示す形態的特徴には,北海道の社会・経済的・人口学的背景が色濃く反映されているさまが浮かび上がった。
    次いで,第2次世界大戦後,北海道をフィールドに展開されてきた家族研究のうち,北海道の家族の形態や機能さらには内部構造そして道民の生活構造の分析に関わる研究を取り上げ,これらの研究が提示する北海道の家族の特徴について考察した。それらの研究の多くは,開発資金の導入ひとつとってみても地域的な偏りが顕著で,経済的生活基盤にせよ社会関係レベルのネットワークにせよ基本的にはその脆弱性が明らかな北海道地域社会に生活する家族や世帯が,階層による格差を受け,時には世代の再生産さえも途切れさせられる状態におかれている現実を明らかにする一方,日々の生活防衛を通して紡ぎつつある,自立的な男女関係の模索を内包する新たな家族関係,血縁に特化しない新しい社会関係のネットワーク,公的な生活支援サポートシステム構築等の動向を示唆するものであった。
  • 統一教会関連の裁判を中心に
    櫻井 義秀
    2002 年 15 巻 p. 63-81
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    本稿では,人権・自己決定権という世俗的理念がどのようにして宗教制度の領域に介入するようになっていったのか,その時代背景や社会的要因を現代の『カルト』問題や,『宗教被害』をめぐる裁判を通して記述していきたい。現代の『カルト』問題は,特定宗教や宗教の暴力的側面に関わる問題に留まらない。
    教団の特殊な勧誘・教化行為や宗教活動一般を社会がどのように許容するのかという問題としても出現している。
    カルトによるマインド・コントロールというクレイムは,信者の宗教的自己決定権が侵害されているという評価的な理解であり,脱会カウンセリングにおいて,信者を教団から家族へ引き戻すための実践理論でもある。布教が『その人のために』というパターナリズムで行われているのと同様に,カルト批判もパターナリズム的立場をとる。教団・信者側,反カルト側・元信者側がそれぞれ,宗教的自己決定権を主張し,相手をその侵害者として批判するのである。
    統一教会元信者による『青春を返せ』訴訟は,自己決定権の回復を求めた訴訟と位置付けられる。判決では,統一教会による正体を隠すやり方,伝道されたものを欺罔・威迫する方法が違法とされ,原告勝訴となった。この判決は宗教問題に法的介入が可能であることを示した点において画期的であったし,現代宗教の社会的位置付けを司法が宣言したという意味でも,今後,宗教界・宗教研究に大きな影響を与えることになろう。
  • 樽本 英樹
    2002 年 15 巻 p. 83-96
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    2001年春から夏にかけて,英国イングランド北部の諸都市で「人種暴動」が勃発した。本稿では,主な舞台となったブラッドフォード,オルダム,バーンリーにおける「暴動」の具体的様相を記述し,「暴動」の何が問題なのかを国際社会学の視角から考察する。「人種暴動」は,まずはそれが引き起こす物理的・経済的損失の大きさでその問題性を把握される。しかし,そのような物質性は象徴性をもはらんでおり,社会当事者たちの依拠している自明世界を破壊する。特に,国際移民やエスニック・マイノリティに関わる多様性・寛容性の規範が動揺し,移民排斥的でナショナリスティックな同質性・非寛容性の規範に力を与えてしまう。このような規範の動揺という問題は,国際社会学的視角からは市民権モデルの選択の問題と等価である。「暴動」は市民権の多文化モデルを動揺させ,国民国家モデルへの回帰を迫るのである。英国内務大臣が「暴動」後に提唱した市民権政策は,その回帰を忠実になぞるものになっている。「人種暴動」の問題性は,物理的・経済的範疇に留まるものではない。国際移民やエスニック・マイノリティに関わる市民権モデルを動揺させる点,およびその後のモデル修復過程に社会当事者を誘う点が,国際社会学的には注目に値するのである。
  • 井上 芳保
    2002 年 15 巻 p. 97-106
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 山下 玲子
    2002 年 15 巻 p. 107-118
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    本稿は,岩見沢市教育委員会平成13年度男女共同参画講座「ビデオであそぶジェンダーの世界」の一講座「『アニメとジェンダー』~変わる?アニメの世界」(平成14年2月27日開催)の講演内容をもとに,加筆修正したものである。
  • 盛山 和夫
    2002 年 15 巻 p. 119-124
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 鹿又 伸夫
    2002 年 15 巻 p. 125-128
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 松宮 朝
    2002 年 15 巻 p. 129-134
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 白樫 久
    2002 年 15 巻 p. 135-138
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 内田 司
    2002 年 15 巻 p. 139-143
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 内田 和浩
    2002 年 15 巻 p. 144-146
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 信彦
    2002 年 15 巻 p. 147-152
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
  • 中道 仁美
    2002 年 15 巻 p. 153-155
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 泰郎
    2002 年 15 巻 p. 156-158
    発行日: 2002/06/29
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
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