現代社会学研究
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22 巻
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学会公開シンポジウム
自由投稿論文
  • ――超高齢時代のへき地保育所と教育機関の地域社会研究――
    片桐 資津子
    2009 年 22 巻 p. 17-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/03/06
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は,人口減少により次々と生活必要機関が統廃合されていく準限界集落化する存続集落が,将来的に存在し続けていくことの難しさについて明らかにすることである。北海道富良野市における布礼別と麓郷を調査対象にして地域再編の動きを探る。両集落では子どもの数が激減している。そのため布礼別保育所は麓郷保育所に統廃合され,布礼別小中学校も麓郷小学校と麓郷中学校に統廃合される危機に直面している。しかしながら,統合する麓郷も過疎であることには変わりないため,再び統廃合問題に直面することになる。
      布礼別には麓郷に先駆けて開拓した歴史と伝統がある。本稿ではこれを開拓精神と呼ぶ。開拓と同時に布礼別小学校を開校したため,布礼別にとっての小学校は社会的結合の根幹をなしている。それゆえ小学校の閉校は布礼別にあまりにも大きな打撃を与えると予測される。だが同じ布礼別でも高齢者世代と若者世代のあいだで開拓精神の受け止め方に温度差がある。他方,麓郷も問題を抱えている。テレビドラマによるメディアブランドの活用で観光業を軌道に乗せたのだが,ドラマ放映終了後はそれに翳りが見え始めた。
      社会的結合が分断される布礼別に対して,メディアブランドの活用をはじめとする4つの攻めの諸方策にも限界が見え始めている。結論として,麓郷における存続集落維持の困難とこれを打破しようとする麓郷振興会の存在を浮き彫りにした。
  • ――周辺的なメンバーに焦点を当てて――
    菊地 千夏
    2009 年 22 巻 p. 35-48
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/03/06
    ジャーナル フリー
      不登校の親の会には,例会には積極的に参加していない,言わば“周辺的なメンバー”としての親たちが存在している。本稿ではこうした親たちにとっての親の会の意味を明らかにするために,なぜ例会に足を運ばないのか,そしてそうであるにもかかわらず,なぜ所属し続けているのかということについて,親たちの語りを用いて検討した。
      その結果,例会から足を遠のかせる要因は外的なものばかりでなく,内的なものもあることがわかった。経験談が飛び交う例会の場には,親たちに“つらさ”を顕在化させるメカニズムがある。本稿ではこのつらさに関して,経験を語ることのつらさと聞くことのつらさに分けてみたところ,聞くことに伴うつらさのほうが例会から足を遠のかせるより強い影響をもつことが明らかとなった。例会ではつらいならば無理に語ることは強要されないが,他の親たちの語りを聞くことは回避することが困難であるからだと考えられる。
      ただし,周辺的なメンバーは例会に参加していなくとも,親の会に所属していることに意義を見出している。具体的には,親の会から不登校に関連する情報を得られることと,親の会が精神的な支えとして存在していることであった。こうしたことから,親の会には例会の場における課題だけではなく,周辺的なメンバーが見出す意義も含めて,そのあり方を見つめ直すことが求められると考えられる。
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