現代社会学研究
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26 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 2005年SSM 調査データの分析から
    濱田 国佑
    2013 年 26 巻 p. 1-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    本論文では,2005年に実施されたSSM 調査データを用い,新自由主義的な 政策支持と社会に対する閉塞感との関連,さらには社会的不平等感との関連に ついて,世代的な差異に着目しながら検討を行った。 世代別に新自由主義的な政策支持を従属変数にして重回帰分析を行ってみた ところ,「規制緩和支持」に対して「再配分志向」が影響を与えていた。また, 「権威主義」および「閉塞感」については20~34歳の世代でのみ効果が認めら れた。「民営化支持」に対しては,「閉塞感」の効果は見られないものの,20~34 歳の世代で「再配分志向」の効果が見られた。以上の分析結果から,小泉政権 による新自由主義的な改革に対する支持の一因として,「再配分」を求める意識 および「閉塞感」が一定の影響力を持っていることが明らかになったと言える。 次に,構造方程式モデリングによって若年層における意識間の関連について 検討を行ったところ,「閉塞感」から「再配分志向」を経由して新自由主義的な 政策支持に影響を与える間接効果の存在が確認された。「閉塞感」と「再配分志 向」がそれぞれ独立に影響を与えているわけではなく,「閉塞感」を感じる人ほ ど「再配分志向」を高め,それが新自由主義的な政策支持に影響を与えている ことが明らかになった。
  • 高校放送部の映像制作活動を手がかりに
    妹尾 克利
    2013 年 26 巻 p. 19-37
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    我が国でもパブリック・アクセスの活動が盛んになってきたが,全国各地の 市民メディア活動団体が抱える主な課題として,財政面のほかに人材育成が挙 げられる。今,学校現場においても,メディアを活用して地域でのコミュニケー ションをデザインできる人材の育成に力を注ぐことが求められている。メディ アを通して主体的に情報発信する能力を育むための教育方法として映像制作が 注目され,多くの実践が報告されている。しかし,地域情報活性化の視点で行 われている実践はまだ少ない。 学校放送部では,40年以上も前から部活動の一環として,地域をテーマとし た映像制作活動が行われている。そこで,本研究では,研究者が顧問を務める 高校放送部において映像制作活動の参与観察を行なった。次に,北海道全域の 高校放送部で映像作品を制作に関わったことのある放送部員にアンケート調査 を行った。その結果,制作に関わった高校生は,メディア・リテラシー能力の みならず,地域への関心が高まっていることがわかった。さらに,学校放送部 の活動が,地域の情報活性化に貢献することができないか,その可能性を探る べく,地域住民を対象とした作品の上映を行い,視聴者へのアンケート調査を 行なった。その結果,高校生の取材活動に対する「期待」や「話し合いの重要 性」などが読み取れた。
  • 森下 義亜
    2013 年 26 巻 p. 39-54
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    高齢化が世界最高水準で進行する日本の都市では,高齢者が社会・生活保障 の対象となり,各種の対策によって彼らの社会的孤立や孤独死・孤立死のリス ク軽減が図られている。しかし,高齢者の抱える健康面の問題および高齢者へ の支援制度のあり方をおもな関心事とするこうした従来の視点がある一方で, 高齢者の地域社会への主体的参加のあり方も多方面で議論されている。退職や 子どもの他出を経た高齢者は役割縮小過程にあるが,その8割以上は健康な自 力生活者であり,自らの意志で地域社会に多様なかたちで参加して新たな役割 を得,生きがい増進を図ることができるからである。 本稿では地域性と共同性に着目する社会学の伝統的コミュニティ論の立場か ら,札幌市での高齢者の地域社会参加の現状と課題を考察する。同市をはじめ とする都市では,従来の地域社会参加経路としての自治会の機能は減退傾向に あり,それを補完・代替する新たな社会参加経路が求められている。検討する 札幌市の2事例では,高齢者が自己充足や対価の獲得ではなく多世代交流こそ を目的として自ら培った経験・知識を主体的に活用する活動を創始し,それが 地域社会のコミュニティ形成過程で有効に機能している。本研究はこれを高齢 者主体の「交流型義捐的社会参加」によるコミュニティ・モデルとしてその特 徴と課題を考察し,高齢者の地域社会での生きがいづくり研究の流れに位置付 けたい。
  • 工藤 遥
    2013 年 26 巻 p. 55-71
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    小家族化の進行は家族の育児機能を脆弱化させるため,日本では子育て家庭 への支援が社会的な課題となっている。「育児の社会化」の動きの中で政府によ る子育て支援は,共働き世帯向けから専業主婦世帯の在宅育児にも拡大されて いる。一方,子育て支援の研究では「育児ネットワーク」といった人的関係資 源がもつ支援機能が注目されている。 本稿では,都市の専業主婦の育児を支える支援を「子育てサポートシステム」 として体系化し,その実態と限界,課題を分析した。このシステムは,「関係的 支援」と「制度的支援」から成る二つの構造と,道具的および表出的側面をも つ三つの機能(直接サポート,間接サポート,複合サポート)で構成される。 少子化都市札幌での質的調査では,夫や親族,ママ友が提供する関係的支援 が母親の育児を道具的,表出的に支えている実態が明らかになった。一方で, 核家族世帯が多く,男性の労働時間が長い都市では,関係的支援を補完,代替 する制度的支援の重要性が高い。特に「一時保育」には,道具的,表出的両側 面に関して専業主婦の間で大きなニーズがある。 しかし,現行の制度的支援は,サービスの質や量,料金,利便性などに課題 があるため,これらの改善が必要である。また,地域全体で子育て家庭を支え る都市社会の実現には,関係的支援と制度的支援が相互にその機能を促進し合 い母親の育児を複合的に支える「複合サポート」を拡充することが重要である。
  • 古口 真澄
    2013 年 26 巻 p. 73-92
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    東日本大震災後,親を亡くした子どもたちの社会的養護として,親族里親制 度の情報がマスメディアで集中的に取り上げられた。本稿では,親族里親の中 でも祖父母に注目し,日米の親役割を担う祖父母の事例から日本の親族里親制 度の活用を考えた。 日本のインフォーマル・ケアとアメリカのフォーマル・ケアの中で孫の養育 を担う祖母の事例研究で共通していたことは,祖母にとって孫の年齢が低いほ ど,養育上の問題が少ないということである。さらに乳幼児期での養育の重要 性を,相反する事例から確認している。 祖父母自身が親族に養育された経験者が日本にいたため,祖父母が語るその 経験,「孫育て」と「子育て」の違い,祖父母が定義する「家族」に着目した。 その結果,祖父母が子育てよりも愛情のかけ方に加減ができる孫育てをして, 祖父母の定位家族と対極にある「家族」を望み,構築しようとしていたことが わかる。 他の日本の対象者も,孫育てには子育ての止揚がみられていることから,祖 父母の生殖家族を超える「家族」が構築されつつあるか,あるいは構築されて いたと捉えることができる。その根底には,孫の幸福と祖父母の幸福を不可分 とみなす孫と祖父母の相互作用があった。 上記の結果から筆者が言えることは,親族里親制度が,今後子どもの乳幼児 期からの活用にも重点を置くことを希望したいということであり,さらに子ど ものためにも,必要があればこの制度の積極的な活用を望むということである。
  • 教育・研究支援のために
    櫻井 義秀
    2013 年 26 巻 p. 93-101
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
  • 編著『健康不安と過剰医療の時代』の出版の後で
    井上 芳保
    2013 年 26 巻 p. 103-112
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
  • 水川 喜文
    2013 年 26 巻 p. 113-123
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
  • 熊谷 苑子
    2013 年 26 巻 p. 125-132
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
  • 飯田 俊郎
    2013 年 26 巻 p. 133-136
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
  • 松岡 昌則
    2013 年 26 巻 p. 137-139
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
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