現代社会学研究
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最新号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 2025 年 38 巻 p. 0-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 中村 聖
    2025 年 38 巻 p. 1-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    合流モデルおよび資源希釈仮説によれば,きょうだい数が多いほど,出生順位が遅いほど学力や教育達成が低下する。教育達成に対するきょうだい数と出生順位の影響については,教育達成に対する直接の影響,および,学力を媒介する影響の2つが想定できる。また,欧米の先行研究によれば,算数・数学に比べて国語は,家庭内で育成されやすいため,きょうだい数と出生順位の影響を受けやすいことが示唆されている。しかしながら我が国において,学力に対するきょうだい数と出生順位の影響については検討されてこなかったため,これらの要因が学力を媒介して教育達成に影響を及ぼすのか,さらに教科によって影響の仕方が異なるのかについてはわかっていない。そこで,学力に対するきょうだい数と出生順位の影響について,日本子どもパネル調査を用いて分析した。マルチレベル分析の結果,きょうだいが多いほど学力が低下することが確認された。一方で,出生順位の影響は認められなかった。したがって合流モデルおよび資源希釈仮説は,きょうだい数にのみ支持された。きょうだい数は学力を媒介して教育達成に影響する可能性がある。教科別にきょうだい数の影響を比較すると,算数・数学と比べて国語のほうが影響が大きかった。
  • 山田 愛子
    2025 年 38 巻 p. 19-37
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,地方県の非都市部の若者を対象に,進路選択時の経験や意識を分析することで,地域的条件が子どもの進路選択にどのように関わるのか明らかにすることを目的とする。本稿から得られた知見は以下の通りである。  第一に,非都市部の子どもは,進路選択時に地域的条件が不利に働くことで選択肢が狭まると認識していた。中学校段階では,時間的・経済的制約を受けている場合や,中学校まで小規模校に通っていた子どもにとって高校から人数規模の大きい都市部の学校に通うには不安がある場合が確認できた。  高校段階では,高等教育機関の中でも特に短大・専門学校に関する情報にアクセスする機会,地元外を含めた多様な職種を知る機会,個々の学力レベルに合った指導を受ける機会が限られていると認識されていた。  第二に,非都市部の子どもが地域の資源を自身の進路実現のために有効に活用しようと試みる姿が明らかになった。中学校段階では,地元の高校に対し,内容が分かっていて安心感があるという場合や,大学進学や地元就職に向けた充実したサポートを受けることができると見込んでいる場合がみられた。  高校段階においても,少人数制や若手教員の多さなど地元の高校の特徴が有利に働き,希望進路を実現するための資源として若者側に認識されていた。  以上を踏まえると,当事者の進路選択時の経験に着目することは,地域間格差の問題について理解を深めるために重要だと示唆できる。
  • セカンドライフのジェンダー差に着目して
    横山 聖美
    2025 年 38 巻 p. 39-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
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    セカンドライフとは,一般的に仕事中心の人生に区切りをつける定年後の男性を想定した言葉である。一方,定年制度に当てはまらない女性の場合,人生の区切りとなるものは介護や死別など家族ケアに関することが多い。本研究ではセカンドライフにおける意識調査と,家族ケア役割を終えた中高年女性が,看取りやグリーフケアに関する資格取得のための学習行動に繋がった事例調査を分析対象とした。セカンドライフで重視する価値観に男女差はあるのか,中高年が資格に惹きつけられる背景は何かを明らかにすることにより,セカンドライフにおける生きがいと社会的役割の獲得への示唆を得ることを目的とした。  意識調査から,セカンドライフで最も重視することは「健康の維持」であり男女差は無かった。差異がある項目は,男性が重視する「稼得」と女性が重視する「学び」であった。中高年女性の学びに注目し,事例調査を実施した結果,学び始めたきっかけは過去のやり残し感や後悔というネガティブな理由であったが,学び続けることにより,「社会的に認められる役割」と「一緒に学ぶ仲間」を獲得していた。仲間との交友関係を維持し学び続けること自体が「生きがい」につながっていると考えられた。
  • 中国広東省調査を事例に
    羅 欣寧
    2025 年 38 巻 p. 57-75
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
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    本稿は,中国本土に移住した香港・マカオ人高齢者を対象とした質的調査をもとに,移住の構造と移住高齢者の生活実態を明らかにする。さらに,政府・市場・社会団体が関与する移住の構造が,移住高齢者が以前から抱えてきた相対的貧困や社会的孤立といった問題を解消できない結果,支援不足の中でこれらの問題が中国本土においても依然として存在していることを議論する。  香港・マカオ人移住高齢者は中国本土に自由に移住できるが,実際には自由意思による移住というよりも,香港・マカオからの退去を余儀なくされ,中国本土への移住を選択せざるをえなかった場合がある。中国本土においては,公的支援が不十分であると同時に,高齢者サービスの購入が移住高齢者およびその家族にとって大きな経済的負担となる。社会団体による支援は存在するものの,移住高齢者を十分に支える主体とはなり得ない。さらに,移住高齢者が老後生活を主体的に生きようとしても,その可能性は健康状態や生活環境によって大きく制限される。その結果,移住高齢者が家族に過度に依存する状況が生じ,中国本土においても社会的排除が再生産されることになる。
  • 新藤 慶, 西浦 功
    2025 年 38 巻 p. 77-80
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
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  • 「エネルギー革命期」における北海道夕張市を事例として
    平 将志
    2025 年 38 巻 p. 81-106
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の課題は石炭産業の変容と生活困窮者を取り上げて,「エネルギー革命期」の北海道夕張市を事例として検討する。夕張市は石狩炭田最大となる「炭都」であり,布施編[1982]という地域総合研究が存在する。ただし,布施編[1982]は「階級・階層」概念が明確ではなく,そのため生活困窮者の実態は必ずしも明確ではなかった。加えて,当事者の主体性が十分に検討されていないという実態が存在した。本稿では江口英一の「社会階層論」から「階層」を再編成する。さらに夕張市における生活困窮者の実態のほか,生活困窮に直面する当事者として全日本自由労働組合夕張支部(以下,夕張支部)を事例とし,どのような生存戦略がとられたのかを検討した。本稿では「社会階層論」の「不安定就業階層」に着目し,炭鉱下請=組夫を加えて再編成したが「社会階層論」は産炭地における生活困窮者救済の比較分析のための理論的枠組みになり得ることが示唆される。上述した枠組みから夕張市における生活困窮者について組夫,失対就労層及び被保護層を検討した結果,「不安定就業階層」が被保護層の主要な流入層であることが確認された。夕張支部は自治体や職安に対して団交交渉や「求職闘争」などの労働諸運動を行うほか,要保護者への各種「仲介」や地域住民のための環境整備やイベント開催など生活改善を行っていた。「救済」の客体とされた当事者は独自の生存戦略を展開しており,こうした生存戦戦は当事者による主体性を示すものと位置づけられる。
  • 空知地域における炭鉱の子どもの中卒後就職・広域移動
    笠原 良太
    2025 年 38 巻 p. 107-121
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    本論の目的は,高度成長期の北海道空知地域における企業ならびに中学校・教員による就職斡旋・職業指導の実態を明らかにすることである。北海道内の炭鉱は,全国の農村と同様に,1950年代から新規中卒者・若年労働力の送出元となっていた。これは,職安行政による就職斡旋制度に加えて,石炭企業ならびに炭鉱の学校・教員による就職斡旋・職業指導がプッシュ要因となったからであった。本論では,国内の主要産炭地である空知地域,なかでも炭都夕張を事例にその実態をみていく。  大手石炭企業は,石炭産業の発展期には企業学校を介して,炭鉱の子どもを次世代の労働力として養成していた。しかし,1950年代後半に石炭産業が衰退に転じると,合理化の一環で,従業員とその子どもを成長産業に移出するため,就職斡旋をおこなった。財閥系の大手石炭企業は,系列会社に斡旋する場合もあった。  また,炭鉱の学校・教員は,石炭産業の衰退を受けて,就職斡旋業務を職安に任せるのではなく,自らおこなった。炭鉱外の状況を知る教員を中心に,市外・道外の求人を開拓し,徹底したスケジュール管理のもと,生徒・父兄の特性に応じた適職紹介・職業指導をおこなった。  こうした石炭企業ならびに学校・教員による就職斡旋・職業指導は,炭鉱の子どもの自由な職業選択を制限する側面もあったが,産業が急速に衰退するなかで,大量の炭鉱の子どもがスムーズに移行・移動するために不可欠であった。
  • 「産業-家族-女性の社会参加」と行政協調型団体の視点から
    西城戸 誠
    2025 年 38 巻 p. 123-141
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,専業主婦による地域活動に対する社会学的研究を概観し,産炭地における女性の地域活動への参加を「産業-家族-女性の社会参加」という視点から分析することと,行政協調型団体との関係性を踏まえて炭鉱主婦会の地域活動を分析することの必要性を指摘した。そして,住友赤平炭鉱主婦会(赤平市),三井芦別炭鉱主婦会(芦別市),太平洋炭鉱主婦会(釧路市)を事例にして,それぞれの炭鉱主婦会が地域社会でどのような活動をし,地域社会に影響を及ぼしたのか実証的に明らかにした。その結果,上記の2つの視点に加えて,それぞれの炭鉱の地理的要因が,炭鉱主婦会の活動の空間を規定していることを明らかにした。
  • 工藤 遥
    2025 年 38 巻 p. 143-148
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 金子 勇
    2025 年 38 巻 p. 149-152
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 遠山 景広
    2025 年 38 巻 p. 153-158
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 吉原 直樹
    2025 年 38 巻 p. 159-164
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 新田 雅子
    2025 年 38 巻 p. 165-170
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー
  • 三重野 卓
    2025 年 38 巻 p. 171-175
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2025 年 38 巻 p. 177-179
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2025 年 38 巻 p. 180-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/21
    ジャーナル フリー
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