Honda R&D Technical Review
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18 巻, 1 号
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技術紹介
  • 森田 俊郎, 岡室 富男, 安藤 公貴, 松本 英樹
    2006 年18 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    「独自の感覚と感動を与えられる車」を基本テーマとし,まったく新しい感覚と魅力を造り上げることにベクトルを合わせ新型 CIVICを開発した.新開発のパワープラントとプラットホーム,サスペンションを一新し,車の基本性能を革新的に進化させた上に従来のセダンの概念に捕らわれない独自のデザインと人に優しいパッケージを融合させた.

    安全性能と斬新エクステリアデザイン,軽快な走行性能と安定性,先進インテリアデザインと使い勝手,高出力と低燃費のバランスの難しい事象を一つ一つ新しい基準と革新技術で克服し,斬新さだけでなく高い実用性と共に,どこにもない CIVIC独自の感覚を持った高いレベルの次世代コンパクトセダンを開発した.

  • 瀬古 一行, 多賀 渉, 鳥居 建史, 中村 聡, 秋間 和洋, 関谷 明堂
    2006 年18 巻1 号 p. 8-15
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    Hondaは環境性能(低燃費,低排出ガス)と高出力を高次元で両立する軽量コンパクトな新世代1.8L i-VTEC 4気筒ガソリンエンジンを開発した.本エンジンのi-VTECは,発進や加速時には最大出力を発生するカムで吸気弁を駆動して高出力を発生し,クルーズ走行など低いエンジン負荷の場合には吸気弁の閉じ時期を遅らせたカムに切換え,同時に電子制御スロットルを開くことによりポンピングロスを低減して燃費を改善する.本エンジン搭載の2006年モデル CIVICは,平成 22年度燃費基準+5%レベルとなる10・15モード燃費 17.0km/Lの低燃費を達成した.出力特性は可変管長吸気マニホールドの採用により,低中速トルクと高出力の両立を図った.低排出ガスでは,エキゾーストマニホールド一体型シリンダヘッド,高密度直下2ベッド触媒や高精度空燃比適応制御により,平成17年度排出ガス基準75%低減レベルを達成した.また,ロアブロック構造を採用してクランク軸受廻りの剛性を向上することにより,振動騒音の低減を図った.

  • 堀江 達郎, 岸 勉, 長谷川 修
    2006 年18 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    従来車を上回る燃費性能と加速性能の両立を目標とし, 2006年モデル CIVIC Hybridを開発した.

    3ステージi-VTECを用いて進化させた可変シリンダシステムと IMAモータの組合せにより,全気筒休止による回生エネルギー量増加と,モータのみでの走行を可能として燃費向上を図ると共に,モータでの平角巻線の採用によるトルク向上,バッテリーの集電板の改良による低抵抗化,CVTのプーリ径拡大による高容量化と損失低減など,各コンポーネントも燃費と出力の向上につながる改良をおこなった.

    これらの技術により10・15モードで 31.0km/Lの燃費性能と,0 -100km/hで 12.1secの加速性能を両立させることを可能とした.

  • 大塚 浩, 安楽 文雄, 塚田 能成
    2006 年18 巻1 号 p. 22-27
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    CIVIC Hybrid用Integrated Motor Assist(IMA)システムのインバータは,従来型よりも高出力かつ小型化を目標として開発した.高出力化は,C-Cu基板の採用により放熱性能向上をねらい,従来比6%の最大出力電流向上を達成した.小型化は,Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)ゲートのトレンチ構造化及び素子厚さ低減,ダイオードの分散配置,薄膜フィルムコンデンサの採用,モータ制御部品及び構造部品の統合化により,従来比47%の容積低減,25%の重量低減を達成した.

  • 松田 健司, 真仁田 満, 横溝 幸治, 岩﨑 徹, 萩庭 正大
    2006 年18 巻1 号 p. 28-33
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    軽量コンパクトで定評のある既存の 1.5 L用5速マニュアルトランスミッションをベースにして,全長を増やすことなく高容量の 6速マニュアルトランスミッションを開発した.高容量とコンパクトの両立のために各速のシンクロナイザスリーブストロークを短縮するとともに,各速のギヤ諸元とギヤ幅の最適化をおこなった.またCAEによる解析によって軽量でありながら高剛性なケース形状とし,ギヤノイズ低減をはかった.その結果,全長 352 mm,総重量47 kgという軽量コンパクトな6速マニュアルトランスミッションを開発することができた.

    さらに操作する楽しさの追求のため,チェンジリンク機構を新構造にし,操作フィーリングの向上をおこなった.

  • 平山 貴邦, 山中 紀幸, 佐瀬 博幸, 山口 貴志, 堀野 正俊, Stuart COCK
    2006 年18 巻1 号 p. 34-37
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    大型で3次元の複雑な形状を有する樹脂製エクストラウインドを開発し,新型ヨーロッパ CIVICに採用した.透明樹脂と黒色樹脂のダブルインジェクションプロセスによりエクストラウインド本体を成形し,ウレタン接着剤によりテールゲートパネルに固定した.耐スクラッチ性が要求される外側全面と透明パネル内側面にはハードコートをコーティングした.ハードコートには高い耐スクラッチ性を有するポリシロキサン系ハードコートの中から,優れた耐候密着性を有するものを選定した.さらに,自動化したフローコートプロセスにより適正範囲にハードコート膜厚をコントロールし,優れた耐久性能を確保した.この部品の採用によりドライバ後方の視界が補助されると同時に,新しい外観意匠を実現した.

  • 重見 聡史, 河口 裕一郎, 吉池 孝英, 川邊 浩司, 小川 直秀
    2006 年18 巻1 号 p. 38-44
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    新型 ASIMOは,「人と共存,協調して社会の中で役に立つロボット」の実現を目指したステップとして,オフィスなどの実環境で自律的に作業する能力の実現と運動能力の向上を目的として開発された.この目的を達成するために,関節軸を増やし周囲環境を認識するためのセンサを搭載した新規の制御システムと走り制御技術を開発した.その結果,歩行機能としては,障害物を検知しながら目的地まで経路を修正しつつ,実環境でも連続的に移動できるようになった.走りは,直線走行だけでなく旋回走行も実現した.また作業機能としては,トレイに載せた飲み物などの軽量物の運搬やワゴンを自由自在に押すことが可能となった.さらに人の識別の迅速化や手つなぎ歩行を実現するなど,人にリアルタイムに応対する機能も向上した.

    以上の機能を総合的に実行する統合制御システムを開発し,受付案内やデリバリサービスが自動で可能となった.

  • 川崎 聡志, 内堀 憲治, 村上 義一, 清水 潔, 藤本 幸人
    2006 年18 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    2002年 12月,Hondaは世界で初めて燃料電池乗用車を実用化し,日本政府とアメリカロサンゼルス市に納車した.さらに燃料電池車を広く普及するために,低温での性能を向上させた Honda製スタックを 2003年 10月に発表し,この燃料電池システムを搭載した New Honda FCXを開発した.2004年 11月にニューヨーク州,2005年1月に北海道に納車し,世界で初めて氷点下での使用を可能とする燃料電池車を実用化した.寒冷地区を含む世界の主要な都市で使用が可能となった世界初の燃料電池自動車を紹介する.

  • 脇谷 勉, 川上 俊明, 清水 則和, 山崎 信男
    2006 年18 巻1 号 p. 51-56
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    一般家庭向け中型ハイブリッド除雪機に電子ガバナ付エンジンを搭載し,除雪能力の向上,操作性の向上,さらに,燃費向上を目指した電気制御システムの開発をおこなった.効率よく,きれいに除雪をおこなうには,作業負荷を適切に制御し,エンジンの回転数を一定に保つことが必要である.本開発の負荷制御では,電子ガバナより得られるエンジンのスロットル開度を,エンジン負荷を検出するパラメータとして用いている.これにより,負荷制御に必要なリアルタイムでの車速制御が可能となった.実際の除雪作業を想定した同一面積の除雪作業において,従来のハイブリッド除雪機に比べ22%の燃費向上に寄与する結果を得た.さらに,使い勝手に応じたモード制御を設定し,従来の除雪機では手動でおこなっていたエンジン回転数調整や車速調整を自動化した.これにより,初心者でも簡単に使える除雪機を実現した.

  • 養父 利秀, 柘植 正邦
    2006 年18 巻1 号 p. 57-60
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    現在,ほとんどのナビゲーションシステムにおいて,エリアごとの道路状況を提供する「VICS(道路交通情報システム)」という機能が備わっており,現在地周辺の状況を確認する手段として大変有用な機能である.一方,実際の使われ方としてこの VICS情報が提供されているエリアを越えたところにある目的地までの経路上の状況を知りたい,またその情報を反映した経路案内をして欲しいというニーズもあった.VICSデータが民間でも使用できることになったこともあり,目的地までの経路上の情報提供はもちろん,旅行時間(通過時間)を VICS履歴データから予測することも検討できるようになった.ここでは開発した予測手法について紹介する.

  • 原田 智之, 山際 登志夫, 高橋 博久, 田中 明子
    2006 年18 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    耐パンクチューブレスタイヤは耐パンク二重構造タイヤチューブの技術を適用して開発された.開発されたチューブレスタイヤの内側は二重構造になっている.この二重構造タイヤの高温環境下と低温環境下での耐パンク性能テスト,傷の大きさの限界性能,及び穴あき状態での耐久走行テストで良好な結果を得た.高温環境下テストでは径9 mmのピンの刺し傷まで空気漏れを防ぐことが確認できた.また,刺し傷がある状態での走行耐久テストではタイヤ摩耗限界の 20 000 kmまで走行可能なことが確認できた.

  • 原田 龍太郎, 石濵 陽一郎, 布施 勇二, 藤原 欣哉, 内田 孝尚
    2006 年18 巻1 号 p. 67-70
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    自動車開発において製品の測定データを広く活用するためには CAD上で扱うことが有効であり,そのために測定データとの誤差が小さい測定データから生成した面(以下サーフェスという)を CADへフィードバックしている.

    しかしそのようなサーフェスを生成するには,長時間のデータ処理が必要となっていた.そこで「高精度」「高速処理」を両立させる新しいサーフェス生成のアルゴリズムを開発した.その結果,従来に比べ誤差を大きくすることなく,サーフェス生成時間を 10分の1化することに成功した.

  • 飯田 剛, 佐羽内 俊司, 和﨑 知紀, 小﨑 英明, 菊地 徹, 高村 雅浩
    2006 年18 巻1 号 p. 71-76
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    自動車車体解析における FEモデル作成工数削減のために,ホワイトボデー解析モデル作成システムを開発した.本システムはモデル管理システムと自動メッシャで構成されている.モデル管理システムは,ホワイトボデー部品のCADモデル,板厚・材料情報,部品間結合情報を自動で登録し,作成した FEモデルもあわせて管理することができる.自動メッシャは登録された CADモデルより FEメッシュを作成する.今回,計算精度に影響するフィレット,ビード,フランジ等の形状や,スポット溶接結合部の再現性を従来メッシャより向上させることにより,モデルの修正作業工数を削減している.

  • 鈴木 正剛, 植田 真悟
    2006 年18 巻1 号 p. 77-80
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ピストンの耐久性はエンジンの性能を限界付ける重要な要素であり,その温度を知ることでエンジン開発上有用な情報を得ることができる.従来用いられてきた材料硬度法は,一定速運転のデータしか取れない欠点があり,多様なピストン温度測定要求に対応しきれなくなってきている.そこでサーミスタによりピストンの温度を直接計測し,下死点近くで計測情報を受け渡しできる軽量小型な電磁誘導法を用いて高速回転に耐えるピストン温度計測システムを開発した.使用回転速度の高い二輪車用エンジンに適用して,15 300 r/minまでの計測が可能になり,同時に 10時間以上の耐久信頼性を確保することができた.

    本研究では,この電磁誘導法を用いて,エンジン実働運転時の代表的なパラメータを変化させたときのピストン温度変化の実例を紹介し,高速回転時は各パラメータを変化させてもピストン温度が鈍感になる理由を入熱側と放熱側の熱伝達率の違いという概念を用いて説明することができた.

論文
  • 渡辺 生, 河野 昌平, 倉田 眞秀, 古賀 響
    2006 年18 巻1 号 p. 81-87
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    汎用エンジンの熱効率向上を目的として,複リンク機構を用いた高膨張比エンジンの研究をおこなった.通常のクランク機構のコンロッドおよびクランクピンの間に四節リンクを構成し,その一端をクランク軸に対し 1/2の回転数で駆動することにより,一回転毎のピストン行程を非等長とする.膨張行程長を圧縮行程長よりも長くとることで,高膨張比サイクル(アトキンソン・サイクル)を実現した.

    圧縮比 8.5,膨張比 12.3とした場合の熱効率向上効果を,理論熱効率および数値シミュレーションにより算出した.それによれば,従来型エンジンの図示熱効率27.3%に対し,31.3%と4.0ポイントの熱効率向上が可能である.また,吸気弁早閉じ,遅閉じの無過給ミラーサイクルエンジンに対し,図示熱効率で 2.0ポイントないし 2.7ポイントの優位性があることを確認した.

    本機構を用いた試験用の空冷単気筒エンジンを試作し,同出力クラスの従来型エンジンと熱効率を比較した.実測された図示熱効率は数値シミュレーション結果とほぼ一致し,同クラスの従来型エンジンに対して 4.1ポイントの効率向上となった.

  • 瀬古 一行, 林 有登, 中嶋 摩沙洋
    2006 年18 巻1 号 p. 88-93
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    燃費改善の新たな手法として,従来の VTEC機構に加え吸気弁遅閉じ機構を採用した新型 i-VTECエンジンを開発した.本エンジンの特徴は,吸気弁閉じ時期を遅らせた遅閉じカムと出力カムをエンジンの負荷に応じて切換えることで低燃費と高出力の両立を図ったことにある.吸気弁遅閉じ機構では,低負荷時には遅閉じカムを用いポンピングロスを低減させるとともに,高負荷時には出力カムに切換えることで高出力を発生させる.遅閉じカムのバルブタイミング設定に際しては,実車走行条件を考慮するとともに筒内流れシミュレーションを用いた.この結果,遅閉じカムは出力カムに対してエンジン単体燃費を6%低減し,新型エンジンを搭載した車両では10・15モード燃費 17.0 km/L(平成 22年燃費基準+5%)を達成した.

  • 佐藤 謙次, 藤井 欽也, 伊東 真, 香田 信介
    2006 年18 巻1 号 p. 94-100
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    ピストンスカートのフリクションは,シリンダブロックのボア変形やピストンの挙動と従来関係があるといわれており,検証がなされていたが,単独の評価がほとんどであり,実機での仕様変更における詳細な相関性が明確になっていなかった.そこで,本研究では,コンピュータシミュレーションを用い,シリンダブロックのボア変形とピストン挙動を求め,これらを組合せることで実機との相関性向上を試みた.最初に,計算結果を計測値と比較し,その妥当性を確認した.その後,実際のエンジン開発に適用し,フリクション予測手法を構築するとともにエンジン性能の向上を検討した.また,予測はフリクションのみではなく,信頼性についてもおこなった.その結果,信頼性の向上,および,約2%のエンジンフリクション低減が実現された.

  • 鈴木 正剛, 飯嶌 智司, 久保田 良, 前原 勇人
    2006 年18 巻1 号 p. 101-106
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    往復動内燃機関において,圧縮比が同じであればオットサイクルが熱効率は最大になる.このことは上死点で瞬時にして燃焼をおこなわせることであり実際には不可能である.そこで,上死点付近でピストン速度を緩やかに変位させることができれば,その間に燃焼を進行させ,筒内圧を高めて等容度が増し,熱効率の改善につなげることが可能になると考えられる.このことを確かめるために極力定容燃焼が可能となるようにピストンを緩やかに変位させた機関をつくり実験をおこなった.予想どおり等容度は向上したものの熱損失の増加により熱効率は改善しなかった.そこで熱損失を選択的に減じることができる直噴成層燃焼機関において実験をおこなったところ期待どおり高い熱効率を得ることができた.

  • 髙岸 広, 米口 宏, 坂本 大智, 長久保 篤史
    2006 年18 巻1 号 p. 107-113
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    補機ベルトのスリップと弦振動予測を目的としたシミュレーション手法を考案した.これらの現象を再現するため,マルチボディダイナミクスシミュレーションを用いベルトを有限個のバネマスに置き換えたセクションバイセクションモデルで補機ベルトのモデル化をおこなった.ベルトは進行方向およびこれと垂直方向に振動できるモデルとし,プーリとベルト間に摩擦接触要素を定義した.摩擦係数はスティックスリップを予測できるよう滑り速度に対し可変とした.これらの手法でベルトのスリップ量と弦振動振幅を精度よくシミュレートすることが可能となり設計段階で最適なベルトレイアウトを見出すことが可能となった.

  • 山岡 崇樹, 小林 章, 野上 俊一, 大本 浩丈
    2006 年18 巻1 号 p. 114-119
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    自動車用自動変速機のパーキングロック機構について,誤操作による走行中パーキング投入に対し,パーキングロックが防止できる仕様を求める予測技術の開発をおこなった.現象把握と予測精度向上のため,ギャップセンサを用いて実車でのパーキング構成要素の挙動計測を可能とし,高車速でのパーキングロック発生のメカニズムを再現した.予測手法には機構解析を用いて,各構成要素間の衝突を考慮した.予測精度の向上のために,計測結果を基にした反発係数やスプリング減衰力の同定をおこなった.これにより,仕様検討の段階においてレイアウトの制限を考慮しながら,パーキングロックを防止する仕様を予測できるようになった.

  • 桑原 博幸, 三木 秀峰
    2006 年18 巻1 号 p. 120-126
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    二輪車の加速走行騒音低減において,エンジンからの放射音低減はきわめて重要である.エンジン放射音を低減させるためのエンジン放射音解析技術を開発した.エンジン放射音解析においては,ケースやカバーの高周波数に対応した振動解析技術,エンジンに入力される加振力の予測,さらには得られたエンジン表面振動から,音響評価をおこなう解析技術が必要である.今回,それぞれの技術課題を克服し,二輪車エンジンの放射音特性を評価できるようになった.以上の解析を直列4気筒の二輪車エンジンの放射音対策に適用し,試作エンジンにて,加速走行騒音が低減されることを確認した.

  • 岡田 毅, 塩見 和之, 池野 哲朗
    2006 年18 巻1 号 p. 127-135
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    船外機のエンジンマウントの振動特性を把握することを目的に,船外機から直接エンジンマウントの動剛性を求める手法の研究を行なった.

    まず,船外機の実験モード解析から得られるモード特性から,物理座標のエンジンマウントの動剛性を同定する手法を構築した.有限要素法を用いた船外機モデルの計算結果を用いてこの手法を検証したところ,高い精度で動剛性を算出できることが証明できた.

    次にこの手法を小型船外機 BF5(3.7kW)と大型船外機 BF225(165kW)の2機種に適用した.実験モード解析結果からエンジンマウントの動剛性を同定し,従来手法である単体動ばね試験結果との比較を行なった.その結果,推力が付加された状態や,船外機支持構造の剛性が低い状態でも,本手法は従来手法よりもエンジンマウントの動剛性を適切に算出できることがわかった.

  • 能村 幸介, 吉田 準史
    2006 年18 巻1 号 p. 136-141
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    自動車の車内に到来する固体伝播音や空気伝播音の伝達特性を高精度で分離し,それぞれの伝達経路の寄与を把握可能な時間領域伝達経路解析手法を構築した.本手法は,運転中の車両において音源と見なせる点の振動加速度信号と音圧信号,応答点として車内音圧信号のそれぞれを同時に計測し,計算により伝達関数を算出する.高精度な伝達関数を得るために,その算出には主成分回帰法を導入し,多点入力を想定した際に考慮しなければならない各伝達関数間に重複する成分の除去と,計測データに含まれるノイズ成分の除去をおこなう.また,単位の異なる音圧と振動加速度の混在する計測データに対し,独自に考案した正規化手法を導入することで,従来おこなわれているような加振実験を必要としない高効率な伝達経路解析が可能となった.

  • 能村 幸介, 吉田 準史
    2006 年18 巻1 号 p. 142-148
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    日本人,ドイツ人,アメリカ人それぞれ 200名ずつ,計600名の被験者を対象に,自動車の加速中の車内音に対する嗜好性動向について調査をおこなった.その結果,音の好みはおおむね4種類に分類できることがわかった.そして,これらの4種類の好みの程度を客観的な数値で算出可能な評価システムを開発した.また,被験者の属性に対する関連性を調べたところ,各国の性別,年代,自動車に対する関心度合いに依存して音の好みは変化し,女性よりは男性が,高年齢層よりは若年齢層が,自動車に関心の無い人よりは有る人のほうが,加速に伴うエンジン音が聞こえていたほうを好む傾向にあった.

  • 野口 好洋, 土居 隆之, 多田 寛子, 見坐地 一人
    2006 年18 巻1 号 p. 149-153
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    本論は静粛性向上と軽量化を両立する防音パッケージの開発手法について述べたものである.車室内騒音対策解析シミュレーション技術として開発初期段階より適用可能なハイブリッド統計的エネルギー解析手法(SEA法)と積層多孔質材料の音響特性予測技術を用い提案仕様検討をおこなった.

    本技術の適用により,新型CIVICは前モデルに対し,ロードノイズの静粛性を向上するとともに防音仕様の軽量化も実現できた.

  • 大森 彩子, 大澤 充
    2006 年18 巻1 号 p. 154-159
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    クーラントの重要な役割のひとつとして,エンジン内部の冷却通路を錆から守る性能,すなわち防錆性能が挙げられる.防錆性能は,処方される添加剤の種類や添加量によって定まる性能である.  

    近年,主に自動車に適用されているクーラントは,使用される防錆添加剤の種類によって,有機酸処方,リン酸処方,シリケート処方などに大きく分類される.

    本研究では,一般に耐熱寿命の長い有機系添加剤を組み合わせた有機酸処方にてアルミニウムに対する防錆効果の高い添加剤処方の検討をおこなった.あわせてクーラントの処方の違いがアルミニウム表面に及ぼす影響を,金属腐食試験後の表面解析により明らかにしたのでその結果を報告する.

  • 中村 忠久, 仲井 俊顕
    2006 年18 巻1 号 p. 160-165
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    USの PZEVエバポエミッション規制に適合した樹脂製燃料タンクシステムを開発し,新型CIVIC-IMAに搭載した.

    樹脂製燃料タンクシステムの各構成部品の中で透過量の多い,タンクシェル・樹脂チューブ・ポンプシール部材・溶着子部品について燃料透過量低減技術を検討した.

    樹脂製燃料タンクシェルの低透過層に用いる材料として,エチレン含有量を 24mol%とした EVOHを採用し,燃料透過量は従来比 1/5以下を達成した.

    樹脂チューブに用いる低透過材料としては,チューブ機能に必要な柔軟性を持たせるために,エラストマを加えてアロイ化した変性 PPSを採用した.チューブ単体の燃料透過量は,従来比 1/10以下を達成した.

    その他,ポンプシール部材,溶着子部品材の低透過化などの採用により燃料タンクシステムとして 54mg/dayの規制値に対して Phase III燃料を用いた測定で,54mg/day以下を達成した.

  • 小川 剛志, 居原 理, 能見 恵美, 倉田 祐介
    2006 年18 巻1 号 p. 166-171
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    自動車塗装の意匠性向上を目的として,高輝度を有するシルバーメタリック塗料技術を開発した.高輝度を有する塗装は一部の車両に適用されているが,特殊な顔料の適用や複雑な塗装工程設定が必要なため,大量生産には不向きであった.本技術では,下層への溶媒浸透により光輝顔料を最適に配向させる塗料特性を見出すことによって,現状適用されている顔料および,量産塗装工程を用いて高い意匠を達成した.これにより,従来のシルバーメタリック塗色に比べ,2倍の光輝性と顔料粒子が見えない意匠が得られた.

  • 長谷川 清, 谷口 正将
    2006 年18 巻1 号 p. 172-176
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    車室内の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)の低減対応とフィルムの保持性向上に加え,現状の作業性と作業安全性を考慮した60℃吐出タイプのシーラを開発した.

    吐出性確保のため添加していた溶剤分を削減した上で,主成分であるゴム成分を従来のブチルゴムから部分架橋スチレンブタジエンゴム(SBR1)にすることにより熱間時のチクソ指数が上がり,60℃吐出と熱間時のフィルム保持を両立させた.

    また,未架橋スチレンブタジエンゴム(SBR2)を併用することにより,耐熱耐久性を向上させた.

    本開発は,2007年4月より適用される車室内 VOC低減に対する自主取り組みの基準値をクリアすることに寄与する.

  • 林 誠次, 小岩 剛, 黒木 盛男, 山口 俊幸, 三上 浩子
    2006 年18 巻1 号 p. 177-184
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    軽量かつ低投資で高い結合効率が期待できる自動車車体構造として,アルミニウム形材を摩擦攪拌接合(Friction StirWelding: FSW)で結合する構造を検討した.その構造構築にあたり,アルミニウム形材の FSW継手強度を,MIGおよびレーザMIG継手と比較した.試験は,衝突時の強度を考慮し,静的および動的な試験を実施した.その結果,FSW継手の動的強度は接合条件により性能が大きく左右されることが明らかになった.加えて,FSW継手部のモデル化を試み,シミュレーション技術の構築を図った.

  • 土井良 一剛, 大岡 久康, 梅野 好和, 福本 学, 岡村 一男, 上田 秀樹
    2006 年18 巻1 号 p. 185-192
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    完成車における板組みの早期仕様決定と溶接条件設定の迅速化を目的に,ナゲット径を予測可能なSPOT溶接シミュレーション技術を開発した.本技術では有限要素法による電場 -温度場 -応力場の増分連成解析を用い,必要な材料物性は,SPOT溶接過程で生じる現象を考慮し選定した.さらに,選定した各材料物性は,化学成分と機械的特性から予測可能とした.また利便性という観点から,板組みや溶接条件を任意に入力できるソフトウェアの開発をおこなった.完成車の板組みにおいて精度検証をおこなった結果,ナゲット径を±5%の精度で予測できることが確認できた.本技術を用いることで,板組みの早期仕様決定ができ,溶接条件設定に要する時間の約45%を短縮できることが期待される.

  • 大久保 克紀, 辻 正光, 三ツ川 誠
    2006 年18 巻1 号 p. 193-199
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    世界的な環境意識の高まりの中,先進国のみならず進展国においても排出ガスエミッション規制が強化されつつある.排出ガス浄化にはメタルハニカム触媒を用いることが有効である.今回,進展国で多くの人々に使われている小型二輪車向け用途として,ハニカム触媒用のメタル担体を開発した.本開発にあたり,新たに熱応力CAE解析及び単体冷熱加振耐久試験の評価手法を確立した.これらを活用することにより,振動耐久性と冷熱耐久性を両立させた廉価なメタルハニカム担体を開発することができた.

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