Honda R&D Technical Review
Online ISSN : 2187-381X
Print ISSN : 0915-3918
ISSN-L : 2187-381X
18 巻, 2 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
技術紹介
  • 内野 英明, 田中 幸一
    2006 年18 巻2 号 p. 1-5
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    新型 STREAMは,人とクルマのすべての接点で一体感が味わえ,積極的に使いたくなるクルマというコンセプトである Motion Designingという発想で開発した.

    その中で, STREAMのデザインは,高性能なスポーツクーペを思わせる躍動感あふれるデザインを目指し,エクステリアデザインでは,“CROUCHING COUPE FORM”とともに,イメージモチーフを “SILVER WOLF”と定めた動物的な精悍さとシャープさをテーマに開発し,それを表現できるフォルムを実現させた.

    インテリアデザインでは, “Emotional Sports Cockpit”と,“Modern Comfort”を融合した「スポーツモダンインテリア」をその開発テーマとして,先進コクピットと同時に各席の上質で快適な空間づくりとしての居住空間を実現することができた.

  • 加世山 秀樹, 浅沼 信吉, 石田 真之助, 間下 博
    2006 年18 巻2 号 p. 6-12
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    Hondaは,国土交通省が提唱した国家プロジェクトである第3期先進安全自動車(ASV-3)に第1,2期に引き続き参画した.

    第3期においてHondaは事故分析結果に基づき,ドライバから見えにくい,見えない事象による事故類型に着目し,“ぶつからない”,“事故被害を軽減する”,“助ける”という三つを基本コンセプトとした.さらに,これらに沿って関連する技術群を整理した.Honda ASV-3のシステムにおいては,第1,2期において開発した運転支援システムへ近年のセンサおよび車体制御技術の進化を適用した.これらに加え,車車間通信技術を利用したシステムおよび事故後の救命活動を支援するシステムの開発をおこない,対応可能な事故類型の拡大を目指した.これらのシステムを搭載した実験車両を製作し,将来安全技術の提案をおこなった.

  • 櫛田 和光, 片山 睦, 堤 陽次郎, 丸山 一幸, 鎌田 豊, 村田 裕
    2006 年18 巻2 号 p. 13-20
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    国土交通省自動車交通局が提唱した第三期 ASV計画(ASV-3)において,Hondaは「見る支援」「見られる支援」をコンセプトに Honda ASV-3二輪車を開発し予防安全技術の研究を推進した. Honda ASV-3二輪車の予防安全技術は,車車間通信,外界センシング,被視認性向上からなる.車車間通信は「見る支援」「見られる支援」に位置付けられ,Honda ASV-2の二輪車‐四輪車情報通信システムの研究を進めたものである.外界センシングは「見る支援」と位置付けられ,前方監視支援,後方監視支援を採用し,ライダの見落とし防止のための注意喚起,ライダからの死角減少を図った.被視認性向上は「見られる支援」と位置付けられる.人の顔パタン認知能力を利用し発見率を向上させる FACEデザイン,距離感と速度感を向上させる LONGデザインを採用して被視認性向上を図った.

  • 本田 聡, 畑中 薫, 古田 慎司
    2006 年18 巻2 号 p. 21-27
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    小型電動スクータの研究にあたり,都市内の短距離移動に的を絞り,実用性を考慮した航続距離を設定した.小型,軽量でかつ必要十分な動力性能を確保するため,高エネルギー密度型Ni-MHバッテリーを採用し,インバータ,モータおよび一段減速器を一体配置したモジュール型パワーユニットを構成した.さらに小型化による操縦安定性の低下を抑制すべく,部品配置の最適化により前輪分担荷重を確保した.また,従来と同等の乗車姿勢,低いシート高とフロア幅の最小化による足付き性と取回し性の確保,レバー型アクセルの採用によってユーザ利便性を向上させた.その結果,クリーンさ,静かさ,スムーズさなどの魅力を持ち,フラットフロアタイプで全長 1 285 mm,質量 44 kg,15 kmの航続距離,実用的な操縦安定性を持ち,エントリーユーザにも簡単に扱うことのできる小型電動スクータを実現した.

  • 市川 勝久, 廣瀬 好寿, 山本 隆弘, 山岸 善彦, 石川 智明
    2006 年18 巻2 号 p. 28-35
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    「スマートパッケージ」をコンセプトとした電動カート「モンパル ML200」を開発した.

    Aアーム式独立フロントサスペンションおよびフローティングアクスル式リヤサスペンションの採用と主要部品の低配置による低重心化により,静的・動的安定性を確保するとともに乗り心地が向上した.

    モータコントローラには金属ベース基板を採用し,三次元マップシステム同定速度制御および自社製ブラシレスモータ内蔵一体型トランスミッションにより効率の向上と駆動抵抗の低減を図った.車両としての消費電流値は,従来のモンパル ML100に対し9%改善し,一充電当たりの走行距離は 34.3 kmを達成した.

    また,Honda ASV-3 LONG技術を採用した灯火器類の配置により,被視認性が向上した.

  • 太田 徹, 河野 龍治, 伊藤 信裕, 松村 安雄, 高橋 のぶ
    2006 年18 巻2 号 p. 36-43
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    高出力と低燃費,低排出ガスの両立をねらいとした 2.3 L4気筒ガソリンターボエンジンを新規開発した.本エンジンは,Honda独自の i-VTECエンジンに,新開発の可変容量ターボチャージャを追加し, 179 kWの高出力と, 3.5 L自然吸気エンジン並みの低速トルク,高い過給圧応答性を有している.排出ガス低減として,エキゾーストマニホールドのアルミニウム合金化による排気系熱容量の低減,さらに,ターボチャージャ直下に配置した排気触媒容量の最適化等により,エンジン始動直後の排気触媒を早期活性化し, U.S. ULEV2規制適合を可能にしている.本エンジンは,U.S.向け新型 SUVに搭載され,3.0.3.5 L 自然吸気クラス SUV車と同等以上の動力性能とクラストップレベルの低燃費の両立を実現した.

  • 奥井 重雄, 岸 勉, 石川 直宏, 花田 晃平
    2006 年18 巻2 号 p. 44-51
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    低燃費と低排出ガスを両立するハイブリッド自動車2006年モデル CIVIC Hybrid用 1.3L 3stage i-VTEC VCMエンジンを開発した.本エンジンはフリクション低減の徹底と体積効率の向上をおこなうと共に, VTEC技術を進化させ,バルブの開閉切換えを低回転,高回転,気筒休止の3段階で可能とする 3stage i-VTEC VCMを新規開発した.モータの出力向上とあわせ,モータのみでの走行をより広い運転条件で可能とし低燃費化している. 2006年モデル CIVIC Hybridは,新開発エンジンとモータの高出力化,CVTトランスミッションの伝達効率向上などにより, 10・15モード 31.0km/Lの燃費と動力性能向上を達成した.また,高密度2ベッド三元触媒改良などにより平成17年度低排出ガス基準 75%低減レベルの低排出ガスを達成した.

  • 新荻 義久, 山村 誠, 土橋 学, 福嶋 友樹
    2006 年18 巻2 号 p. 52-55
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    電子制御汎用エンジン iGX440の生産が 2005年 9月より開始された.同エンジンでは,従来の機械式の制御によるガバナ機構の代わりに,ECU制御による電子ガバナ機構を採用している.ECUを搭載することで,多様なアプリケーションごとに適切なエンジン回転数や,ガバナの特性を設定することが可能である.

    汎用製品データマネージメントシステムは, ECU交換時のデータ保証体制を一元管理するシステムを構築することで,エンジン流通過程(営業,現地法人,完成機メーカ,ディストリビュータ,ディーラ等)での書き換えを行えるようにした.これにより,不必要な製品派生の削減を実現した.また,データベースに蓄積されたデータを元に,商品の使われ勝手の分析も可能となるなど,将来の開発において従来にない応用展開を可能とした.

  • 片桐 好浩, 岡田 靖志, 浦 能行, 花井 英二
    2006 年18 巻2 号 p. 56-59
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    従来車を上回る低燃費,さらにイージードライブとスポーティの両立を目指して新型 CIVIC用自動マニュアルトランスミッションを開発した.従来のマニュアルトランスミッションをベースとして,ギヤチェンジ &クラッチを電子制御化することで軽量コンパクトな6速自動マニュアルトランスミッションとし,イージードライブとスポーティな走りを実現した.また変速スケジュールと変速時間の最適化によりベーストランスミッションに対し3%の燃費向上を達成した.

  • 青木 康史, 鈴木 健二, 中野 博士, 野尻 欣主
    2006 年18 巻2 号 p. 60-66
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    ハイブリッド車の燃費向上のため,回生ブレーキを有効に活用しながら良好なブレーキフィーリングを実現するブレーキシステムを開発した.このシステムは,機械的な動作で主ブレーキを機能させる油圧サーボをベースにし,ソレノイドバルブ,油圧センサを組み合わせて任意のブレーキ圧制御が可能なものである.油圧サーボにストロークシミュレータを採用し,ブレーキ圧制御の影響を受けないブレーキフィーリングを得るとともに,回生ブレーキと協調した精度の高い圧力制御により安定したブレーキの効きを実現した.本システムを搭載したハイブリッド車において,従来システム比 46%の回生電力増加が確認できた.

  • 柿沼 弘之, 小林 冬樹
    2006 年18 巻2 号 p. 67-74
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    4ストロークエンジンを搭載したトライアル競技専用二輪市販車RTL250Fでは,軽量化のためにエンジン始動方式にキック始動可能なバッテリレスシステムを採用した.燃料噴射制御システムの中心となる ECUには小型モータサイクル用に開発されたスロットルボデー一体型を流用した.燃料噴射制御システムを起動するための電力はキックスタータ操作時に発生する ACジェネレータの起電力を用いている.トライアル二輪車に要求されるドライバビリティや微妙なスロットル操作と急激なスロットル操作の使い勝手を考慮した新たな制御システムを採用した.この制御システムは運転状態に応じた燃料噴射量と噴射タイミングを決定するために1回の燃焼行程に対して2回演算し燃料の吹き終わり位置を調整するロジックを有している.以上により,トライアル競技専用車としてのドライバビリティ向上を達成している.さらにユーザが ECU内のデータを自由にセッティングできる機能を備えている.

  • 村澤 直喜, 鈴木 浩二, 安藤 正訓, 西本 修, 池上 健太郎, 盛田 裕之
    2006 年18 巻2 号 p. 75-81
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    世界で初めて二輪車用標準装備としてナビゲーションシステムを Gold Wingに搭載した.高い走行性能や流麗な外観等,Gold Wingがねらいとする全体コンセプトを崩すことの無いよう,構成部品は小型軽量化し車両の適所にレイアウトした.二輪車の運転に適したルートガイドとわかりやすく,使いやすい Human Machine Interface(HMI)を採用した.また,高速走行でも聞き取りやすい音声ガイドとするため,高出力のオーディオシステムを装備した.これらの結果,Gold Wingの持つロングツアラとしての魅力をさらに高めた.各構成部品は,熱,水,振動など二輪車特有の苛酷な走行環境に対応して,それぞれに熱対策や防水構造を施し,コントロールユニット内に設けられた地図記憶媒体には小型で耐振性の高い半導体メモリを採用した.

  • 浦木 護, 林 達生
    2006 年18 巻2 号 p. 82-86
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    小型二輪車の O2フィードバックシステム専用の O2センサを開発した.小型二輪車用O2センサとしては小型,低コスト,低消費電力が求められており,その実現のため細型プロテクタ,ヒータレス,キャップ,ボデーアースなどの構造を採用した.この結果として従来のセンサに比べて体積 57%低減,質量43%低減,センシング部投影面積79%低減の小型化を実現し,部品点数削減による低コスト化,さらにはヒータレスによる低消費電力化を併せて実現した.また,センシング部の小型化により排気抵抗の低減によるエンジン出力及びスロットルレスポンスの向上が可能となり,センサの搭載自由度を高めた.また,本センサ搭載での完成車のエミッション性能として, EURO3モードエミッション規制値を達成した.

  • 上村 知行, 林 里恵
    2006 年18 巻2 号 p. 87-92
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    自動車用座席シートの仕立て品質に大きく影響する毛割れとシワを改良したモケット表皮材を開発した.

    毛割れを防止するためモケット表皮材のパイル糸構造を改良した.その構造により表皮が折り曲げられた際の地糸の露出防止をおこなった.

    一方シワの発生を抑えるために表皮材のシート形状への追従性を向上した.追従性向上のため表皮材の地糸を適正化し表皮伸び率を 50-100%向上させた.さらに浸透性を上げた極低温ガラス転移点のバックコート剤塗布量の減量により表皮剛軟度を 50mm以下に低下させた.この結果,本開発表皮を用いたシートは毛割れ,シワレベルともに良好な仕立てを実現した.

  • 斉藤 進, 鈴木 純弥, 岩﨑 徹, 川内 昌司, 内野 雄之
    2006 年18 巻2 号 p. 93-97
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    従来より,燃費向上技術として自動車用作動油の低粘度化がおこなわれている.特にマニュアルトランスミッションフルード(以下,MTF)においては低温時のシフトフィーリング向上という商品性の向上効果も期待され,潤滑油の低粘度化に関するさまざまな研究がおこなわれてきた.

    本研究では, MTFの構成要素である基油の配合および粘度指数向上剤(VII)の最適化をおこない,潤滑油の低粘度化を図る際に課題となる高油温時の耐久性を低下させることなく,低温時の低粘度化を図った.その結果,現行油に対し温度換算で 10℃分の低フリクション化と低温シフトフィーリングの向上効果を確認し,高油温側についても現行油と同等の耐久性を有していることを確認した.

  • J. van der Goot, T. Yamaguchi
    2006 年18 巻2 号 p. 98-103
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    近年,地球環境問題への関心が高まるにつれ,欧州自動車メーカー各社は,熱可塑性リサイクル樹脂や天然素材を積極的に車両用部品に適用し,限られた石油資源の有効活用に努めている.

    欧州において,リサイクル材適用の要求が強まる中,廃車残さ ASR(Automotive Shredder Residue)に着眼し,この ASRから分離したポリプロピレン再生材を用い,アンダーボデー部品に適用可能なリサイクル材料を検討した.

    その結果,剛性と耐衝撃性のバランスに優れ,アンダーボデー部品としての要求性能を十分満足するリサイクル材を開発し,2006年モデル欧州専用 CIVICに適用することができた.

    これらの技術により,石油資源を有効活用するとともに,コスト削減を達成した.

  • 上田 孝治, 山上 武, 阪下 英知
    2006 年18 巻2 号 p. 104-109
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    本研究は超音波探傷の検査熟練者の動作に着目し自動化技術を研究することで検査の信頼性が向上すると考え,探傷動作とスポット溶接部圧痕(以後スポット痕と呼ぶ)の認識技術について検討したものである.

    探傷箇所に対しプローブを最適な傾きに対応させながら,均一な押し付け力が得られる機構と輪郭が捉えにくいスポット中心を認識できる技術を開発した.

    これらを産業用ロボット(以下ロボットと呼ぶ)に搭載し,自動車部品を検証した結果,本システムにより熟練者と同等の検出精度が得られることを確認した.

論文
  • 小島 浩孝, 大関 孝, 岡野 則明, 塚田 善昭
    2006 年18 巻2 号 p. 110-115
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    ハイブリッド技術の軽量小型な二輪車への適用には減速回生可能なエネルギー量が少ない,ハイブリッドシステムの搭載スペースが限られているなどの課題がある.それらの課題を解決し最大限の燃費改善効果を得るため,二輪車としては既に市販技術であるスタータ ACジェネレータによるアイドリングストップシステム,電子制御燃料噴射システム,電子制御ベルト式 Continuously Variable Transmission(CVT),後輪直接駆動式モータを採用したシリーズ・パラレル式ハイブリッドシステムを製作した.

    本システムを搭載した実験車両は排気量50 cm3のスクータをベースに用いた.シート下のユーティリィティスペースを確保し,かつ,ハイブリッドシステムを小型化し,排気量 50 cm3エンジンの量産車と同等の車体サイズを実現した.また,燃費は ECE40モードで 60%の向上を実現した.

  • 中島 進, 後藤 博之, 渡辺 修, 松永 俊英, 中島 寛明, 中嶋 摩沙洋
    2006 年18 巻2 号 p. 116-124
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    Hondaは1998年より量産している天然ガス自動車 CIVIC GXを 2006年モデルとして開発し,新たな Compressed Natural Gas(CNG)エンジンを開発し搭載した.この新型エンジンは,出力をさらに向上するべく,排気量の拡大と可変管長吸気マニホールド採用により 15%の出力向上を達成した.また,吸気弁遅閉じによるポンピングロス低減と,気体燃料の特性を生かした吸入行程噴射の組み合わせにより,エンジン単体燃費は4%向上した.排出ガス低減対策として,排気マニホールド一体シリンダヘッド,直下2ベッド触媒の採用により,貴金属量を約 30%削減しつつ Advanced Technology Partial-Zero Emission Vehicle(ATP-ZEV規制)に適合した.車両大型化による重量増加にかかわらず, FTP highway modeでは15%の燃費向上を実現し,Combinedでも同等の燃費を達成した.

  • 東谷 幸祐, 安井 裕司, 佐藤 正浩
    2006 年18 巻2 号 p. 125-130
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    連続可変動弁機構付ガソリンエンジンは,スロットルがなく,バルブで吸入空気量を制御しているため,ポンピングロスを軽減できる.一方,バルブリフトに対する吸入空気量の感度が高く,従来のアイドル制御では,アイドル回転数を高精度に制御することは困難である.

    そこで本研究では,新しいアイドル回転数制御を提案する.この新しいアイドル回転数制御の特徴は,それぞれ2自由度スライディングモードアルゴリズムを用いた吸入空気量制御と点火時期制御を協調させている点である.大きな偏差には空気量制御で対応し,小さな偏差には点火時期制御で対応することにより,アイドル回転数低下に必要とする微小なエンジン回転数の制御を実現している.

    その結果,連続可変動弁機構付ガソリンエンジンにおいてアイドル回転数低下を実現し,アイドル回転数の安定性を向上させることができた.

  • 町田 恭一, 高橋 伸一, 上嶋 英夫, 藤木 賢治
    2006 年18 巻2 号 p. 131-139
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    軸受単体試験によるエンジンの軸受け仕様選定のためには,エンジン実働状態に近いしゅう動条件を再現する必要がある.エンジン実働時の変動荷重を単体試験装置で再現させる高周波加振ができるよう,試験装置の共振抑制と高剛性化をはかり,さらに軸と軸受の片当りを修正する機構を採用した新しい軸受単体試験装置を考案した.この試験装置を用いることで,鉛合金軸受とアルミニウム合金軸受のなじみ性の違いのメカニズムを初めて明確にすることができた.また,実際のコンロッドを用いた小端軸受の評価に適用し,小端部軸受の表面処理方法の違いによるしゅう動特性の評価も可能となった.さらに,再現性の高い軸受の摩擦係数測定が可能になり,軸受材料の効率的な評価が実施可能になった.

  • 高橋 易資, 後閑 祥次
    2006 年18 巻2 号 p. 140-147
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    空冷エンジンの開発のため,冷却風の CFD(Computational FluidDynamics)解析をおこなった.エンジン各部の温度制御には,十分な冷却性能が必要である.しかし二輪車用空冷エンジンの場合,放熱を走行風に頼らざるを得ないことから,安定した冷却が得難い.空冷エンジンは冷却フィンなど形状が細く複雑なため,境界適合格子の作成には多大な工数を要す.また高レイノルズ(Re)数領域と低Re数領域が一つの計算領域に混在するため,壁法則の適用に限界がある.そこで,複雑形状の乱流場を直線直交格子で計算するパーシャルセル法を用いた.解析結果は風洞実験室の可視化結果と比較し,良好な一致を見た.さらにカルマンのアナロジーにより算出した局所熱伝達率の検討により,エンジン開発に有用な知見が得られた.

  • 藤野 健, 李 秉周, 小山 茂樹, 野口 実
    2006 年18 巻2 号 p. 148-154
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    自動車用をターゲットとする電気二重層キャパシタの高エネルギー密度化のために,従来に比べ単位体積当たりで2倍の容量を持つ電極用活性炭材料を開発した.電気二重層容量の増加原因は,表面積の拡大ではなく,黒鉛結晶の端面であるエッジ面の固体誘電分極が起因しているという仮説を導き,黒鉛微結晶が分散する原料炭素体を作製するべく検討をおこなった.原料となる新たな芳香族化合物を見いだし活性炭を作製した結果,低比表面積ながら高容量化できることを確認した.活性炭製造手法であるアルカリ賦活の課題は腐食による金属不純物混入,金属カリウムの生成により,プロセスがバッチ生産となることであったが,新たなプロセス技術を創出して連続生産を可能にした.

  • 齋藤 俊博, 古手川 保, 松浦 吉輝, 田中 征一, 大槻 王一
    2006 年18 巻2 号 p. 155-162
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    オートマチックトランスミッションに採用されている湿式多板クラッチの耐久性を向上させるため,摩擦材の摩耗履歴に着目した.初期摩耗量は係合時のディスク面圧と相関が観られ,一方,定常摩耗量はプレート温度と相関が観られることを計測により明らかにした.次にこのディスク面圧とプレート温度を定量化するためのシミュレーション技術を開発した.シミュレーションから得られた面圧分布と温度分布を用いて耐久摩耗量と相関をとったところ,いずれも良好な線形関係を示した.また,この線形関係はクラッチ仕様や運転条件を変更しても,その傾きこそ異なるものの摩擦材が同じものであるかぎり成立することを明らかにした.この傾きを摩擦材固有の摩耗特性と位置づけた.摩擦材の摩耗特性が得られたことで,任意のクラッチ仕様や運転条件に対し,単体テストの摩耗状態を予測することがはじめて可能となった.

  • 本間 秀樹, 伊藤 未丈, 関 喜孝, 山下 朗弘, 土屋 美紀
    2006 年18 巻2 号 p. 163-168
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    現在二輪車用フレーム部品の開発の中で,基本骨格検討は剛性,強度などの性能を満足した軽量化を達成するために,繰り返し検討をおこなって熟成している.この繰り返し検討工数を削減するために,各種構造最適化技術を検討した.位相最適化技術の設計領域を拡大する作業の代わりに,仮想的に剛性を上げる手法によって,剛性を考慮した軽量化のためのアイデアを簡易で高速に得る解析手法を構築した.

  • 桜井 雅人, 吉本 秀之
    2006 年18 巻2 号 p. 169-175
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    排気吐出音と排気流量の最適化予測技術を,設計者に使いやすい開発支援ツールとして開発した.

    排気吐出音の精度を流体音響理論と実験値による気流音の補正をおこなうことで向上させた.また最適化技術と組み合わせることで,設計パラメータと吐出音や排気流量の目標値との関係を近似関数化でき,設計者自らがリアルタイムに解析でき,初期の設計段階で容易に扱えるライト CAEシステムとして商品開発に役立つ開発支援ツールを提供した.

  • 相川 孔一郎, 丸山 雅司
    2006 年18 巻2 号 p. 176-181
    発行日: 2006/09/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    本研究ではオイル劣化の判断基準に用いられる塩基価, Base Number(BN)の劣化推定技術を構築した.BNの減少を NOxバブリング装置で調べた結果,主に熱と NOxに強く影響されることが認められた.さらに詳細な解析をおこなった結果, BN減少速度を劣化速度式により表すことが可能であることがわかった.この BN劣化速度式を利用して実際のエンジン内における BNの減少を算出した結果, BNモニタリングシステムとして適用可能な値を得た.この推定手法を用いて, ECU(エンジンコントロールユニット)に BNの減少を計算させることによりオンボードで BN劣化推定ができることを示した.

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