Honda R&D Technical Review
Online ISSN : 2187-381X
Print ISSN : 0915-3918
ISSN-L : 2187-381X
19 巻, 1 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
技術紹介
  • 本間 美樹, 藤巻 昇次
    2007 年19 巻1 号 p. 1-5
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    新型CR-V は,先代CR-V の持つ機能的な部分を損なわずにSUVのタフネス感を核として乗用車の持つフォーマル性やクオリティをより高める「PREMIUM SMART SUV」という新コンセプトで開発をした.

    その中で,エクステリアデザインでは「DYNAMIC EMOTIONAL」というコンセプトに基づき,躍動感のあるスポーティフォワードキャビンと大径タイヤを強調したタフネス感のあるロアボデーの組み合わせにより,その方向性を大きくシフトした.

    また,インテリアデザインでは「QUALITY TOUGHNESS」というコンセプトを基にエクステリア同様,SUV としてのタフネス感のある機能的なデザインや使い勝手の良さをベースに,乗用車としての爽快感や安心感を洗練された上質空間で包み込み,それらを高次元に融合することで新鮮でアップスケールなスマートSUV 空間とした.

  • 輿石 健
    2007 年19 巻1 号 p. 6-12
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    新型ASIMO はオフィスなどの実環境で自律的に作業する能力と運動機能の向上を目的に開発された.そのデザインは“人々の身近で役に立つための機能進化”をコンセプトとし,“先進性”および“親和性”をそれぞれあえて強調した複数のモデルを従来のASIMO と比較検討しながら方向性を定めた.また3D データを用いたデザインワークではデザイナーとエンジニアが開発の初期段階から連携し,コンピュータグラフィックス(以下,CG)で動態を,モックアップで実際の空間での存在感を確認しながら,デザインと機構を高いレベルで“調和”させた.その結果,従来のASIMOの“親しみやすい”イメージをいかしつつ,新たな機能を具現化するデザインを実現することができた.

  • 齊木 良治, 中島 進, 中島 寛明, 三木 健太郎, 沖 秀行, 御領園 陽一
    2007 年19 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    Hondaはブラジルの市場ニーズに対応した Flexible Fuel Vehicle(以下 FFV)用 1.8L VTEC4気筒エンジンを開発した.本エンジンはガソリンおよびエタノール,また両者のいかなる混合割合の燃料でも運転を可能とする機能を有する.エンジン本体については VTECによるバルブタイミングの最適化,圧縮比の変更等により,ブラジルの燃料に適した諸元を選定するとともに,燃料系部品については,エタノールの耐食性を考慮した材料を適用してブラジル市場への対応をおこなった.本稿では,当エンジンの達成性能,および採用技術について紹介する.

  • 吉村 肇, 藤間 昭史, 坪内 方則, 宮内 智広, 木村 亨
    2007 年19 巻1 号 p. 20-25
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    走行性能向上および低燃費化に重点を置き, Honda4ストローク中型船外機 BF90のフルモデルチェンジを行った.

    2006年モデル新型 BF90では,SOHC-2ステージ VTECおよび2系統独立制御冷却機構の採用,インテークマニホールドやエアサイレンサなどの吸気系諸元の熟成により,現行 BF90に比べ比出力(kW/L)を 13%向上した.船外機特有の使い勝手を考慮し,O2センサを用いたオープンリーンバーン制御により燃費を現行 BF90に対し 20%向上しつつ,2008年の CARBエミッション規制および 2006年欧州レクレーショナルクラフト指令規制に適合した.

    また,ギヤケース形状の改良により水中抵抗を低減し,完成機重量の軽減と合わせ走行性能を向上した.アルミフィッシングボートに搭載した結果では,現行 BF90に対し 0-200 m加速は 0.9秒短縮し,最高速でも 4.6 km/hの向上となった.

  • 今村 正広, 小西 良和, 井上 真幸
    2007 年19 巻1 号 p. 26-31
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    LEGENDで実現した四輪駆動力自在制御システム(以下 SH-AWD)を技術的ベースとして, SUV車両に適したリヤデファレンシャルユニットを開発した.このリヤデファレンシャルユニットは従来のSH-AWDに対し,高トルク容量化と小型軽量化を達成している.

    これは適応車両特性に合わせて,リヤデファレンシャルユニットに対する要求性能を再設定することで,相反する高トルク化と軽量化を高い次元でバランスさせた結果である.達成手法として,最適レシオ(増速比)の設定と,高μと低摩耗を両立するクラッチ,および新クラッチを最適にコントロールするアクチュエータ(ソレノイド)があげられる.

  • 華山 賢, 永冨 薫, 石崎 達也, 松田 一男, 西村 純一, 鳥取 正臣
    2007 年19 巻1 号 p. 32-35
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
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    電子付録

    歩行者との衝突時に,フードの後部を持ち上げてエンジンなどの部品とフードの間に空間を確保し,歩行者の頭部への衝撃を緩和する POP-UP HOOD SYSTEMを開発した.本システムを新型 LEGENDに搭載し,低いフードでスポーティーなエクステリアデザインを表現すると同時に, 2005年から欧州で始まった歩行者保護規制に対応した安全性能を満足させることができた.

  • Moravy Lars, Nutting Jeremy, Ellis Nate
    2007 年19 巻1 号 p. 36-41
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    本文は磁性流体ダンパ(MRダンパ)の開発およびその 2007年モデル MDXへの適用について述べる.

    2001年以降,MRダンパはさまざまな機種に採用されているが,鉄の微粒子(1 - 10μm大)を含む特種なオイル(磁性流体, MRF)と,電流コントロールが可能な電磁ピストンを組み合わせることにより,幅広い減衰力レンジを可能にした減衰力可変ダンパである.

    本システムは,その幅広い減衰力変化レンジを生かし,従来タイプのダンパに対してボディコントロール性を向上させると同時に卓越した乗り心地を実現したものである.

    本技術は, Active Damper System(ADS)の名称で,スカイフックロジックを基本とした Honda独自のロール,ピッチ,その他数種の高精度減衰力コントロールアルゴリズムと共に 2007年モデル MDXに適用し,結果多くのお客様に満足いただけるより優れた乗り心地とハンドリング性能を兼ね備えることができた.

  • 関谷 重信, 伊沢 正樹, 平井 義貴
    2007 年19 巻1 号 p. 42-46
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    アクティブダンパシステムは電子制御減衰力サスペンションシステムである.そのセンサの校正技術と作動確認手法を開発した.車両を運転して段差を通過しホイールを上下運動させてホイールストローク位置を校正する.このとき同時にセンサの作動確認をおこなう.専用装置を必要とせず,センサの校正と作動確認を数秒以内で終了することができた.

  • 飯山 淳, 吉田 裕之, 太田 日吉, 飯沼 健
    2007 年19 巻1 号 p. 47-51
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    エンジンマウントへの大きな変位入力が特徴的な,ブラジルのサンパウロ地区およびアメリカのボストン地区での実車入力を紹介する.サンパウロ地区では,ボストン地区に比べ常用速度域での変位入力が大きく頻度も約10倍で,また他地区では計測されないような特徴的な変位ピークが存在する.

    このピークは,サンパウロの路面の荒さと急勾配の坂道の影響であった.

論文
  • 古賀 響, 渡辺 生
    2007 年19 巻1 号 p. 52-58
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    複リンク機構を用いた汎用高膨張比エンジンの燃焼および効率について,リンク系部品を除き同じ構成部品からなる従来型エンジンと比較した.

    供試エンジンの図示熱効率は,従来型エンジンの 29.6%に対し, 33.2%に向上する.圧縮上死点付近のピストン速度は従来型に比較して遅く,その質量燃焼割合の変化は燃焼期間中の燃焼室容積に対するシリンダ容積比の変化に依存することがわかった.このため,クランク角度基準でみた最適点火時期の負荷に対する変化は,従来型エンジンよりも小さい.点火時期固定による運転で比較した結果,供試エンジンの汎用 EPAモードにおける正味熱効率は,従来型の 20.1%に対し約 13%向上し 22.7%となった.

  • 北村 徹, 篠原 俊成, 高梨 淳一, 浦田 泰弘
    2007 年19 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    均質圧縮自己着火(HCCI)燃焼は,火炎伝播燃焼と異なりスパークプラグの点火によらず着火する燃焼であり,着火には多くのパラメータが存在し,最適な着火時期に制御することが大きな技術課題の一つである.そこで,内部EGR量と吸入空気量を決定する排気と吸気行程の部分および,化学反応により熱発生が生じる圧縮行程の部分から構成される HCCI着火時期シミュレーションモデルを構築し,性能試験結果と一致することを確認した.またこの着火時期シミュレーションモデルを基本に制御アルゴリズムを構築し,電磁バルブを備えた4気筒エンジンに適用し, HCCI燃焼で要求トルクに応じた着火時期に制御できることを確認した.

  • 後閑 祥次, 高橋 易資, 稲吉 真
    2007 年19 巻1 号 p. 65-72
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    エンジンの冷却は,出力,燃費,騒音,耐久信頼性への影響が大きく,設計段階におけるエンジン各部の温度予測は,二輪車用空冷エンジンの開発にとって重要である.

    本研究では, Computational Fluid Dynamics(CFD)を用いて冷却風および冷却用オイルの流体挙動を解析して熱伝達率を算出した.これを境界条件として熱伝導計算をおこなうことにより,エンジン各部の温度分布を求めた.

    解析の結果,空冷方式に油冷システムを併用することで,点火プラグ座近傍温度で大幅な温度低減が可能となり,水冷エンジンに近い温度分布が得られる見通しを得た.また,冷却油量を制御することで気筒間の温度不均衡の改善も可能となった.

    さらに実走行試験においては,熱負荷軽減によるノッキング限界の向上も確認できた.

  • 細江 広記, 坂主 政浩, 徳島 君博, 西山 忠夫, 金枝 雅人, 紺谷 省吾
    2007 年19 巻1 号 p. 73-78
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    リーン NOx触媒で起きていた NOx吸着成分であるアルカリ材の移動を阻止し,かつ高浄化率を維持できるメタル担体を開発した.メタル担体にはアルカリ材と反応しやすい Siがほとんど含まれていないため耐久後も高浄化率が得られるものと期待されていたが,長時間のエージング後はコーディエライト担体を用いた場合よりも浄化率が減少した.これはアルカリ材がメタル担体内に移動するのではなく,メタル担体中の Crが触媒層に移動しアルカリ材と複合化合物を作るためであった.さらにこの Crの触媒層への移動を防止するために従来のメタル担体を 1100℃の大気雰囲気で熱処理することにより表面にαアルミナを形成させた担体を新規に開発した.開発品においてはアルカリ材の移動はなく,また Crの移動もほとんど見られなかった.本担体を用いた場合,従来のコーディエライト担体を用いた場合よりも 830℃にて 280時間エージング後の NOx浄化率が 31%向上した.

  • 岡本 雅之, 寺山 哲, 森本 茂
    2007 年19 巻1 号 p. 79-85
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ホンダマルチマチックSは,発進機構として油圧制御湿式多板クラッチ(発進クラッチ)を採用した軽量コンパクトなCVTである.この発進クラッチの油圧制御はトルクコンバータの特性が規範となっているが,実油圧の監視はしていない.そのため,油圧回路の温度変化や経年劣化,あるいは構成部品の加工ばらつきなどによる油圧特性の変化に対し発進特性が影響を受けてしまうという課題がある.そこで本研究では,特に温度変化に対してロバストな発進クラッチ制御を実現するため,電子制御による油圧サーボ系を構成した.コントローラ構造は2自由度制御系とし,フィードバック部にはμ設計法を用いて特性変動を積極的に考慮した.

    その結果特に低温下での応答性が向上し,また常温,低温でほぼ同等の立ち上がり時間,オーバシュート率を実現した.

  • 浅井 鉄也, 瀧谷 善弘, 佐野 直幸, 松本 斉
    2007 年19 巻1 号 p. 86-93
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    軟窒化処理による強度向上効果を最大限に活用する材料成分設計をおこなうことで,同じ素材硬度を有する従来のクランクシャフトに比べ約 16%高い疲労強度,かつ同等の加工性および曲がり矯正性を有する非調質軟窒化クランクシャフトを開発した.開発材が有する高い疲労強度と曲がり矯正性の両立は,少量の Mo添加による適度なフェライト強化によって達成された. Mo添加による強化メカニズムは, Mo炭窒化物の析出による二次硬化ではなく,軟窒化処理中に形成される Moクラスタが大きな格子ひずみを生み出し,通常の固溶強化よりも降伏応力を増大させているものと考えられた.また焼準処理工程の廃止などにより従来高強度クランクシャフトに比べて,熱間鍛造以降の製造時に排出する CO2量の最大約 22%の低減,およびコスト約8%の低減を達成した.

  • 杉村 健太郎
    2007 年19 巻1 号 p. 94-99
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    内燃機関用ピストンスカート部への適用を目的とし,耐摩耗性の高い低フリクション表面処理技術を開発した.従来の低フリクションコート剤は,含有するモリブデン等の固体潤滑剤が,自己潤滑,摩耗,摩滅することで低フリクションを実現するため,長時間にわたる性能効果の維持は期待できなかった.本技術は,オイル吸着効果を有する高強度被膜により,従来比約5倍に耐摩耗性を向上しつつ,約 40%のフリクションを低減するものである.

    また生産性においても,ピストンスプレー塗装技術を応用したものであり,特殊な生産設備等を必要とせず,材料置換だけで容易に切り替えが可能である.

  • 茂木 恵美子, 溝根 哲也, 長谷 裕之, 西谷 広滋
    2007 年19 巻1 号 p. 100-106
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    タイヤの転がり抵抗低減とウェット路面での制動距離短縮は,低燃費化と走行安全性の観点から重要である.しかしこれらの性能はトレッドゴムの性能によるところが大きく,両立させるためにはゴムの粘弾性特性の二律背反性能を克服する必要がある.

    本研究では,車両の走行時,制動時におけるタイヤの接地面挙動解析を詳細におこない,制動時にはタイヤトレッドの接地幅方向の両端部ゴムの性能寄与が大きく,定常走行時には中央部ゴムの性能寄与が大きいことを見出した.この結果から分割トレッド構造を考案し,それぞれの部位に粘弾性特性を最適化したゴムを配置し,かつ接地圧を均一化したタイヤを開発することにより,転がり抵抗を維持したままウェット制動距離の 5m短縮を達成した.

  • 前 博行, 岸本 喜久雄
    2007 年19 巻1 号 p. 107-113
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ミクロスケールの材料パラメータに基づき,部品レベルでの衝撃大変形解析をおこなうため,クレイズ密度依存型軟化則を現象論的に提案する.そのため,ミクロスケールでの実験と粗視化分子動力学を用いて,クレイズ生成,成長,フィブリル破断をモデリングする.そして,本軟化則を導入することで志澤らのモデルを改良し,部品レベルでの衝撃大変形解析をおこなう.最後に,部品レベルでの実験と解析結果を比較し,本手法の有効性を示す.

  • 前 博行, 岸本 喜久雄
    2007 年19 巻1 号 p. 114-121
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    押出しアルミニウム部材は押出方向と押出垂直方向とで機械特性が大きく異なることが知られる.負荷荷重の方向が一様でない場合における押出しアルミニウム部材のエネルギー吸収性能を評価する際には,それら機械特性の押出方向依存性を考慮する必要がある.そこで本研究では,直交異方性を有する損傷モデルを用いた解析手法を提案することを目的とし,まず押出方向と押出垂直方向とから切出した試験片を用いて引張,3点曲げ,混合モード破壊試験をおこない,直交異方性の影響を把握した.つぎに,簡便な直交異方性損傷モデルを用いて,押出しアルミニウム部材の圧潰挙動をシミュレートし,実験と比較した.その結果,本手法が有用であることが確認された.

  • 近藤 隆, 須藤 晶, 安田 紘之
    2007 年19 巻1 号 p. 122-128
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/09
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    低速こもり音やドラミングなどの低周波音圧に対して,複数のパネル振動の位相に着目し音圧を低減する手法を検討した.低周波騒音の事象はキャビン形状で決まる音響モードの影響が大きい.そこで低周波数領域において車室内音圧に影響のあるパネル位相の関係をパネル共振周波数の配置によって実現し,音圧を低減する方法を考案した.

    また,低周波数領域における BEM解析技術を構築し,測定結果から得られた境界条件によって車室内音圧の予測ができ,各パネルの寄与を明確にした.これらの結果から,完成車において複数のパネル共振周波数を変更する構造変更をおこない,音圧を打ち消す位相の関係を実現することで 10dBの音圧低減効果が得られた.

  • 木立 純一
    2007 年19 巻1 号 p. 129-134
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ドアが閉まるときの境界条件を確保するため,実稼動モード解析(OMA)を用いてモード解析し,時刻歴振動挙動(ODS)と振動モードの関連付けをおこなった.さらに振動挙動と音の放射現象の関係を証明するために , 時間領域音響ホログラフィにて音響放射現象を確認した.従来法では低周波の測定限界があったため,今回は,新しい手法である統計的最適化近距離音響ホログラフィを用いた.その結果,過渡状態における振動現象と音響放射現象に関連性があることを確認できた.また,振動の流れをコントロールすることで,ドア閉まり音の音色を変える手法を開発した.

  • 多田 寛子, 井出 史彦, 佐々木 匡, 許 筠
    2007 年19 巻1 号 p. 135-141
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    車室内音低減と燃費向上のために,車体に適用される防音材仕様最適化探索手法に注目した.最適な防音材仕様を提案するために,2ステップからなる手法を確立した.(1)防音材をいくつかの要素に分割し,各要素における多層構造材料とその板厚を設計変数とする.車室内音と防音材重量を目的関数とし,各要素での最適音響特性(吸音率,透過損失)を探索する.(2)各要素の多層構造板厚分布を設計変数とし,二つの音響特性(吸音率,透過損失)を目的関数とした最適板厚分布を探索する.

    確立した手法を用いて,フロア部を事例に最適防音材仕様の探索をおこなった.その結果,軽量で車室内音目標値を満足する最適防音材仕様を探索できた.

  • 手塚 良孝, 玉島 勉, 細田 和作, 宮岸 俊一, 中村 豊一, 吉木 浩人
    2007 年19 巻1 号 p. 142-148
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    二輪車の走行シミュレーションにおいて,ライダは車体に固定の質量として扱われてきたため,ライダ挙動に関する研究とシミュレーションへの適用が長年の課題であった.本研究では,ライダ挙動を取り入れたワインディングコース走行シミュレーション技術構築を推進した.映像処理型のモーションキャプチャにより,実走行時のライダ挙動を数値化し,車体モデルに結合させた新たな人体モデルに適用することで,実際のライダ挙動を再現した.計算に必要な走行軌跡の取得には, Global Positioning System計測機器を用いた.得られたデータと多自由度ライダモデルを導入した二輪車走行モデルを,機構解析ソフトに適用することで,ライダの積極的な体重移動と加減速を伴うワインディングコース走行の計算精度が向上した.

  • 神谷 満好, 小林 利彰, 嶽 和秀, 高橋 幸敬, 三原 雄司, 染谷 常雄
    2007 年19 巻1 号 p. 149-155
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ピストンスカート面形状,剛性,質量に影響を与えない小型薄膜圧力センサを物理蒸着法によりピストンスカート面に直接成膜し,ピストン打音発生時のシリンダライナ加振力と密接な関係にあるピストンスカート面の油膜圧力を測定した.その結果,実稼動エンジンにおいて,ピストン打音の指標であるシリンダライナ振動加速度に追従した油膜圧力が測定され,本測定手法の有効性を確認した.また,エンジン回転速度やピストンピンオフセット量の変更に伴うピストンスカート面の油膜圧力分布の変化が測定できた.これらより,シリンダライナ振動加速度のみでは説明できない,ピストンがシリンダライナへ衝突した際のピストンスカート面の油膜圧力の違いから,そのピストン挙動の違いを明確にした.その結果,ピストン挙動シミュレーションの精度向上が図られ,ピストン打音対策への効率の良い検討が可能となった.

  • 小林 利彰, 嶽 和秀, 神谷 満好, 高橋 幸敬
    2007 年19 巻1 号 p. 156-162
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    新たなるピストン打音予測手法を確立した.従来,ピストン打音予測は,ピストン挙動シミュレーションを用いた運動エネルギー等による評価であったが,予測精度が低く信頼性に欠けていた.本研究では,ピストン打音と相関の高いシリンダライナ振動に着目し,シリンダライナ熱変形の予測精度向上と,ピストンとシリンダブロック動剛性モデルの精度向上,および油膜モデルの改良による3次元ピストン挙動シミュレーションプログラムの精度向上を図ることにより,精度の高いシリンダライナ振動予測を可能とする.これにより,ピストン打音が実用上十分な精度で予測可能であることを,実働時エンジンの測定値と比較し確認する.そしてこの手法を新規開発エンジンに適用することより,開発初期段階でのピストン仕様決定を可能とする.

  • 坂口 元康
    2007 年19 巻1 号 p. 163-168
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    エンジンの実稼動データからの固有モード抽出技術の提案をした.エンジン振動の特性を考慮し,部分空間法に次数トラッキング振動データを用い,モード抽出精度が向上した.

    FEMの検証に用いられるモード形に注目して,本提案手法の精度検証をおこなった.パルスを用いた加振テストで擬似的にトラッキング解析をおこない,伝達関数を用いるモード解析と比較し,相似のモード形が得られることを確認した.本手法を実際のエンジン振動へ適用し,ディーゼルエンジンのチェーンカバーのモードの抽出をおこない,従来用いられていた,実稼動時振動形状解析,および平均処理スペクトルによるモード抽出に比べ,モード形の直交性が向上した.

    以上の結果から,従来手法と比べエンジンの実際の稼動条件での固有モードの抽出精度が向上する手法を確立した.

  • 岩本 達也, 齋藤 淳也
    2007 年19 巻1 号 p. 169-176
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2026/03/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    単気筒エンジンに多用される組立型クランクシャフトの動的挙動をシミュレーションする場合,クランクピン圧入の影響やクランクシャフトに直接配置される Alternating Current Generator(ACG)ロータの動的特性,および転がり軸受の特性を正確に表現することが,計算精度を向上するうえで重要である.これらの特性の変化を単体試験により検証するとともに,確認された動的特性を正確に表現したクランクシャフト系の機構解析モデルを構築し,さらに三次元弾性接触特性を表現できる転がり軸受モデルを開発した.これらを機構解析に適用することにより,組立型クランクシャフト系の動的挙動を,強度評価上実用十分な精度でシミュレーションできることを確認した.

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