Honda R&D Technical Review
Online ISSN : 2187-381X
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ISSN-L : 2187-381X
22 巻, 2 号
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技術紹介
  • 名倉 隆, 尾崎 貴史, 柳本 佳久, 橋本 栄子
    2010 年22 巻2 号 p. 1-8
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    CR-Zは,車が本来もつ「運転する楽しさ」という魅力の表現と化石燃料の消費に伴なう環境課題への対応をハイブリッド技術により具現化した.「HYBRID Café Racer」というグランドコンセプトのもとに新世代のコンパクトスポーツカーとして開発した.

    エクステリアデザインはコンパクトかつ力強さと先進感を「Advanced Sensual Bullet」をテーマとし表現した.インテリアデザインは「SMART COCKPIT」をテーマとし,先進感と運転に集中できるスポーツ感を表現した.

  • SCHUMAKER Eric, MATEI Catalin, FUJIOKA Devon, ISHIDA Lori, BROWN Natha ...
    2010 年22 巻2 号 p. 9-13
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    The 2001 Honda Odyssey redefines the American minivan market by more completely fulfilling a family’s rational needs and their emotional desires. Previous generations of the Odyssey led the competition in adaptable utility and spirited driving dynamics. The fourth generation Odyssey, guided by the concept of “Cool Family Dream,” completely satisfies the minivan user’s need for flexibility, utility, and comfort, while completely delighting the customer with exciting interior and exterior styling. It breaks free from the traditional image that a minivan works for a family, but is not something to desire.

    For the 2011 Odyssey, the Interior Design Team’s goal was to create an experience balancing emotional and rational needs. As a minivan, Odyssey’s paramount mission is to satisfy a wide range of user expectations. Versatility and functionality are the cornerstones of the minivan’s existence, and this new generation of Odyssey set forth to enhance Odyssey’s already class-leading functionality and flexibility. The challenge came with adding an emotional aspect to that formula. Words such as “athletic” and “stylish” describe some traits the development team added as a new dimension to this pragmatic segment by way of a fresh interior layout and design.

    The exterior design, based on the concept “Dynamic Monovolume,” wraps the increased functionality of the interior with athletic forms and lines. The result is a new-generation Odyssey not just pleasant to look at, but truly stylish and desirable. No longer will the Odyssey be considered a “Mommy Mobile” or a necessary family household tool needing to be excused. The 2011 Odyssey is a stylish and smart expression desired by positive young families.

  • 岸 敏秋
    2010 年22 巻2 号 p. 14-19
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    大型スポーツツアラモータサイクルの商品カテゴリで,唯一 V型4気筒エンジンを採用し,欧州市場での独自のポジショニングを獲得してきた VFRの新規機種開発において,新たなスタイリングデザインに挑戦した.洗練された大人のためのスポーツツアラというデザインコンセプトの基,スポーツモータサイクルとしてのダイナミズムと,ツアラとしての高機能をより高い次元で融合した,マス集中フォルムの実現を目指した.デザインの実現にあたっては,四つの外観要素を一つのフォルムとして結実させることで新しい魅力創出を図った.その結果,歴代 VFRが築き上げてきた洗練の表現を保ちながら,Hondaモータサイクルのフラッグシップにふさわしい,先進性とプレミアム性をアピールできるスタイリングデザインが実現できた.

  • 飯田 道博, 前田 譲治, 笹嶋 剛, 藤沼 正訓, 深野 純
    2010 年22 巻2 号 p. 20-27
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    燃料にカセットボンベを用いることで取扱いや保管を容易にするとともに,発電機になじみのなかった人達でも扱いやすい発電機を開発し,ホームユースを中心に新たな市場開拓を目指した.

    外観はスリムな縦長フォルムとすることで,操作性の向上や設置面積最小化による保管の自由度の向上を図った.さらにはハンドルの最適化によるけん引性の向上を図り,ホームユーザが使いやすい機能的なデザインとした.

    ボンベは二本仕様とすることで連続運転時間一時間以上を確保するとともに,ボンベ間の燃料の逆流を防止する構造を設定した.また,ボンベを誤装填しないための機構,本機傾斜時のエンジン停止システム,横置き後の始動時に白煙発生を防止する外部ブリーザ構造も採用した.

    さらに,取扱い性に配慮した商品性向上技術として,ホイールやハンドルを標準装備して持ち運びを容易にするとともに,チョークの廃止,燃料バルブ連動エンジンスイッチの採用により,始動操作をシンプルにした.

  • 中沢 孝治, 長岡 久史, 武内 淳, MOBURG Frank, 山下 郁也, 岡部 昌規
    2010 年22 巻2 号 p. 28-35
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    一般家庭に設置することを想定した差圧式高圧水電解型ソーラー水素ステーション (High differential pressure water electrolysis-type Solar Hydrogen Station: SHS2)を製作した.この SHS2には,新たに開発した革新的技術である差圧式高圧水電解スタックを投入した.このスタックは,酸素極側と水素極側がともに高圧状態に保たれている一般的な高圧水電解スタックとは異なり,酸素極側は常圧であり水素極側のみ 35 MPaの高圧状態に維持されている.したがって,一般的な高圧水電解スタックに比べ,構造がシンプルであり小型化することが可能である.また,本スタックは水素発生機能と水素昇圧機能をあわせ持ったものであり,これを搭載した SHS2では小型高効率で低騒音の家庭向け水素製造装置を実現することができた.

    SHS2は従来型ソーラー水素ステーション (Previous Solar Hydrogen Station:SHS1)と比較して,容積 60%の省スペース化とシステム効率 25%の向上を達成した.

  • 勝俣 耕二, 清水 賢治, 青木 忠信, 荒井 秀実
    2010 年22 巻2 号 p. 36-40
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    高出力化と共にさまざまな燃焼制御がなされる近年のディーゼルエンジン開発に適したピストンの非接触リアルタイム温度計測手法を新たに導入し,エンジン単体および実車走行時の温度特性を計測した.

    本手法は小型テレメータを用いており,アンプやアンテナをピストンに搭載可能である.このためレイアウト性,作業性に優れている.本手法を用いて平均ピストンスピード14m/s以上のディーゼルエンジンにて従来リンクシステム同等の計測精度と,15時間以上の耐久性を確認した.

    本手法にてディーゼルエンジンの運転パラメータがピストン温度へ及ぼす影響を把握した.また運転条件全域におけるピストン温度マップを作成し,燃費,エミッションへの寄与について検討した.

  • 奥山 高弘, 福澤 毅, 橋本 朗
    2010 年22 巻2 号 p. 41-48
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    スーパースポーツカー用に開発したV10500馬力エンジンの環境対応技術を紹介する.高出力と低燃費の両立のために高出力型DOHCi-VTEC機構に気筒休止機能を追加した新たな動弁系を開発した.高出力と低エミッションの両立のために,エキゾーストマニホールド(エキマニ)はロングタイプとし,排気浄化システムとして2ベッド直下キャタライザ(CAT)と床下CATを配置し,排気2次エアシステムを採用した.失火検知対応には,筒内圧検出システムを採用した.これらの技術により,競合車中トップクラスの出力性能と時代の要求に応える高い環境性能を両立することができた.

  • 奥山 高弘, 中田 真
    2010 年22 巻2 号 p. 49-56
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    スーパースポーツカー用に開発したV10500馬力エンジンの出力と信頼性に関する技術を紹介する.500馬力を超えるハイパワーを実現するため,吸排気の気筒間干渉の徹底した低減を図り,レーザクラッドバルブシートを採用した.スポーツカーにとって出力と同様に重要なハイレスポンスのために気筒別独立スロットルを採用し,主運動系部品には徹底した軽量化をおこなった.信頼性保証については,本エンジンが搭載を予定していたNSX後継車の使われ方を考察し,サーキット走行を含めた全領域の保証をおこなえるテスト基準を実走データをもとに定め実施した.以上により,目標とした魅力ある走りを,あらゆる場面で安心して楽しめるエンジンができ上がった.

  • FONSEKA Sanjaya
    2010 年22 巻2 号 p. 57-63
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    The automotive industry continues to face the challenge of developing efficient side body structures that help to reduce the risk of injury to occupants in collisions. The B-pillar, Roof, and Side Sill are key structural members that help reduce the risk of injury to the occupants during a side impact crash event. This study used a simulation-based global optimization method to find optimum thickness for the B-pillar, Roof, and Side Sill components considering baseline material specification and vehicle performance in the IIHS SICE (Side Impact Crashworthiness Evaluation) and FMVSS 216 (Roof Crush Resistance) safety tests.

    Fifteen design variables were defined by selecting structural members from a unibody vehicle design. The objective of the optimization was to find the most efficient distribution of mass for the structural members that are vital for the occupant safety. Automated simultaneous simulations were conducted using a global optimization method called Self-Adaptive Evolution. This methodology resulted in a 11% increase in occupants survival space (or decrease in occupant compartment intrusion), and 1.7% reduction in total mass compared to the baseline structure. Also this optimization result met the FMVSS 216 roof crush resistance requirement.

  • ITO Tetsuhiro, GOMA Hisayuki, GRAHAM Jason
    2010 年22 巻2 号 p. 64-71
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    In the North American market, the US Honda Odyssey is commonly regarded as the “King of Minivans” because of the great value it provides to customers. Among other things, its low-flat floor packaging offers significant value, and the fuel tank system packaged under the floor greatly contributes to securing sufficient cabin space and making the low floor possible.

    For the development of the fourth generation Odyssey, which applies an exclusive platform for the North American market, the underfloor platform was carried over from the previous model. However, the overall fuel tank system design was changed to further improve its reliability and reduce cost.

    Specifically, fuel leakage was successfully eliminated by using a 2-vent system located on the top of the tank that consists of a Vent Shut Float (VSF), which detects when the fuel tank is full, and a Rollover Valve (ROV), which allows the tank to vent when the VSF is closed. As a result, the liquid-vapor separation device that was applied to the previous model to address this issue could be removed, thereby simplifying the low-profile tank vent system.

  • NATH Sanjib, PAUL Scott
    2010 年22 巻2 号 p. 72-77
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    Brake squeal analysis is a difficult process to set-up because selecting proper solver parameters and boundary conditions is complex. For that reason, an automation tool has been developed to mesh, set contacts, set constraints, define the non-linear and complex eigenvalue analysis parameters, and apply a gradual pressure load. The key benefit of this tool is that it helps a non-specialist quickly find unstable modes in the brake system design without prior knowledge of complicated CAE tools.

  • 柳沢 毅, 山西 輝英, 宇津木 克洋, 永露 敏弥
    2010 年22 巻2 号 p. 78-84
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    125cm3スクータ「PCX」の環境性能向上のために125cm3エンジンに搭載できるアイドリングストップシステムを開発した.静かな始動音で高い質感を実現するために始動用の減速機構を持たないACGスタータを用いたシステムとした.このエンジンをクランキングするためには大型のACGスタータが必要になり,125cm3エンジンのACG取付けスペースに搭載することが課題となる.この課題を解決するためにデコンプレッション装置によるエンジンのクランキングトルクの低減と,慣性力を利用したクランキング方法を採用した.これによって125cm3エンジンのACG取付けスペースに搭載可能なサイズのACGスタータを実現した.

  • 鈴木 憲二, 宮丸 幸夫
    2010 年22 巻2 号 p. 85-90
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    生涯にわたる交通安全教育の実現には二輪車・四輪車の運転者教育に加え,免許を有しない自転車利用者の交通安全教育が不可欠である.そのため,幅広い年齢層に対応し,交通ルール,およびマナーの習得と危険予知予測能力の向上に有効な機能を有する安全運転教育用「自転車シミュレータ」を開発した.

  • 岡部 達哉, 山田 健太郎, 木村 真弘, 戸田 明祐, 佐藤 雅昭, 山下 宙人, 武田 祐輔, 川人 光男
    2010 年22 巻2 号 p. 91-98
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    機械は手や足や声などを使って操作するが,その基本概念を崩す「脳・機械インタフェース(BMI)」と呼ばれる技術が近年注目を浴びている.これは脳と機械を直接つなぐことで,考えるだけで機械を動かすことが可能となる技術である.

    Hondaは,(株)国際電気通信基礎技術研究所,(株)島津製作所と共に,BMIのコア技術である脳計測装置と意図検出アルゴリズムの研究開発を行い,高性能かつ日常生活で利用可能なBMIの開発に成功した.脳計測装置として,脳波計と近赤外光脳計測装置を併用しリアルタイムに脳活動を計測できるシステムを新たに開発した.また,意図検出にはSparse LogisticRegressionと呼ばれる手法を用い,高次元データの中から重要なデータを自動的に抽出し,高性能に意図を検出できるシステムを開発した.

    これらの新しい技術を使って,4択運動イメージ(右手・左手・舌・足)と呼ばれる実験で,世界最高水準の90%以上の精度で機械を考えるだけで動かすことが可能となり,BMI実応用の第一歩を踏み出すことが出来た.

  • 村上 真, 野村 和範, 久木 隆, 笠原 康彦
    2010 年22 巻2 号 p. 99-105
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    自動車の制御システム開発は,燃費向上,環境対策,高い安全性を達成するために年々複雑化している中で,開発期間の短縮が求められている.システムが複雑化,大規模化するほど,V字プロセス開発の上流設計の精度がその後の工程に与える影響が大きく開発期間短縮の大きな課題となっている.この課題を解決するために,ユースケースシナリオや品質機能展開シート(QFDシート:QualityFunction DeploymentSheet)を用いて要求抽出をおこない,要求分析とシステムモデル設計手法であるModel Driven System Engineering(MDSE)の要素を取り入れたTotal Trial Sheet(TTS)を用いて要求分析とシステムモデル設計をおこなうことで,開発初期段階での仕様完成度を上げる手法を考案した.

  • 星野 元亮, 吉野 崇, 福地 有一, 寺村 実
    2010 年22 巻2 号 p. 106-113
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    流体現象を実験的に明らかにする手法のひとつとして,Particle Image Velocimetry(PIV)がある.PIVは瞬時の流れ場の速度を多点で非接触に計測することができる.四輪実車まわりの流れ場は大きなスケールの流れ構造があるため,広い領域の計測が必要である.このような大規模な流れ場を計測可能とするラージスケール PIV計測技術を開発した.

    計測の良否を定量的に評価し得る指標を導入し,その指標と計測精度の関係を明らかにした.また,流れ場への粒子の混入(シーディング)を時間的及び空間的に均一にすることが可能なシーディング装置と,反射光を低減する手法を開発した.これらの要素技術を適用することで1.7m×1mのラージスケールにおいて瞬時速度場を評価し得るPIV計測が実現できた.またスキャニングシステム及び統合計測ソフトウェアを構築することで,短時間で多断面の計測を可能とした.

  • 和田 武, 直本 達夫, 岡島 秀典
    2010 年22 巻2 号 p. 114-118
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ブロック積層接合・高速加工法により,シリンダヘッドなどの中空構造アルミニウム合金エンジン部品を製作するプロセスを開発した.これにより,従来の砂型鋳造法のように型を用いないため,短期間に高精度な先行試験用シリンダヘッドの製作が可能となり,早期の仕様決定を可能とする.

論文
  • 畑野 潤一, 原田 丈也, 松井 一博, 小林 広樹, 松井 竜太
    2010 年22 巻2 号 p. 119-125
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    ディーゼルエンジンは,燃焼を改善することによりNOxとSootを低減させることが求められている.予混合圧縮着火燃焼(PCCI)は,NOxとSootを画期的に低減できる燃焼方式として期待されている.しかし,本燃焼方式は,エンジン負荷の増加に伴い着火遅れ期間の確保が困難になること,および燃焼騒音が増加するため適用できる運転領域が低回転低負荷に限定されていた.

    本稿では,PCCIの適用運転領域を拡大するために,Exhaust Gas Recirculation(EGR)の冷却性能を向上させること,および低圧縮比化を試みた.その結果,欧州のNEDCモードおよび北米のFTP75モードにおける使用運転領域をほぼ網羅するまでPCCIの適用領域を拡大できる可能性を示すことができた.

  • 中島 進
    2010 年22 巻2 号 p. 126-133
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    近年,内燃機関から排出されるCO2による地球温暖化の抑制の観点から,さまざまな植物由来の代替燃料が提案されている.その一つにバイオエタノールがある.ブラジルでは,含水エタノール100%(E100)からエタノール22%混合ガソリン(E22)までが使用可能なFlexible Fuel Vehicle(FFV)が使用されている.エタノールは低沸点成分が無い単一成分の燃料であり,低温時の燃焼に課題がある.エタノールの低温時の燃焼を改善するために,最適な圧縮比の選定をおこなった.また,吸気1バルブ運転にて流動を高め,低温時の燃焼を改善した.さらに,E100使用時の低温時の商品性を向上させるために,FFV専用の新たなエンジン制御も構築した.以上の技術を採用し,出力とE100使用時の商品性を両立させたFFV専用エンジンを開発した.

  • 長島 慶一, 三浦 啓二, 松本 雅彦, 花田 尚喜, 塚本 能人, 土屋 一雄
    2010 年22 巻2 号 p. 134-140
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    内燃機関の燃焼状態を直接示すパラメータとして,一般に図示平均有効圧(Indicated mean effective pressure:IMEP)が用いられる.指圧センサはデータ安定性やコスト,寿命などが課題となり実車制御用としての利用が難しかったが,指圧波形に起因するエンジン振動やボルト軸力の変化を計測し,IMEPと相関性の強い等価 IMEPをモニタする手法を使うことで,今後の発展性が見込める.

    本研究では,指圧波形に起因する信号を圧電型点火プラグ座型力センサで検出し,等価 IMEPを検出する手法を検討した.実機計測をおこなうと,指圧波形から求めたIMEPと力センサから求めた等価 IMEPとの相関係数は0.799となった.チャージアンプの設定変更と演算ゲートの設定によって相関係数は0.990に向上し,IMEPと等価IMEPの相関性を向上させることができた.

  • 三上 祥平, 荻野 晃一, 空澤 光将
    2010 年22 巻2 号 p. 141-150
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    冷熱サイクルを繰り返す運転モードにおいてクラックが発生することの多いディーゼルシリンダヘッドのグロープラグホール周りを解析対象とした,低サイクル疲労破壊に対する予測手法を紹介する.疲労破壊の予測にあたっては,クラックの起点となる部位のひずみ振幅と温度を把握する必要があるため,CAEを用いたひずみ解析をおこない,同時に,硬度測定による温度換算法により局所の温度を求めた.これにより,従来は困難であった局所状態の把握が可能となった.さらに,試作エンジンの冷熱サイクル耐久テストをおこなうことにより,本手法による低サイクル疲労破壊の予測の確からしさを実証した.また,新規エンジン開発において本手法が仕様検討のツールとして活用されるよう,設計プロセスへの取り入れ方を提案した.

  • 奥山 庸介, 下荒地 大地, 川内 昌司, 八田 剛志, 丸山 雅司
    2010 年22 巻2 号 p. 151-157
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    エンジン油による省燃費性向上を目的とし,SAE粘度規格にとらわれることなく,低粘度化がもたらす燃費効果とエンジン信頼性について検討した.省燃費効果の予測としては,低粘度エンジン油を用い,フリクショントルクを測定することで,効果を予測した.その結果,エンジン油の低粘度化は省燃費に対し,有望であることがわかった.

    エンジン信頼性については,低粘度エンジン油の最大の課題である高温時のしゅう動摩耗への影響性を確認した.確認手法として,CAE解析とエンジン耐久試験を実施した.その結果,供試量産エンジンにおいて,SAE粘度規格以下の低粘度エンジン油を用いても,高温時のしゅう動部の耐摩耗の成立性が見通せた.

    また,SAE粘度規格以下のいくつかの低粘度エンジン油を試作した.試作エンジン油の性状値とSAE粘度規格との位置づけを確認した.

    現行SAE粘度規格以下の低粘度エンジン油には,一層の省燃費性向上が期待できるため,さらなる低粘度規格の制定が望まれる.

  • 堀川 博史, 木戸 秀樹, 飯嶌 智司, 村上 泰男
    2010 年22 巻2 号 p. 158-166
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    吸排気系の三次元形状を一次元化し,流体計算と内燃機関の熱力学計算をおこなうツールである一次元シミュレーションを用いて,単気筒エンジンを搭載する小型二輪車のエンジン出力と吸排気口音の予測技術を構築した.エンジン出力に関しては,境界条件を適切に調整することで,排気量や冷却方式の異なるエンジンにおいて精度良く求められた.吸排気口音に関しては,吸排気系を一次元化する際に精度に大きく影響する要素を明確にしてモデル化することで,精度良く求められた.また,特定の複雑な内部構造を持つマフラにおいては,一次元シミュレーションでは空間的な排出ガス挙動を表せないため,十分な排気口音の計算精度が得られないが,三次元シミュレーションと連成して計算することで精度向上が見込まれる.

  • 亀田 眞太郎, 稲川 靖
    2010 年22 巻2 号 p. 167-172
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    オートマチックトランスミッションのアップシフト時に発生する変速ショックを抑制し,商品性を向上させるためには,変速クラッチの持つトルク出力誤差を補償する制御が必要となる.出力軸回転数の変化量から変速時に発生する車体加速度波形の推定と評価をおこない,それを基にクラッチトルク出力誤差を検知し学習補正をおこなうことで,変速ショックを抑制し,アップシフト時の商品性を向上させる制御技術を開発した.

  • YU Jinghong, HASKELL Jon
    2010 年22 巻2 号 p. 173-178
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    A variable displacement pump (VDP) is a fuel-efficient and cost-effective technology that has been applied to steering systems in small-and medium-sized vehicles. However, it is a challenge to apply this technology to large and heavy vehicles due to marketability concerns. This study tested VDP technology in a large light truck and strived to achieve a well-balanced and high-performance steering system with regard to noise, fuel economy, and dynamic performance. Steering noise was analyzed in terms of both the source noise characteristics of the VDP and the noise attenuation characteristics of the steering system. Significant noise reduction was achieved by redesigning the VDP in its number of vanes, structure stiffness, internal component clearances, and rotor position with improved flow ripple characteristics; and by optimizing the steering system’s attenuation characteristics using a design of hose-tuning cable devices with optimal pulsation transmission loss characteristics. To ensure gains in fuel economy, a new design specification was developed to control the pump’s power consumption by limiting the input torque at various pump speeds. Steering dynamic performance and feel were improved by enhancing the pump’s design to provide an adequate flow rate under high pressures while maintaining flow rate and torque characteristics under low pressures. As a result of the study, VDP technology was successfully applied to 2011 model year Odyssey.

  • 中西 義幸, 竹折 浩樹, 橋本 雅識, 渡邊 孝行
    2010 年22 巻2 号 p. 179-184
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    燃費向上による排ガス温度低下の対応手法として,低温でCOを酸化し,その反応熱でHCとNOxを浄化させる低温活性触媒技術が考えられる.その技術の一つとして,酸化セリウムを母材とし,パラジウムを担持した触媒(Pd/CeO2)が挙げられる.その触媒の低温活性を向上させるために,母材である酸化セリウムによる活性酸素の供給と補填のメカニズムに着目し,解析をおこなった.その結果,パラジウム微粒子化による低温域からの活性酸素の供給と,水と酸素が共存することで,加速的,かつ多量に活性酸素が補填されることによって,低温域からCOの酸化反応を加速できる低温CO酸化メカニズムを見出した.

  • 家永 裕一, 井上 剣志, 川合 光幹
    2010 年22 巻2 号 p. 185-192
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    構造部材等の軽量化を狙い,高強度耐熱マグネシウム合金の鋳造材の研究をおこなった.長周期積層構造相(long-period stacking ordered structure:LPSO相)を持ったMg96Zn2Y2(at.%)合金に第四元素を添加し組織制御することで高強度化を図った.結晶粒微細化に着目したZr添加では,冷却速度の効果も含め結晶粒径を10μm程度とすることで,200℃以上の高温域で商用アルミニウム合金と同等以上の引張,疲労強度を得ることができた.250℃での引張強さはピストンにも使われる高強度アルミニウム合金A4032-T6材の約2倍となる223MPaを達成した.また,LPSO相の積層欠陥エネルギーの向上に着目し,第一原理計算で選定したAgの添加によりLPSO相を強化した相を生成させることで,添加前後でその常温耐力を約60%向上させることができた.

  • 水上 貴博
    2010 年22 巻2 号 p. 193-201
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    アルミニウムシャシ部品の電食深さをシミュレーションによって予測可能とすることで,評価時間を短縮することができる.このシミュレーション技術は,腐食環境に合わせた分極曲線を入力することで,発生する腐食電流から,電食により減少したアルミニウムの体積を計算し,腐食深さを出力する.これにより,従来5000時間かかっていた腐食試験を,約20分のシミュレーションで代替し,市場で発生する電食深さを短時間で予測可能にした.

  • 栗原 博, 齋藤 淳也, 齋藤 秀輝, 関谷 大輔
    2010 年22 巻2 号 p. 202-207
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    モータサイクルのエンジンに広く採用されるアルミニウム合金製クランクケースでは,試作段階での耐久テストにおいて,シリンダヘッド締付ボルトやクランクシャフトのメイン軸受締付ボルトのめねじ谷底部に疲労破損が発生することがある.従来は,めねじ谷底部の疲労強度は机上での絶対値評価が困難であったため,疲労強度評価はエンジン実機を用いた耐久テストに頼らざるを得なかった.本研究では,主要なボルトのめねじ部を含むクランクケース全体の疲労強度を FEM解析により机上評価する技術を構築した.おねじとめねじの形状や接触特性を考慮した大規模FEMモデルに対し並列計算処理をおこなうことで,計算精度,計算時間ともに実用性を見出した.本手法を製品設計に適用した事例より,ボルト締結部周辺の形状やボルト先端部の形状を工夫することで,質量を増加させることなくクランクケースのめねじ谷底部の疲労強度を向上できることが示された.

  • 松田 修, 徳永 道広
    2010 年22 巻2 号 p. 208-214
    発行日: 2010/09/01
    公開日: 2026/03/04
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    アイドリング時に排気口から発生する,サイレンサ内部に溜まった凝縮水に起因する異音は,車両の商品性を低下させる要因となっている.異音の発生メカニズムの解明と防止検討を,サイレンサを模擬した可視化実験と1次元モデルの予測計算によりおこなった.その結果,排水異音はエンジンからの脈動圧と排気管の内部共鳴が要因となり,アウトレットパイプ内の粒子速度が最大となる箇所で水の膜が発生し管が閉塞した後,この水の膜が下流へ移動し,破裂する際に発生していることがわかった.

    また,異音防止のためにアイドリング時の排水性をよくするには,水の膜前後圧力差⊿Pを大きくとることが有効である.

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