Honda R&D Technical Review
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23 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
技術紹介
  • Tyler RICKETTS, Andrew BEJCEK, Nathaniel LENFERT
    2011 年23 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    An Auto Throttle system for residential high-pressure washer (HPW) engines has been developed. During periods of non-loaded use, engine speed is reduced from 3850 rpm to 2500 rpm.

    A residential high-pressure washer has two modes, loaded (the operator is using the spray wand) and unloaded (the operator is not using the spray wand). Compared to the base model, in an unloaded condition, the Auto Throttle control system achieves a noise level reduction of 9 dB(A). The fuel economy is increased by 43%, overall carbon dioxide emissions are reduced, and engine and pump life are enhanced. User fatigue is reduced through a reduction of initial spray wand reaction force.

  • 田中 政隆, 荒井 大, 渡辺 純也, 深谷 和幸, 橘髙 栄治, 土谷 政彦
    2011 年23 巻1 号 p. 9-17
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    スロットル操作に対するダイレクト感を持ちつつ,変速時の駆動力切れの無いモータサイクル用Dual Clutch Transmission(以下DCTと呼ぶ)を開発し,VFR1200Fに搭載した.

    本システムは,二つのクラッチに対し独立した二系統の油圧回路を設定し,個別に制御する構成とした.発進前の弱クリープ制御,減速度追従シフトダウン制御,コーナリング推定制御などにより,モータサイクルに求められる優れた発進,変速性能を達成した.これにより,ライダスキルに依存することなく,ライディングの楽しさを味わうことが可能となった.また,DCTシステムのコンパクト化を実現させたことにより,同時開発していたVFR1200Fのマニュアルトランスミッション仕様とクランクケース素材の共有化を実現し,同一のフレームに搭載した.

  • 是本 健介, 河村 信之, 青木 道広, 倉谷 尚志, 中村 信介, 吉岡 英樹
    2011 年23 巻1 号 p. 18-21
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    当社はシングルベルト付実車風洞の運用を開始した.本風洞は,実走状態の車両周りの流れの模擬のため,(1)大型シングルベルトローリングロードシステム,(2)オープンジェットとアダプティブウォールの切り換え式観測部,(3)スケール模型の姿勢を制御するモデルモーションシステムを備えている.本稿では,この風洞設備の概要および実車搭載の有無での風洞試験の一例を紹介する.

  • 渡部 知樹, 吉野 弘規, 塩ノ谷 陽介, 関 孝幸
    2011 年23 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    電子制御AWDシステム開発において,従来の実行可能なモデル表現による制御設計(Model Based Design:MBD)仕様書を適用したソフトウェア開発プロセスに対して,仕様品質の向上を目的として,システム制御設計の強化をおこなう新MBDソフトウェア開発プロセスを構築した.その際,検証プロセスの変更やシステム制御設計とソフトウェア詳細設計との開発役割領域の見直しをおこなった.また,それに伴う仕様書の作成手法の構築や,仕様書の流 用率を上げるためにアプリケーションのプラグイン構造化をおこなった.

    このプロセスを,新規量産する電子制御AWDシステムのソフトウェア開発に適用した結果,従来のソフトウェア開発プロセスに対して仕様書変更量を50%削減できた.

  • 河守 俊明, 酢谷 慶治, 嶋田 敏
    2011 年23 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    車両に搭載される電子制御システムは,複数のElectronic Control Unit(ECU)による多重通信を用いた機能連携が進み,これらを結合した車1台分統合電子制御システムとしてのECU実機検証は,品質確保の効果を増している.この実機検証の効率向上を目的とし,実車試験に先行して,車載ネットワークを構成するすべてのECUの統合実機検証をおこなう環境として,Honda Electrical Revolution for Control Unit by using Large Examination System(HERCULES)を開発した.これにより,従来に比べ約3か月先行して,実機検証ができるようになった.同時に構築した自動運転機能によって,試験期間を1/2以下に短縮した.

  • 木暮 昌弘, 森岡 武, 原 浩昭, 納富 貴幸
    2011 年23 巻1 号 p. 35-42
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    高精度,低コスト,環境にやさしく量産に適用可能な製法をねらいとして,航空機用ガスタービンエンジンの主要部品であるタービンブレードの高精度加工に最適な加工用治具を開発した.

    タービンブレードは3次元形状の翼部品で,高回転エンジンの性能を左右する最重要部品であり,耐熱合金の難削材で使用量が多いので精密鋳造で製造している.ブレード取り付け部は特殊形状で高精度が要求されるため,仕上げに精密研削加工を行っている.従来は翼面形状を基準として,低融点合金を流し込んだ一体型の固定治具を用い研削加工を行ってきたが,ブレードの固定および取り外しで,高温溶解工程があり,手作業の工数が多く量産には不向き であった.

    代替材として,自動車に採用されているリサイクルが可能な低コストの樹脂材に着目した.加工設備に多数個配置できる加工基準を持ったコンパクトな形状で,インサート成形製法で簡単に成形ができ,機械加工で高精度が達成できる剛性を持ち,加工後の治具取り外しでブレードの変形がなく,リサイクルが可能な樹脂であることを要件とした.実験に基づき適切な材料としてPPA材を選定し,固定治具に採用した.

  • 田中 慎太郎, 田中 之人
    2011 年23 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    燃料電池の発電機能に影響する大きなファクタの一つとして,セル内の液水の滞留が挙げられ,液水の可視化,定量化は燃料電池の水マネージメントをおこなう上で重要な技術である.

    本研究では,中性子ラジオグラフィを用いて発電中の燃料電池内部の液水分布可視化をおこない,液水を定量化した.

    この結果から,発電性能を低下させる要因の一つである抵抗過電圧に関し,CCM中液水量が増加すると抵抗過電圧が低下する傾向にあるが,ある液水量以上では一定となることを明らかにした.一方,一定負荷発電中の電圧降下量はGDL中の液水量と強い相関があり,GDL中の液水量増加と共に電圧降下量が大きくなることを明らかにした.

論文
  • 盛山 浩司, 立原 隆宏, 古沢 透流
    2011 年23 巻1 号 p. 49-55
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    固体高分子型燃料電池にとって内部の水管理は発電および耐久性能を高めるためのキー技術となっており,内部の水輸送現象の解明が求められている.

    X線CTおよびX線ラジオグラフィーを用いた発電中の燃料電池内部におけるその場観察技術を開発し,拡散層およびガス流路内部の水輸送現象の解析をおこなった.

    電流密度に応じて拡散層内部の水が成長する様子や親水性の流路壁面に沿って拡散層から流路へ水が排出される様子を観察した.また,画像解析をおこない,発電中における拡散層内部の水分布を定量的に評価し,リブ下の拡散層に水が多く滞留しやすいことを確認した.

  • 松本 充功, 清水 研一
    2011 年23 巻1 号 p. 56-61
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    燃料電池電気自動車において水素タンク周りは複雑な空間形状となる.この空間に万一水素が漏れた場合を想定して水素拡散挙動をシミュレーションできる手法について研究した.

    従来の計算領域分割法では車両開発で許容される期間内で計算できないため,三段分割計算手法を考案して計算時間を短縮した.また,精度向上を目的とし,乱流による拡散,混合を適切に計算できる乱流モデルを選定した.

    その結果,計算時間を4日に抑えつつ,水素噴出時のピーク濃度と噴出後の残留濃度が精度5% 以内で計算できることを確認した.また,異なる水素噴出条件に対しても適用できる見通しを得た.以上より本手法が燃料電池電気自動車の開発に有用であることを明らかにした.

  • 澤海 嘉司弘, 直井 康夫
    2011 年23 巻1 号 p. 62-69
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    高温となる4ストローク小排気量空冷エンジンにおけるオイル消費の要因解析を実施した.オイル消費の多くはオイル上がりによるものであり,シリンダ壁面温度がオイル消費率に影響をおよぼしている.その温度を低減させることでオイル消費率を抑制できることが明らかとなった.また,シリンダの変形に対し,オイルリングの組み合わせ幅寸法の縮小および追従性係数の向上,ピストンの首振り現象の緩和は,オイル消費率を低減する有効な手段であることが確認できた.さらに,エンジン各部の温度が高い空冷エンジンではオイルのNOACK蒸発量がオイル消費に大きく影響を及ぼすことが確認できた.

  • 森川 秀明
    2011 年23 巻1 号 p. 70-76
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    自着火(CAI)を巨視的に捉えた考察をおこない,CAIの着火時期と熱発生を同時に制御できる可能性を実験的に調べた.まず CAI 燃焼の燃焼温度上昇を評価するパラメータとして⊿T なる概念を導入した.圧縮終わり筒内ガス温度(TAI)と⊿TはEGR率と当量比のみの関数であるから,筒内ガス交換を適切に操作すれば良好なCAIが実現できると考えられる.

    そこでCAIを車両用エンジンに適用するにあたり,自然吸気4ストローク機関において可能な全てのガス交換状態 を表すガス交換線図を提案し,このガス交換線図上にさまざまな燃焼形態をプロットした燃焼マップを作成した.実用可能な燃焼はいずれの燃焼形態もEGR希釈による低温燃焼(LTC)であることがわかった.これに基づいて筒内ガス交換の連続的な制御によって一連の低温燃焼サイクルのメリットを活かす制御手法を提案した.排気量1300 cm3 のVツインモータサイクルに対して最適LTCコントロールを適用した場合,従来燃焼方式に比べてLA-4モード走行で燃費約20%の改善とNOx約90%の低減が見積もられた.

  • 小林 広和, 内藤 正志, 漆山 雄太
    2011 年23 巻1 号 p. 77-85
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    乗用車ボデー構造の設計では,複数の荷重条件において,構造内にどのようにロードパスを分布させるかを構想し,それを検証することが重要と考える.また,ロードパス分布は,荷重条件によらず構造内の結合剛性が高いところに密に分布する傾向を持つので,荷重条件が異なっていても類似性があると考えられる.

    そこで本研究では,構造内のロードパス分布を指標化できる指標U*sumを用いたロードパス把握方法と,応力によるロードパスの把握方法を対比させて解析をおこない,二種類の方法の違いを明確にすると共に,乗用車ボデー構造に4種類の荷重条件を負荷した時のロードパス分布の検証をおこなった.その結果,U*sumを用いれば応力を用いた時よりも少ない指標で視覚的なロードパス分布の解析が可能であることを示す.また,ねじり荷重条件はロードパス分布が構造全体に広がるため,他の荷重条件に対して類似性が高くなることがわかった.

  • Steve TURNER
    2011 年23 巻1 号 p. 86-94
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    The Super Handling-All Wheel Drive (SH-AWD) system uses the steering angle value to determine the proper left and right rear wheel torque distribution ratio to enhance vehicle handling response. Cost reduction in the application of the SH-AWD system is realized by (1) replacing the conventional stand-alone absolute steering angle sensor with an EPS resolver sensor, which determines the position of the EPS power assist motor, (2) applying integration to the change in the EPS motor position over time to yield a steering angle value relative to the initial steering rack position, and (3) using a new midpoint learning algorithm to determine the true steering angle value by calculating the difference between the initial steering rack position and the straight-ahead driving position. Through this process, a steering angle value relative to the initial steering rack position is acquired and is equivalent to the value that would be provided by an absolute steering angle sensor. To determine the straight-ahead steering position, a learning period is required during which the vehicle needs to travel a minimum distance every time the ignition key is turned on. To meet all existing system and CBU performance requirements during this learning period, two algorithms were created. First, a steering angle estimation algorithm substitutes as the true steering angle to allow SH-AWD to perform normal torque distribution operation. This algorithm uses two independent calculations to prevent excessive steering angle estimation, which would distribute more torque than necessary. Second, a new vehicle stability enhancement algorithm reduces the SH-AWD rear torque amount when an unstable driving event occurs. Using these algorithms, the SH-AWD system can achieve comparable performance by acquiring steering angle data from an EPS resolver sensor as opposed to a more costly absolute steering angle sensor.

  • 西垣 守道, Yiannis ALOIMONOS
    2011 年23 巻1 号 p. 95-105
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    自動車の進行方向上にある物体を検知することは,衝突防止に有効である.特に,自動車や歩行者のような移動物体とは衝突の可能性が高く,検知の必要性は高い.ビジョンセンサには,実際の運転状況で遭遇するさまざまな物体の検知が要求される.しかしカメラと物体は,どちらも独立に動いているため,車両に取り付けたカメラで,自律的に動いている物体を検知するのは容易ではない.移動物体の輪郭を鮮明に検知することは,特に難しかった.そこで,我々は移動物体の輪郭を鮮明に検知できる,二つのアルゴリズムを開発した.第1のアルゴリズムは,画像上の動きとエピポーラ制約との差異から,カメラと異なる方向に移動している物体を検知する.第2のアルゴリズムは,ステレオ視差と運動視差との差異から,カメラと同じ方向に移動している物体を検知する.これらのアルゴリズムでは,画像分割技術(イメージセグメンテーション)を用いること で,物体の輪郭を鮮明に検知できた.この手法で移動物体の輪郭を鮮明に検知できることを,実車を用いた実験により実証した.

  • 居原 理
    2011 年23 巻1 号 p. 106-111
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    水性中塗り塗料は,塗装時の温度の影響を受けやすく一定の温度条件とする必要があるため,省エネルギーの観点から塗装温度幅の拡大が求められている.塗装温度幅を拡大するため,塗料固形分変化に対して塗料粘度変化を抑制できる塗料樹脂組成を検討した.塗料樹脂中の親水性成分比率を増やすことで,塗着直後の低固形分領域では樹脂の相互作用が強くなり高粘度化し,乾燥前の高固形分領域では樹脂相転移が緩和され低粘度化し,塗料粘度変化を抑えられることを見い出した.この手法を用いて塗料開発をおこなった結果,従来塗料で±3 ℃であった塗装温度幅を,開発塗料で±10℃まで拡大することができた.

  • 神村 直毅
    2011 年23 巻1 号 p. 112-119
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    エンジン構造の放射音領域までの周波数応答関数の高精度で汎用性のある予測技術を構築した.

    エンジン部品の結合部位は,ヘッドガスケットに代表される非線形特性を有するため,周波数応答解析をおこなうには,結合状態に応じ線形化した解析モデルを必要とする.解析は2段階に分けており,前段で実施する非線形接触解析により結合部の圧力情報を取得する.後段の周波数応答解析では,圧力情報を元に結合部位の剛性,減衰を線形特性として定義し,ボルト軸力によるひずみも考慮した振動解析用モデルとすることで,精度を向上させた.

    結合部位の特性は,材料試験では取得できない項もあり,圧力に依存する特性を示すと仮定した圧力変換テーブルを定義した.不確定値に対してはベースとしたエンジンでの実験結果を元に同定した.本手法を別エンジンに適用し,周波数応答解析において実用上支障のない精度を確保できていることを検証し,エンジン構造の周波数応答解析に対して汎用性がある手法であることを示した.

  • 中村 聡, 牧 俊光, 杉本 寿敬
    2011 年23 巻1 号 p. 120-126
    発行日: 2011/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    コンパクトカーの多くに採用されているフロントストラット形式およびリヤトーションビーム形式のサスペンションシステムをロードノイズ性能の観点から考察した.解析対象周波数は100 Hzから200 Hzの低周波領域とした.同形式サスペンションを有する14車種の車両実験により,共通したサスペンション振動モードが存在することを明らかにした.また,FEモデルによる解析によりそれぞ れの振動モードのメカニズムを理解し,ロードノイズ性能を向上させるための設計指針を得ることができた.

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