Honda R&D Technical Review
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24 巻, 1 号
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技術紹介
  • 奥本 敏之, 北島 義也, 林 明宏, 田嶋 暢子
    2012 年24 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    新型CIVICは,時代を先取りする新しい価値「Clean Energetic」「Smart Technology」そして車に求められる基本性能でもある「Fun to Drive/Fuel Efficiency」をキーワードとして「Distinctive Smart CIVIC」というグランドコンセプトのもとに開発された.

    エクステリアデザインは,「Clean & Energetic」をコンセプトとし,力強く透明感のある独自の動体モノフォルム骨格を表現した.インテリアデザインは,「Smart Futuristic Cockpit」をコンセプトとし,機能的で広々とした先進的コクピットを具現化した.また,それらの特徴をより引き立たせるカラーおよびファブリックを開発した.

  • 濱野 剛男, 林 彰夫, 戸川 昌幸, 斉藤 康子
    2012 年24 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    N BOXはグランドコンセプトに「Green Mini Minivan」をかかげ,軽自動車初のFFセンタタンクレイアウトとマンマキシマム・メカミニマムの思想に基づく新世代プラットフォームで具現化し,子育て世代へ向けた「軽ミニバン」として開発した.

    「Relax Flex Mini Minivan」をデザインコンセプトとし,ファミリーミニバンとしての存在感と空間,使い勝手を実現した.エクステリアは「愛着のわく箱・安心感」を,インテリアは「広さを極める」をスタイリングテーマとした.またそれらの特徴をより引き立たせるカラーおよびシートファブリックを開発した.

  • 田岸 龍太郎, 小林 重実, 飯生 順也
    2012 年24 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    環境性能(低燃費,低排出ガス)と高出力を両立する軽量,コンパクトな軽自動車用0.66 L3気筒DOHC VTCガソリンエンジンを開発した.新型エンジンは新開発の軽自動車用CVTとの組み合わせを前提とし,ロングストローク骨格に吸気側VTC,燃焼改善およびフリクション低減技術を適用することで,自然吸気エンジンにおいて最大トルク65 Nm,最高出力43 kWの高出力とともに従来型エンジンに対し10%燃料消費率を改善した.ターボチャージャエンジンにおいては自然吸気エンジンと共通の燃費改善技術に加え高圧縮比化することで従来型に対し10%燃料消費率を改善し,最大トルク104 Nmの高トルクを達成した.

  • 中村 敬, 羽生 恵一, 小西 康一
    2012 年24 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    軽自動車用に,伝達効率に優れた平行軸歯車式1次減速機構を採用したCVTを開発した.入力軸と出力軸の前後方向距離を短縮し,油圧制御系を下方に一括配置することにより,エンジンルームの縮小に対応し,ひいては軽自動車の室内長拡大に貢献した.

    自然吸気(以下NA)とターボチャージャ付(以下TC)の2種類の0.66 Lエンジンと2WD,4WDの駆動方式に,最小限の専用部品の設定で対応した.また,電動オイルポンプの追加のみで,アイドルストップにも対応した.

  • 小林 直樹
    2012 年24 巻1 号 p. 27-33
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    ビジネス向け電動二輪車EV-neoの駆動用モータとして排気量50 cm3のエンジンスクータと同等の動力性能を持つDCブラシレスモータを新たに開発した.減速ギヤを併用することにより要求最大トルクを低減させ,モータを小型化し,さらにPDU(Power Drive Unit)と一体化することで,ホイールサイドに搭載可能な駆動ユニットを実現した.減速ギヤ採用によるモータの高回転化に対応するためにIPM(Interior Permanent Magnet)構造を,小型化を実現するために集中巻きステータコイルをそれぞれ採用した.モータの性能は,最高出力2.8 kW,最大トルク11 Nm,実用域効率75%以上,最高回転数9000 r/min以上を達成し,ビジネス用途として必要な動力性能を満足する駆動用モータを実現した.

    生産工程については,電動カート生産用の既存モータ量産設備にて製作可能とするため,分割コアステータ構造やコイル結線用バスリングなどを採用し,生産性向上と低コスト化にも配慮した.

  • -自律機械の実現-
    重見 聡史, 川邊 浩司, 中村 孝広
    2012 年24 巻1 号 p. 34-41
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    新型ASIMOは,「人と共存,協調して社会の中で役に立つロボット」の実現を目指したステップとして,人の存在する実環境で状況変化がわかり行動を自ら実行し動き続けることを目的として開発された.新たに,マルチモーダルセンシング技術,状況推定予測技術,自律行動生成技術を開発し,状況適応能力を大幅に進化させた.身体能力については,5本の指を独立して制御できる多軸ハンドと,人混在環境の中で動き続けるために俊敏性を向上させた軽量かつ高応答なハードウェアを開発した.その結果,人応対機能では,状況に合わせて人に対し適切に働きかけることが可能となった.歩行機能としては,複数人の移動を予測し止まらずにすれ違いでき,凹凸など変化する路面でもバランスを保つことが可能となった.作業機能としては,対象物を安定に把持し,さらに指で物を操れるようになった.

  • 大里 毅, 櫻井 伸弘, 神部 靖彦, 保家 茂則, 平林 祐輔, 横林 寛
    2012 年24 巻1 号 p. 42-45
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ロボットの把持機能を向上させるために,指先に搭載できる小型の6軸力センサを提案する. 具体的には,半導体ピエゾ抵抗効果を利用して,シリコンチップ(以下,チップ)で6軸力を検知する方式にした.さらに温度補償用の抵抗素子をチップに形成して温度特性を安定させた.チップと金属製の応力減衰機構を組み合わせる構造にして,センサに加わる荷重でチップが破壊するのを防止できるようにした.陽極接合と精密勘合で構成部材を一体化することで,高精度なセンサ特性を得られるようにした.

    上記構想に基づいて試作したセンサは,指先サイズで定格荷重30 N(モーメントは30 Ncm)を実現し,定格荷重印加における出力精度は2.4 %FS(FS=定格相当の出力),荷重ゼロの状態での温度特性精度は,0.19 %FS/℃(0-60℃)を確認した.

  • 関 雅夫, 田中 幹樹
    2012 年24 巻1 号 p. 46-51
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    サイレントチェーン伸びの予測技術を構築することを目的に,エンジン油中のすすに起因するサイレントチェーン伸びのメカニズム解析をおこない,チェーン伸び要因とチェーン伸び率の関係を実験的に求めた.

    その結果,エンジン油中にすすが存在しなければ,サイレントチェーン伸びはほとんど生じず,ピンとプレートのしゅう動面にすすが介在することで起こる,三元アブレシブ摩耗によるプレート摩耗によって,チェーン伸びが増加することがわかった.また,チェーン伸び要因とチェーン伸び率の関係から,サイレントチェーン伸び予測式を実験的に導くことで,設計初期段階からサイレントチェーン伸びを推定することが可能となった.

  • 山本 裕司, 佐藤 岳, 林 貴之
    2012 年24 巻1 号 p. 52-56
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    これまで開発してきた多結晶圧電素子型筒内圧センサは,焦電効果等による出力特性の補正が必要であり,プラグ挟み込み式を採用せざるをえないためエンジンレイアウトへ大きな影響を与えた.

    今回こうした課題に対して,単結晶圧電素子の筒内圧センサを直噴インジェクタと一体とすることにより課題を解決したので,その効果と特徴を紹介する.センサをインジェクタとの一体構造とすることにより,既存の部品とコモナリティをもたせ,今後拡大する直噴過給エンジンへ容易に取り付けられるようにした.また,筒内圧検知性については,温度特性の優れた単結晶圧電素子を採用することにより,基準センサ〔Kistler 社製(6052B)〕と比較して,±3%の検知精度が得られた.またノッキング波形も基準センサと同等の検知性が確認できた.

  • 高澤 博樹
    2012 年24 巻1 号 p. 57-64
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ポリVベルトおよびそのベルトで駆動される補機類で構成する補機ベルトシステムの信頼性を評価するためには,補機構成部品への入力荷重となるベルト張力変動を測定する必要がある.その測定手法の一例を提案するとともに,実車環境でのベルト張力変動が増大する条件を明確にし,実車走行条件を台上置換する場合のエンジン運転条件を明らかにする.測定手法としては実車搭載のエンジンで測定可能で補機ベルトレイアウト変更の必要がない手法とする.最大ベルト張力変動が発生する弦に近接する補機部品にひずみゲージを貼りその部位のベルト張力変動によるひずみを測定する.測定したひずみからベルト張力とひずみの較正式によりベルト張力変動へ変換する.実車テストを台上評価へ置換するにはベルト張力変動が最大となる運転条件を測定条件として反映する必要がある.それにはエンジン全負荷かつ補機負荷最大でエンジン回転を上昇させる条件に加え実車特有の過渡条件としてエンジン始動とコンプレッサのオン,オフ条件でも測定する必要がある.

  • 山岸 仁, 若松 健
    2012 年24 巻1 号 p. 65-71
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    エンジン実動時の,スロットル急開における異音が発生する事象の全体像を把握するために,インテークマニホールド(インマニ)内部の圧力計測と気流の可視化をおこなった.インマニの樹脂化とDrive By Wire(DBW)採用により顕在化した異音について,音源探査をおこなった結果,インマニの表面から音が放射していることがわかった.また,インマニ内部の気流挙動の計測については,近年性能が向上してきた高速度カメラと特殊なライトを用いて開発の現場で活用が可能な,エンジン実動時の可視化をおこなった.その結果,高速気流の衝突が異音の原因であることを明らかにした.

  • 丸野 直樹, 小茂田 訓, 西田 義一
    2012 年24 巻1 号 p. 72-77
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ハイブリッド車(HEV)のバッテリとして,高出力なリチウムイオンバッテリ(LIB)を用いることにより車両性能の向上が期待されるが,車両搭載する上で,長期使用に耐えうることが必要となる.

    本稿では,LIB システム用に開発した耐久性確保のためのバッテリコントロールシステムについて報告する.確実性を重視した電圧検知に基づく過充電防止システムと高効率な充電状態制御による劣化コントロールシステムを用いることにより,バッテリ性能を最大限に生かしつつ耐久性を向上させることができた.

  • Michael HULLIHAN
    2012 年24 巻1 号 p. 78-84
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    Research was conducted on automotive power steering systems at a component level to examine system sensitivity to an oscillatory loading condition. This series of experiments was aimed at quantifying system response of hydraulic power steering (HPS) and electric power steering (EPS) to objectively compare vibration attenuation capability of the two systems.

    Steering shimmy is caused by an imbalance in a wheel/tire rotational assembly. The energy of this phenomenon is usually too great for a HPS system to completely attenuate while an EPS system is commonly capable of absorbing most of the vibration. With a HPS system, vibration can be partially attenuated through steering system parameter variation such as increasing friction or inertia. In an EPS system, the motor inertia, programming control, and gear reduction make it comparatively simple to attenuate the vibration before it reaches the steering wheel. This ability of an EPS system to partially or completely attenuate vibration caused by other chassis components has yet to be quantified. Furthermore, it has yet to be objectively compared with HPS and is thus the primary focus of this research.

    The test results confirm that increased inertia and friction have a dramatic effect on steering vibration regardless of application. There is a friction threshold that can be used in partially mitigating some small vibrations such as tire imbalance. Furthermore, it shows that in an EPS system, the motor inertia and electric motor gear reduction are beneficial in stopping vibration from reaching the steering wheel. Through this research, we have shown that future developments are better equipped to attenuate steering shimmy per the application of an EPS system.

  • 鈴木 朋和, 日下 馨
    2012 年24 巻1 号 p. 85-91
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    車両開発初期の性能設計検討に用いるタイヤのシミュレーションモデルとして,「統計タイヤモデル」を開発した.これは多数の既存タイヤの性能,特性のデータ群を統計的にモデル化したもので,タイヤサイズや諸元などの値を入力し性能と特性の値を定量的に推定するモデルである.従来の一般的タイヤモデルと異なり,この統計タイヤモデルは,一つのモデルで,サイズや諸元の異なる多数のタイヤの特性を,データ計測とモデリングをおこなわなくとも推定することができる.

  • 岩田 小笛, 工藤 幸樹
    2012 年24 巻1 号 p. 92-98
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    二輪車のニーグリップフィーリングを短時間で定量的かつ一元的に評価できるシミュレーション技術が求められている.本研究では各種体格を模擬できるコンピュータマネキンと人間工学的手法を用いることで,十分な保持力を発揮できるステップと膝接触部の適切な位置関係を導出した.また,ニーグリップ状態をシミュレーションで再現し,官能評価との関係性を調べることで,ニーグリップ時の違和感を表す評価パラメータとしきい値を定め,予測式を導出した.これにより93%の確度で大腿部違和感の机上評価が可能となった.

  • 岡島 秀典, 古舘 賢一, 福田 賢太
    2012 年24 巻1 号 p. 99-107
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    二輪車の試作車体製作時,自動溶接工程における加工条件である電流と電圧,ひずみ量の見込みを決定するために,テストピースを用いた溶接実験からデータベースを構築した.このデータベースから実験式を導出し,電流と電圧を算出した.この算出結果を元に,熱収縮量を予測する手法を確立した.この手法により,溶接テスト用の車体を用いることなく加工条件の設定が可能となった.さらに,開発初期段階で量産同等品を用いた開発テストの実施が可能となった.これらにより,溶接部の設計仕様の早期決定,試作車製作日程の短縮と開発コストの削減が可能となった.

  • Hideyuki YOSHIMOTO, Kyle PEARCE, Todd RODRICK, Bryan SLABACH, Charles ...
    2012 年24 巻1 号 p. 108-112
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    Obtaining accurate input data from CAD (Computer Aided Design) geometry and reliable measurement data from suppliers is the main challenge of Multi-Body Simulation (MBS). Standards, processes and software were developed to enhance the process of creating an MBS model. A data extraction process from CAD was applied to extract only necessary data and combine the geometry information. Application of the Association for Standardization of Automation and Measuring Systems (ASAM) Open Data Services (ODS) format in conjunction with suppliers provided a common, reliable and transferable format. Key benefits are a time reduction for simulation feedback and independence from specific suppliers and MBS data structures.

論文
  • 直江 学, 徳備 広太, 渡邉 生
    2012 年24 巻1 号 p. 113-119
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    汎用エンジンの熱効率向上のため,圧縮比よりも膨張比を高める高膨張比サイクルを実現する機構として,複リンク機構を用いた高膨張比エンジン(EXlinkエンジン)の研究をおこなった.試作した初期型EXlinkエンジンは同出力の従来型エンジンに対して汎用EPAモード燃費が13%向上したものの,主運動部より生じる慣性力の最大値は従来型エンジンに対し93%増加した.これは初期型EXlinkエンジンの膨張行程中の最大ピストン加速度が,従来型エンジンに対し2.7倍であったことによる.

    慣性力を低減するため,最大ピストン加速度を抑えた新たなリンク配置を検討した.膨張・排気行程にクランク角度を長く付与するリンクを構成することで,ピストン加速度が平滑化され,慣性力を低減できる.新設計のリンク配置では初期のリンク配置に対し計算上の最大ピストン加速度は42%,慣性力の最大値は61%低減され,また実機試験においても所期の振動低減効果が確認された.

  • 秋元 賢治, 小松 弘崇, 倉内 淳史
    2012 年24 巻1 号 p. 120-127
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    ノッキングとメカニカルノイズの判別手法の改善のために,両者の周波数減衰特性の違いに着目した.この特性を解析する手法として,周波数の時間的変化をとらえることのできる短時間フーリエ変換法(Short Time Fourier Transform: STFT)の検討をおこなった.ノッキングの振動継続時間はクランクアングルで80-90 degとなり,複数発生する振動モードの周波数は時間経過とともに低下し,高周波数の振動モードの減衰が大きく,最終的に1,0モードのみが残る.メカニカルノイズは発生周波数帯が広く,減衰が速い.以上の結果を検討し,周波数の減衰をとらえるため時間の概念を導入し,パターン認識でノッキングの判定をおこなうノッキング検知ロジックを構築することで,ノッキングとメカニカルノイズのタイミングと周波数が一致する場合であっても,高精度な判別が可能となった.その結果,従来の発生周波数の強度で判定するノッキング検知システムに対して,メカニカルノイズの発生時においてもシステムが安定的に機能するロバスト性の向上の達成が可能となった.これにより,従来よりもノッキング判定しきい値を下げて設定することが可能となり,ノッキング音の低減に寄与できることとなった.

  • 江越 智代, 篠原 貞夫
    2012 年24 巻1 号 p. 128-134
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    小型化や高効率化が期待される次世代Silicon Carbide(SiC)パワー半導体を使用した電力回路において,性能を活かした最適設計をおこなうことが求められる.SiCパワー半導体の特徴である高速スイッチングの過渡応答に関わる回路部品をすべて洗い出し,シミュレーション回路にて実測との合わせこみをおこなった結果,誤差4%以内の電圧,電流波形が得られた.

    このシミュレーション回路技術を用いて,電力回路設計における重要な回路部品を抽出した.効率やElectro Magnetic Interference(EMI)性能に関わる寄生インピーダンス部位において,最適値を導くことによりスイッチング損失低減効果およびノイズ低減効果を確認できた.

  • 山本 洋佑, 佐藤 貴之, 安樂 元気
    2012 年24 巻1 号 p. 135-141
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    耕うん機の耕うんロータは各地域の土壌条件に適した形状であることが望まれる.耕うんロータを効率的に設計するためには,さまざまな土壌条件に対して机上検討を可能とする動的挙動予測技術が求められる.

    しかし,土壌耕うんは土の変形・破壊・撹拌を伴う動的な現象であり,従来のCAE技術で一般的に用いられる有限要素法や有限体積法のような計算格子を用いる手法でこのような現象を取り扱うことは困難である.

    そこで本研究では,大変形や破壊現象の解析に適した手法である粒子法を用いて三次元流体・構造解析シミュレータの開発を試みた.開発にあたり,土と剛体の境界をポリゴンで表現することで解析精度の向上を図った.また,土の崩れ方を忠実に再現するため,土の圧密の影響を考慮した破壊条件モデルを構築し,土質特性の計測によってシミュレーションの入力条件を決定した.

    耕うん爪単体と耕うんロータでのシミュレーションを実施し実験と比較したところ,土の崩れ方や耕盤形状の様子が両者で一致することがわかった.本研究で開発したシミュレータによって土壌耕うんを机上で再現することが可能となり,耕うん機の効率的な開発に有効であると考える.

  • 山下 裕之, 上野 宏明, 中井 浩之, 檜垣 貴大
    2012 年24 巻1 号 p. 142-148
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
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    電子付録

    金属の引張試験中にひずみの導入を一時停止すると,応力が経過時間とともに低下する応力緩和現象が発生することが知られており,この現象は弾性ひずみが塑性ひずみに変わることとして説明されている.

    本報告では,ひずみ分散を目的として応力緩和現象のプレス成形への応用を発案し,成形中に金型を一時停止するステップモーションを新たに考案して深絞り成形限界を向上させることに成功した.

    また,実際のプレス成形試験に加え引張試験でも検証した結果,その深絞り成形限界向上のメカニズムはステップモーションによりひずみの分散化が図られたことに起因すると結論付けられ,停止時間と温度に依存することも確認した.

  • 小井戸 哲也, 牧野 克紀, 伊藤 優基, 楠見 暢宏, 千葉 真人
    2012 年24 巻1 号 p. 149-158
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2026/03/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    電気化学的な発電による理論効率の高さから,未来の自動車用パワープラントとして固体高分子形燃料電池(PEMFC)の普及が期待されている.PEMFC内部では電極触媒など微細な構造の内部で多様な現象が,多様なスケールで相互に複雑に影響し合っており,特に(1)電極触媒上の素反応と吸着種の相互作用,(2)高分子電解質内部のプロトンホッピング,(3)微細多孔質である電解質内部の液滴の凝縮が重要であると考えられるが,これらの現象は原子・分子のスケールのメカニズムに起因することから,過去の研究では十分に詳細には扱われていない.本論文ではこれらの課題に計算科学の視点から着目し,(1)については動的モンテカルロ法を,(2)については強束縛近似による量子分子動力学法を,(3)については化学ポテンシャル一定の分子動力学法を,それぞれPEMFC内部の環境を適切にモデル化したうえで適用した.その結果各課題に関してそれぞれの計算手法が有効であることを確認した.さらにこれら原子・分子のスケールの事象をPEMFCの単セルの性能の計算に反映できるようマルチスケールモデルとしてそれぞれの効果を連成して計算し,上記事象が相互作用して単セルの電圧電流特性に表れることがわかった.

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