日本のトマト品種における CO
2 施用と細霧の併用による収量増加のメカニズムを調べるため,3 つの日本品種について CO
2 施用と細霧を併用した場合と CO
2 施用も細霧も行わない場合で,地上部総乾物生産量,果実への乾物分配率および光合成に関する特性を調査した.果実収量および地上部総乾物生産量は,CO
2 施用と細霧の併用によって 3 品種とも有意に増加し,光利用効率も増加した.‘朝日和10’および‘純系愛知ファースト’では,CO
2 施用と細霧併用による果実への乾物分配率の低下はみられず,光利用効率の向上による地上部総乾物生産量の増加が直接,収量増加に結びついていた.一方,‘桃太郎ヨーク’では,CO
2 施用と細霧併用により果実への乾物分配率が有意に低下した.このために‘桃太郎ヨーク’では地上部総乾物生産量が増加したにもかかわらず,収量増加はやや少なめになった.CO
2 施用と細霧を併用した場合,‘桃太郎ヨーク’では,発育中の果実を持つ果房数が有意に多かったが,他の 2 品種では増加はみられなかった.葉面積,葉や茎の生体重および乾燥重で表される栄養成長は CO
2 施用と細霧併用によって促進した.しかし,これらによって群落の吸光係数が変化したり,最大光合成速度が低下したりするような負の効果は観察されなかった.3 品種とも CO
2 施用と細霧併用によって収穫果実数は増加したが,一果重は減少した.
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