分げつ性の極めて高いネギ‘杭州’を用いて,ジベレリン A
3(GA
3)処理および GA 生合成阻害剤であるウニコナゾール P(UCP)処理が分げつの発生に及ぼす影響を調査した.分げつ数は GA
3 処理により増加し,UCP 処理により減少した.UCP 処理の分げつ抑制効果は GA
3 処理によって打ち消された.UCP 処理は最初の分げつ芽の発生葉位を高めること,また,GA
3 処理後に分げつ促進効果が可視化されるまでの期間(約 8 週間)は,茎頂付近に分化した腋芽が成長し,展開するまでの期間にほぼ一致することから,GA は腋芽の成長ではなく,腋芽の分化を促進する作用をもつと考えられた.ネギ品種の分げつ性の多様性と GA との関係を明らかにするため,分げつ性の異なる複数の品種の内生 GA レベルおよび GA
3 処理に対する反応性を調査した.各品種の分げつ性とネギの主要な活性型 GA である GA
4 レベルとの間には負の相関が認められた.一方,分げつ性の極めて高い‘杭州’への GA
3 処理は分げつの発生を顕著に促進したが,分げつ性の極めて低い‘雷帝下仁田’,‘羽緑一本太’への処理は分げつの発生にほとんど影響しなかった.すなわち,各品種の分げつ性と GA
3 処理に対する反応性との間には正の相関が認められた.これらの結果から,ネギの分げつ性の多様性には GA に対する感受性が関係すると考えられた.
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