保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
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11 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2006 年 11 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2006 年 11 巻 2 号 p. Toc1-
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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  • 鈴木 和次郎, 菊地 賢
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    2003年8月、福島県只見川水系伊南川において希少樹種の一つであるユビソヤナギの国内5番目の自生地を発見した。伊南川流域におけるユビソヤナギの分布は、只見川合流付近から上流40kmにおよび、本支流を合わせた分布の総延長は45kmであった。また、只見川の一支流である叶津川にも一部分布した。只見川の支流、伊南川と叶津川に分布するユビソヤナギを含む河畔林は、クラスター分析により群集組成の上から主要構成種であるヤナギ科植物3種の優占度の違いにより5タイプに類型化できた。これらの組成は、東北地方に広く分布するシロヤナギ群集(Salicetum jessoensis Ohba 1973)に類似していた。しかし、こうした林型と立地環境や林齢との間には明瞭な関係が見出されなかった。ユビソヤナギを含むヤナギ林はいずれも45年生以下で、サイズ構成では一山型の分布を示し、河川撹乱後の砂礫堆積地で一斉更新し、林分が形成されたことを示した。伊南川流域ではユビソヤナギの自生地が砂防・治山事業などで直接・間接的に影響を受けて失われており、種の保全対策が緊急に求められる。
  • 岩田 樹, 藤岡 正博
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 94-104
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    近年、冬の乾田に水を張る冬期湛水が生物保全の一手法として注目されている。一方で、乾田も春から夏には一時的水域に適応した多くの水生動物に利用される。そこで、ハスを栽培するために冬期湛水されるハス田と、イネを栽培し、冬期には落水されるイネ田の間で、ともに湛水状態である作物成長期における水生動物相を比較した。茨城県南部地方の5地区15地点の隣接するハス田とイネ田において2004年4月から7月に月2回、計8回、動物プランクトンと水生小動物を採集した。動物プランクトンの容積当たり個体数はイネ田よりハス田で多かった。水生小動物全体の個体数と生重は、イネ田では6月前半にピークとなる一山型の季節変化を示したが、ハス田では7月にかけて増加した。イネ田では5月にアメリカザリガニ(Procambarus clarkii)、6月にカエル類幼生と昆虫類が優占したのに対し、ハス田では4-5月にニホンアカガエル(Rana japonica)幼生、6-7月に魚類が優占した。ヒメゲンゴロウ(Rhantus pulverosus)幼虫、ゴマフガムシ(Berosus signaticollis)、フナ類(Carassius spp.)、モツゴ(Pseudorasbora parva)、ニホンアカガエル幼生はイネ田よりハス田で多く、アカネ属(Sympetrum spp.)幼虫、ニホンアマガエル(Hyla japonica)幼生はハス田よりイネ田で多かった。ハス田はイネ田とは異なる生物相に利用されており、両水田の存在が地域の生物多様性保全に貢献していることが示唆された。ただし、こうした違いは冬期湛水の有無だけによるものではなく、作物成長期間中の水管理と農薬・肥料の投入量の違いも影響していると考えられた。
  • 井田 秀行, 青木 舞
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    教員養成系大学生の身近な自然観を把握するため、信州大学教育学部(長野県長野市)の学生284名を対象にアンケートを実施した。アンケートでは幼少期の生活環境と、当学部の「自然数育実習」で扱われている題材のうち日本の伝統植物や代表的樹木に対する認識を探ることに焦点を当てた。その結果、多くの学生の幼少期の生活環境は、農村部のような自然が身近にある場所であったり、お年寄りとの接触が少なくない環境であったりした。ここで、お年寄りとの接触頻度は住宅地よりも農村部で高いことが示された。なかでも、農村部に暮らし、お年寄りとの接触も多かった学生ほど、自然遊びや伝統的外遊びをしていた割合が高く、日本の伝統植物である「春の七草」の正答率も比較的高かった。このことから、幼少期の生活環境が伝統植物への認識に、ある程度影響を及ぼしている可能性が示唆された。一方で、「秋の七草」や「ススキの利用法」への認識は低く、その要因として、人の生活様式の変化に伴う伝統植物の利用放棄や生育適地の衰退が、世代間の伝承の停滞を導いた可能性がある。日本の代表的樹種に多く挙がったのは、サクラ、マツ、スギ、ヒノキで、その傾向に幼少期の生活環境との関連性は認められなかった。また、長野県の代表的樹種の首位に挙がったシラカバの占める割合は、長野県出身者が県外出身者を大きく上回っていた。これらの樹木は一般的に比較的身近な存在ではあるが、サクラを除けば、それら樹木への認識の多くは、日常生活との関わりというよりも、むしろ、現在までに得られた知識やイメージの集約により形成されたものと考えられた。以上から、将来の学校教員としての役割を踏まえると、教員養成系大学における自然教育では、こうした学生の実状に合わせた授業の展開が必要だろう。例えば、漠然と捉えている自然を、より身近にかつ具体的に捉えられるよう、導入には、自然に関わる地域の風習、文化、季節の行事など身近な題材を用い、そこに生態学的な視点を盛り込むことで、身近な自然と人の関わりを理解することから始めると効果的であると考える。
  • 畑田 彩, 平野 浩一
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    外来種問題に関する普及啓発活動および効果的な学校教育プログラム開発の一環として、外来種であるセイタカアワダチソウの分布調査を活用した総合学習を、セイタカアワダチソウが近年侵入した中山間地域の小学校で行った。活動の実践において、生態学者が関わることで得られた成果は主に次の3点であった。1)生態学的な知見に基づく指導を行うことにより、外来種調査は児童の自然を見る目を養う環境教育となりうること。2)学校教育カリキュラムを工夫することにより、複数年の生態学的データが蓄積でき、セイタカアワダチソウの侵入・分布拡大の実態を定量的に把握できること。3)学校教育を利用した外来種の普及啓発活動は、児童のみならず地域住民に対しても効果のある活動になりうること。最後に、学校教育を利用した調査活動を学術的に意義のある成果にまで近づけるための課題等について、実践成果を踏まえて論じた。
  • 日鷹 一雅, 嶺田 拓也, 榎本 敬
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 124-132
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    里地里山の生物多様性の危機は、新・日本の生物多様性国家戦略(2002)で第二の危機として認識されるようになっているが、その保全や再生の合理的な計画を立て、農業とRDB掲載種の関係性について深く理解する必要がある。今回は、水田で記録されたRDB掲載種がどの程度農業行為に依存しているかを評価するための一手法として、岡山県下で採集保存されている湿地生植物の標本に残された生息環境情報を用いて、水田とそれ以外の湿地等に対する依存性の評価分析を試みた。評価対象にした植物標本は、17科22分類群307点の環境省RDB掲載種であり、ENが6分類群、VUが14分類群、NTの2分類群が含まれていた。標本に記録された生息環境の記録について整理を進め、水田、ため池、河川及び氾濫原、それ以外の湿地、非湿地の5種類のカテゴリーに分け、それぞれの分類群の生息環境割合を示した。5カテゴリーすべての生息環境で採集されていたのは2分類群、4カテゴリーの生息環境での採集は2分類群であり、同じく3カテゴリーの場合は10分類群、2カテゴリーは5分類群、1カテゴリーのみ、すなわち水田だけの記載分類群3分類群だけであった。また水田、ため池、河川と氾濫原の3種類の生息環境は、全体の採集標本92%を占める主要な採集環境であったので、農業依存性の解析には、これら主要な生息環境に着目し、各生息環境での記録頻度を分類群ごとに比較検討することとした。解析の結果、大別して6種類の種群が考えられた。さらに、そのうち農業活動やそのための施設維持が欠かせない環境として、水田>ため池>それ以外の生息環境という重み付けを考え、各RDB掲載種の農業依存性について一評価を試みた。各分類群の採集標本点数はそれほど多くないため、この評価分析から、このRDB掲載種は水田農業依存であるかどうかの判別はあえて避けることにしたが、それぞれのRDB掲載種におけるこれまでの湿地における攪乱環境へ適応についての一般的知見から、水田耕作に強く依存している農業依存種の候補種は数種認められた。今回標本の記載情報に基づいた農業依存性評価を初めて試みたわけであるが、その問題点について各方面から議論した。人類の食料資源生産の場である農耕地を対象に合理的に生物多様性の保全・再生を進めるためにも、より正確かつ地域性を考慮した精度の高い農業依存性の評価が必要になる。そのためには、貴重なRDB掲載種の地域個体群の現状維持と詳細な生息地環境調査がまず為されなければならない。今こそ里地ホットスポットの保全が急務である。
  • 岩田 明久
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 133-141
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    現在、アユモドキLeptobotia curtaの天然個体群は岡山県の二カ所と京都府の亀岡のみにしかなく、日本の淡水魚で最も絶滅の危険性が高い種の一つとされる。本種は、水田に取水するために灌漑用ゴム布引製起伏堰が稼働した後に、水位の急激な上昇で水没する陸生植物の繁茂した堰上流部のうち、緩傾斜が続く泥底止水城浅所のごく狭い範囲に産卵する。しかも、産卵日は水位の上昇が止まった直後の一日から二日間のみという集中的な産卵習性を持つ。仔魚には3-4週間浮遊しながらミジンコ類を専食するための安定した一時的水域が必要である。一方、稚魚から成魚の環境要求性は狭くない。従って、本種の存続はひとえに産卵場と仔魚の育成場所の存在にかかっている。このような場所はモンスーン地域の雨季に、河川水位の急激な上昇で水没する氾濫原や河跡湖の岸辺といった、水田生態系が作出される以前の始源的状態を保持しているといえる。現在、この条件を満たす箇所は用排兼用型灌漑のもとに在来水田農業が営まれる、用水路に続く遊水地や灌漑堰のある河川支流にごく僅かに残されているにすぎない。そして、このような場所は水田農地・河川改修で最初に消失する部分である。アユモドキのような在来水田農業に依存した生物を存続させるには、水田周辺の用排水路・小溝・河川支流等といった場所に残存するモンスーン気候遣存環境の維持と再創出を強く目指さなければならない。
  • 西原 昇吾, 苅部 治紀, 鷲谷 いづみ
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 143-157
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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    水田および周辺のため池などの一時的-永続的止水域に生息するゲンゴロウ類は、休耕田の乾燥化、ため池の管理放棄、大規模開発、採集圧や侵略的外来種の侵入などの様々な要因が重なり、現在では危機的な生息状況にある。全国各都道府県から刊行された最新のRDBを比較検討したところ、スジゲンゴロウは8府県、コガタノゲンゴロウは6府県、シャープゲンゴロウモドキは4都府県、ゲンゴロウは2県で絶滅種として掲載されていた。神奈川県では、さらにツブゲンゴロウなど4種類の小型種もRDB掲載種であった。比較的情報の多いシャープゲンゴロウモドキについて現地調査および文献収集によって現状把握を試みたところ、戦前に知られていた生息地はすべて消失していることが判明した。1984年の千葉県での再発見以降、生息地の発見が各地で相次いだが、その後、それらの生息地は急速に失われ(全国6割減)、石川県以外で生息が認められた県においても、各県に残されている生息地はそれぞれ数ヶ所以下であることも明らかになった。比較的多くの生息地が残されている石川県においても、休耕田の乾燥化、ため池の管理放棄、大規模開発、採集庄や侵略的外来種の侵入などによって一層の減少が危倶される状況であった。一方、保全条例の制定や休耕田の湛水化など、保全に向けた取り組みも進展し始めている。本稿では、ゲンゴロウ類と共存するための農村整備のあり方についても考察した。
  • 亀山 剛, 森田 敏弘, 岡田 純, 内藤 順一, 宇都宮 妙子
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 158-166
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    山陽地方に生息するダルマガエルRana porosa brevipoda岡山種族は、現在日本で最も絶滅が危倶されているカエル類の地域個体群のひとつである。その中で、土地区画整理事業によって2003年11月に生息地が消滅した広島県神辺町産の個体群を飼育下に緊急避難させ、新たな生息地へ試験的に再導入をおこなった。ダルマガエルの生息には水田環境が絶対条件で、なおかつ、生活史に合わせた人為的な水管理が重要であった。したがって、導入場所の選定にあたっては、地権者である農家の理解と協力が得られるかどうかに重点を置いた。その結果、広島県世羅郡の水田地帯にある休耕地を試験湿地に設定し、2004年5月-6月にかけて幼体117個体、幼生2,947個体の導入を行った。その後のモニタリングでは、2004年10月には、成体18個体、幼体248個体、合計266個体のダルマガエルが確認された。翌2005年6月には少なくとも3クラッチ分の自然産卵が確認され、同年10月には、成体15個体、幼体60個体、合計75個体のダルマガエルが確認された。以上により、飼育集団をある程度残した上で、自立した野外集団の創出に成功した。この結果を受けて、2005年には新たな導入地を設定し、幼生の導入を始めている。今後は追加導入およびモニタリングを実施し、定着へ向けての活動を継続する予定である。
  • 辻野 亮, 揚妻-柳原 芳美
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    2006 年 11 巻 2 号 p. App6-
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
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  • 原稿種別: 表紙
    2006 年 11 巻 2 号 p. Cover3-
    発行日: 2006/12/05
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
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