ホソカワ粉体工学振興財団年報
Online ISSN : 2189-4663
ISSN-L : 2189-4663
23 巻
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前付け
平成25年度 研究助成成果報告
  • 東 正樹
    2015 年 23 巻 p. 18-22
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    半導体製造や光通信など,精密な位置決めが求められる場面で熱膨張が問題となっている.温めると縮む,負熱膨張材料は,構造材料の熱膨張を抑制し,ゼロ熱膨張コンポジットを作成するのに使えると期待される.本研究では,6 GPa 1000°Cで合成した巨大負熱膨張材料BiNi0.85Fe0.15O3粉末をフィラーとしてエポキシ樹脂に分散させ,ゼロ熱膨張コンポジットを実現した.フィラーの結晶構造変化と負熱膨張は粉末X線回折で確認,歪みゲージで測定した18体積百分率 BiNi0.85Fe0.15O3 / エポキシ樹脂コンポジットは,27–57°Cの範囲でゼロ熱膨張を示した.

  • 飯村 健次
    2015 年 23 巻 p. 23-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    金属酸化物酸化物の室温合成は研究者にとっても産業にとっても非常に魅力的である.しかしながら,室温ゆえの反応性の低さから通常は酸化物を室温で合成することは極めて難しい.本課題では強い酸化力を持つことはよく知られているものの,金属酸化物を合成する試みはほとんど報告されていないオゾンに着目し,酸化亜鉛を対象として室温合成の可能性を検討した.結論として,オゾンの援用により酸化亜鉛の室温合成を達成した.また,オゾンを援用した場合に得られる酸化亜鉛は昇温による合成物と異なる物性を有し,XRD測定から結晶性の高いZnOの合成が可能であることが分かった.また,PL測定結果からオゾン処理が酸素欠陥を抑制する効果を持ち合わせていることが明らかとなった.

  • 池田 輝之
    2015 年 23 巻 p. 28-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    熱電材料による高効率の発電を実現するため,熱電性能指数の向上を目的に,材料中の固相相変態を利用したナノ構造化を試みた.ナノ構造化により,格子熱伝導率の低下とドーパント固溶限の増大が期待される.シリコンにはアンチモンまたはホウ素を,マグネシウムシリサイドにはビスマスを固相析出させるため,まず,高エネルギーボールミルプロセスにより試料を微粉化し,非平衡強制固溶体とした.その後,放電プラズマ焼結により試料を固化すると同時にナノ析出を起こさせる.このプロセスによりこれらの物質のナノ構造化が可能であることが明らかとなった.シリコン-アンチモン系では,平衡固溶度よりも高いキャリア濃度を確認した.また,マグネシウムシリサイド-ビスマス系ではナノ析出構造による格子熱伝導率の低下を示唆する結果が得られた.

  • 井澤 浩則
    2015 年 23 巻 p. 33-37
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    超音波応答DDS型への応用を指向してCDを高分子ネットワーク内に含むゲル微粒子を創製し超音波に対する応答性を評価した.ナノ粒子形成が期待できる低分子量のキトサン(16 kDa)を三置換のカルボキシメチル化β-CD(β-CD架橋剤)で架橋することで,β-CDを高分子ネットワーク内に含むナノ粒子(β-CD架橋型キトサンナノ粒子)が得られた.β-CDをグラフト化しただけのCD複合化キトサンとトリポリリン酸の複合化によって比較サンプルも調製した.ローダミン6Gをモデル薬物に用いて超音波応答性を評価した結果,超音波照射を行わないブランクでは,1.5時間後にモデル薬物の放出が終了するのに対して,超音波照射を行うと,約4倍の遅延放出効果を示すことが分かった.一方で,CDをグラフト化しただけの比較サンプルでは,遅延放出効果は確認されなかった.これらの結果から,CDを分子内に含む高分子ネットワークに超音波照射を行うと,錯体がより安定化すること示唆された.

  • 石田 尚之
    2015 年 23 巻 p. 38-43
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    疎水性引力は,疎水性の粉体などの表面間に長距離から強い引力が働く特異な現象であり,粉体の挙動に重要な影響を及ぼす.この引力の起源についてはナノサイズの気泡の表面間架橋であるとされるが,気泡が存在しない系ではどのような力が働くか,あるいは水以外の溶媒でこの力が存在するかなど,検討されるべき点は数多く残っている.本研究では,原子間力顕微鏡を用いた直接測定により検討を行い,気泡を除去した疎水性表面間にもファンデルワールス力より強い引力が働くことを見出した.これは,疎水性引力は気泡がなくても働き得ることを示している.また,有機溶媒中の疎液化した表面間にも疎水性引力と同様の引力が観測され,水以外の溶媒中でも疎水性引力と同様の「疎液性引力」が普遍的に存在することが推察された.これらの引力の作用範囲は表面のサイズによって大きく変化し,これは発生起源の違いを反映していることが示唆された.

  • 稲垣 怜史
    2015 年 23 巻 p. 44-49
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    電場触媒系へのゼオライト触媒の適用を指向して,粒子複合化装置でのCeO2微粒子で被覆されたZSM-5ゼオライトの調製方法を検討した.湿式混合後に多段階で複合化処理を行って得たCeO2複合化ZSM-5では,粉末X線回折により,複合化処理を重ねてもZSM-5の結晶構造は保たれることがわかった.CeO2微粒子の凝集体はビーズミル解砕により単分散微粒子を得ることができ,一連の処理工程を経てもほとんど再凝集することなくZSM-5表面をCeO2微粒子で被覆することができた.粉末の断面を電子顕微鏡で観察したところCeO2(40 wt%)/ZSM-5のCeO2層の厚さは数十nm程度となることがわかった.調製したCeO2/ZSM-5ではZSM-5本来の固体酸触媒特性を損なうことなく,各種炭化水素のクラッキング反応を進めることを明らかにした.

  • 殷 澍
    2015 年 23 巻 p. 50-56
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    酸化タングステンにアルカリ金属イオンをドープしたタングステンブロンズ型MxWO3(M = Cs, Na, K, etc.)は,タングステンが混合原子価状態であるため,自由電子密度が高く,それに由来する様々な新規機能性及び応用が期待される.本研究では,水溶液プロセスを中心とした環境にやさしいソフトケミカルプロセスを利用し,特にカルボン酸とアルコールを反応溶媒として用い,高温におけるエステル化反応による水分子の放出を精密に制御できる新規ソルボサーマルプロセスを提案し,様々な形態及び粒子サイズが制御された混合原子価状態タングステン系化合物均一ナノ粒子の創製及び赤外線遮蔽材料,透明導電性材料,新規温熱癌細胞治療への応用について検討した結果を紹介する.

  • 上原 宏樹
    2015 年 23 巻 p. 57-64
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    ポリL乳酸(PLLA)は植物由来のプラスチックであり,カーボンニュートラルな材料であるため,その利用が地球温暖化の防止に役立つと期待されている高分子材料である.PLLAと鏡像異性体の関係であるポリD乳酸(PDLA)は前述のPLLAと対になって結晶格子に充填され,ステレオコンプレックス晶(Sc晶)を生成することが知られている.このSc晶は融点が220°Cであり,PLLA,PDLAそれぞれ単独で形成されるα晶の融点170°Cに比べ高く,耐加水分解性を有することが知られている.しかし通常のPLLA/PDLAブレンドでは同時にα晶形成されてしまうため,選択的にSc晶を得ることは難しい.そこで,本研究ではPLLAとPDLAを狭い多孔膜の連通チャネル内で接触させることで,Sc結晶化させるとともに細孔サイズを反映したナノ・パーティクルを得ることを試みた.また,その結晶系と結晶核材としての効果を評価した.

  • 梅津 信二郎
    2015 年 23 巻 p. 65-69
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    地球温暖化やエネルギーの問題からクリーンで再生可能なエネルギーとして太陽光発電が注目されている.現在は変換効率の高いシリコン型太陽電池が主流になっている.しかし,シリコン型太陽電池は設置場所が限られる,形状の自由があまりないことから,柔軟性や意匠性に優れた太陽電池の需要が見込まれるが,シリコン型太陽電池での実用化は難しい.また,シリコン型太陽電池は製造コストが高いという問題がある.そのため,柔軟性や意匠性を持たせることができ,低コストでの製造が可能であるといった点から色素増感型太陽電池が注目されている.しかし,現在の色素増感型太陽電池の変換効率は低い.そのため,高効率化への研究が行われている.本研究では,静電インクジェット法のエバポレーションを利用した拡散プロセスに着目し,吐出距離を変更することでチタニア薄膜の構造制御を検討し実験を行った.

  • 小野寺 恒信
    2015 年 23 巻 p. 70-74
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    機能性色素顔料をスケールダウンしたナノ粒子の創出は,今日もなお魅力的な課題である.しかし,機能性色素顔料の多くは溶媒への溶解度が低く,環境負荷が高い方法を用いてもスケールダウンが困難である.そこで,本研究では難溶性により再沈法では作製困難な錯体にも適用可能なナノ粒子化法『ナノ固相反応法』を開発した.すなわち,予め再沈法により配位子分子をナノ粒子化した後,分散液に金属塩を添加したところ,難溶性錯体の合成とナノ粒子化を同時に達成することに成功した.さらに,得られた錯体ナノ粒子の蛍光スペクトルは,対応するバルク結晶より長波長シフトしており,ナノ粒子化したことで粒子内での分子の立体配座が変化したことに起因すると結論付けた.また,ナノ粒子をアニーリングして結晶化度を向上させることで,発光強度を高めることに成功した.

  • 木田 徹也, 末廣 智
    2015 年 23 巻 p. 75-80
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    P型半導体の中でも,銅を含むカルコパライト型の半導体,例えばCuInSe2 and Cu2ZnSnS4は太陽電池材料として大きな注目を集めており,それらをナノサイズ化した半導体ナノ結晶は湿式法で薄膜を作製できる大きなメリットを有する.そこで本研究では,新しい半導体材料として銅-アンチモン-硫黄(CAS)に着目し,CuSbS2,Cu3SbS4 and Cu12Sb4S13といったナノ結晶を合成し,その太陽電池材料としての特性を調べた.高沸点有機溶媒中での金属錯体の熱分解により,上記の半導体ナノ結晶を合成した.各種分析(XRD,UV-Vis-NIR,TEM,光電子分光測定)を行った結果,合成したものは,目的とする組成と結晶構造を有するナノ結晶であることが確認できた.合成したナノ結晶を用いてITO/ZnO/CdS/CuSbS2/Auの構造の太陽電池を作製し,その光応答を調べたところ,CuSbS2については明瞭な光電変換特性を示すことがわかった.一方で,Cu3SbS4 and Cu12Sb4S13は光電変換特性を示さなかった.

  • 河府 賢治
    2015 年 23 巻 p. 81-87
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    超音波定在波を利用した気相中の粒子挙動制御に関し,粒子挙動を実験で確認すると共に計算を行い,計算の妥当性の確認を行った.実験とシミュレーションにおいて超音波振動による板間に生ずる定在波音場が同様の結果が得られた.しかし,水平な流路に定在波音場を形成し,粒子挙動を調べた結果,実験,シミュレーションともに重力が支配的となり音圧を2 kPa程度まで高めないと挙動に変化が現れなかった.そこで,主流方向と重力方向を同一とし,音圧による挙動変化を調べた.その結果,500 μmの発砲スチロールは節の位置に移動したが,8,57 μm程度の白色溶融アルミナでは音圧により節に集めることが難しいことも明らかとなった.また空気中を懸濁する微小粒子は音圧分布により生ずる音響流の影響を受けること,振動モードを変えることで音圧を高めなくても粒子挙動を制御できることも示された.

  • 高井 千加
    2015 年 23 巻 p. 88-95
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    スケルトンナノ粒子の機能性発現の鍵となる微構造解析を小角X線散乱(SAXS)を中心に行った.中空粒子のSAXS散乱関数から,シェルを構成するシロキサン結合に欠陥が存在し,これがスケルトン粒子のフレームにも存在することが示唆された.SAXS-PDDFプロファイルに見られた電子密度分布の偏りは,シリカフレームの特異な構造を表している.これらの結果から,欠陥を持つことでシリカフレームに特異な光学的,熱的散乱が起こると考えられ,機能性発現の一因を担っていることが示唆された.

  • 高山 定次
    2015 年 23 巻 p. 96-99
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    本研究の目的は,メカノケミカル反応(MCP)とマイクロ波照射(MWR)の組み合わせによるナノコンポジットの合成である.実験には二酸化スズ(SnO2)ナノ粒子とポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた.これら混合粉末にメカノケミカル処理を施した後,マイクロ波照射することで部分フッ化酸化スズ(SnO2:F)およびSnO2:Fと炭素から成るナノコンポジットの合成を試みた.得られた試料は,X線回折(XRD)およびX線光電子分光法(XPS)によって評価し,メカノケミカル反応とマイクロ波照射およびそれらの複合効果が混合物にどのような物理化学的変化をもたらすかを検討した.

  • 田中 一生
    2015 年 23 巻 p. 100-104
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
    研究報告書・技術報告書 フリー

    申請者はこれまでに,常温で液体である塩(イオン液体)がマイクロ波照射下で熱源となることを見出した.そこで,イミダゾリウム塩は既存のイオン液体の主な成分であることから,本研究ではイミダゾリウム塩修飾シリカナノ微粒子を作成し,マイクロ波照射下で熱源となり,酵素の熱失活を誘導する系の構築を目指した.得られた修飾ナノ微粒子の水分散液と通常の生理緩衝液とのマイクロ波照射時における昇温速度を比較し,熱源としての機能を評価した.また,アニオン部位を様々に変化させることで,熱源としての効率の向上を図った.さらに,イミダゾリウム部位の置換基を変えることでも機能の最適化を検討した.温熱療法を視野に入れたモデル実験として,酵素存在下,ナノ微粒子にマイクロ波を照射し,酵素活性の低下率を算出した.その結果,耐熱性の酵素やがん細胞で亢進している酵素等,効率よく活性を抑制することができることが示された.

  • 丹野 賢二
    2015 年 23 巻 p. 105-109
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
    研究報告書・技術報告書 フリー

    石炭火力は今後,機動性の高い運転が求められると考えられるが,そのためには,搬送管内の粉体濃度制御技術の向上が求められる.本研究では,搬送管内における粉体濃度制御技術を開発するための基礎検討として,物体中の構造物の下流に形成される後流渦に着目し,混合層中に構造物を設置した場合に,それにより形成される後流渦が粒子の混合挙動に及ぼす影響について,数値シミュレーションによる評価を行った.その結果,混合層のみの条件では,速度こう配による大規模な渦が発生した領域で急激に運動量の混合と粒子の分散が進む一方,混合層と後流渦が共存する場合には,構造物下流で形成される後流渦により,運動量の交換と粒子の分散がある領域では進むが,ある領域においては濃縮が進むことが明らかとなった.

  • 辻 拓也
    2015 年 23 巻 p. 110-113
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    流動層は,乾燥や燃焼,ガス化といった熱物質輸送に関連したプロセスにおいて,広く用いられている.層内におけるこれらの輸送現象を実験的に計測することは容易ではなく,数値シミュレーションに基づいた層内固二相流れに対する理解促進が重要である.本研究では,現在流動層シミュレーションに広く用いられているDEM-CFDメゾスコピックモデル上において,熱物質輸送の取り扱いを可能とする拡張を行った.特に流動層中における湿潤粒子群の乾燥過程に着目し,これ表現できる計算モデルの開発を行った.シリカゲル粒子を試験試料として行った粒子乾燥実験と提案モデルによる計算の結果を比較することにより,当モデルが湿潤粒子の乾燥過程を概ね定量的に表現可能であることを示した.

  • 寺島 千晶
    2015 年 23 巻 p. 114-118
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    エネルギー需要と地球温暖化の問題を解決するために,二酸化炭素の削減とともに有用物質に変換する技術開発が注目されている.ダイヤモンドはその優れた物性から光触媒材料としての期待が高く,バンドギャップエネルギー5.5 eV以上の光で励起すれば,高い還元エネルギーを持つ.本研究では,水に溶解した二酸化炭素の還元をダイヤモンド粒子で担うことを目的とした.粒径の異なる2種類のダイヤモンド粒子(ND-A: 250 nm, ND-B: 20 nm)を使い,222 nmの単色光を照射し,二酸化炭素の還元生成物を調べた.密閉型の反応セルを用いて実験を行い,気体生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ,主生成物は一酸化炭素であった.ND-AおよびND-Bによって生成された一酸化炭素は,10 μmol/gと95 μmol/gであった.また,同位体試験を行ったところ,導入した二酸化炭素からの変換は僅かではあったが,ダイヤモンド粒子による二酸化炭素の光触媒的還元を示すことができた.

  • 冨樫 貴成
    2015 年 23 巻 p. 119-122
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    本研究では,タンパク質-無機ナノ粒子を混合のみで融合させる技術の開発を目指し,カルボキシル基を表面に有する無機ナノ粒子の合成を行った.流通式反応装置を用い,3,4-dihydroxyhydroxycinnamic acidを配位子とした金属錯体を高温高圧水中で分解することにより水に対して高い分散性を有する酸化鉄・酸化セリウムの連続合成に成功した.合成したナノ粒子は免疫系を刺激することなく,炎症反応を引き起こさない生体適合性を有することがわかった.

  • 徳留 靖明
    2015 年 23 巻 p. 123-128
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    熱や光,湿度,pHなどの外部刺激に応じ特性や構造が変化する刺激応答性材料は,センシング,ドラッグデリバリー,アクチュエーターなどへの応用を目指して盛んに研究が行われている.本研究では,有機-無機ハイブリッド2層膜上に外部刺激応答性を有する微細構造の作製をおこなった.具体的には,ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)-ハイブリッドシリカ2層膜,およびポリジメチルシロキサン(PDMS)-シリカ2層膜の2種類の異なる材料を作製した.得られた材料はそれぞれ温度応答性および溶媒応答性を示し,表面微細周期構造(褶曲構造)の形成/消失を外部刺激により制御することが可能であった.これら材料を単分散な粒子として合成することで,その微細構造の形状が粒子サイズに大きく依存することを実験的に確かめた.folding構造や入れ子状褶曲構造等の特異な構造を示す本材料により外部刺激による微粒子のキャッチ&リリースが可能であった.

  • 生津 資大
    2015 年 23 巻 p. 129-135
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    本研究では,癌細胞の非侵襲瞬間温熱治療への応用を目指し,生体材料のTiとSiから構成され,自己伝播発熱反応を発現する発熱ナノ粒子の製造技術を開発した.ϕ10 nm程度のシリカ微粒子とϕ100~300 nm程度のポリスチレンビーズと純水からなる懸濁液をミスト化し,それを低温から高温への温度勾配を持つ電気炉に通すことで多孔質シリカナノ粒子を製造した.電気炉温度,窒素流量,ポリスチレンサイズおよび濃度を変化させ,粒子の最適製造条件を導出した.次に,溶融塩プラズマ電解法等を用いてシリカ粒子の還元を試みた.その結果,多孔質粒子の形状を崩さずにシリカ中の酸素濃度を27 at%まで下げることに成功したが,完全にSiに還元することはできなかった.その後,スパッタや溶融塩メッキ技術で多孔質シリカ粒子の表面と空孔にTiを堆積させた.Ti被覆シリカ粒子に電気刺激を与えた結果,自己伝播発熱反応を示すことを確認した.

  • 根岸 雄一
    2015 年 23 巻 p. 136-141
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,高い酸素還元触媒能を有する新規白金クラスターの合成に取り組んだ.配位子にはテトラオクチルアンモニウムブロミドとフェニルエタンチオラートを用い,クラスター合成にはポリオール還元法を用いた.その結果,反応時間という非常に単純なパラメーターを調節することで,様々なサイズの白金クラスターをサイズ選択的に合成することに成功した.また,配位子にフェニルエタンチオラートを用いた際,最小の白金クラスター中には白金が54–57原子,硫黄が12–16原子含まれていることがMALDI質量分析より明らかになった.このようにして合成した白金クラスターを用いて電極を作成し,白金クラスターの酸素還元触媒能について調べたところ,白金クラスターを用いると,市販の白金ナノ粒子を用いた場合よりも活性が約1.5倍程度向上することが分かった.

  • 野村 竜司
    2015 年 23 巻 p. 142-147
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    熱揺らぎが凍結する極低温において,乱れの下で進行する一次相転移のダイナミクスは興味深く,新たな量子効果の発現も期待できる.我々はシリカエアロジェルという多孔体中での4Heの結晶化過程を可視化することにより調べた.結晶化過程は温度によって大きく変化し,高温では滑らかな界面進行(クリープ)によって成長し,低温では雪崩的に成長することが分かっていた.これは熱揺らぎと乱れの競合による結晶成長様式の転移であると考えられる.結晶成長速度や核生成確率の温度依存性の測定から,クリープは熱揺らぎによる成長,雪崩は量子トンネル効果による成長であることが示されていた.また雪崩のサイズ分布が冪的振る舞いをすることから,系が自己組織化臨界状態にあることも分かっていた.今回我々はこの研究を更に押し進め,圧力一定のもとでの冷却によっても結晶化が進むことを見出した.結晶と液体の密度差を補うために,結晶化の進行にはエアロジェルを取り囲む4He結晶から,エアロジェル中への質量の供給が不可欠である.エアロジェル中での結晶化の進行は,それを取り囲む結晶中での質量輸送が可能であることを意味し,近年話題となっている4He結晶の超固体性と関連すると考えられる.ただし結晶化の開始温度は,過去に報告されている超固体転移温度とは一致せず,より低温であった.このことは,質量輸送が可能な超固体転移温度以下であることは必要条件であって,それと同時に多孔体中での結晶相の安定領域に入って初めて結晶化が進むことを意味している.超固体性と多孔体中での結晶化の複雑な相互関係を示した初めての結果を得ることができた.

  • 武藤 浩行
    2015 年 23 巻 p. 148-152
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    単分散微粒子を幾何学的に配列,集積させる技術に関して詳細な検討を行った.従来の手法に機械的な刺激を与えることで,より大きな寸法の集積構造体を高速に作製することができることを示した.また,集積体形成機構に関する考察を行い,さらに,個別要素法を用いることで,離散的な粒子の運動をシミュレーションすることができ,如何なる外部刺激が集積化過程に有用であるかを検討することができた.しかしながら,光学デバイスへの応用を想定した際,用いる単分散微粒子のサイズは,数十~数百nmとなり,この場合は,質量の小さい粒子に十分な外部力学刺激を与えることは困難であると想定される.このため,電場を用いても類似の集積構造を得ることができる結果を示した.また,複合単分散微粒子を用いたナノ・ミクロデザインの可能性を検討し新規デバイス応用への基本的なアイデアを提案した.

  • 山中 真也
    2015 年 23 巻 p. 153-157
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    本研究では,廃棄ホタテ貝殻の有効利用を目的として,申請者らの提案する乾式粉砕したホタテ貝殻粉砕物に,水を添加して乾燥することでナノ粒子を得る“ナノ粉砕法”を用いて,北海道だけでも年間20万トン以上排出されているホタテ貝殻を合板用接着剤のフィラーとして活用した.合板から放散されるホルムアルデヒドは,貝殻ナノ粒子を充填しないときと比較して大幅に抑制できた.ホタテ貝殻粒子の比表面積が,合板から放散されるホルムアルデヒド量に及ぼす影響を検討した結果,ホルムアルデヒド放散量を小さく抑えるえるためには,比表面積の大きな貝殻粒子を用いた方が望ましいことがわかった.

  • 山本 大吾
    2015 年 23 巻 p. 158-163
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    近年,化学反応のエネルギーを使用して,反応溶液中で自発的に運動を行う触媒型マイクロモーターの研究が盛んに行われている.ここで,既存のほとんどの研究では,燃料として過酸化水素の分解反応を用いているが,過酸化水素の①高い皮膚刺激性,②分解反応による気泡生成の二点が広範な応用への妨げとなっている.本研究では,過酸化水素の分解反応の代わりにアルコールやアルデヒドなどの有機燃料の酸化反応を利用することで,新しい触媒型白金マイクロモーターの構築を行った.その結果,従来の燃料には無い以下の特筆すべき性質を有することを見出した.

    1)多様な有機燃料に関して広い濃度領域で指向的運動を発現できる.

    2)反応生成物として気相・固相が発生しないグリーンなシステムである.

    3)従来の燃料とは運動方向が逆である.

    これらの性質は,マイクロデバイスの動力源やドラッグデリバリーシステムなど広範な応用を強く期待させるものである.

  • 吉田 幹生
    2015 年 23 巻 p. 164-168
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    付着性を改善する方法の1つに微小粒子を添加する方法がある.しかし,付着性改善メカニズムは十分に明らかになっていない.本研究では,付着性を反映する圧密充填操作を用い,付着性改善のターゲットとなる主粒子の粒子径が付着性改善効果に及ぼす影響を検討した.主粒子には397,1566 nm,添加粒子には8,21,62,104 nmのシリカ粒子を用いた.所定の割合で混合した試料の圧密充填率を測定し,未添加の場合と比較した.また各混合試料の被覆状態をSEMにより解析した.結果より,添加粒子に対する主粒子の粒子径比が大きいほど,付着性改善効果が生じやすいことが明らかとなった.これはテコの原理を適用した3体連結モデルによって説明できることが示された.また,主粒子径が大きいほど,付着性改善効果が最大となる被覆率が小さくなった.これは主粒子の曲率に基づく主粒子同士の接触確率によって説明できることが示された.

  • 鷲野 公彰
    2015 年 23 巻 p. 169-172
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    湿式造粒プロセスにおいて,粉体層内部への液分散はプロセスの最適化や製品の品質管理において重要であり,数値計算による現象の理解促進が望まれている.本研究では,離散要素法(DEM)において個々の粒子表面の部分濡れを考慮した,粒子同士の接触による液輸送モデルの開発を行った.開発されたモデルでは個々の粒子の表面を細分化し,それらの分割面同士での液の移動を時間とともに追跡することで,粒子の局所的な濡れやその分布を表現した.開発モデルは種々の造粒機内の粉体層への液の分散予測に適用された.その結果,Shi & McCarthyモデル(Shi D. and McCarthy J. J., 2008)に代表される既存のモデルでは,高粘度の液のように液流動性が悪い場合は液分散速度を過大評価してしまう問題があり,DEMにおける粒子表面の部分濡れを考慮することの重要性が示唆された.

  • 渡邉 哲
    2015 年 23 巻 p. 173-179
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    本研究では,多孔性金属錯体(Metal-Organic Frameworks; MOFsもしくはPorous Coordination Polymers; PCPs)の1種であるZeolitic Imidazolate Framework-8(ZIF-8)を対象に,ZIF-8が示す特異な吸着特性を粒径・形状によって制御すべく,単分散ZIF-8微粒子合成プロセスの構築を目的とした.亜鉛イオンと2メチルイミダゾール水溶液をマイクロリアクタを用いて混合したところ,バッチ式での合成よりも狭い粒度分布を持つZIF-8微粒子が高い再現性で得られた.粒子形状は,室温で合成すると切綾立方体であったのに対し,低温条件(5°C)ではラズベリー型が得られた.2メチルイダゾールと亜鉛イオンのモル比Rの影響を検討したところ,Rが大きくなると粒子サイズは50 nmまで小さくなり,さらに,ブチルアミンを添加すれば,20 nmのZIF-8粒子が得られることを示した.得られたZIF-8微粒子の窒素吸着等温線を測定したところ,粒径が小さくなるとゲート吸着圧は高圧側へシフトすることを見出し,粒径によるゲート吸着挙動制御の可能性を示した.

  • 渡邊 裕章, チョウ イ, 武藤 昌也, 北川 敏明
    2015 年 23 巻 p. 180-191
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/02/03
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    粒子周りの渦構造,粒子表面の圧力や摩擦力の分布から,球形粒子と不規則な形状を持つ石炭粒子,または石炭粒子と表面積や体積,球形度が等価な楕円体の一様流中の運動の比較を通じて,非球形粒子の運動特性を明らかにすることを目的に,単一粒子の6自由度計算が可能なArbitrary Lagrangian-Eulerian(ALE)法による直接数値計算(DNS)を実施した.また,湧き出しが種々粒子の運動特性に与える影響についても検討を行った.その結果,粒子に湧き出しがない場合,初期角度をもつ楕円体粒子は,安定な状態に達することはなく,Reの変化に伴いCDは振動し,その振動の確率密度関数はsine関数のそれと似た特性をもつこと,粒子に湧き出しがある場合は,湧き出しがない場合に比較して,球および楕円体粒子に作用する摩擦力が大きく減少しCDは小さくなり,初期角度をもつ楕円体粒子のCDが回転・振動する特性は,湧き出しがない場合と同様の確率密度関数で表現することが可能であることがわかった.

平成26年度 研究者育成のための援助成果報告
平成26年度 シンポジウム等の開催援助成果報告
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