ホソカワ粉体工学振興財団年報
Online ISSN : 2189-4663
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平成28年度 研究助成成果報告
  • 荒尾 与史彦
    2018 年 26 巻 p. 20-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    グラフェンに代表されるナノシートは,高弾性,高強度であるとともに,化学安定性にすぐれ,かつ熱伝導性にも優れるため,様々な応用が期待されている.これらの特性を最大限に発揮させるために,できるだけ薄くかつ大面積であるような,ナノシートの高アスペクト比化が求められている.ナノシートは気相では凝集するために,単層レベルまで剥離するためには液相における剥離が必須となる.液相剥離においては,剥離可能な溶媒がNMPなどの取り扱いの難しい溶媒に限られており,この溶媒の制限が更なる用途拡大のボトルネックとなっていた.これらの液相剥離の欠点(低アスペクト比,溶媒制限)を克服すべく,溶媒剥離法の装置改造,溶媒探索,新規手法の探索を行う中で,溶媒中に少量の弱酸塩を添加することで,液中で粉砕する際にナノシートのメカノケミカル反応を引き起こすことができ,ナノシートの溶媒可溶性とアスペクト比が大幅に改善されることを発見した.

  • 石原 真吾
    2018 年 26 巻 p. 25-31
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    本研究では,圧縮成形過程における顆粒挙動や,顆粒特性から成形体特性を予測するためのシミュレーションモデルの開発を行った.粉体圧縮成形では原料の離散的な流動挙動を表現するだけでなく,圧縮時の粒子の変形や破砕を表現可能なことが必要であるため,非球形粒子の運動および破砕挙動を直接的に解析可能なADEM(Advanced Distinct Element Method)を用いて,一軸圧縮試験で得られる顆粒特性と顆粒群の圧縮成形挙動の関係について検討を行った.圧縮荷重の増加により緻密な成型体が得られるが,圧縮荷重が大きすぎると成形体強度が低下する結果を得た.シミュレーションでは圧縮荷重を印加した後の顆粒の状態を解析し,シミュレーションから求められる微粉率と成形体強度に相関関係があることが見出された.

  • 稲田 幹
    2018 年 26 巻 p. 32-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    本研究は,アニオンを包接した12CaO·7Al2O3(C12A7)多孔体表面をアパタイト結晶で被覆した新規コア-シェル結晶を開発することを目的に行った.計画では,①C12A7ナノ結晶を合成し,②表面をアパタイト化してコア-シェル結晶を作製し,③擬似体液浸漬法により生体親和性の評価を行う予定であったが,①C12A7多孔質ナノ結晶の開発についてのみ達成できた.C12A7前駆体であるハイドロガーネットを合成するため,Ca(OH)2ゾルとAl(OH)3ゾルを混合・熟成した.得られたハイドロガーネットの熱処理により水酸基の脱離に伴う多孔質化とともにC12A7の結晶化が起こり,50 m2/gを超える比表面積を有する高結晶な多孔質C12A7粒子の開発に成功した.これまでのどの報告よりも高い比表面積を達成でき,本研究の目的に沿った結果であった.

  • 岩﨑 智宏
    2018 年 26 巻 p. 36-40
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    磁気ハイパーサーミア(磁気温熱療法)は誘導加熱特性をもつ磁性ナノ粒子を用いたがん治療法であり,がん組織に集積させた磁性ナノ粒子を交流磁場により加熱し,正常細胞よりも熱耐性の低いがん細胞のみを死滅させる.したがって,磁気ハイパーサーミアでは磁性ナノ粒子の誘導加熱の制御が極めて重要である.そこで本研究では,優れた生体適合性と誘導加熱特性をもつマグネシウム亜鉛フェライトを磁性ナノ粒子のモデルに用い,その粒子径と磁性流体における凝集・分散が誘導加熱に及ぼす影響について実験的および数値的に検討した.その結果,クエン酸イオンと非イオン性界面活性剤を含むマグネシウム亜鉛フェライト磁性流体は3以下のpHでナノ粒子の凝集が生じ,分散状態に比べて発熱の低下が見られたことから,誘導加熱の制御では磁性ナノ粒子の粒子径だけでなく凝集・分散状態が重要な操作因子であることがわかった.

  • 殷 澍
    2018 年 26 巻 p. 41-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究はタングステンブロンズやタングステンサブオキサイド等のタングステンベース赤外線遮蔽機能粉体材料を環境に優しいソフトケミカルプロセスによって創成し,ナノ・マイクロ構造の制御を行い,赤外線遮蔽材料の高機能化を実現すると共に,光触媒ナノ粉体材料との複合化を行い,マルチ機能性光触媒機能を実現した.更に粉体機能材料を用い,マルチ機能性光触媒薄膜を調製した.薄膜は可視光のみを透過させ,有害な紫外線をカットし,赤外線熱効果を遮断し,環境浄化性能を持つマルチ機能性を有するスマートウィンドウとしてのポテンシャルを示した.本研究のコンセプトは様々な光触媒材料への適用が可能であり,赤外線遮蔽等の新規機能を付与した光触媒複合材料は,新規な建築材料への潜在的用途を示し,マルチ機能性スマートウィンドウ材料としての応用が期待される.

  • 薄井 洋行
    2018 年 26 巻 p. 46-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    エアロゾル化した活物質粉体を集電体基板に噴射し,強く凝着させ膜化する手法により,導電助剤・結着剤を含まないナトリウムイオン電池電極を作製し,ルチル型Nb-doped TiO2およびリン化インジウム(InP)の基礎的な負極特性と微細構造を調べた.水熱合成法で調製したNb-doped TiO2からなる電極において,粒子サイズに対する結晶子サイズの割合が高い試料が良好な充放電性能を示すことを確認した.種々の二元系リン化合物の中で,これまで見出してきたSn4P3負極に次ぐ性能をInP負極が示すことがわかった.電極活物質の微細構造解析の結果から,InPはNa吸蔵時にInとPに分相することがわかった.したがって,金属In相がP相からの応力を緩和するとともに,その高い電子伝導性によりNa3P相の乏しい電子伝導性を補ったため,InP負極は優れた性能を示したものと考えられる.

  • 奥田 知将
    2018 年 26 巻 p. 53-59
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    本研究では,難水溶性抗癌剤であるパクリタキセル(PTX)にポリエチレングリコール誘導体を添加することで調製した徐放性・滞留性を発揮する機能性ナノ結晶(nPTX)を吸入剤として医療応用すべく,噴霧急速凍結乾燥(SFD)法による粉末製剤化を試み,その有用性について検証した.賦形剤としてロイシン(Leu)を用いることで,粉末製剤化後もnPTXの粒子物性・PTXの徐放性・抗癌活性が十分に保持されるとともに,優れた肺送達性を発揮するnPTX SFD微粒子の開発に成功した.このnPTX SFD微粒子は,従来のPTX製剤であるTaxolと比較して,肺内投与後にPTXをより長時間に渡り肺内に滞留するとともに,肺組織障害性がより軽微であることを明らかにした.また,nPTX SFD微粒子の肺内投与後に再構築したnPTXが速やかに肺組織へ移行することを見出した.肺転移癌モデルマウスを用いた治療評価において,nPTX SFD微粒子の肺内投与による癌治療効果の可能性が示唆された.

  • 門田 和紀
    2018 年 26 巻 p. 60-65
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    本研究では,基剤として比較的安価かつ人への安全性が高い糖類を使用したコンポジット粒子によるDPI製剤の開発を行った.食品添加剤として既に利用されている高度分岐環状デキストリン(Highly branched cyclic dextrin: HBCD)により,吸入粉末剤のマトリックス基剤として開発することを目指した.HBCDは水中での粒子径は20~30 nmの構造であり,親水性薬物および疎水性薬物と相互作用させて,噴霧乾燥により複合粒子を作製し,製剤の各種物性評価および吸入特性評価を行った.さらに,数値シミュレーションを用いて,CT画像から得られた肺内部での粒子挙動について解析を行った.その結果,HBCDはリファンピシンおよびイソニアジドの薬物について,肺深部への到達性を示す値が50%以上となった.さらに,数値シミュレーションを用いて肺内部での粒子挙動について解析した結果,粒子特性の違いにより肺への沈着挙動が異なり,同じ葉気管支でも重力方向への粒子沈着が多くなる傾向を示した.

  • 木口 賢紀
    2018 年 26 巻 p. 66-72
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,空間対称性の破れた新奇HfO2極性相が発見され,非鉛かつ非ペロブスカイト型構造の新奇強誘電体材料として注目されている.Hf0.5Zr0.5O2(HZO)は,薄膜状態において広いHf/Zr組成域で空間群Pca21の直方晶準安定相を形成しうることが知られるが,配向制御した試料を使った結晶構造や微細組織の知見が皆無である.本研究では,基板による弾性的拘束に起因する自己弾性場を利用して,イオンビームスパッタリング法と急速加熱法を利用した固相エピタキシーによりHfO2–ZrO2固溶体薄膜のエピタキシャル成長に初めて成功し,最先端の収差補正電子顕微鏡を活用して薄膜中のナノ組織,直方晶相や共存する単斜晶相のドメイン構造を明らかにし,固溶効果と弾性的拘束効果の二つの効果が直方晶相の相安定性向上に不可欠であることを明らかにした.

  • 桑木 賢也
    2018 年 26 巻 p. 73-79
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    今日,振動は様々な工業用粉末プロセスで利用されている.粉体層に振動を加えると,粒子はしばしば流動化する.周波数や振幅などの振動条件に応じて,さまざまな粉体流動パターンが現れることが知られている.流動パターンは,粒子サイズ,粉体層の大きさやアスペクト比の影響を受ける.振動粉体層内の粉体の対流に対する粉体量と容器形状の影響を調べるために,離散要素法(DEM)に基づく数値シミュレーションとPEPT実験の両方を行った.得られた結果は今回の条件下で粉体の対流速度は容器サイズと無関係であることを示した.次に粉体対流速度の推算式をシミュレーション結果から導き出した.この式により対流速度は振動振幅に強く依存することが考えられる.この式を用いて得られた平均速度とPEPTを用いて測定された値とを比較した.周波数が90 Hz未満で無次元加速度が5を超えると,推算値と実験値の間に良好な一致が得られた.

  • 小早川 昔離野
    2018 年 26 巻 p. 80-84
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    大規模離散要素法(DEM)を用いて,乾燥粉体層中での平板掘削のシミュレーションを行った.粉体層の初期充填率(粒子体積占有率)が平板抵抗力に及ぼす影響を検討した.その結果,掘削の定常状態における平均作用力は充填率に対してほぼ直線的に増加する.また,充填率が低い場合,抵抗力は平板の進行とともに一定値に達するが,充填率が高くなると力は周期的に大きく増減する.一連の抵抗力の挙動は既往の研究の実験結果と対応する.層内部の局所充填率の解析から,初期充填率が低いと層内に明確な剪断帯(すべり面)が形成されない一方,初期充填率が高いと平板下部先端から粒子層表面に向かう明確な剪断帯が形成されることがわかった.さらに,充填率が高い場合,剪断帯は平板の進行に伴って,間欠的になり,剪断帯が入れ替わる過程と抵抗力の増減は連動する.

  • 鈴木 大介
    2018 年 26 巻 p. 85-88
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    水中で高度に膨潤し,環境変化に応答して性質を変化できるヒドロゲル微粒子は,センサーや化粧品,ドラッグキャリアーとしての応用が期待されている.これまでに多くの機能性ヒドロゲル微粒子が報告されてきたが,一般的にゲル微粒子の構造や相互作用部位は等方的であり,非対称性構造を有するヒドロゲル微粒子の合成は難しいと考えられてきた.ゲル微粒子の秀でた性質に加え,非対称構造をゲル微粒子に導入することができれば,上述した現存の応用分野のみならず,例えば生体物質のモデル化など,次世代科学技術の発展においてその影響は大きいと考えられる.そこで我々は,上記目的達成のため,等方構造を有するゲル微粒子とは一線を画した非対称型ゲル微粒子を提案する.

  • 瀬戸 弘一
    2018 年 26 巻 p. 89-93
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,数マイクロメートルの貫通孔が周期的に配置された金属メッシュデバイスを用いて,捕集された粒子を分光特性から定量する新規パーティクルカウンターを開発した.金属メッシュデバイスに穴よりも大きなラテックス粒子懸濁液を通液させると,ラテックス粒子濃度が高くなるにつれて金属メッシュデバイスの赤外光透過率が変化した.ラテックス粒子濃度および赤外光透過率変化量間には直線関係が確認できた.一方で,同じ金属メッシュデバイスに穴より小さなラテックス粒子懸濁液を通液させても捕集されないため,金属メッシュデバイスの赤外光透過率は変化しなかった.金属メッシュデバイスは,穴よりも小さな粒子が10倍量共存した懸濁液中からでも穴より大きな粒子のみを捕集・検出できた.穴径の異なる金属メッシュデバイスを複数枚積層させて粒子を通過させることで,篩分けと分光学的検出を一つのデバイスでこなす新規粒度分布測定が期待できる.

  • 世良 俊博
    2018 年 26 巻 p. 94-99
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,肺経由DDSのための気道内粒子沈着の高精度予測を行うための数値計算プラットフォームの開発に関する研究を行った.特に,中枢気道領域と肺胞領域の2つの領域に注目した.中枢気道では,4人の男性被験者の胸部CT画像より再構築した実形状モデルと個別形状から直接平均化した気道モデルを作成し,平均化の影響に関して検討した.現状では,個人の詳細な沈着分布や沈着率を得るためには個別形状で計算を行う必要があるが,本手法による平均化モデルは個別モデルの粒子沈着率・粒子分布と大きく違うことはなく巨視的には粒子沈着を予測できることが分かった.肺胞領域では呼吸による形状の変形が無視できない.従来の相似変形による拡大収縮モデルに対し,本研究ではモーフィングによって実際の変形である異方性変形を再現し,肺胞内の粒子輸送に及ぼす影響を評価した.その結果,特に粒径1 μmの粒子では異方性変形の影響を受け,肺胞内に粒子は広範囲に分散・沈着することが分かった.

  • 田中 一生
    2018 年 26 巻 p. 100-104
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    これまでに微小粒子状物質を検知するための手法として,微細なフィルターを有する集塵装置や放射線計測に基づく装置が開発され,現在運用されている.実験室レベルでは電子顕微鏡による直接観察や光散乱による粒径の計測等が行われている.一方,これらの手法では大型の装置を用いることや,測定のための試料の前処理など,専門的な技術が必要とされる.これらの状況から,混ぜるだけで測定が可能な蛍光化学センサーの開発に着手した.特に本研究では,上述のように直接的に水質汚染の原因となることで近年注目を集めている微粒子状物質を混ぜるだけで検出が可能な蛍光センサーの開発に取り組んだ.具体的には,有機色素とPOSSをネットワーク化させた発光性有機-無機ハイブリッドゲルを合成し,水中で微粒子状物質が存在する場合の発光特性変化を調べた.

  • 中村 一穂
    2018 年 26 巻 p. 105-109
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    粒子懸濁液のケーク濾過における濾過特性は,粒子間間隙を液体が透過する際に生じる圧力損失を反映する.この粒子間間隙の大きさを評価するため,粒子の周囲に形成される電気二重層の厚さを利用した流動電位に基づく間隙サイズDspの評価方法の開発を行い,従来の評価指標(動水直径Dh,キャピラリー相当径Dp)と比較した.粒子径の異なるPMMA微粒子を用いて形成したケークのDspを評価した結果,DspDhDpと同様に粒子の平均粒子径d50が小さくなるのに従い小さくなる傾向があった.Dspは,ケーク比抵抗αAVが大きいときに小さくなる傾向が得られ,ケーク層中の粒子充填構造の評価に使用できることが分かった.種々の粒子(PMMA粒子,JIS粉体(関東ローム,重炭酸カルシウム),PbSO4,Zn(OH)2)によりDspを評価した結果,その絶対値はDhDpに対して1/4~1/10程度の値であった.Dspと同時に評価される表面電荷密度qpは粒子の種類に依存し,その絶対値はおよそ1 × 10–3から1 × 10–2 C/m2の範囲の値を示した.

  • 中山 忠親
    2018 年 26 巻 p. 110-113
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    セラミックス粒子の混合手法としては従来,ボールミリング,ジェットミル,サイクロミックスなどの攪拌,混合,せん断型混合器などが用いられてきた.これらは非常に効率よく混合が可能であるが,コンタミネーションの問題が指摘されていた.これに対して,本研究室においては電場でセラミックス粒子の動作を制御する手法を開発してきた.そこで,本研究においては電場を用いてコンタミネーションを起こさないで粒子混合ができないか検討を行った.結果,ナノ秒パルス電場を印加することにより,通常の直流電場の絶縁破壊電圧を超える電圧を印加することができること,また,そのことによりセラミックス粒子を電極間で移動させることが可能であることを確認した.さらに当該手法を拡張し,二種類の異なる形状からなるシリコーンゴム粒子を混合することが可能となることを明らかとした.以上のことから,電場による粒子混合の新たな可能性を見出した.

  • 名嘉山 祥也
    2018 年 26 巻 p. 114-119
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    電気泳動は,外場に対する微粒子の応答と電気二重層のイオンの応答の相互作用の結果生じる微粒子の運動である.電気二重層を構成するイオンは外場レベルによって応答が変化するため,外場の変化に対する電気泳動応答の変化についてこれまで未解明であった.対イオンのみの電解質溶液中の電気泳動の非線型応答について調べる.電気二重層の応答について明らかにするために,イオン分布と流れのダイナミクスをSmoothed Profile法による直接数値計算で解いた.外場の強さの増加とともに,電気泳動易動度は増加に転じるが,さらに強い外場で飽和する.この定性的に異なる2つの応答は,対イオンの漸次剥離と電気二重層イオン分布の非対称化による流れの効果によるものであることがわかった.

  • 深澤 智典
    2018 年 26 巻 p. 120-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    振動流動場中における,凝集性の高い微小な粒子の凝集挙動を解析した.自作の振動流動装置を用いて,粉体層高さおよび圧力損失の経時変化から,Ergun式に基づく解析により凝集体サイズを求め,種々の粉体(ZnO,TiO2ルチル,TiO2アナターゼ)の凝集体形成挙動(経時変化)を評価した.本研究結果を基に,振動流動場中における微小粒子の凝集および破壊挙動の更なる解明が進むことが期待される.

  • McNAMEE Cathy E.
    2018 年 26 巻 p. 125-129
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    気・水界面の物理的な特徴(電荷,変形性等)は粒子や他の材料に対する相互作用に大きな影響を与える.例えば,負に帯電した気泡が正に帯電した表面に吸着すると,気泡の破裂を促進する.水の表面は酸性を示すという研究がある一方で,塩基性であるという研究例もある.さらに水表面の電荷はpHや添加塩により変動するという報告もある.本研究では,原子間力顕微鏡を使って,気・水界面と粒子との相互作用を水相側から評価する.NaClがない場合,水の表面はpH 2.0以下の時に正電荷を有し,pH 3.0以上の時に負電荷を有する.正電荷は気・水界面へのH+イオンの吸着によってもたらされ,負電荷は気・水界面へのOHイオンの吸着によってもたらされている.水にNaClを加えると,気・水界面の帯電状態が逆転することが分かった.気・10 mM NaClの界面はpH 2.0–7.0の時に負電荷を有し,pH 9.0の時に正電荷を有する.Na+およびClイオンが気・水界面でOHおよびH+イオンに吸着するためである.

  • 村上 良
    2018 年 26 巻 p. 130-134
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
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    疎液的な表面を有する微粒子は,液滴が空気中に分散された系(liquid-in-air(l/a)分散系)を安定化する.l/a分散系の代表例として,微粒子と液体を激しく撹拌することにより形成されるドライウォーター(DW)が挙げられる.DWは粉末状の物質であるが,微粒子によって覆われたマイクロメートルサイズの水滴を多量に含む物質である.DWの水滴中に油滴がさらに分散された場合,oil-in-water-in-air(o/w/a)分散系が形成される.o/w/a分散系は,DWと同様の粉末状物質であり,粉体化されたエマルションもしくはパウダー状エマルションと呼ばれる.調製時における水滴中の油滴の移動速度の減少が安定化における重要な因子であり,水相の粘度の増加,撹拌速度の減少,油滴径の減少,水相と油相の密度差の減少により安定化が促進されることが示されている.一方,DWの水滴中に気泡が分散された場合,air-in-water-in-air(a/w/a)分散系となる.a/w/a分散系(粉体化された泡もしくはパウダー状フォーム)の安定化においても,o/w/a分散系の安定化における基礎原理が適応されることが期待される.本研究では,水相の粘度を調節することにより気泡の移動速度を抑制し,泡が粉体化されることを示す.

  • 山本 量一
    2018 年 26 巻 p. 135-139
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    計算科学を工学的な問題に用いる際の大きな阻害要因の一つに,問題に即した粒子間力モデルや境界条件にソフトウェアが対応していないことがある.従来のシミュレーションによる研究の多くは,実験結果の再現ができているかどうか,モデルそのものの物理化学が正しいかどうかの検討,あるいは純粋に科学的・学術的な興味からのアプローチが主であり,材料設計やプロセス設計のためのツールとして使える段階に至っていないことが多い.本研究では,コロイドシミュレーターKAPSELの実用性と機能の強化によって現実的な問題への応用を目指した.具体的には,1)粒子径より電気二重層が薄い場合に荷電粒子分散系を効率よくシミュレーションする粒子間力モデルであるDLVOモデルの実装,2)大規模シミュレーションを実現するためのシミュレータの並列化,3)外部電場により荷電コロイド粒子間に誘起される異方的相互作用の計算に取組んだ.

  • 米澤 徹
    2018 年 26 巻 p. 140-144
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    熱マネジメントを可能とする金属ナノ粒子潜熱蓄熱粉システムを構築する研究を行う.既存の有機材料では応用が困難な中温度領域(200°C~400°C)を目指し,高熱伝導率で抜熱効果が優れる低融点金属や合金のナノ粒子を潜熱蓄熱材として利用する.例えば,マフラーの熱をエンジン部に輸送するなどの,PCMを用いた熱輸送システムへと展開することを目標としている.具体的には,金属酸化物と金属をベースとしたコアシェル型コンポジットナノ粉体を作製し,それを液中に分散させて用いる.本研究では,スズナノ粒子をシリカなどでコーティングしたコアシェル型ナノコンポジットを作製し,その微細構造を検証し,熱挙動について検討を重ねた.そして,得られたコアシェル型ナノコンポジットは,高温時のスズの融合・焼結を防ぐことが可能で,溶解凝固繰り返し100サイクルまで顕著な変化を見せなかった.

平成29年度 研究者育成のための援助成果報告
平成29年度 シンポジウム等の開催援助成果報告
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