ホソカワ粉体工学振興財団年報
Online ISSN : 2189-4663
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令和元年度 研究助成成果報告
  • 後藤 健彦
    2021 年 29 巻 p. 23-29
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    本研究では,高分子ゲル内部で金属酸化物ナノ粒子を合成し,浸漬温度,ゲル組成,初期金属イオン溶液濃度,金属イオンのドープが粒子生成や光触媒特性に与える影響を検討した.浸漬温度を上昇させると金属水酸化物の酸化反応が促進されて触媒活性が増加するが,上昇させすぎると粒子の成長や凝集が生じてしまい触媒活性は低下した.また,ゲル組成を変えて高分子鎖のネットワーク密度が密になるほど粒子の成長や凝集を抑制され触媒活性が増加することが明らかになった.さらに初期溶液濃度が高いほど粒子含有率が高くなり,触媒活性が増加する一方で,濃度が高すぎると膨潤度が低下して金属イオンの取り込み量が低下して粒子含有率が低くなり,触媒活性が低下した.また,他の金属イオンをドープすると異なるイオン半径の影響による平均粒子径の減少や,ドープした金属イオンによる電子と正孔の再結合の抑制により触媒活性が増加する可能性が示唆された.

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    Effect of S2– concentration on particle MB degradation.
  • 佐藤根 大士
    2021 年 29 巻 p. 30-35
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    スラリーの塗布膜成形非常に幅広い分野で利用されているが,通常は成形性向上および柔軟性付与のため大量の可塑剤を添加するなどしており,製品品質およびCO2排出量への影響が懸念されてきた.本研究では,高分子電解質分散剤を用いて一旦粒子を良分散状態としたのち,軟凝集添加剤として両末端に高分子分散剤とは逆の電荷を持つ直鎖状の分子を添加して粒子表面の高分子分散剤をイオン架橋させることで,静置時は降伏値を持つ緩いゲルを形成し,軽い震盪で容易に流動状態へと移行し,時間が経過すれば再度ゲル状態に戻るという可逆性を有した軟凝集性スラリーの調製に成功した.このスラリーを用いてドクターブレード法によりシート成形を行ったところ,適切な軟凝集添加剤および添加量とすることで,従来法のような多量の可塑剤を添加することなく均一なシートの成形に成功した.さらに,得られたシートは折り曲げても割れることのない高い柔軟性を有していた.

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    Relation between the yield stress of slurries and additive amount of agent.
  • 庄山 瑞季
    2021 年 29 巻 p. 36-40
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    粉体プロセスにおける粒子の付着・堆積は,製品の品質および生産性の低下を招く原因となる.本研究では,流体や機械的外力を用いずに,粒子の帯電と運動を同時に制御して堆積粒子を除去する手法を確立するため,絶縁板に堆積させた誘電性粒子を上向きの静電場と紫外線照射によって帯電・浮揚させる実験を行った.紫外線が照射された最上層の粒子は,光電子放出によって正に帯電し,クーロン力によって浮揚した.浮揚粒子のフラックスと運動および各浮揚粒子の帯電量を求めた結果,粒子層と浮揚粒子から放出された光電子が光電子雲を形成し,粒子の帯電量を変化させるため,浮揚粒子の約40%が浮揚直後に降下することが分かった.さらに,紫外線照射後に上向きの電場を印加すると,光電子雲は形成されず,全ての粒子が途中で降下せずに浮揚した.また,粒子の帯電量増加によって,より多くの粒子が浮揚したが,継続的な浮揚はみられなかった.

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    Particles levitated from top layer. Reprinted with permission from Ref. (Shoyama M., et al., 2022). Copyright: (2022) IEEE. https://doi.org/10.1109/TIA.2021.3123930
    Editor's pick

    電場と紫外線の利用により、機械的外力や流体力を用いずに、粒子の帯電と運動を同時に制御して堆積粒子を除去することができる。この記事では、絶縁板に堆積させた誘電性粒子を上向きの静電場と紫外線照射によって帯電・ 浮揚させる方法を提案し、紫外線照射によって粒子から放出される光電子が浮揚粒子のフラックスと運動に与える影響について説明している。

  • 瀬戸 章文
    2021 年 29 巻 p. 41-46
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    光と粉体の相互作用は,粒子径分布の計測や,光散乱現象,レーザーアブレーションによる粉体合成など,幅広い対象において重要な研究課題である.特に近年進展がみられるナノ粒子の分野では,製造法としてだけでなく,粒子のハンドリング法としての光の利用が注目されている.本研究では,これらのレーザーと粉体の相互作用のうち,特にナノ粒子凝集体の分散と光散乱現象(表面増強ラマン散乱)に着目し,その基礎現象の解明に取り組んだ.表面増強ラマン散乱は,逆に粒子の凝集状態(ナノ粒子間のコンタクト)の制御が特異な光散乱現象において重要となる.そこで,濃度を調整した銀ナノ粒子懸濁液の噴霧乾燥により得られるエアロゾルを静電分級装置により分級して凝集状態を制御した.得られる凝集体を基板上に沈着(積層)させ,表面増強ラマン特性を評価したところ,粒子間の結合が極めて高いラマン散乱増幅効果を発現することを明らかとなった.

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    Raman spectra of single particles and agglomerates.
    Editor's pick

    表面増強ラマン散乱(SERS)は,単一分子レベルの超高感度検出が実現可能な手法として、分析化学やバイオ、ナノテクノロジーなど、様々な分野での応用が検討されている。本研究では、SERS効果の発現に重要となる、貴金属ナノ粒子の凝集状態の制御をエアロゾル手法によって実現し、凝集粒子を構成する一次粒子間の結合が極めて高いラマン散乱増幅効果を発現することを明らかにした。

  • 田原 耕平
    2021 年 29 巻 p. 47-50
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    錠剤など固形製剤生産において,晶析と造粒を同一系内で同時に行う球形晶析法は,医薬品生産プロセスにおけるダウンストリームを融合できるため,医薬品製造の高効率化が可能となる.一方で,晶析後のろ過・乾燥・製剤化などのプロセス強化が課題であった.この課題を解決するため,我々はろ過・乾燥機能に加え粉体加工操作をハイブリッド化したワンポット型加工装置を開発した.卓上サイズの本装置は,ろ過・乾燥・粉体混合・湿式造粒の全工程を一括処理できる高機能回転式球体チャンバーを有する.本研究では,球形晶析法により調製したフェノフィブラート顆粒の懸濁液が,ワンポット型粉体加工装置により処理できることを確認した.また,本装置内のスプレーノズルからバインダーを噴霧することで,アセトアミノフェン粉砕品の湿式造粒が可能であることを明らかにした.

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    One-pot type powder processing equipment (filtration, drying, powder mixing, wet granulation). The spherical chamber has a diameter of about 10 cm and a maximum capacity of 1200 mL.
    Editor's pick

    医薬品の個別化製造を将来的に達成するには、製造工程を可能な限り高効率化する必要がある。我々はろ過・乾燥機能に加え粉体加工操作をハイブリッド化したワンポット型加工装置を開発した.卓上サイズの本装置は,ろ過・乾燥・粉体混合・湿式造粒の全工程を一括処理できる.

  • 長尾 大輔, 長澤 明
    2021 年 29 巻 p. 51-55
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    液中に分散する粒子の形状がその自己推進性に及ぼす影響を検討した.粒子形状としては球状粒子,球状粒子が2個連なったような構造のダンベル型粒子,大きさの異なる球状粒子が2個連なったような雪だるま型粒子の3種の自己推進性を調べた.駆動力となる反応を触媒するナノ粒子の分布に偏りがあると,球状(形状異方性のない粒子)であっても自己推進性が発現するため,触媒ナノ粒子の分布が均一な形状異方性粒子を合成した.酸化鉄ナノ粒子を均一担持した2種の形状異方性粒子と球状粒子,計3種の自己推進性を液中における異相系Fenton反応(過酸化水素の分解反応)で調べたところ,雪だるま型の粒子において他の2種粒子よりも自己推進性が強く現れる傾向が見られ,自己推進性粒子の開発においては粒子表面の化学組成だけでなく,粒子形状の精密制御も求められることを明らかにした.

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    Electron microscope images of polymer composite particles with snowman and dumbbell shapes.
  • 長嶺 信輔
    2021 年 29 巻 p. 56-61
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    ポリドーパミン(PDA)の接着性,金属イオン還元性を利用したプラスチックへの無電解めっき技術の開発に取り組んだ.予備修飾として基材であるポリプロピレン(PP)板表面に,ドーパミンの重合によりPDA薄膜を形成させた.さらに,ドーパミンのアンモニア触媒下での重合によりサブミクロン径のPDA球状粒子を作製し,ディップコーティングにより上記の予備修飾を施した試料板への積層を試みた.試料板へのPDA粒子付着量を引き上げ速度,溶媒により制御することができた.また,粒子層の強化を目的として付着した粒子間にグルタルアルデヒド(GTA)による結合を形成させた.粒子付着後の試料板に無電解ニッケル–リン(Ni–P)めっきを施し,金属被膜と試料板の接着力を評価したところ,PDA粒子付着量の増大および粒子間の結合形成により接着力を向上させられる可能性が示された.しかし接着力はまだ実用的な観点からは不十分であり,さらなる検討が必要である.

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    Formation scheme of polydopamine (PDA) and schematic image of metal plating using PDA particle layer.
  • 弘中 秀至
    2021 年 29 巻 p. 62-67
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    本研究は,多孔質膜を湿式プロセスで成膜する場合に,プロセスの条件と乾燥後の多孔質膜の性能の関係に関する知見を得ることを目的に実施した.比表面積が異なる二種類のカーボンブラック(XC-72rおよびLi-100)を用いて多孔質膜を作製した.プロセスの条件として,カーボンブラックを分散させるための超音波攪拌時間およびウェット膜を乾燥させるための加熱温度を変更させた.得られた多孔質膜に対して,膜厚,透過率および表面粗さに基づき多孔質構造の評価を試みた.透過率はLi-100の膜では膜厚とともに増加したのに対して,XC-72rの膜ではほぼ一定となった.表面粗さは膜厚に対して明瞭な傾向は確認できなかったものの,分散質の粒径分布がbi-modalなスラリーから成膜した膜ではカーボンブラックの種類によらず大きくなった.これらの膜厚に対する透過率および表面粗さの傾向は,カーボンブラックの形状およびスラリー中の粒径分布から説明可能であることを示した.

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    Dependence of permeability on membrane thickness.
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    燃料電池の触媒層を想定してカーボンブラック (CB) およびアイオノマーを用いた多孔質膜の性能の制御を検討した.CB およびアイオノマーを分散させたスラリーをドクターブレードで基板上に塗布したのち,基板側から加熱することで多孔質膜を得た.比表面積が異なる CB から得た膜の透過率を測定したところ,透過率は CB の比表面積が大きな場合には膜厚に対して一定であったのに対して,比表面積が小さい場合には膜厚と共に増加した.

  • 深澤 智典
    2021 年 29 巻 p. 68-72
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    粉体状廃棄物のリサイクルや再利用は,持続可能な環境を確保するためだけでなく,廃棄物処理費用の低減のためにも重要性を増している.これまでに,各成分(粒子)の凝集特性の違いに着目し,振動流動層を用いた成分分離を検討してきた.この分離法を幅広く適用するためには,流動層内での微粒子の凝集体形成と破壊に関する知見が不可欠となる.本研究では,試験粉体としてTiO2 rutile,TiO2 anataseおよびZnOの粉体を用い,振動流動層中における凝集体の形成および破壊に及ぼす粒子特性の影響を検討した.粉体層高さの変化と圧力損失を測定し,それらをもとにErgunの式を用いて凝集体サイズの変化を算出し,凝集体の形成と破壊を評価した.

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    Changes in (left) the pressure drop, the bed expansion ratio, and (right) the estimated agglomerate size with treatment time (TiO2 rutile, Amplitude 2.4 mm).
  • 鷲野 公彰
    2021 年 29 巻 p. 73-77
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/25
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    離散要素法(DEM)では,オリジナル粒子より剛性を低減させたモデル粒子を使用することで時間刻みを大きくとり,シミュレーションにかかる計算コストを下げることが一般的である.また,付着性粒子のシミュレーションにおいては,接触時間の増加に伴う過剰なエネルギー消散を防ぐため,粒子剛性の低減に合わせて付着力をスケーリングする手法が近年提案されている.この手法は粉体がバルク体として流動化している動的な系に対しては非常に有効であるが,接触中における瞬時の力の釣り合いが崩れることから,凝集や付着といった相対的静止状態を模擬することが難しい.本研究では,剛性を低減したモデル粒子に対して,付着力の代わりに粘性減衰係数をスケーリングする手法を提案した.また,提案手法を回転ドラムのシミュレーションへと適用し,壁面への粒子の付着といった静的な状態と動的安息角といった粉体バルク挙動を同時に模擬可能であることを確認した.

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    Snapshots of cohesive particles in rotary drum.
    Editor's pick

    離散要素法(DEM)では,剛性を低減させたモデル粒子を用いてオリジナル粒子のバルク挙動を模擬する方法がしばしば用いられる.本方法を付着性粒子のシミュレーションに適用する場合には,剛性低減による接触時間の増加に伴う過剰なエネルギー散逸を防ぐ必要がある.この記事では,粒子剛性低減率に合わせて粘性減衰係数をスケーリングすることで,粒子の静的状態と動的な挙動を同時に模擬可能であることを報告している.

令和2年度 研究者育成のための援助成果報告
令和2年度 シンポジウム等の開催援助成果報告
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