園芸学研究
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11 巻 , 1 号
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原著論文
育種・遺伝資源
  • 佐藤 淳, 葛西 正則, 長谷川 雅明, 小笠原 宣好
    2012 年 11 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    新潟県園芸研究センターに維持,保存されている食用ギク在来系統を用いて,包括的な食用ギクの特性調査を行い,新潟県における主系統である‘かきのもと’と比較することにより,多様な在来系統の特性を明らかにした.その結果,早期に収穫できる系統,収量性に優れる系統,食感(シャキシャキ感)の強い系統,甘みの強い系統,アントシアニン含量が多い系統などが見いだされた.また,相対的核DNA量の分析から,染色体数が2n = 53~57,2n = 63~66,2n≧70の3つのグループに分けられることが推定された.抗酸化活性には明らかに系統間差が認められ,有望系統選抜の指標となり得ると考えられた.
繁殖・育苗
  • 山内(佐藤) 真希子, 津田 浩利, 荒木 啓輔, 内田 飛香, 安田 喜一, 鉄村 琢哉, 小松 春喜, 國武 久登
    2012 年 11 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    ブルーベリーの育種素材として有望な,ナツハゼをはじめとする我が国自生スノキ属野生種において,植物組織培養と試験管外発根を利用したクローン増殖について検討した.まず,ナツハゼの腋芽からの多芽体誘導とその増殖について検討したところ,5 mg・L−1 zeatinを添加したMW培地が多芽体誘導に最も効果的であり,在来野生種3種とブルーベリー3品種で5.6~40.6%の多芽体誘導率を得ることができた.また,増殖効率を高めるためには,2~3か月間隔で多芽体の継代培養を行うことが適当と考えられた.次に,効率的な発根方法について検討したところ,IBA処理により根の形成が早くなる傾向が観察され,処理濃度が高くなるにつれて発根率は増加した.また,IBA無処理区と対照区においては,2週間暗所で前培養した方が最初から明所で培養するよりも発根率が有意に高くなったものの,IBA処理区では光条件による差は認められなかった.さらに,人工気象器内において,未発根シュートを直接順化・育苗する試験管外発根―順化法を検討したところ,‘Redpearl’の発根率はシュートの長さによって差異が観察され,1 cmでは68.0%,2 cm以上では90%以上の発根率を示した.さらに,難発根性のナツハゼにおいても順化1か月後に発根率48%以上,3 cmに調整した処理区では72%という高い発根率を示した.最後に,実用化を目的として,人工気象器の代わりに温室内の散水装置下での試験管外発根―順化法を試みた.その結果,順化2か月後の生存率は,ナツハゼ,‘Berkeley’および‘Redpearl’において,95.8,75.0および91.7%を示し,発根率はそれぞれ80.6,63.9および83.3%となり,育成したナツハゼは順化約12か月後には圃場定植が可能な大きさに生長した.
  • 川城 英夫, 崎山 一, 宇田川 雄二, 篠原 温, 丸尾 達
    2012 年 11 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    接ぎ木キュウリ苗の奇形葉発生要因の究明を目的として,接ぎ木法,台木品種およびホウ素処理が奇形葉発生に及ぼす影響を明らかにした.キュウリの接ぎ木苗に発生する奇形葉は,断根挿し接ぎ,割り接ぎ,挿し接ぎで発生し,呼び接ぎでは発生しなかった.呼び接ぎでは,穂木および台木胚軸の切断の有無にかかわらず,全く発生しなかった.奇形葉の発生は台木品種によっても異なり,台木として‘改良新土佐1号’など,セイヨウカボチャ × ニホンカボチャのF1品種を使用すると多かった.接ぎ木直後にホウ砂0.05~0.1%溶液を葉面散布すると,奇形葉の発生が抑制された.接ぎ木前の2日間ホウ素の供給を断つと,奇形葉が多発した.ホウ素処理は,台木の発根および接ぎ木後の活着に強い影響を及ぼした.
土壌管理・施肥・灌水
  • 芳野 未央子, 佐藤 達雄, アニ ウィディアストゥティ, 加藤 亮, 井上 栄一, 岩田 将英, 福司 健治, 岩下 幸司, 渡辺 史生
    2012 年 11 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    メタン発酵消化液(消化液)は肥料として有用な窒素成分を含むが,不溶性成分も含み粘稠性が高いため,簡便,均一に施用することが難しく,施設園芸分野での利用は進んでいない.そこで,スクリーンフィルターを改造して不溶性成分を除去する濾過装置と,水圧を利用して灌水に消化液を混入する施肥装置を試作し,雨よけキュウリの灌水同時施肥栽培での適用を試みた.期間ごとの消化液の施用量は,葉数に基づく窒素施肥指標により調節した.対照として,尿素施用区を設けた.その結果,試作装置により消化液の物性の問題は改善され,作期を通して詰まりの問題もなく,灌水同時施肥栽培が可能であった.葉数の推移,施肥量,収量についても,処理間で明らかな差は認められなかった.施用した消化液は速やかに分解,硝化され,肥料としてキュウリに吸収されたものと考えられた.これらのことから,施用を適切に行うことができれば,本消化液は尿素と同等の肥効を持つ窒素肥料として利用可能であることが示唆された.
  • 越智 靖文, 伊東 正
    2012 年 11 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    果実内発芽と内生アブシジン酸含量の関係を明らかにするために,果実内発芽し難い系統と果実内発芽し易い系統の2供試材料を,硝酸態窒素濃度の異なる3種の培養液(6.5,13,および26 me・L−1)で栽培した.その結果,果実内発芽し易い系統において,果実内発芽は,最も高い窒素濃度(26 me・L1)で栽培されたときに増加した.しかし,果実内発芽し難い系統では,すべての窒素濃度下で,果実内発芽が認められなかった.両系統において,窒素濃度が高くなるほど胎座部周辺の果汁中のABA含量が減少した.また,果実内発芽し易い系統よりも果実内発芽し難い系統の方が,胎座部周辺果汁中のABA含量が高かった.以上の結果から,硝酸態窒素施肥量の増加により,胎座部周辺果汁中のABA含量が減少し,その結果として果実内発芽が増加すると考えられた.また,果実内発芽し易い系統では,果汁中のABA含量が低いと推察された.
  • 越智 靖文, 伊東 正
    2012 年 11 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    果実内発芽し難い1系統と果実内発芽し易い2系統を供試材料とし,果実内発芽と内生アブシジン酸含量の関係を明らかにするために,カリウム濃度の異なる3種の培養液(2.4, 4.2および6.0 me・L−1)で栽培した.その結果,果実内発芽し易い系統では,カリウム濃度の低下により1果当たりの種子数が明らかに減少した.しかし,果実内発芽し難い系統では,カリウム濃度は種子収量に影響を与えなかった.葉柄ならびに胎座部周辺の果汁中のカリウムイオン濃度は,果実内発芽し易い系統より果実内発芽し難い系統で高かった.果実内発芽はカリウム施肥量の減少に伴い,果実内発芽し易い系統で増加したが,果実内発芽し難い系統では,いずれのカリウム濃度でも果実内発芽は認められなかった.胎座部周辺の果汁中のABA含量は,カリウム施肥量の減少に伴い減少した.ABA濃度が異なる水溶液を用い,種子の発芽試験を行ったところ,果実内発芽し難い系統ではABA濃度の増加に伴い種子の発芽が著しく抑制された.以上の結果から,カリウム施肥量の減少により胎座部周辺の果汁中のABA含量が減少し,その結果として果実内発芽が増加すること,また,果実内発芽し難い系統は,低いABA濃度閾値で種子の発芽抑制があらわれるものと推察された.
栽培管理・作型
  • 岩﨑 泰永, 吉田 千恵, 漆山 喜信, 吉田 啓孝, 斉藤 貞文, 山本 聡史, 林 茂彦, 池田 英男, 池田 敬
    2012 年 11 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    平面的に縦横2方向に栽培ベッドを移動させる移動栽培装置を利用したイチゴの高密植栽培の確立を目指して,3つの実験を行った.実験1では養水分供給方法を検討し,底面給液に補助的に地上給液を組み合わせることによって,地上給液と同等の果実収量が得られることを明らかにした.実験2では,栽培ベッドの間隔を検討し,0.50 mが適することを明らかにした.実験1および2の結果を反映して,縦10.8 m × 横9.6 mの規模で移動栽培装置を試作し,‘章姫’,‘もういっこ’および‘とちおとめ’の3品種を供試して,2008年9月~2009年5月まで栽培を行い,慣行高設栽培で栽培した場合と果実収量を比較した結果,‘もういっこ’と‘とちおとめ’は,移動栽培と慣行高設栽培で差がなかった.これらの結果から,平面的に縦横2方向に栽培ベッドを移動させる移動栽培装置を用いたイチゴ高密植栽培では,栽植株数を慣行高設栽培の約2倍に高めて,単位面積当たりの果実収量を約2倍とできる可能性が示された.
  • 松本 和浩, 塩崎 雄之輔
    2012 年 11 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    リンゴ6品種において果台枝の長短が果実品質に及ぼす影響を調査したところ,‘ジョナゴールド’および‘陸奥’で長い果台枝を持つ果実が大きくなる傾向が観察された.しかし,その他の品種では,果台枝の長短は果実品質に実用上ほとんど影響を及ぼさなかった.次に,リンゴ‘ふじ’において夏季の果台枝切除が果実品質と果台枝の性質に及ぼす影響について調査した.6月の切除は,その強度にかかわらず果実品質にほとんど影響を与えなかった.また,徒長的に生育する果台枝の半切除は,頂芽の花芽形成率を減少させることなく果台枝の伸長を抑え,10~15 cmの結果枝を育成できた.以上より,樹勢が強く果台枝が徒長する木においては,徒長気味の果台枝を夏季に積極的に切除しても問題のないことが明らかになった.
  • 伊藤 寿, 宮下 祐介, 西川 豊
    2012 年 11 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    カキ果実用カラーチャートが付いた作業用手袋を開発し,その実用性を評価した.本手袋は,手にはめて果色を測ることができ,はめたままで収穫などの作業をすることができる.果実をつかむという動作の中で果色を評価でき,また,枝や葉による妨害を受けにくいので,樹上果実の果色を測定する時間は,板状の従来品より40%以上短縮された.カキ収穫初心者の収穫可否の誤判定は,達観で判断した場合が12%であったのに対し,CC手袋を使用することによって4%に減少した.従来のカラーチャートと比較して,本品は携帯性および操作性に優れ,収穫可能な果実を的確に収穫することができるため,農家経営の向上に有効な用具であると判断される.
  • 大倉 英憲, 矢羽田 第二郎, 牛島 孝策, 村本 晃司, 巣山 拓郎, 松本 和紀, 井樋 昭宏, 山本 晴彦
    2012 年 11 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    ‘ヒリュウ’台‘大津四号’の結実開始樹齢が樹冠拡大,収量,および果実品質に及ぼす影響について検討した.結実開始樹齢を1年生苗定植後3,4および5年目とする3区を設置し,樹高,樹冠容積,樹ならびに樹冠容積当たり収量,果実品質について各区間で比較した.試験の結果,果実品質と結実開始樹齢との間には明らかな傾向は認められなかった.次に,樹体の生育,収量性および作業性の面から結実開始樹齢を検討したところ,早期に結実を開始した3年目結実開始区は,樹冠容積が小さく1樹当たり収量も少なかった.結実開始時の樹冠容積が最も大きかった5年目結実開始区は,既報の通り早期に樹冠拡大が図れたが,最も樹高が高く,作業性が劣るとともに隔年結果が大きいため,収量性が劣った.4年目結実開始区は,適度に樹冠が拡大し,隔年結果が最も少なく,定植後9か年の累積収量が最も多かった.本試験では,1年生苗定植後4年目(樹高172 cm,樹冠容積3.2 m3)より結実を開始したものが樹冠の早期拡大が図れ,収量性と作業性の両面から最も優れたため,‘ヒリュウ’台‘大津四号’の結実開始樹齢の目安の一つになると考えられた.
  • 富田 晃, 新谷 勝広, 猪股 雅人
    2012 年 11 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    オウトウのパルメット整枝垣根仕立てやY字形整枝波状棚仕立てには,夏季剪定が必須の作業として位置づけられている.夏季剪定が光合成活性の向上や光合成産物の転流・分配に対して,どのように作用しているか明らかにするため,夏季剪定前と夏季剪定後の枝に残った新梢基部で,光合成活性と光合成産物の転流・分配を比較した.夏季剪定によって新梢基部の日射環境が改善されて,強光が当たるようになると,光環境の変化に反応して強い光条件下における光合成活性が向上した.新梢各部位から果実への分配率は,基部>中間>先端の順となった.夏季剪定によって,新梢基部から果実への分配率はさらに向上した.同化部位の葉身と新梢への残存率は,逆に先端 > 中間 > 基部の順で,新梢内におけるシンク活性は先端側が強い傾向を示した.夏季剪定は,新梢基部の光合成活性を向上させ,光合成産物を効率的に果実へ転流させる働きがあり,物質生産の面から有効な方法であることが明らかになった.
  • 小野 拓生, 萩原 宏幸, 安田 直登, 竹川 弘志, 岩崎 直人
    2012 年 11 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    キンカンの1番花数に及ぼす開花前の土壌乾燥処理効果における年次変動の原因を解明することを目的として,土壌乾燥処理効果における大気の相対湿度の影響について検討した.土壌乾燥処理は春枝の伸長停止2週間後から行い,10日間土壌乾燥区,20日間土壌乾燥区,空気乾燥区および土壌・空気乾燥区を設定した.20日間土壌乾燥区では,対照区および10日間土壌乾燥区に比べて1番花数が有意に増加するとともに,根のABA含量も有意に増加した.一方,葉のABA含量は20日間土壌乾燥区と10日間土壌乾燥区の間で有意な差を示さなかった.さらに,土壌・空気乾燥区においても,空気乾燥区に比べて1番花数が有意に増加するとともに,根のABA含量も有意に増加したが,葉のABA含量は有意な差を示さなかった.以上の結果から,土壌乾燥処理が1番花数に及ぼす影響の指標としては,根のABA含量が適切であると考えられた.さらに,大気の相対湿度は土壌乾燥処理の効果を増幅するものと考えられた.
発育制御
  • 小岩井 優, 奥山 史洋, 田中 健一, 山﨑 彩香, 本間 英治, 池田 和生, 平 智
    2012 年 11 巻 1 号 p. 87-95
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    ヤマブドウ雌株単植園における無種子果実の安定生産を目的として,ジベレリン(GA)処理によるヤマブドウの単為結果誘導,および,無種子果に対するホルクロルフェニュロン(CPPU)の肥大促進効果について検討した.実験には,山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター高坂農場のヤマブドウ雌株を供試した.果房に袋かけを行って受粉しない条件下でGA処理の時期と濃度の影響について検討した結果,第1回目のGA処理を開花始めに100 ppmで行った後,第2回目GA処理を満開5~15日後の間に50~200 ppmで行うことで99%以上の高い割合で無種子果が得られ,GA処理による単為結果誘導が可能となり,無種子果生産技術として利用可能であると考えられた.しかし,得られた無種子果は有種子果に比較して肥大が不十分なため,無種子果の肥大促進を図るために,CPPU処理の時期と濃度の影響について検討を行った.CPPUを満開日,満開5,10または15日後に100 ppmで処理した結果,果粒肥大には満開10日後にGA 100 ppmと混用した処理のみ有意な促進効果が認められ,満開後5および15日のCPPU単用処理では肥大促進効果は認められなかった.また,処理時期が早いほど果房当たりの果粒数が増加する傾向が認められたが,満開日処理では果粒が密着しすぎ,満開5日後の処理では十分な肥大効果が得られなかった.さらに,満開10日後に50,100または200 ppmで処理を行って濃度の影響について検討した結果,100 ppm処理のみ平均果粒重が有意に増加した.以上の結果から,本実験に供試したヤマブドウ系統の無種子果生産には,第1回目のGA処理を開花始めに100 ppmで,第2回目のGA処理を満開5,10または15日後に100~200 ppmで処理するのが適当であると考えられた.また,有種子果より肥大が劣る無種子果の肥大促進には,CPPU 100 ppmを満開10日後にGA 100 ppmと混用して処理することが有効であることが示され,GAおよびCPPU処理より雌花単植園でのヤマブドウ生産が十分可能であることが示唆された.
収穫後の貯蔵・流通
  • 井上 久雄, 三好 孝典, 大嶋 悟士
    2012 年 11 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカンの貯蔵病害に対して腐敗抑制効果を有するカワラヨモギ抽出物含有製剤SK-202が,果実の萎れ,着色などに及ぼす影響を明らかにするため収穫後の‘興津早生’に塗布処理を行い,エチレン生成,呼吸量,果実品質を調査した.SK-202を処理した果実では,処理直後には無処理に比べてエチレン生成に差は認められなかったが,処理後3~16日目までエチレン生成が約50%に抑制された.呼吸量については,SK-202処理後直ちに低下し,4日目までは有意に抑制され,その後も処理区で低く推移した.果皮のDa値およびC値がSK-202処理区で高くなり,フラベドのカロテノイド含量の増加が認められた.調査期間中の果実の減量は,SK-202処理区で少ない傾向にあり,果皮の萎れが抑制された.本実験においては,果汁の糖度およびクエン酸含量について処理間に明らかな差はみられなかった.
  • 山﨑 安津, 河野 淳, 東 暁史, 小林 省藏, 佐藤 明彦, 薬師寺 博
    2012 年 11 巻 1 号 p. 103-111
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    渋ガキ品種‘太天’および‘太月’の脱渋性の違いと‘太天’の酸味の原因を明らかにするため,アルコール脱渋,CTSD脱渋,窒素ガス脱渋を行い,脱渋性および有機酸含量を経時的に比較した.その結果,いずれの処理においても,‘太月’は‘太天’よりタンニンプリント値の低下が早く,渋味の消失が早く進行することが確認された.アルコール脱渋では,両品種とも脱渋処理後の果実が軟化した.また,CTSD脱渋におけるアセトアルデヒド含量は,‘太月’で後加温開始後2日に,‘太天’では後加温開始後6日に急速に低下し,タンニンプリント値の低下とほぼ一致した.窒素ガス脱渋では,CTSD脱渋と比べて,アセトアルデヒド含量の推移はほぼ同様の傾向を示したが,渋味の消失は遅かった.‘太天’ではクエン酸およびリンゴ酸含量が‘太月’よりも高く,特にリンゴ酸含量は30℃処理区で後加温後に急増した.酸味の官能評点の平均値とリンゴ酸含量の間には有意な正の相関があり,酸味の主な原因がリンゴ酸であることが示唆された.
作物保護
  • 佐藤 英典, 瀬尾 直美, 中村 茂雄
    2012 年 11 巻 1 号 p. 113-120
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    ユリモットルウイルス(LMoV)感染ユリをりん片培養し,再生個体からのLMoV弱毒変異株の選抜を試みた.明瞭なモザイク症状を示すLMoV感染ユリから分離した強毒株LMoV-ML61を感染させたユリ品種‘杜の乙女’のりん片を,1 g・L−1ピクロラムを含むMS培地0~2か月間培養後,MS培地に置床して得られた再生個体から,葉に症状がほとんど出ない11個体を選抜し,各個体に含まれるウイルスを弱毒ウイルス選抜株とした.次に,これら選抜株を含む汁液を感受性の高いシンテッポウユリ品種‘ホワイトランサー’に各々接種して病原性を調査し,さらに2株(LMm76-2,LMm93)を選抜した.人為接種による強毒株LMoV-ML61に対する干渉効果を調査したところ,LMm76-2およびLMm93をあらかじめ接種した区では,無接種区と比較して強毒株接種後の発病個体率が低かった.LMm76-2およびLMm93についてHC-pro遺伝子配列(1,374 bp)の解析を行った結果,各株のクローン間で塩基配列に若干の相違が認められた.LMm76-2およびLMm93各株のクローン間で共通する塩基配列の比較では,異なる塩基配列は3塩基であった.各弱毒変異株クローンとML61クローンで異なる塩基配列は1塩基のみで,808番目の塩基が弱毒変異株ではウラシル,ML61ではシトシンであった.塩基配列から推定されるアミノ酸配列では,HC-proタンパク質の270番目のアミノ酸が弱毒変異株ではシステイン,ML61ではアルギニンであった.
  • 芳野 未央子, アニ ウィディアストゥティ, 周 松嬰, 小谷 博光, 長谷川 守文, 佐藤 達雄
    2012 年 11 巻 1 号 p. 121-126
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    病害抵抗性誘導を目的とする熱ショック処理の連続・一斉処理が可能な方法の開発を目指して本研究を行った.材料にキュウリ幼苗を用い,より短時間の処理条件を明らかにするとともに,温湯散布装置を試作してその効果を検証した.温湯浸漬処理による灰色かび病接種試験の結果,50℃ 20秒の処理は,これまで最適条件とされてきた40℃ 120秒の処理と同等の抵抗性誘導効果を示した.そこで,LPガス給湯器を主構成とし,散布ノズルを保温カバーで覆った温湯散布装置を試作し,キュウリ幼苗に葉温が最高50℃となるように処理を施した.その結果,本装置を用いた処理により,全身獲得抵抗性のシグナルを伝達する葉中サリチル酸含量は増加し,病害抵抗性関連遺伝子であるペルオキシダーゼ遺伝子の発現レベルが上昇した.灰色かび病接種試験では,抵抗性誘導剤として知られるBITと同程度の抵抗性を示した.以上の結果から,これまでの報告より高温・短時間である50℃ 20秒の熱ショックにより,キュウリ幼苗に灰色かび病抵抗性を誘導でき,また温湯散布処理による熱ショックにおいても効果があることが確認されたことから,連続一斉処理技術の開発が可能であると考えられた.
普及・教育・利用
  • 白石 美樹夫, 林 秀典, 上野 俊人
    2012 年 11 巻 1 号 p. 127-136
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/28
    ジャーナル フリー
    露地栽培の生食用ブドウ18品種について,2か年にわたる事例調査研究を行い,生産現場で簡易に設定できるLAIに基づく着果量調節の手順について明らかにした.着果量調節を行う満開40~50日後のLAIと葉影率との間には,1%水準で有意な二次回帰が認められ,葉影率からLAIの簡易推定が可能であった.LAIに基づく着果量調節では,樹冠占有面積当たりのLAI,樹冠占有面積,想定果房重および葉面積当たりの着果量(赤色系:0.6~0.8 kg・m−2 < 黒色・紫色系:0.8~0.9 kg・m2 < 白色系:1.0~1.1 kg・m2)を変数に用いて数式化し,樹冠占有面積当たりの着房数を算出した.実証試験の結果,品種固有の特性が十分に発揮された高品質果実が得られた.
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