カラーピーマン果実の着色に伴うカロテノイド生合成関連遺伝子の発現と,収穫した果実に対する光照射処理の影響を調べた.成熟が開始した果実を収穫して,光合成光量子束密度が100 μmol・m
−2・s
−1の光を照射した.1日間の光照射で,phytoene synthase(
Psy),β-carotene hydroxylase(
CrtZ-2)とcapsanthin/capsorubin synthase(
Ccs)は顕著に遺伝子発現量が増加した.それぞれの発現量は,対照の暗黒処理よりも207倍,8倍と6倍多く発現していた.他のカロテノイド生合成関連遺伝子,phytoene desaturase(
Pds),ζ-carotene desaturase(
Zds),lycopene β-cyclase(
LcyB),zeaxanthin epoxidase(
Ze),violaxanthin de-epoxidase(
Vde)も,それぞれ暗黒の対照に比べて2~3倍高かった.光照射した果実は,5日間で全体が赤くなった.これらの結果から,収穫した果実に対する光照射処理が
Psyとともに,
CrtZ-2,
Ccsなど他のカロテノイド生合成関連遺伝子の発現を増大させ,capsanthinの蓄積を促進するものと考えられた.
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