ブドウ‘ルビーロマン’における花冠取り器による花かすの除去およびジベレリン処理方法が裂果発生に及ぼす影響を検討した.満開日に子房から花冠を完全に取り除いた処理区のさび果および裂果の発生率は無処理区に比べて明らかに低かった.花冠を取り除く程度は,完全に取り除いた処理区と花冠取り器を10往復程度使用し花冠を取り除く処理区でさび果および裂果の発生率に差が認められなかった.このことから,花冠取り器を10往復程度使用し花冠を取り除く省力的な方法により裂果発生を十分に軽減できると考えられた.
一方,ジベレリン処理方法による裂果発生の関係を検討した結果,裂果の発生を軽減する効果は判然としなかった.しかし, ‘ルビーロマン’ の生産上問題となっている果皮ひび割れ症状については,ジベレリン2回処理法における第2回ジベレリン処理時期が早い処理区は,遅い処理区に比べて果皮ひび割れ症状の発生率が明らかに低かった.また,ジベレリン1回処理法の果皮ひび割れ症状の発生率はジベレリン2回処理法に比べて明らかに低かった.
これらの結果から, ‘ルビーロマン’における花冠取り器による花かすの除去は裂果の軽減に有効であること,ジベレリン1回処理法は果皮ひび割れ症状が軽減できることが明らかとなった.
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