園芸学研究
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3 巻, 1 号
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総説
原著論文
育種・遺伝資源
  • 立澤 文見, 村田 奈芳, 篠田 浩一, 三宅 勇, 斎藤 規夫
    2004 年 3 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    新花色のアルストロメリア品種育成の基礎データを得る目的で,近年日本で作出された新しい品種の黄赤色系アルストロメリア15品種の外花被の花色とアントシアニン組成を調査した.この独特な黄赤色の花色は,R.H.S.カラーチャートでRed 41~46,色相値(b*/a*)で0.64~1.02であり,15品種の間に大きな差はなかった.しかし,カロチノイドの混同を避けるために0.1%塩酸性メタノールでアントシアニンを抽出した時のアントシアニンの吸収極大と,アントシアニン組成の結果からは,これらの品種には二つのタイプが存在することが明らかとなった.一つは6-ヒドロキシペラルゴニジン3-ルチノシドという黄色味の強いアントシアニンが主要色素となっている黄赤色花グループ(吸収極大波長:493~498 nm)であり,もう一つは6-ヒドロキシシアニジン3-ルチノシドを主成分としたグループ(吸収極大波長:502~509 nm)であった.後者は6-ヒドロキシシアニジン3-ルチノシド以外にカロチノイド等の共存による黄赤色の発現が示唆された.
  • 八幡 昌紀, 柏原 夕希子, 黒木 宏憲, 國武 久登, 小松 春喜
    2004 年 3 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    ニンポウキンカンの種子を用いた試験管内染色体倍加について検討した.有糸分裂阻害剤であるコルヒチンとオリザリンを様々な濃度や時間で種子に処理し,その後500 mg・liter−1麦芽抽出物を添加したMT培地で培養した.処理2か月後,発芽率を調査し,フローサイトメーターと根端の染色体観察により得られた実生の倍数性を解析した.四倍体実生率は有糸分裂阻害剤の種類,処理濃度および時間に依存しており,本処理条件内では,コルヒチンの方がオリザリンより染色体倍加の効果が高かった.0.05%,48時間でコルヒチン処理を行った時,約50%と最も高い頻度で四倍体を獲得することができた.これらの四倍体の初期成長は貧弱であったが,3年生のカラタチ台に接ぎ木すると二倍体と同様に旺盛な成長を示した.以上のように,胚培養を組合せた種子へのコルヒチン処理は,ニンポウキンカンの四倍体を効率的に誘導できることが明らかとなった.
繁殖・育苗
  • 佐藤 文生, 東尾 久雄, 浦上 敦子, 徳田 進一
    2004 年 3 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    貯蔵温度10℃,または,5℃として,キャベツセル成型苗を間欠弱光照射(1 h明期:23 h暗期,PPFD 1.7~7.6 μmol・m-2・sec-1),または,暗黒条件のもと,9週間貯蔵した.苗の草丈と生体重は,10℃暗黒区で徒長によって一時増加した後に低下したが,他の区ではほぼ一定に推移した.苗の乾物重は,いずれの試験区も主に茎葉部で低下し,その低下程度は10℃暗黒区が他の区より大きかった.本葉の葉色値は5℃,10℃ともに暗黒区より照射区で高く維持された.定植後の生存率は10℃暗黒区で貯蔵週数の増加に伴い低下したが,他の区では貯蔵期間を通じて低下しなかった.収穫時の結球重は貯蔵週数の増加に伴って低下した.10℃では照射により結球重低下が軽減した.以上の結果から,間欠弱光照射は10℃での長期貯蔵においてキャベツセル成型苗の苗質維持に効果的であることが明らかとなった.
土壌管理・施肥・灌水
  • 島 浩二, 後藤 丹十郎, 景山 詳弘
    2004 年 3 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    スプレーギクのベンチ栽培において,栽培期間を通じての総施肥量を一定とし,分施割合を変えた場合の施肥方法が切り花品質および養分吸収に及ぼす影響を調査した.総窒素施肥量(356 mg/シュート)を,7日間隔で摘心時から摘心77日後まで以下に示す4つの施肥方法で与えた.1)曲線区:窒素施肥基準曲線に基づき施与,2)3濃度区:窒素施肥基準曲線を摘心28日後まで,28日後から56日後まで,56日後から84日後までの3期間に分け,それぞれの期間における施肥量を等分して施与,3)等濃度区:栽培期間を通して等分割し施与,4)初期重点区:摘心28日後を境として総施肥量の50%をそれぞれの期間で等分して施与.
    切り花品質はいずれの施肥方法においても大きな差は認められなかった.また,栽培期間中の培地中の養分レベルは施肥方法により異なったが,各区とも栽培終了時の培地中に養分はほとんど残存していなかった.
    以上の結果から,スプレーギクのベンチ栽培では,最低必要量の養分を栽培期間を通じて等分して施用することで,培地中に養分を残存せず,高品質の切り花を簡易に生産できると考えられた.
  • 西沢 隆, 戸谷 史, 近藤 裕子, 宍戸 良洋
    2004 年 3 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    強アルカリ処理有機性廃棄物がメロン‘プリンス’の生長に及ぼす影響を調べ,以下の諸点を明らかにした.
    1.強アルカリ処理有機性廃棄物は,発芽したメロン苗の初期生長を阻害した.
    2.子葉が展開した苗を強アルカリ処理有機性廃棄物の培地に移植した場合,育苗期における苗の生長が阻害され,同廃棄物を含まない山砂に定植後2週間経過しても生長は回復せず,果実収穫期が遅れた.
    3.強アルカリ処理有機性廃棄物を床上に用いて2年連続して栽培した場合,本葉が3枚展開した苗を定植すれば果実肥大や成熟が遅延することはなく,「水浸状果」の発生および土壌の酸性化も抑制された.
  • 森永 邦久, 吉川 弘恭, 中尾 誠司, 関野 幸二, 村松 昇, 長谷川 美典
    2004 年 3 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカンの省力的高品質果実生産技術の開発を目的として,新しい栽培法である「周年マルチ点滴かん水同時施肥法」を開発した.この方式を導入して栽培したウンシュウミカン場合の果実品質に対する効果,管理作業の省力性や地下部への影響などについて調査,解析を行った.その結果,果実品質は糖度は約2度ほど向上し,適度なかん水によって酸度もほぼ適正値に維持された.省力については特に除草や施肥管理時間が減少し,年間17.5 hr/10 aの管理時間短縮効果が見られた.また,土壌表面の塩類集積も栽培開始後3年目では認められていない.周年マルチにより年間の地温較差が軽減され,特に夏季に細根が保護されていることがうかがえた.これらから,本方式がウンシュウミカン栽培において,高品質果実の省力的安定生産に有益であることが示された.
  • 西沢 隆, 戸谷 史, 近藤 裕子, 宍戸 良洋
    2004 年 3 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    有機性廃棄物に酸化Ca剤を加えて加水分解した強アルカリ処理有機性廃棄物を,メロン‘プリンス’栽培の床土として用いた.
    1.強アルカリ処理有機性廃棄物と山砂を1:1に調整し定植期の床土に用いた場合,山砂のみを床土に用いた場合に比べ収穫期における果肉硬度が上昇した.
    2.強アルカリ処理有機性廃棄物を床土に用いた場合,山砂のみあるいは山砂に消石灰を加えた場合に比べて果実および成葉のCa濃度が有意に上昇した.しかし,果実および成葉におけるKの蓄積が阻害されることはなかった.
    3.強アルカリ処理有機性廃棄物中には,果実の収穫時期でさえも山砂に比べてはるかに高濃度のCaが含まれていた.しかし,全Caに対する可溶性Caの割合は,山砂と同程度かむしろ低い値を示した.
    4.強アルカリ処理有機性廃棄物は床土のpHを8.0以上に高めたが,果実の生長は阻害しなかった.
  • 森永 邦久, 吉川 弘恭, 中尾 誠司, 村松 昇, 長谷川 美典
    2004 年 3 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカンの省力的な高品質果実生産技術の開発を目的として,新たな栽培法である周年マルチ点滴かん水同時施肥法を開発した.この方式では,カンキツ樹の樹冠下に透湿性マルチシートを敷き,そのシートの下に点滴かん水チューブを敷設する.このチューブを通して,水と液体肥料を自動的に供給し,樹体の水分および栄養状態を制御するシステムである.本報告ではこのシステムに用いるかん水チューブにおける圧水と水量の関連,チューブの敷設方法,透湿性マルチの耐久性などの特徴を明らかにし,本方式を極早生ウンシュウに導入利用する場合のかん水施肥基準管理法などを策定した.
栽培管理・作型
  • 菊地 秀喜, 池田 裕章
    2004 年 3 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    JM5とM. 27を中間台木とし,マルバカイドウを根系台木に用いて,リンゴの主要な品種を接ぎ木した場合の生育や,品種の穂木部位に荷重をかけた場合の折損状況を検討した.その結果,穂木に用いた品種のうち,‘つがる’,‘さんさ’,‘ニュージョナゴールド’,‘北斗’,‘王林’,‘ふじ’の生育は,JM5/マルバカイドウ台木がM. 27/マルバカイドウ台木に比べてやや小さくなった.穂木に用いた品種との接ぎ木部位は,JM5/マルバカイドウ台木では供試したすべての品種で台勝ち症状を示したが,M. 27/マルバカイドウ台木では‘つがる’,‘さんさ’,‘ニュージョナゴールド’,‘王林’で接ぎ目こぶが認められた.穂木部位に荷重をかけると,JM5/マルバカイドウ台木では穂木の幹あるいは台木の幹が不規則に折れたのに対して,M. 27/マルバカイドウ台木では接ぎ木部位で穂木と台木が剥離するように折損した.‘ふじ’は両台木に接ぎ木しても,他の品種より結合力が強く,20 kg以上の荷重をかけても折れなかった.
  • 阿部 清, 永峯 淳一, 小野 惠二
    2004 年 3 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    食用ギク‘岩風’の休眠打破に及ぼす低温と花の品質に及ぼす電照の影響について調べ,促成栽培と抑制栽培の可能性について検討した.その結果,10月中旬~11月中旬に定植し,12月中旬まで露地で自然低温に遭遇させて,その後加温を開始することによって,2月下旬から収穫を開始する促成栽培を行うことが可能であるとみられた.また,6月中旬に定植し,8月中旬から連続して長日処理を行うことによって露心花の発生を防止し,開花開始期を遅らせないで収穫時期を遅くまで続ける抑制栽培が可能であるとみられた.
  • 小山 佳彦, 和田 修
    2004 年 3 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    露地における小ギクの計画生産を目的に,7月咲き小ギクの中から日長感応性品種を選抜し,暗期中断処理による高需要期出荷を検討した.
    1.自然開花期が7月の小ギク14品種から日長に感応する13品種を選抜した.このうちの8品種を4月19日に定植し,6月11日に暗期中断処理を終了すると,4品種が高需要期である8月上旬に開花した.
    2.暗期中断処理による開花反応期間の年次差は小さいので,7月咲き小ギクと暗期中断を組み合わせた盆出荷用の計画生産が可能と考えられた.
    3.6月から8月にかけての高温期における暗期中断処理後の開花反応期間は,自然日長の変化に対応して変動した.この結果から,彼岸出荷ならびに同一品種による継続出荷の可能性が示唆された.
  • 野口 有里紗, 市村 匡史
    2004 年 3 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    日長,温度並びに遮光がスイートバジルとスペアミントの生育,開花,精油濃度並びに精油成分に及ぼす影響について検討した.スイートバジルが相対的長日植物,スペアミントが絶対的長日植物であることが判明した.高温によって葉数,生体重および精油濃度が増大した.栽培環境により主要精油成分の割合が変化した.香りの強いフレッシュハーブ生産には,12時間日長で30/25℃の環境が最適であった.
  • 和田 光生, 安藤 愛, 平井 宏昭, 阿部 一博
    2004 年 3 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    ロックウール栽培トマトにおける,育苗時のポット容積およびポット内根密度と定植後の生育および収量との関係について調査した.高さは5 cm一定とし,容積を500 ml(大),281 ml(中)および125 ml(小)とした3種類のロックウールポットでトマトを育苗した.育苗日数が長くなるにつれて,地上部乾物重は大ポットと比べ,小ポット,次いで中ポットで抑制された.しかし,根乾物重はポット容積による有意な影響を受けなかった.また,根乾物重/ポット容積比(rdw/cv)が2.0 mg/mlを超えると地上部の生育は抑制されることが示された.最高可販果収量を得られる育苗日数は,大,中および小ポットでそれぞれ,4,3および2週間であった.回帰分析の結果から,最高可販果収量を得るための定植時rdw/cvは1.64 mg/ml付近であると推定された.
発育制御
  • 篠田 浩一, 村田 奈芳
    2004 年 3 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    A. caeruleumのりん茎を9月から5℃で低温処理を行ったところ,低温処理期間が0および3週間では開花せず,9週間の定温処理区が最も早期に開花し,切り花品質も優れた.栽培夜温15℃では開花は早まるものの,開花率並びに切り花品質が低下した.定植球重が生育・開花に及ぼす影響を検討したところ,0.1~0.2 g球でも一部開花するものの,0.3 g球以上で開花率が100%となり,切り花品質も優れた.また,定植球重が大きいほど掘上球数は増加し,球重増加率は減少した.
  • 斎藤 秀幸, 斎藤 隆
    2004 年 3 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    カブ‘ひかり’の花房形成に及ぼす24時間の日長処理期間の影響について調査するとともに,ジベレリンあるいはウニコナゾール施与の影響について調査し,長日によるカブの花房形成に対するジベレリンの作用について花成強度(斎藤・斎藤,2001)を求めて検討した.
    24時間の日長処理を0, 10, 20, 30, 40および75日間行った結果,頂花房の形成株率は処理期間の長くなるにつれて順次高くなり,側花房の形成節数は多くなり,花成強度も処理期間の長くなるにつれて高くなった.24時間日長による花成誘導の作用は徐々に累積され,低温に比べて小さいものと考えられた.ジベレリン施与によって,頂花房の形成は全株で認められ,頂花房までの節数は減少し,側花房の形成節数は増加した.花成強度はジベレリン施与によって高くなり,花房形成が助長された.一方,ウニコナゾール施与によって,花房の形成は著しく抑制され,花成強度は著しく低下した.ジベレリンは長日による花房形成の助長作用を代替するが,その助長作用は低温に比べて小さく,あまり大きくないものと考えられた.
  • 遠藤 柳子, 金浜 耕基
    2004 年 3 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    出荷規格の優れるセリを栽培する上での基礎資料を得ることを目的として,‘青森系’,‘仙台系’,‘島根みどり’および‘みやぎVWD1号’を供試して日長がランナーの発生,節間伸長および着らいに及ぼす影響を調べた.10月に主枝をプランターに植え付けて自然条件下で育て,11月6日から翌年の3月27日にかけて最低気温を10℃,日長時間を8時間および24時間に調節した温室に搬入した.その結果,いずれの時期に搬入しても,ランナーの発生に及ぼす日長の影響は認められなかった.節間の伸長は,いずれの時期に搬入しても,長日によって促進された.搬入から節間伸長を開始するまでの日数は搬入時期が遅れるほど早まり,日長時間および系統間の差も小さくなった.いずれの系統においても,24時間日長では8時間日長に比べて節間長が長く,着らいは24時間日長でのみ認められ,8時間日長では7月上旬まで育てても着らいしなかった.
    以上の結果,基部節間の短い出荷規格の優れたセリを収穫するためには,低温に遭遇しないで短日条件下にあることが必要であるとみられた.また,出荷調製作業の省力化のためにはランナー発生が少ないことが望まれるが,ランナー発生は日長時間に影響されなかったので,日長処理によるランナー発生の抑制は困難であると考えられた.
  • 山田 寿, 板野 阿貴子, 天野 勝司
    2004 年 3 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    リンゴ‘王林’の高温誘導早期みつ症状の発生に及ぼす果実に対する日射量の影響を検討するため,簡易積算日射量測定システム(オプトリーフ)を使用した.オプトリーフは30℃以上の高温条件下でも正確な積算日射量の測定が可能であった.Rタイプではいずれの方位の日射量とも平均果実温度と極めて高い有意な相関を示した.3回の実験データをひとまとめにして解析した場合にも,各方位の平均相対日射量は平均果実温度や最高果実温度と1%レベルで有意な相関が認められた.果実の日射量はみつの発生程度や果肉硬度,果糖,ブドウ糖,ソルビトール,全糖などの果実形質とも有意な相関が認められた.また,みつの発生程度は果実温度や果肉硬度,ソルビトールとの間に正の相関が見られ,特にソルビトールとの相関が強かった.以上の結果から,日射によって果実温度が高まることにより,果実内にソルビトールが蓄積し,‘王林’果実に早期みつ症状を発生させることが示唆された.
収穫後の貯蔵・流通
  • 森田 隆史, 西野入 将浩, 前田 匡夫, 片岡 圭子, 札埜 高志, 河瀬 晃四郎
    2004 年 3 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    サトイモに対して病原性を持つ菌株‘F959’をサトイモ‘セレベス’に接種した.接種した球茎は25℃に温度調整した暗所に15日間維持した.球茎からパラフィン切片を作成し,光学顕微鏡を用いて細胞学的に観察した.その結果,対照区では,傷の表面に約1 mmの厚さの透明細胞層が形成され,その下に分裂細胞層が形成された.透明細胞層は著しく木化していた.一方,フザリウムを接種した場合,透明細胞層が2-5 mmの厚さに拡大し,木化は認められなかった.これはフザリウム菌によってゆ傷組織が正常に形成されなかったと考えられた.次に傷付けから接種までの時間を遅延させたときの球茎の反応を観察した.その結果,遅延が12時間以上のときには,透明細胞層の拡大はみられなくなった.これはサトイモ組織に何らかの生理的な防御反応が生じた結果,正常なゆ傷組織が形成可能になったためと考えられた.
  • 名田 和義, 川口 敏弘, 橘 昌司
    2004 年 3 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 2004年
    公開日: 2008/02/23
    ジャーナル フリー
    ポリアミンの切り花品質保持剤としての利用性を検討するため,生け水へのポリアミンの添加がバラ(Rosa hybrida Hort.,‘ノブレス’)切り花の花持ちに及ぼす影響について調査した.茎の長さを6 cmに調整した切り花を様々な被検液を含む生け水に挿し,人工気象室(23℃,相対湿度75%,12時間日長,光強度20 μmol・m2・s1)で約2週間保持した.スクロースと8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS)の混合溶液(濃度はそれぞれ30 g・liter1,2 g・liter1)に挿した切り花は,純水に挿したものより約4日間花持ちが長くなった.一方,0.1 mMのPut, SpdまたはSpm溶液に挿した切り花は,純水に挿したものより花持ちが悪くなった.しかし,スクロース + HQS溶液に0.1 mM Putを加用すると,スクロース + HQS溶液単独処理の切り花より花持ちが2日間延長した.SpdおよびSpmにはそのような効果は認められなかった.Put加用スクロース + HQS溶液に挿した切り花は,スクロース + HQS溶液単独のものに比べて花弁展開が遅く花弁のフルクトース含量が低かった.以上より,Putが花弁のスクロース代謝を変化させ,その結果,花弁細胞の成長と花弁展開が遅延し,バラ切り花の花持ちが延長したと考えられる.
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