ハマボウフウの生育,品質および組織形態に及ぼす栽培方法の影響を明らかにするため,完全遮光した軟白区と自然光の対照区の2区を設け,生育,収量,色素含量,粗繊維含量,物性,精油濃度,官能特性を調査するとともに,厚角組織,維管束および油管の形態と分布について解剖学的観察を行った.
1. 軟白区では葉柄が徒長して葉身が展開せず,葉数の減少と乾物率の低下がみられた.
2. クロロフィル含量,アントシアニン含量ともに,軟白区で顕著に低かった.葉柄の粗繊維含量は軟白区で低い値を示した.また,葉柄の硬さは対照区に比べて軟白区でかなり軟らかいことがわかった.
3. 組織観察の結果,厚角組織と維管束の数および面積について両区に差は認められなかった.また,油管の数,精油分泌細胞数および油管の面積,面積占有率においては両区で有意差がみられなかった.
4. 地上部の精油含量は,対照区と軟白区で大きな違いは見られなかった.
5. 軟白区で対照区よりも色が薄く,官能検査の結果,食べたときの香りおよび青臭さが弱く,軟らかいと評価されるとともに,色の薄さを除いて好まれる傾向が見られた.
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