日本ヘルスサポート学会年報
Online ISSN : 2188-2924
ISSN-L : 2188-2924
2 巻
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原著論文
  • 吉岡 京子, 笠 真由美, 神保 宏子, 鎌倉 由起, 齋藤 夕子, 野村 理恵, 大熊 陽子, 大屋 成子, 平林 義弘, 黒田 眞理子
    2016 年 2 巻 p. 1-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、特定妊婦のうち精神疾患を有する者の特徴とその関連要因を解明することである。平成25年に特定妊婦として登録された55人のうち、精神疾患なし群は31人(59.6%)、精神疾患あり群は21人(40.4%)であった。二群比較の結果、精神疾患あり群の方が精神疾患なし群に比して、母子世帯である者、近隣の相談相手がいない者および妊婦健診の受診状況が不定期な者が有意に多かった。また、抑うつ状態や不眠、不安といった症状を精神疾患あり群の方が精神疾患なし群に比して有意に多く有していた。保健師が予測した支援でも、産後の病状悪化や医療機関への受診支援、母親の睡眠確保の必要性が精神疾患あり群の方が精神疾患なし群に比して有意に多く、治療継続支援を行った者の割合も有意に高かった。本結果から、精神疾患を有する特定妊婦に対して、妊婦健診の受診状況の確認や困り事について相談にのることと、妊娠期から精神科や産科と緊密に連携しながら支援していくことの必要性が示唆された。

  • 佐藤 智子, 大津 美香, 木浪 麻里, 駒谷 なつみ, 山田 基矢, 井上 信子, 野呂 経子
    2015 年 2 巻 p. 11-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、一般高齢者の認知症予防に向けて、日常の食生活の中に咀嚼運動を取り入れることによって長期的に短期記憶に影響を与えるかどうかを明らかにすることであった。一般高齢者12名に毎食30回以上咀嚼するよう指導を行い、1週間後及び6ヵ月後に咀嚼力と短期記憶の判定を行った。その結果、咀嚼力と短期記憶が維持・向上する傾向があり、認知症予防につながる可能性が示唆された。よって、高齢になってからであっても、意識的に、継続的に咀嚼運動に取り組むことは、短期記憶の維持・改善のために有用であると考えられた。

事例報告
  • 梅津 順子
    2016 年 2 巻 p. 21-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー

    平成20年度から内臓脂肪型肥満に着目した特定健診・特定保健指導が導入された。当町では、糖尿病性腎症の重症化を予防するため、平成25年度から糖尿病性腎症の発症・進展因子として注目されている塩分に焦点をあてた特定健診を実施している。

    塩分の視点で特定健診結果を分析すると、女性は高塩分群(中央値より塩分摂取量が多い群)が低塩分群(中央値より塩分摂取量が少ない群)より、糖尿病治療者の割合、空腹時血糖、HbA1c等が有意に高値であった。一方、男性は塩分摂取量による有意差はみられなかった。

    今後は女性の食習慣を検討し、町ぐるみの減塩運動を展開していきたい。

原著論文
事例報告
  • 木浪 麻里, 山田 基矢, 大津 美香, 駒谷 なつみ, 佐藤 智子, 井上 信子, 野呂 経子
    2016 年 2 巻 p. 33-43
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー

    介護予防一次予防事業に参加する一般高齢者に質問紙調査および咀嚼力の評価を行い、認知症の原因及び予防についての知識と認知症の予防行動に関連があるのかを検討した。認知症予防の知識があると、必ずしも予防行動に至るとは言えないが、行動に至る可能性があるという結果が示唆された。一度の情報提供のみでも行動変容できる可能性も考えられた。また、既往疾患のある人は予防行動をとる傾向があること、咀嚼機能は身体活動に関連があることが考えられた。認知症予防には、知識を提供するとともに、高齢者自身が予防行動を継続できる効果的な働きかけや支援が必要であることが示唆された。

原著論文
展望
  • 吉岡 京子
    2016 年 2 巻 p. 55-62
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー

    日本は世界に類を見ないスピードで高齢化と人口減少が同時並行的に進んでおり、住み慣れた地域で自分らしい生活を継続するために地域包括ケアシステムが構築されつつある。一方、精神障害者の社会的入院を解消するため、地域へ退院促進政策が進められている。精神障害者は医療ニーズが高く、生活支援が必要であるという点は高齢者と共通している。精神障害者が地域で安定した生活を営むためには、地域包括ケアシステムの概念枠組みを精神障害者ケアに適用し、共通の資源の活用を目指し、社会保障費の総コストを削減していく必要がある。

原著論文
  • 吉岡 京子, 鎌倉 由起, 神保 宏子, 北澤 陽子, 大久保 詠子, 白川 久美子, 大熊 陽子, 大屋 成子, 平林 義弘, 黒田 眞理 ...
    2016 年 2 巻 p. 63-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、要支援児童と精神疾患を有するその母の特徴とその関連要因を解明することである。平成26年度に新規登録された就学前の要支援児童248人およびその母親221人を調査対象とした。母の精神疾患について記述のあった218人のうち、精神疾患なし群は127人(58.3%)、精神疾患あり群は91人(41.7%)であった。ロジスティック回帰分析の結果、「医療機関の協力を得て長期に支援する」(Odds Ratio=2.77,95%CI=1.11-6.94)、「受診状況を把握する」(Odds Ratio=34.43,95%CI=7.03-168.63)ことが要支援児童の母が精神疾患を有することと有意に関連していた。本結果から、保健師は要支援児童の母のうち精神疾患を有する者に対して、医療機関の協力を得て長期的に支援し、受診状況をモニタリングする必要性が示唆された。

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