日本ヘルスサポート学会年報
Online ISSN : 2188-2924
ISSN-L : 2188-2924
5 巻
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  • 松田 晋哉, 村松 圭司, 得津 慶, 藤野 善久
    2020 年 5 巻 p. 1-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

     フランスはヨーロッパ諸国の中でも自殺死亡率が高く、その解決が長年、公衆衛生学政策の課題となっていた。そのため、地方保健政策優先課題-医療計画(PRS-SROS; Priorité Régionale de la Santé – Schéma Régionale de l’Organisation Sanitaire)においても、その具体的な改善目標と対策、そしてその効果検証が行われてきた。さらなる自殺対策を進めるためにフランス政府は自殺対策のヘッドクオーターとしてフランス保健省内にObservatoire national du suicide (ONS;全国自殺観察機構)を設置し、基礎医学研究、社会科学的研究および自殺予防実務を総合化する体制整備を進めている。

     職域においては従来の産業保健対策に加えて、労働者のメンタルヘルス対策の推進を法制化したことで、外部のEAP組織の活用などが活発化し、改善が進んでいる。

  • 松田 晋哉
    2020 年 5 巻 p. 9-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

     2017年11月に西日本の在宅高齢者1,327名を対象に主観的健康感及び医療費に関連する要因の分析を郵送法で行った。調査票は厚生労働省の行っている日常生活圏域ニーズ調査の内容を基本として、介護保険制度における基本チェックリスト、フレイルの簡易調査票であるQuick-8、老研式活動能力指標が含まれる内容とした。そして主観的健康感及び年間医療費を目的変数、上記項目を説明変数として分析を行った。その結果、運動や転倒リスクなど身体的フレイル状態にあること、閉じこもりやうつなどの社会との関係性で問題があることが主観的健康感に負の関連を示し、他方で収入のある仕事を持っていること、社会的役割得点が高いことが正の関連を示していた。医療費に関しては栄養がフレイルである高齢者で有意に年間医療費が多くなっていること、老研式のIADL得点や社会的役割得点が高い高齢者で年間医療費が少ないという結果であった。

  • 藤本 賢治, 藤野 善久, 村松 圭司, 松田 晋哉
    2020 年 5 巻 p. 21-28
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

     一般介護予防事業は、生活機能の維持・向上に向けた取り組みを行うものであり、更に高齢者の引きこもり対策としての役割もある。しかしながら、多くの自治体では、その評価は十分に行われていないことが課題となっている。そこで、本研究では自治体が実施している一般介護予防事業への参加に関連する要因として、高齢者の有する疾病の影響に着目し検討を行った。

     研究に使用したデータは、自治体における2017年度のサロンの参加情報と医療・介護レセプトを使用した。分析は、サロンの参加をアウトカムとし、小学校区圏域をマルチレベルとしたロジスティック回帰分析を行った。説明変数は、性別、年齢階級、要介護度および生活習慣病および加齢に伴う疾病とした。

     オッズ比では、身体的な疾病である下肢関節障害、脊椎障害、骨粗しょう症が高く、精神的な疾病である血管性および詳細不明の認知症、統合失調症・統合失調症型障害および妄想性障害、気分感情障害は低かった。

     本研究では、一般介護予防事業の中で、引きこもり対策に関連する気分感情障害(うつ病)に罹患しているものが、事業の役割に沿わず参加割合が低いという課題が浮き彫りとなった。また、既存のデータを活用し分析を行うことで、事業へのアクセス改善に資する知見を得られる可能性も示唆された。

  • 大谷 誠, 松田 晋哉
    2020 年 5 巻 p. 29-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

     本研究では医療データであるDPCデータを用いテキストマイニングを行った。医療データは数値データやカテゴリー尺度、ICD10といったコードなど分析し医療行為にフィードバックが行えるよう精緻化されてきている。DPCコード毎のトピックの出現度をみると、手術・処置有無に関してリハビリは前回手術を行ったDPCコード、症状不良は前回入院時に生検法をした化学療法と放射線治療の両方を行っているDPCコードに関連していた。また、化学療法と放射線治療の両方が行われているDPCコードは3から4つのトピックを含んでいた。本研究によりテキスト分析により医療行為内容の体系的把握が可能になる可能性が示された。医療行為の均一化や医療職の負担軽減を実現するために、より精度の高いテキスト分析の手法を開発していく必要がある。

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