一般介護予防事業は、生活機能の維持・向上に向けた取り組みを行うものであり、更に高齢者の引きこもり対策としての役割もある。しかしながら、多くの自治体では、その評価は十分に行われていないことが課題となっている。そこで、本研究では自治体が実施している一般介護予防事業への参加に関連する要因として、高齢者の有する疾病の影響に着目し検討を行った。
研究に使用したデータは、自治体における2017年度のサロンの参加情報と医療・介護レセプトを使用した。分析は、サロンの参加をアウトカムとし、小学校区圏域をマルチレベルとしたロジスティック回帰分析を行った。説明変数は、性別、年齢階級、要介護度および生活習慣病および加齢に伴う疾病とした。
オッズ比では、身体的な疾病である下肢関節障害、脊椎障害、骨粗しょう症が高く、精神的な疾病である血管性および詳細不明の認知症、統合失調症・統合失調症型障害および妄想性障害、気分感情障害は低かった。
本研究では、一般介護予防事業の中で、引きこもり対策に関連する気分感情障害(うつ病)に罹患しているものが、事業の役割に沿わず参加割合が低いという課題が浮き彫りとなった。また、既存のデータを活用し分析を行うことで、事業へのアクセス改善に資する知見を得られる可能性も示唆された。
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