日本ヘルスサポート学会年報
Online ISSN : 2188-2924
ISSN-L : 2188-2924
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 松田 晋哉, 村松 圭司, 藤本 賢治, 峰 悠子, 高木 邦彰, 得津 慶, 大谷 誠, 藤野 善久
    2021 年 6 巻 p. 1-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    【研究目的】高齢期において自立した生活を継続するためには、要介護度の悪化に関連する要因を把握し、それらへの対策が求められる。そこで本研究では、認定調査票データ、医科及び介護レセプトを用いて要介護度の悪化に関連する要因の明らかにすることを試みた。

    【資料及び方法】 東日本の一自治体における介護保険の認定調査データと介護レセプト、医科レセプトを個人単位で連結したデータベースを作成した。このデータベースから2014年度の要介護認定で要介護1と認定された在宅の対象者11,658人を抽出して、2017年まで追跡し、データベースで把握できる状態像や傷病に関する変数を用いて、要介護度の悪化に関連する要因をロジスティック回帰分析によって検討した。

    【結果】分析の結果、状態像としては寝返り、起き上がり、座位保持、両足および片足での立位、歩行、移乗、移動といった筋力の低下に関連する項目で自立していない者、そしてその結果として外出の頻度が少なく、買い物に関して他者に依存している者で要介護度が悪化していた。使用している医療介護サービスで福祉機器を利用している者が悪化していたが、この結果は「福祉機器を利用するような状態にある者」が高リスクであると解釈することができる。傷病に関しては下肢関節障害、脊椎障害のあるもので有意に悪化がみられた。利用している医療・介護サービスでは、医療保険および介護保険ともに訪問看護を利用している者で有意に悪化の割合が低かった。

    【考察及び結論】本研究の結果、要介護度の悪化予防には筋力低下の予防及び看護の視点からの継続的なケアが有効であることが示唆された。

  • 松田 晋哉, 村松 圭司, 藤本 賢治, 峰 悠子, 高木 邦彰, 得津 慶, 大谷 誠, 藤野 善久
    2021 年 6 巻 p. 15-29
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    【目的】介護保険制度の目的は、高齢者が要介護状態になっても、できうる限り自立した生活を送ることが出来るよう支援することである。この目的には在宅介護の可能性を高めることが当然含まれる。そこで本研究においては、東日本の一自治体における介護保険の認定調査データおよび介護レセプトと医科レセプトとを用いて、在宅の中重度要介護高齢者の特別養護老人ホーム入所に関連する要因を分析し、在宅介護を進めるための条件について検討した。

    【資料及び方法】東日本の一自治体における介護保険の認定調査データと介護レセプト、医科レセプトを個人単位で連結したデータベースを作成した。このデータベースから2014年度の要介護認定で要介護3以上と認定された在宅の対象者6,540人を抽出し、2018年3月まで月単位で追跡し、その後の特養入所の有無を介護レセプトから把握した(特養入所のイベント発生を1)。そして、分析期間中の最初の認定審査時における傷病の状況及び医療・介護サービスの利用状況を医科レセプトと介護レセプトから把握し、特養入所に関連する要因についてCoxの比例ハザードモデルによって検討した。

    【結果】特養入所に関しては女性であること、年齢が高くなること、認知症があること、口腔清潔・洗顔・洗髪で介助が必要なこと、通所介護の利用者であることが有意にハザード比を高めていた。いずれも認知症との関連が深い項目である。他方、寝返りや起き上がり、座位保持、立位、移乗、移動といった筋力に関わる項目で自立度が低いことは特養入所のハザード比を有意に下げる結果となった。また、通所介護の利用を除くと、他の医療介護サービスの利用は、いずれも特養入所のハザード比を有意に下げていた。

    【考察及び結論】本分析の結果、中重度の在宅要介護高齢者が特別養護老人ホームに入所する要因としては高齢、認知症及びそれに関連した生活障害があること、女性が有意のものであることが示唆された。他方で、医療ニーズの高い高齢者は入所リスクが低くなっていた。こうした特性を持つ中重度要介護高齢者は特別養護老人ホームよりは医療系施設に入院している可能性が示唆された。

  • 松田 晋哉, 村松 圭司, 藤本 賢治, 峰 悠子, 高木 邦彰, 得津 慶, 大谷 誠, 藤野 善久
    2021 年 6 巻 p. 31-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    【目標】近年、高齢者の肺炎による入院が増加している。特にすでに要介護状態にある高齢者の肺炎の増加に関心が集まっているが、その現状を詳細に分析した研究は少ない。そこで、本研究では西日本の一自治体の医療レセプト、介護レセプトを用いて、高齢者肺炎の現状分析を行い、その対応策を検討することを目的とした。

    【資料及び分析方法】分析に用いたデータは西日本の一自治体の2012年4月から2017年3月までの医科レセプト(国民健康保険・長寿医療制度)と介護給付レセプトである。これらのデータを個人単位で連結したデータベースを作成し、これから高齢者の肺炎(65歳以上でDPC6桁=040080および040081)でDPC対象病院において治療を受けた患者をレセプトから抽出し、その初回入院年月を治療年月と定義した。これを起点(治療月、経過月=0)としてその前後の医療介護サービス利用状況と傷病の状況を分析した。

    【結果】本分析の結果、肺炎で急性期病院に入院した高齢患者は入院の6ヶ月前に一般肺炎は32.1%、誤嚥性肺炎は53.3%が何らかの介護サービスを受けていた。また、治療後は大半が自宅(外来・在宅)に直接戻っていた。なお、入院後1年間の累積死亡率は一般肺炎17.8%、誤嚥性肺炎31.3%であった。

    【考察】1年間の累積死亡率の高さ及び併存症の種類とそれらの有病率の高さを考えると、肺炎はエンド・オブ・ライフステージにある要介護高齢者の療養生活の質に大きな影響があると考えられる。したがって、当該時期におけるQOLを維持するためにも、予防可能な肺炎については、そのための対策をケアマネジメントでしっかりと位置付けることが重要であると考えられた。

  • 松田 晋哉, 村松 圭司
    2021 年 6 巻 p. 41-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

     WHOが公開している自殺統計データによると、2016年のカナダの人口10万対自殺率は12.5で先進国の中では中位に位置している。しかしながら、少数民族や移民における自殺率は高く、特に前者では自殺率が全国平均の20倍以上であることが報告されている。こうした状況を踏まえて、カナダのケベック州ではケベック自殺予防センター(Le Centre de prévention du suicide de Québec)を中核として、総合的な自殺対策が推進されている。同センターでは自殺に関連する基本統計の収集及び分析、その分析結果に基づく市民及びハイリスクグループ(中年男性、移民、少数民族)に対する啓発活動や支援活動を行っている。

     実務面でメンタルヘルスのフロントラインとして対応しているのは、保健・社会サービス総合センター(CISSS:centres intégrés de santé et de services sociaux:我が国の保健福祉事務所に相当)と家庭医のオフィスである。プライマリケアの枠組みの中でメンタルヘルス対策が展開されているのがケベックの特徴である。

  • 松田 晋哉, 村松 圭司, 藤本 賢治, 峰 悠子, 高木 邦彰, 得津 慶, 大谷 誠, 藤野 善久
    2021 年 6 巻 p. 49-57
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    【目標】近年、高齢者の心不全による入院が増加している。高齢化の進行とともにこの心不全パンデミックはさらに深刻な問題になると予想されている。こうした患者の多くはすでに複数の慢性疾患を抱える高齢者で、心不全の急性増悪を繰り返しながら、ターミナルの経過をたどるものと推察されるが、これまでその状況は必ずしもデータで明らかにされていない。そこで、本研究では西日本の一自治体の医療レセプト、介護レセプトを用いて、高齢者心不全の現状分析を行い、その対応策を検討することを目的とした。

    【資料及び分析方法】分析に用いたデータは西日本の一自治体の2012年4月から2017年3月までの医科レセプト(国民健康保険・長寿医療制度)と介護給付レセプトである。これらのデータを個人単位で連結したデータベースを作成し、これから心不全(DPC上6桁=050130)でDPC対象病院において治療を受けた65歳以上の患者をレセプトから抽出し、その初回入院年月を治療年月と定義した。これを起点(治療月、経過月=0)としてその前後の医療介護サービス利用状況と傷病の状況を分析した。

    【結果】本分析の結果、心不全で急性期病院に入院した高齢患者は入院の6月前に心不全は32.0%が何らかの介護サービスを受けていた。また、治療後は大半が自宅(外来・在宅)に直接戻っていた。なお、入院後1年間の累積死亡率は17.9%であった。

    【考察】1年間の累積死亡率の高さ及び併存症の種類とそれらの有病率の高さ、及び退院後も心不全の有病率が高いことを考えると、心不全はエンド・オブ・ライフステージにある要介護高齢者の療養生活の質に大きな影響があると考えられる。したがって、当該時期におけるQOLを維持するためにも、心不全の悪化を予防するための対策、具体的にはリスクとなる高血圧等の管理、食生活の管理などをケアマネジメントにしっかりと位置付けることが重要であると考えられた。

  • 村松 圭司, 得津 慶, 大谷 誠
    2021 年 6 巻 p. 59-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究では、DPCデータ分析の練習に用いるため、DPCデータのうち様式1のダミーデータを作成するロジックを開発した。ダミーデータを集計した際に現実的な値となるよう厚生労働省のDPC公開データの集計結果を参考とした。開発したロジックを用いて規模の異なる2つのデータベースを生成し、性別について二群の比率の差の検定を行った。規模の小さいデータベースでは有意な差が認められたが、規模の大きいものでは実際の値と優位な差は認められなかった。

  • 林 茂傑, 酒井 啓江, 菅野 雅子, 松原 由美
    2021 年 6 巻 p. 65-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は介護福祉現場におけるICT 活用と経営効果の因果構造を明らかにすることである。介護福祉分野のICT 利活用が促進されるなか、現場のICT 活用能力はどのような状態にあるか、また、ICT 活用と経営力はどのような因果構造で結びついているかについて検討する。この目的に対して、まずは先行研究により構造モデルと初期仮説を設定し、介護事業を行う社会福祉法人を対象に質問紙調査を行った。次に、有効回答の102 法人から得たデータに基づき仮説検証行い、探索的な方法を援用して構造モデルを検討した。

feedback
Top