関西学院大学先端社会研究所紀要
Online ISSN : 2434-4613
Print ISSN : 1883-7042
10 巻
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論文
  • 専門性によらない回答実践を中心に
    矢﨑 千華
    2013 年 10 巻 p. 1-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー
    本稿は、紙上で行われる「身の上相談」の中でもっとも歴史があり、現在も継続中である『読売新聞』「人生案内」の回答の言語編成を分析・考察するものである。現在目にするような紙上「身の上相談」の原型は、明治後期頃に成立した。当時の回答者は新聞記者であったが、現在では、弁護士や精神科医といった専門家や作家などの著名人によって担当されている。年間300 件ほど掲載されているが、その半数近くが作家によって回答されている。このように多くの場合作家により回答が行われているという事実から、本稿では、特定の専門的知識を用いずに回答を成り立たせている特徴的な言語編成があると仮定し、その言語編成を明らかにした。専門性によらない特徴的な言語編成として、①相談者の訴える問題を再確認する(問題化)、②相談者の訴えを肯定する、③回答の中に回答者自身(「私」)が登場する、という3 つが明らかとなった。相談者の訴えを肯定しつつ問題の所在を明らかとし、相談者と共同性を生成することにより、最終的な解決策の提案の正当性が論理的正しさをもつものとして形成されていくのである。
  • インド・タール沙漠地域に暮らすジョーギーを対象として
    中野 歩美
    2013 年 10 巻 p. 19-32
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー
    インド・ラージャスターン州の西端ジャイサルメール県に、ジョーギーと呼ばれる人びとが暮らしている。「物乞いカースト」、「出家ヨーガ行者(あるいはナート派の信徒)」、「ジプシーの祖先」など、当地のジョーギーを修飾する語りは複雑に入り組んでいる。本稿は、これらの錯綜した集団表象が埋め込まれた歴史的文脈の一端を、19世紀イギリス植民地期におけるジョーギーのカースト化の過程に遡及することで明らかにするものである。導入としてジョーギーに対する「ジプシー」表象を取り上げ、現地におけるジョーギー蔑視の鍵としての「土地所有の有無」の問題を議論する。その後、彼らをめぐる「土地を持たない下層民」という現地の集団表象に着眼し、その成り立ちを植民地期に遡るジョーギーの「カースト化」と「ナート派の二分化」のプロセスの中に跡付ける。本稿は、錯綜した集団表象が立ち現れてきたその過程の検討を通じて、現在を生きるジョーギーという集団の輪郭を浮かび上がらせるものである。
研究ノート
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