関西学院大学先端社会研究所紀要
Online ISSN : 2434-4613
Print ISSN : 1883-7042
9 巻
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論文
  • -プレアビヒア寺院を事例にして
    重政 公一
    2013 年 9 巻 p. 1-19
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー
    11世紀の建造物とされているプレアビヒア寺院をめぐっては1962年の国際司法裁判所で寺院の帰属はカンボジア領と規定されたが、カンボジアとタイ両国で国境未確定地域を含む領土問題となってきた。カンボジア内戦終了後の2000年代になり、この問題はカンボジアとタイの両国の政治指導者、国内の市民、反市民社会アクターを越えた脱国家的リンケージの展望を示してきた。本研究では国際関係論のセキュリタイゼーションを援用し、両国の社会的安全保障の観点からプレアビヒア寺院をめぐるアイデンティティー政治言説の構築を分析する。
  • -闇市から問屋街、そしてアートの街へ-
    島村 恭則
    2013 年 9 巻 p. 21-31
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー
    本稿は、日本の地方都市の一つである熊本市をフィールドに、地方の在日朝鮮人の生活世界をめぐる社会史について記述・分析するものである。熊本市においては、敗戦直後に形成された闇市起源の市場街に比較的多くの在日朝鮮人の居住が見られた。ただし、そこでは、大阪や東京、あるいは川崎や京都などに見られるような在日朝鮮人中心のコミュニティは形成されず、在日朝鮮人、華僑、沖縄出身者、引揚者を含む日本人等からなる「国際市場」という地域社会が形成されていた。また、この市場街は、ある時期から繊維問屋街に特化したものとなっており、おそらくそうしたこともあって、在日朝鮮人の存在が焼肉店の出現やコリアタウンの形成に結びつくことはなかった。このような事例をふまえると、日本列島には、大阪や東京、川崎や京都といった都市で展開されてきた在日朝鮮人の生活世界とは異なる、もう一つの(いくつもの)在日朝鮮人の生活世界が存在することが理解できよう。今後は、他の地方都市の状況も視野に入れながら、「複数の在日朝鮮人史/誌」を描き出すことが課題となる。
  • -なぜ金来成ひとりが朝鮮探偵小説を体現したか-
    李 建志
    2013 年 9 巻 p. 33-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー
    1930年代の日本と朝鮮は、戦争直前という時代背景のなか、さまざまな猟奇事件が流行っていた。しかし、これを受け入れる市民は、朝鮮と日本でずいぶんと大きな隔たりがあったように思う。ここに、金来成という作家がいる。彼は、戦前に江戸川乱歩の弟子として推理小説を書いていたが、戦後には推理小説を書かなくなった、いわゆる大衆作家である。彼は1930年代に朝鮮でデビューしたが、彼に続いて推理小説を書くものはいなかった。では、なぜ朝鮮文学の世界で彼だけが推理小説を背負ったのだろうか。これを、筆者は、金来成の二流性=時代の変化に飛びつくことはよくするが、その時代の変化の意味を悟ることができなかった作家としての特性によるものだと考える。本稿では、まず当時の朝鮮文壇の状況を、当時のことを描いた小説「九人会をつくる頃」を参考にうつしだし、さらに当時の日本の推理小説界と、日本の社会状況をそれと比較させることで、日本と朝鮮の「空気」の違いをうきぼりにすることを目指す。
研究ノート
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