関西学院大学先端社会研究所紀要
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論文
  • -境界作業の視点より-
    種田 博之
    2022 年 19 巻 p. 1-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー
    子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)の持続感染が主要な原因とされる。そこから、HPVに対する感染予防ワクチンが作られた。2013年4月、予防接種法の改正にともない、HPVは定期予防接種のA類疾病(1類疾病)に指定された。これにより、被接種者においてはHPVワクチン接種を受けることが努力義務となり、ワクチン接種事業者側(=市町村長ないし知事)には予防接種の勧奨が課せられた。この予防接種法2013年改正に寄与したのが、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会(審議会)である。本稿は、審議会において、HPVワクチン(ないし当該ワクチン接種)がどのように語られて、HPVが定期予防接種のA類疾病に指定されたのかを、「境界作業(boundary work)」の視点から明らかにする。境界作業とは、科学と行政といった制度とのあいだなどで、ある知識の正しさや妥当性にかんして線引き(評価)をおこなうことである。厚生労働省は、審議会にHPVのB類疾病(2類疾病)への分類を諮った。しかし、審議会において、ワクチン接種による健康被害に対する補償という点から、異論が出た。そこで、厚生労働省は1類疾病概念自体の変更をおこなって、HPVを1類疾病に該当させた。これは、審議会において望ましいHPVワクチン接種のあり方をめぐって境界作業が発生し、調整された結果である。
  • -三大都市圏の比較を通じて-
    平原 幸輝
    2022 年 19 巻 p. 17-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、都心における社会経済的状況の変化を明らかにするために、三大都市圏の市区町村データを用いて統計的分析を行った。その結果、三大都市圏の都心においては、以下のような変化が共通して生じていることが確認された。第一に、都心においては、ホワイトカラー層が増加し、高所得層が増加するなど、社会階層の上層化が生じている。第二に、都心においては、子育て世帯の流入が生じている。第三に、これまで見られたような都心に高齢者が多いという傾向は失われつつある。一方、社会経済的状況の変化について、首都圏の都心において、高所得層がより集中する傾向にあることが確認された。
研究ノート
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